鷗友学園女子中学校 入試対策
2017年度「鷗友学園女子中学校の社会」
攻略のための学習方法
出題構成
例年、大問3つに、地理・歴史・政治がそれぞれ割り当てられるという形式で出題されている。
満点が100点となっているのは女子校としては珍しく、理科・社会にも算数・国語と同等の重きをおくという、本校の校風が現れている。
テスト時間は50分で総解答数は30問ほどだが、そのうち8~9問が字数制限のない記述問題であり、本校独特の問題構成となっている。
記号選択問題も多少は出されるが、その他多くは用語記入問題で、記述問題と相まって書き込む分量が大変多い。
女子校の社会の試験としては、かなりハードなものとなっている。
地理分野
あるテーマに沿って、関連する地形や産業・貿易など、広い範囲から出題される。地図やグラフ・統計も多く用いられ、特に地形図の読み取りの問題は非常によく出されている。
記号選択や用語記入は基本的事項を問うものが多く、ここは落とさずに得点源としたい。
グラフや統計を読み取る問題は、これまで一度も見たことが無いというような珍しいデータを示されるわけではないが、やはり資料集などをよく見ておき、データの意味を考えるような訓練をしておかないと、テストでいきなり答えるのは無理というものである。
基本的事項をしっかり覚えた上で、地図や白地図、資料集などで各事項の場所や具体的な数値・順位などまで含めて覚えてしまいたい。
歴史分野
歴史上の女性にスポットを当てたり法律を題材にしたりと、ある話題について関係のある歴史的事柄が訊かれている。内容は各時代・各項目から幅広く訊かれている。
この分野では少し深い知識を問われる問題が多い。例えば、平成25年度・1次の記述問題などは、当時の法律について法律名をただ知っていればよい、という問題ではない。法律名を漢字で答え、その規定する内容と施行した結果どうなったかまで、詳しくわかっていないと答えられないような問題になっている。
基本事項を知っているのは当然として、その背景やその後の影響など、関連事項まですぐ引き出せるようにしておかなければならない。時代順の並べ替え問題も毎年のように出題されているし、選択問題でも時代順がわからないと答えられないものが見られるので、年表を活用して各年代・各事項のつながりをしっかりとらえておきたい。
政治分野
毎回、様々なテーマに沿って、憲法や政治のしくみ、社会的な問題などについて出題される。
基本的事項を問う設問もあるが、記述問題のなかには教科書では詳しく触れられない話題について考えさせられるようなものもある。
日本国憲法・三権のしくみや選挙制度などの基本的事項をおさえ、ニュースや新聞で多くの社会的な出来事を知り、自分なりの意見を持てるようによく考える習慣をつけることが大事である。
記述
以上に見てきたように、本校の試験は、用語記入と記述問題を合わせるとかなりな分量の答えを記述しなければならない、書き応えのある試験となっている。
特に記述問題は、問題本文と資料の情報を使ってあとは自分で考える・・・という思考力が必要なものも出されていてなかなか手強い。通常の受験勉強はもちろん、普段からどれだけ社会の出来事に興味を持ち、積極的にニュースに触れて調べたり考えたりしてきたか・・・本校の記述問題を見ていると、そのようなことを学校側は訊きたいのだろうと思えてくる。
しかし、記述以外の問題は、細かい部分まで正確に覚える必要はあるものの、基本事項・重要事項をマスターしていれば答えられるものがほとんどである。
まずはテキスト・地図・白地図や資料集で基本的事項を漏れの無いよう丁寧に学習する。
その上で、環境・人口・地域紛争など、現代社会を取り巻く様々な問題に興味を持ち、教科書を超えて学ぼうとする意欲が必要となろう。
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2017年度「鷗友学園女子中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
問題数と構成は例年通りで大きな変化は無い。
31問中、地理・政治経済分野が各9問、歴史分野が13問と歴史の比重が少し大きくなっている。
長短合わせて9問の記述問題が含まれ、そのうち6問は考えを述べたり、資料から推察したりする問題でやや難しい。
その他は知識を問う問題が多いので、50分という時間を考えると、記述問題に当てる時間は確保できるだろう。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:13分
