大宮開成中学校 入試対策
2021年度「大宮開成中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問3つに、漢字や文法・論説文の読解・小説の読解が割り当てられる形が続いている。
素材文は計7000~9000字ほど。総解答数は40~50問程度。
設問は字数指定の穴埋め書き抜きと選択肢が多い。記述問題は例年では字数制限が無かったが、2019年度から字数指定ありとなった。「本文中のことばを用いて」「指定された言葉を必ず使って」「説明しなさい」という形で1~2問出題される。2~3行ほど、50~80字程度が想定されている。また、2019年度からグラフから読み取れることを説明する論述タイプの記述問題も出題されており、今後の傾向に注意が必要である。
漢字・文法など
漢字は書き取りと同音異字で10問、文法は5問で助詞・助動詞や係り受けなどが出されている。この部分で20点の配点があるので、疎かにはできない。漢字は初級~中級、文法は品詞を中心に言葉のきまりをひと通り頭に入れておく必要がある。また、慣用句も読解問題と合わせて訊かれている。手を抜かなければ得点できる部分なので、ここで点を稼ぎたい。
論説文の読解
ここ数年は社会科学分野からの出題が多い。科学的な話題なので理科を好きな人には読みやすいだろう。論説文の読解の技を磨いておこう。
まずは段落の整理。形式段落と意味段落をまとめて、各段落のつながりを見ておく。意味段落の内容を小見出しのように書いておくとわかりやすい。
字数指定の書き抜きが多い点からも、要点と細部の区別は重要である。求められる答えが要点の部分にあるのか細部の部分にあるのか、探す際の手掛かりになる。選択肢問題は本文との一致・不一致を見分けるものが多いので、要旨・要約で筆者の意見を正確に理解しておくことが役に立つ。
論説文の読解は答えを文中から探す問題が多いので、傍線などで重要点を目立つようにしておくと解答がスムーズである。
小説の読解
登場人物を中学生・高校生に設定した話が多く、舞台も馴染みのある場面が多いので理解しやすい。文量は6000字程度になる場合があるので読むスピードはつけておこう。
文学的文章の読解の基本を身につけよう。
登場人物の名前・人数・性格・他との関係などをチェックする。人数を訊かれるような問題もあるので、重複しないように初登場時にしるしをつけてしまうと良い。
次に場面分け。時間・場所・人物の入出などで場面の切り変わりを見る。誰の何を描こうとした場面なのかを考えておく。そして最重要の心情の把握。人物の言動・表情や情景などにも注意して気持ちを想像する。同じ気持ちでも性格が違えば行動は真逆であったりする。最後に全体を見渡して物語のテーマを読み取る。主人公の悩み・葛藤や心の成長が描かれる話が多いだろう。
人間の心理に詳しいほうが有利であるのは確かなので、様々な小説を読み、文学だけでなく映画などでも多くの人物の生き方・考え方に触れることで精神的に大人になっておくことが、国語の試験に大きく資するところがある点は指摘しておきたい。
書き抜き問題・記述問題
穴埋め書き抜きは字数が指定されるものが多い。ピンポイントで答えを探さなくてはいけないので、時間がかかる場合がある。問題の多くは、ある意味段落やある場面の内容からまとめたものなので、おなじ意味段落・場面から探せばよいということになる。探すのに手間取らないように過去問でよく慣れておこう。
2019年度から記述問題にも字数制限がつくようになった。また、例年と同じタイプの記述問題に加えて、論述タイプの記述問題も出題されている。今後は論述タイプも出題される可能性があるので、自分なりの考えを自分の言葉でまとめるといった練習をしておこう。文字数は40~50字程度で、従来と変わりはない。
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2021年度「大宮開成中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
素材文は計8300字ほどで総解答数は36問。書き抜き問題は字数が指定されるので、適切な語句を見つけるのに時間がかかる恐れがある。要点などを見つけやすくする工夫をして時間をロスしないようにしたい。選択肢問題を素早く解き、書き抜き・記述問題にあてる時間を確保しよう。
【大問一】漢字・熟語・文法
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問一 ①休息 ②陛下 ③至難 ④時候 ⑤閉口 ⑥養蚕 ⑦委(ねられ) ⑧報(われ)
問二 ①自画自賛 ②起死回生
問三 ①小走りで――駆け寄った
②たいてい――思う
問四 (表記の注意事項に従って)一九九五~二〇〇五年の十年間で三百万人減っている・二〇〇五~二〇一五年で百万人減っている・二十年間で四百万人減っている・一九九五~二〇〇五年と二〇〇五~二〇一五年では減少のスピードが落ちている……など、書けることはいくつかある。
