鷗友学園女子中学校 入試対策
2019年度「鷗友学園女子中学校の社会」
攻略のための学習方法
出題構成
例年、大問3つに、地理・歴史・政治がそれぞれ割り当てられるという形式で出題されている。
満点が100点となっているのは女子校としては珍しく、理科・社会にも算数・国語と同等の重きをおくという、本校の校風が現れている。
テスト時間は50分で総解答数は30問ほどだが、そのうち8~9問が字数制限のない記述問題であり、本校独特の問題構成となっている。
記号選択問題も多少は出されるが、その他多くは用語記入問題で、記述問題と相まって書き込む分量が大変多い。
女子校の社会の試験としては、かなりハードなものとなっている。
地理分野
あるテーマに沿って、関連する地形や産業・貿易など、広い範囲から出題される。地図やグラフ・統計も多く用いられ、特に地形図の読み取りの問題は非常によく出されている。
記号選択や用語記入は基本的事項を問うものが多く、ここは落とさずに得点源としたい。
グラフや統計を読み取る問題は、これまで一度も見たことが無いというような珍しいデータを示されるわけではないが、やはり資料集などをよく見ておき、データの意味を考えるような訓練をしておかないと、テストでいきなり答えるのは無理というものである。
基本的事項をしっかり覚えた上で、地図や白地図、資料集などで各事項の場所や具体的な数値・順位などまで含めて覚えてしまいたい。
歴史分野
歴史上の女性にスポットを当てたり法律を題材にしたりと、ある話題について関係のある歴史的事柄が訊かれている。内容は各時代・各項目から幅広く訊かれている。
この分野では少し深い知識を問われる問題が多い。例えば、2013年度・1次の記述問題などは、当時の法律について法律名をただ知っていればよい、という問題ではない。法律名を漢字で答え、その規定する内容と施行した結果どうなったかまで、詳しくわかっていないと答えられないような問題になっている。
基本事項を知っているのは当然として、その背景やその後の影響など、関連事項まですぐ引き出せるようにしておかなければならない。時代順の並べ替え問題も毎年のように出題されているし、選択問題でも時代順がわからないと答えられないものが見られるので、年表を活用して各年代・各事項のつながりをしっかりとらえておきたい。
政治分野
毎回、様々なテーマに沿って、憲法や政治のしくみ、社会的な問題などについて出題される。
基本的事項を問う設問もあるが、記述問題のなかには教科書では詳しく触れられない話題について考えさせられるようなものもある。
日本国憲法・三権のしくみや選挙制度などの基本的事項をおさえ、ニュースや新聞で多くの社会的な出来事を知り、自分なりの意見を持てるようによく考える習慣をつけることが大事である。
記述
以上に見てきたように、本校の試験は、用語記入と記述問題を合わせるとかなりな分量の答えを記述しなければならない、書き応えのある試験となっている。
特に記述問題は、問題本文と資料の情報を使ってあとは自分で考える・・・という思考力が必要なものも出されていてなかなか手強い。通常の受験勉強はもちろん、普段からどれだけ社会の出来事に興味を持ち、積極的にニュースに触れて調べたり考えたりしてきたか・・・本校の記述問題を見ていると、そのようなことを学校側は訊きたいのだろうと思えてくる。
しかし、記述以外の問題は、細かい部分まで正確に覚える必要はあるものの、基本事項・重要事項をマスターしていれば答えられるものがほとんどである。
まずはテキスト・地図・白地図や資料集で基本的事項を漏れの無いよう丁寧に学習する。
その上で、環境・人口・地域紛争など、現代社会を取り巻く様々な問題に興味を持ち、教科書を超えて学ぼうとする意欲が必要となろう。
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2019年度「鷗友学園女子中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
問題数と構成は例年通りで大きな変化は無い。
32問中、地理分野が10問・歴史分野が13問・政治経済分野9と歴史の比重が少し大きくなっている。
長短合わせて9問の記述問題が含まれ、そのうち5問は考えを述べたり、資料から推察したりする問題でやや難しい。
その他は知識を問う問題が多いので、50分という時間を考えると、記述問題に当てる時間は確保できるだろう。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:15分
- ★必答問題
さまざまな地図を題材に、地形や産業などについて訊かれている。
問1 赤道を0度として、極地点をそれぞれ北緯90度・南緯90度とする。
問2 ア. 九州には梅雨前線(停滞前線)がかかっているが、北海道にはかかっていない。
イ. 梅雨前線が近くにあるので、乾燥しているとは考えられない。
ウ. 日本海には低気圧がある。