- ★必答問題
東海道新幹線の通過地域からの問題。
問二 ア.美濃焼などから岐阜県。イ.琵琶湖で滋賀県。ウ.渥美半島で愛知県。並べると愛知→岐阜→滋賀となる。
問三 (1)Cは冬の降水量が多いことから日本海側で福井市、Bは年間降水量が少なめなので中央高地の松本市、Aが静岡市となる。
(2)Xは富士山を通る線なのでR、Yは高い山地と盆地が主な地形のようなのでQを結んだ線と考えられる。
問五 赤潮の原因は煙ではなく、生活排水などに含まれる栄養分が過多になることである。
問六 (1)西浜貨物駅近くに標高を示す点が二箇所あるので選択肢エも正解とも考えられるが、明らかに正しい選択肢ウがあるので実際の試験ではウを選んでおけばよいだろう。
(2)ダムを造る目的としては他に工業・農業用水を確保する、水力発電に利用するなどが考えられる。
(3)資料5で第二次産業の割合が高いのは、輸送用機械や楽器などの工場が多いからである。このような工場にブラジルから多くの日系人が出稼ぎに来ており地域で暮らしやすいように、住民の協力のもとで様々な取り組みが行われているのである。
【大問2】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:21分
- ★必答問題
出版・印刷の歴史を通して、いろいろなことが訊かれている。
問一 ①漢書地理誌・後漢書東夷伝・魏志倭人伝の3つは試験でもよく出題されるので、日本についてどのような記載があるかを確認しておこう。
問二 孝謙天皇の時代であるから法隆寺が当てはまる。石山本願寺は室町時代、延暦寺と中尊寺はともに平安時代に建てられた。
問三 巻物は右から左に書かれるので、Xの説明は逆である。
問四 (1)1221年・承久の乱で上皇方が敗れるとその領地は没収となり再配分され、その際に土地の権利をめぐる争いが増えた。
(2)鎌倉時代は補佐役である執権を務めた北条氏が実質的な権力者であり、執権とその次に高い位の署名があることで和解案の遵守を促したものと思われる。
問五 (2)英語はアルファベット26文字ですべての文章を表記できるが、日本語はひらがな・カタカナ、特に膨大な数の漢字があり、活字を制作するのが困難だったのである。
問六 横浜は開港地で貿易が盛んであり、東京から近い経済・政治の要地でもあったため、
国内・海外・政治・経済など多くの分野で最新の情報を得ることが需要だった。
問七 隠したい部分を墨で塗りつぶした「墨塗り教科書」が使われた。
問九 沖縄返還は1972年。日中平和友好条約が1978年なのでこれがあてはまる。
【大問3】政治経済分野
- 難度:難
- 時間配分:16分
衆議院選挙を題材にした問題。
問一 ①2016年の選挙は通常選挙だったので、解散総選挙後に開かれる特別国会や参議院だけで行う緊急集会ではない。
問二 イは総理府ではなく内閣府。ウは防衛省ができた年度(2007年)やスポーツ庁は省になっていない点などが正しくない。エは財務省ではなく人事院。
問四 【資料14】を見ると特に地方において2人区が多くなっていることがわかる。参議院の選挙は3年毎に半数の改選なので実際は1人区となり、衆議院の小選挙区に近くなってしまうわけである。
問五 野党各党がそれぞれに候補を立てると票が分散し与党の候補に有利になってしまう。
問七 イは衆議院の優越で予算の先議権というものがある。エの会計検査院は国の収入・支出について監査する機関である。
問八 大規模な国家間戦争である太平洋戦争・第二次世界大戦を経て、その後は東西冷戦を背景にした内戦や地域紛争が増えた。さらに近年では分離・独立にからむ紛争や大規模テロ組織との戦闘などが増え、国家間の戦争は少なくなっている。
攻略のポイント
記号選択や用語記入などは、基礎的な知識が問われる問題なのでここで大きくつまずくようだと心もとない。出来事の順番を訊くような問題もあるので、年代などは正確に記憶しておくこと。
記述問題については、出来事や用語の説明をさせるようなシンプルなものはしっかり書いておきたい。
後半に出される自分で考えるような記述問題は、やはり社会的な出来事への関心と考察の量がものを言うので、普段から新聞やニュースを見て、少し「大人な」視点で物事を考えるようにして、思考力を養うように意識したい。
そして、自分の考えを100字程度で抜けやミスが無いようにまとめられるよう、練習しておくとよい。
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