【大問二】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:20分
科学者と「素人」の乖離を修復し、科学を身近に感じてもらうにはどうしたらよいかを考察している。
問一 (ⅰ) ア. 「それ(誇りに思っている)」が「亀裂の原因」になっているわけではない。
イ. 「どちらかしか学べない」という事実はない。
エ. 「修復不可能な溝」とは言っていない。
(ⅱ) 「教育体系に理系文化がきちんと位置付けられていない」ことが「文系と理系の乖離」を生み理科離れが進むという状況は、現在なお深刻になっている。→選択肢イ。
問二 Ⅰ. 直前に書かれた「素人」の現状に、足りなかった内容「科学者も同じである」を付け足して述べているので「もっとも」。
Ⅱ. 「人々の夢とロマンを刺激した」だからといって「本当に科学への興味が高まったのかどうかわからない」。Aは正しいが、「だからといって」それがBということにはならない、という使い方である。
Ⅲ. 「報道の仕事は科学の成果の宣伝にあると思い込んでいる」しかし「市民は物語を求めている」。
問三 直前で書かれた科学者のある態度を「科学主義の野蛮性」と呼んでいる。その態度とは、「専門の事柄は深く知っているくせに一歩専門を外れると赤ん坊同然である。そのことに気づかず、いかにも何でも知っているかのように振る舞う」ことである。
問四 ア. 両方の性質を持った新しい学問体系、などという話は出ていない。
イ. すでにこのような「手助け」は行われている。
ウ. 市民の興味が理系分野に向くことを目指しているわけではない。
問五 ③は②の変形でそもそも出発しない、とあるので選択肢イが合う。
問六 イ. 「光速近くの速度で飛行するロケット」で意味が合うが、字数が合わないので少し後の「原理的に考え得る可能な技術」を見つける。
ウとエ. 第10段落の内容がまとめられている。一般人が「たやすく実現できそう」に思っていることでも、「科学者の常識」ではそう簡単なことではないのである。
問七 筆者の意見は多くは文末にまとめられているものだが、第7段落~第10段落は「科学者と一般人との乖離」のそれまでとは違う切り口の例を挙げている部分で、ここには見当たらない。筆者の意見は第6段落にある。「乖離を修復する一つの方法は科学の『物語』を回復すること」で、それが「科学との距離を小さくし、科学をより身近にすることにつながる」と述べている。
問八 ア. 「増える・減る」の話をしているのではない。
エ. 「宇宙人との遭遇は現実的に不可能なのかという問題提起」はされていない。
オ. ( )内は主に筆者の推測や感想である。
カ. 「~だろう」はいくつか使われているが、「これから起こると予測していることを読者に提示している」わけではない。
【大問三】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:20分
- ★必答問題
主人公はなぜか気になって絵に描いてしまう村田にそのことを正直に話したところ、自分の絵に対する気持ちを指摘され、それまで避けてきた事実に向き合わされる。
問二 「レギュラー」として活躍する二年生の仲間たちの中で、レギュラーになれず「カヤの外」だった主人公。進藤からこいつもかわいそうだなどと「同情」されて気持ちが固くなったが、カフェの店員・似鳥は「涼しい表情」で聞き流し、自分を見る目が「親密」な感じがして、気持ちが楽になった。
問三 ア. 「まっすぐ」は文中の「ピンと」に対応している。
イ. 「もの」は文中では「何か」と表現されている。
エ. 村田に対しての現在の主人公の意欲は「描きたい」である。
問四 B. 「少し照れ臭そうに」答えた様子に合うのは、エだけである。
問五 ア.の「自分以外の絵」、ウの「一日に描く絵の量」、エの「絵とサッカーの両立」などは、村田の話と合わない。
問六 ア・エ. 主人公自身が「俺程度にタラタラ生きている奴はいっぱいいるはず」と思っているので、合わない。
ウ. 本間さんが憧れの存在であるという事実は描かれていない。
問七 続く主人公の二つの発言で述べられている。
問八 少し意外そうに言った村田の「好きなんだ? サッカー」がほぼ答えにもなっている。主人公が本当に好きなのはサッカーではなく絵の方だと村田にはわかっていることも会話から読み取れる。
問九 主人公は本当は絵が好きなのだが本気で取り組んでいないことに目を背けてきた、という現実を突きつけられての傍線⑦なので、イやウは合わない。エは、「ずっと村田に伝えたかった」のかが本文からはわからない。
攻略のポイント
漢字・文法・慣用句などの言語事項もしっかり出される。地味と言えば地味な分野だが、国語力の基礎になる部分でもあるので、地道に覚えていこう。字数指定の穴埋め書き抜き問題は本校の特色ともいえるので、できるだけ多くの過去問をこなして十分に慣れておきたい。最新年度では記述問題にも字数制限がついている。論述タイプの記述問題も出された。今後の傾向に注意が必要である。
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