桜蔭中学校 入試対策
2017年度「桜蔭中学校の理科」
攻略のための学習方法
桜蔭中の満点は60点、際立った難問はないものの、標準レベル以上の問題が並んでいる。
問題の形式としては、リード文・実験や観察の結果をもとに答える問題が中心であり、計算問題も含まれる。基本知識を固めることは当然のこととして、問題演習をしっかり積んでおくことが必要である。
一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の問題演習や、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。
また、年度によっては、時事問題・実験器具の使い方について出題されている。日頃からニュース等に幅広く関心を持って頂きたい。
生物分野
本年度は鳥の渡りに関する出題であった。ここ数年を見ると、植物のつくりと働き、昆虫、動物の体温などをテーマにした問題が出題されている。
この分野の学習法としては、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物のからだのつくりや分類など基本知識を確実に覚えることが第一である。光合成を調べるための実験方法、顕微鏡の使い方などについても覚えておきたい。
地学分野
本年度は太陽の動きに関する出題であった。ここ数年では、気象・天体・地層などについての出題が見られ、特に気象と天体の出題頻度が高い。
この分野の学習方法としてまずは、風・雲・四季の天気の特徴、星の名前と動き、月の動き、岩石の分類、地層のでき方などテキストに書かれている基本事項は確実に理解し覚えて頂きたい。
さらに、エルニーニョ・ラニーニャ・フェーン現象などニュースや天気予報でよく使われる用語については、その内容を理解しておきたい。地震・火山などについても、テキストの内容だけでなく、近年の地震・噴火についても学習しておきたい。
物理分野
本年は振り子の運動および発電とLEDについての出題であった。ここ数年では、てこのつりあい、ばね、手回し発電機などの出題があった。てこ等の力のつり合いに関する出題頻度が最も高い。
この分野の学習方法としては、ばね・てこ・滑車・振り子・浮力などの基本知識を身につけた上で、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。電気については、豆電球の明るさ、方位磁針の振れなど基本的なものだけでなく、LED回路での電気の流れ方、手回し発電機の使い方についても学習して欲しい
化学分野
今年度はものの溶け方に関する出題であった。ここ数年では、中和・燃焼・熱の伝わりかなどに関する出題があり、水溶液についての出題頻度が最も高い。
この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を固め、中和・溶解度などの計算問題演習をしっかり行って欲しい。実験器具の使い方、実験の進め方も確認して頂きたい。
過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。
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2017年度「桜蔭中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は5題、小問数は30題程度で60点満点。試験時間は30分で例年通りであった。
適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心で、記述問題はなかった。際立った難問はないが、計算問題も多く、思考力を必要とする問題も含まれているので、時間内で処理するためには、過去問等を使っての問題演習をしっかり積んでおくことが不可欠である。
【大問Ⅰ】物理 振り子の運動
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
問1 調べたい条件以外の条件は同じもので比較する。実験結果より、振り子の周期に影響するのは振り子の長さだけであることがわかる。
問2 最下点を通過するときの振り子の速さを速くするためには、長い振り子を使い、引き上げた角度を大きくすればよい。
問3 手をはなした高さと同じ高さまで振り子が上がるので、角度Sは大きくなり、道のりは短くなる。
問4 長さ120cmの振り子が10往復する時間は22.0秒、長さ30cmの振り子が10往復する時間は11.0秒なので、(22.0+11.0)×0.5=16.5秒
問題集等で見かける標準的な問題が中心なので、確実に正答しておきたい。
<時間配分目安:6分>
【大問Ⅱ】生物 鳥の渡り