問3 図で示された場所は木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)が流れる標高の低い地域であり、もともと川による洪水が起こりやすくなっている。
問4 石灰石を多く産出する山口県・埼玉県に多いことから、石灰を原料とするセメント工業が盛んな地域であることがわかる。
問5 機械工業は自動車産業が発達している愛知県が1位のA、窯業は陶磁器の産地である瀬戸・多治見・伊万里などのある愛知・岐阜・福岡が上位に来るC、残る化学工業がBと考えられる。
問6 経線は子午線とも言い、その基準となる0度を本初子午線という。
問7 高緯度の地域では夏の昼間の時間が長く、明るい時間を利用して光熱費を節約したり、終業後の余暇を長くしたりといった効果を狙っている。
問8 (2) 敵から責められた時の防御の意味で、道を直角に曲げたり丁字路にしたりして侵攻を妨げる工夫がされている。
【大問2】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:20分
- ★必答問題
人形の歴史を話題に、各時代の人物や出来事について訊かれている。
問1 人形浄瑠璃・歌舞伎の脚本作家・近松門左衛門。
問2 土偶は人・特に女性をかたどったものが多く作られた。
問3 大和政権による中央集権が進み、古墳も中央からの設計図に基づいて作られるようになった。
問4 ウ. 埴輪は遺体とともに埋められる副葬品としては使われなかった。
問5 イ. 平城京に遷都されたのは710年。和同開珎は708年につくられたので、当てはまらない。
問6 資料は三世一身の法。私有は三代でその後は国に返すので、公地公民が完全に崩れたわけではない。
問7 藤原氏は、天皇を補佐する摂政・関白の地位に就き実権を握った(イ・摂関政治)。また、天皇を退いて上皇になってからも政治を行う(エ・院政)者もあった。
問8 御恩(領地)と奉公で結ばれた主従関係である。
問9 観阿弥・世阿弥の父子。
問10 ザビエルが上陸したのは鹿児島の③、①は平戸で江戸時代には②の出島が貿易の拠点となった。
問12 (1) こどもたちの友愛を図ろうとしたもので、大人になったときの両国の関係やイメージを良くしたいという意図があったと考えられる。
(2) 1943年当時はガダルカナル撤退や山本五十六連合艦隊司令長官の戦死など、太平洋戦争での日本の戦局が苦しくなっていった時期である。アメリカから送られた人形まで敵視することで、戦意高揚や敵対心をあおる目的があったと思われる。
【大問3】政治経済分野
- 難度:やや難
- 時間配分:15分
候補者男女均等法を題材に、憲法や女性の政治参加について訊かれている。
問1 民主的な選挙の条件として、普通選挙・平等選挙・直接選挙・秘密選挙がある。普通選挙とは年齢以外の条件を設けず、だれでも選挙権が与えられることである。
問2 「法の下の平等」の規定である。
問3 ア. 会計検査院は国のすべての会計や国が出資している政府関係機関・独立行政法人、国が補助金や財政援助をしている都道府県・市町村・各種団体など、さまざまな対象を検査する機関であるため、公正を期して立法・司法・行政の三権から独立している。
問6 Y. 理念法であるから、謝罪・賠償を義務づけることは出来ない。
問7 資料18から、ニュージーランドは世界の中でも早くから女性の政治参加に積極的であったことがわかる。政治は国民すべてが関わるべきもので、そこに男女の区別はないという考えがひろく共有されてきたのだと思われる。
問8 この20年で女性候補者・女性議員は増えてはいるのだが、それでも候補者は20%に届かず、議員ではやっと10%であり、日本ではまだ女性の政治参加が進んでいない現状が見て取れる。理念法ではあるが、法律が施行されたことにより国民の意識が女性の政治参加に向けられて女性候補者・女性議員が増えれば、子育てのしやすい環境の整備や、仕事との両立を助ける予算案など、女性目線での法案や予算がもっと増えてくるであろう。見方を変えれば、法の力を借りなければ意識が変わらないという日本の現状を示しているともいえる。
攻略のポイント
記号選択や用語記入などは、基礎的な知識が問われる問題なのでここで大きくつまずくようだと心もとない。出来事の順番を訊くような問題もあるので、年代などは正確に記憶しておくこと。
記述問題については、出来事や用語の説明をさせるようなシンプルなものはしっかり書いておきたい。
後半に出される自分で考えるような記述問50題は、やはり社会的な出来事への関心と考察の量がものを言うので、普段から新聞やニュースを見て、少し「大人な」視点で物事を考えるようにして、思考力を養うように意識したい。
そして、自分の考えを100字程度で抜けやミスが無いようにまとめられるよう、練習しておくとよい。
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