麗澤中学校 入試対策
2023年度「麗澤中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問は3つ。それぞれに漢字・説明的文章の読解・文学的文章の読解が割り当てられる形がここのところ続いている。文量は計8000~9000字程度、総解答数は40~45問ほど。
設問は記号選択・書き抜きを中心に、記述問題も2~3問出題されている。選択肢は5択なので絞り込みを的確にする必要がある。記述問題は文中の言葉を使ってまとめるもの・自分の意見を答えるものの2つのパターンが見られる。
説明的文章の読解
人文科学・社会科学分野からの文章が多い。素材文を解説した文章に穴埋め書き抜きで答える問題がよく出されている。コマ漫画を用いた問題も見られた(2017年度)。また、この分野では「段落分け」が好んで出題されている。説明的文章の読解の技術を磨いておこう。
段落の整理―形式段落を意味段落にまとめる。本校の試験でよく訊かれる問題なので得意になっておこう。意味段落には、内容を簡単に表わした「小見出し」をつけておくとわかりやすい。各段落のつながりを考える際に役立つ。
要点と細部―段落の最も重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておこう。それ以外の細部には要点の説明・補足などが含まれている。例えや言い換えなどはこの部分にあることが多い。
要旨と要約―要点をつなぎ合わせれば要約ができ、要約のなかで筆者が一番言いたいことが要旨となる。
また、ここ数年はこの分野で意見や考えを訊くタイプの記述問題が出されている(先生の仕事を機械が肩代わりできる具体例・2018年度など)。論理的な思考ができるように意識して学習しよう。
文学的文章の読解
小説が多く用いられている。大人向けの難しい小説ではなく、理解しやすい平易な文章が使われているので、読みやすいだろう。記述問題も出題されているが自分の考えを述べるようなものではなく、素材文を手掛かりに答えられるタイプの問題である。解説文の穴埋め書き抜き問題もある。文学的文章の読解の基本を押さえておこう。
登場人物―人数・互いの関係やそれぞれの性格などを確認する。性格が違えば、その行動の意味するところも異なってくる。
場面分け―時間・場所・人物の出入などで、場面の切り変わりを判断する。場面の変わり目自体が問題になる場合もある。誰のどんなことを中心に描いた場面なのかを考えておく。
心情把握―人物の言動・表情や情景などから、気持ちを考える。問題にされることが多い部分である。多くの小説を読み、さまざまな人物のいろいろな性格・考えに触れておくことが、何よりの経験になる。
物語の主題―主人公の成長や葛藤・挫折など、ある程度のパターンはある。このパターンを多く見ておくことも大きな武器になるので、ぜひ読書に勤しんでもらいたい。
記述問題
40~50字ほどでまとめる形が多い。「自分の考えを述べなさい」という論説タイプの問題も出されている。指定の字数で意見をまとめられるように、類似問題で感覚をつかんでおこう。
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2023年度「麗澤中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
文量は計8000字ほどと例年どおりであった。総解答数は33問。記号選択と書き抜きが多いが、記述問題も50字で1問出されている。本文の読みが早ければ時間に多少の余裕はあるだろう。
ただ、素材文を何回も読み直す時間は無いので、素早く的確に答えを探せるように力をつけておく。
【大問一】漢字・熟語
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
① けわ(しい) ② 系統 ③ 歌詞 ④ 順延 ⑤ 展覧 ⑥ 看護
⑦ 投票 ⑧ 産卵
⑨ 予告・告白・広告・告示
⑩ 座高・高級・円高・高原
【大問二】論説的随筆文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:23分
- ★必答問題
慈悲という言葉の意味を紐解き、現代においては特に「悲」の心が必要ではないかと説いている。
問一 ① 洗練――よりよいものにすること・優雅高尚なものにすること。
② 仏頂面――不愛想・不機嫌な顔つき。
問二 かつては血縁で人間関係が営まれていたが、都市に多くの人が住むようになると「言語だけでなく人種も職業も出自も違う」人々と接触するようになり、血に代わる新たなつながりとして生まれたのが「慈」であると書かれている。
問三 a には励ましの言葉を掛けるような場面、 b には黙ってただ寄り添うような場面が入ると考えられる。
問四 Ⅰ 何もできない己の無力さに溜息をつく。「しかし」その溜息は大きな力になる可能性がある。
Ⅱ 励ませば立ち上がれるかもしれない。「だから」、慈は大切である。
問五 どんな言葉でも励ますことなどできない状況なのに、判で押したような「がんばってください」を発したアナウンサーの想像力の無さに田辺氏は憤慨している。
問六 ただ寄り添い、気持ちを同じくする共感共苦の心で接してくれる人がそばにいることで、人は慰めを得るのである。
問七 (1) ② 「慈悲」と「智慧」は別の概念である。
⑤ 涙を落したのは甥ではなく、良寛である。
(2) a 「こころをおもいやり今そうなっている背景に思いをはせ」
b 「少しこころに力が戻って」
【大問三】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:23分
戦時の鬱屈した雰囲気の中、車中で歯痛に見舞われた主人公と父親のやり取りを通じて、主人公の心の内が描かれる。
問一 「鎧戸が下ろされていた」「主人公と父親は向かい合わせに座っていた」ことが書かれているので、選択肢ウが合う。
問二 ① 否応なしに――承知・不承知に関係なく。
② しかめっ面――眉間にしわを寄せた不機嫌そうな顔。
問三 戦争という時世において、今後息子と旅行することもできなくなりそうだということを「ひさしにも母親にも言わなかった」。葬儀という理由があったおかげで、そうした事情を家族にさとらせることなく旅に連れてこられたわけである。
問四 a 「困らせて・悩ませて」など。
b 「我慢」
問五 歯痛の解決手段として父が大切にしていた扇子を破らせてしまって、驚きと申し訳ないという気持ちを感じたであろうから、選択肢ウがよい。
問六 ① a 「小学校も最後の夏休み」
b 「ひさしにも母親にも言わなかった」
② まさか扇子を破るとは思っていなかったのでまずは驚き、その後大切な扇子を破らせてしまったことに罪悪感や自分の情けなさを感じている。
③ 父親のその時点での辛い状況として、家族との旅行の機会や工場での仕事などが奪われそうであること、その仕事も父親が望んだものではなく否応なしにさせられていることなどが語られている。主人公はそんな父親の状況を慮って「気の毒にも健気にも」思っているのである。
攻略のポイント
文量と問題数が多いのでスピードが必要である。
選択肢問題は5択なので、最初から正解を予測して読まないと無駄に迷う可能性がある。記述問題も40~80字ほどと、相応の手間がかかる。考えたことを字数でうまくまとめられるように練習しておくこと。
全体としてはオーソドックスな試験でるが、ここ数年論述タイプの記述問題が出題されているので、過去問を繰り返して十分に慣れておこう。クイズ形式の漢字も類題をこなしてこつをつかんでおけばすぐ答えられる。
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