- 難度:やや難
- 時間配分:6分
問1 ハクチョウが冬鳥。なお、ツバメは夏鳥、ヒヨドリとハトは留鳥である。
問2 実験の結果より、若鳥は必ず南西方向に飛び、経験を積んだ成鳥は、方向に関係なく目的地に向かって飛んでいる。
問3 実験の結果より、ホシムクドリは太陽光の方向を優先して一定の方向を向いていると考えられる。
問4 図より、太陽の光が鏡に当たり、反射した光が容器の内部に入るのは⑤の窓のみである。
問5 鏡で反射した光が南西方向から入ってくるので、その光と90度の角度の方向である北西を向くと考えられる。
問1は絶対に落とせない知識問題。問2~問5は図・実験結果から落ち着いて考察して欲しい。
<時間配分目安:6分>
【大問Ⅲ】地学 太陽の動き
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
問1 影の長さが一番短くなるのは太陽が南中した時で、影の伸びる方向は北になる。
問2 太陽が南中する時間は、明石市で12時、関東地方では12時より前になる。
問3 この地点における春分の日の太陽の南中高度は、90-35=55度 従って、影の長さは5cmと10cmの間になる。
問4 西の方向に影が伸びているので、午前8時と考えられる。
問5 真西より南よりに影が伸びているので、太陽が真東より北寄りの地点から上ったと考えられる。従ってS2の影は夏至の日になる。
問6 A→Dが夏至、B→Eが春分・秋分、C→Fが冬至の日の太陽の通り道になる。棒の向きは北の空の北極星の方向(高度35度)、aの角度は90-35で55度になる。また太陽の通り道と盤面が平行になったので、目盛り間の長さは等間隔、影の長さはいつも同じになる。
問6は難問だが、それ以外は太陽の動きに関する基本的な問題が並んでいる。
<時間配分目安:6分>
【大問Ⅳ】物理 発電とLED
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
問1 石油や石炭など長い年月をかけてできた燃料を化石燃料という。
問2 火力発電では、熱で水を水蒸気にし、その水蒸気でタービンを回転させて電気を発生させている。
問3 火力発電の問題点としては、石油などの燃料を海外からの輸入に頼らざるを得ない点や、温室効果ガスである二酸化炭素を発生させることなどがあげられる。
問4 太陽光で海などの水が蒸発→上空で雲ができて雨が降る→ダムに水がたまる→高い位置にあった水が落下し、速さを増してタービンを回転させる。
問5 LED(発光ダイオード)は、白熱電球に比べて電気を効率よく光に変えることができる。
際立った難問ではないが、発電やLEDに関するある程度の知識は必要とされる出題になっている。
<時間配分目安:5分>
【大問Ⅴ】化学 ものの溶け方
- 難度:やや難
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1 表を見てそのままグラフに×印をつければよい。
問2 BのグラフとDのグラフの交点を見ると、23℃と読み取れる。
問3 60℃の水200gにBは37.1×2=74.2g溶ける。また、60℃の水180gには37.1×1.8=66.78g溶けるこの差にあたる7.42gが結晶として出てくる。
問4 表の40℃の値をそれぞれ1.2倍して確認すると、BとCは溶け残ることがわかる。
問5 (a)80℃での溶解度が最も小さいCの溶け残りが最も多い。24×1.5=36gが溶けるので、溶け残りは64gになる。
(b)B~Dで20℃と80℃の溶解度の差が大きいDの溶け残りが最も多くなる。20℃では32×1.5=48g溶けるので、100-48=52gが溶け残りになる。
(c)Aの溶解度はどの温度でも100g以上なので、溶け残りは生じない。
与えられた溶解度を用いた計算問題が中心。「水の量と溶ける限度量は比例する」という点に注意を払ってしっかり計算して欲しい。日頃の練習量の成果を発揮できる出題。
<時間配分目安:7分>
攻略のポイント
際立った難問はないが、知識の丸覚えだけではできない問題が多い。どの分野においても基本的な知識は不可欠。さらに、実験や観察の結果をもとに考える力も要求される。
桜蔭中理科の攻略ポイントとしては、化学分野・物理分野の計算問題をしっかり練習することがあげられる。力学や水溶液の計算問題はかなりの頻度で出題される。天体・気象・植物・動物に関する出題頻度も高いので、基本的な知識は確実に押さえておいて欲しい。
そして、もう一つ大切なことは、日頃から科学に関するニュースや情報に興味を持つということである。
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