立教池袋中学校 入試対策
2021年度「立教池袋中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問5つで問題数は33問。長文読解・詩(短歌・俳句)・漢字という組合せがここ数年のだいたいの定形となっている。
読解問題
物語文・論説(説明)文・随筆文、あるいはこのうちの2種類で3問ほど出題されるのが通例である。
物語文4000~5000字・その他2000~2500字と、全体の文字数は8000~10000字にもなる。読解のスピードをつける練習が必要である。
形式は選択問題と書き抜き問題が主で、自分で考えて書く問題も数問含まれる。
書き抜き問題は注意が必要である。通常、書き抜きの答えを探す範囲を指定する(~行目より後から・・・など)試験も多いのだが、本校ではそうした指示は無い。漫然と探すと本文全体を読み返すはめになる。特に物語文は文量が多めなので、探すのに手間取ると大きく時間を失う。設問と傍線部を最初に確認しておき、読み進めながら使えそうな箇所をチェックしておくという進め方で過去問に慣れておきたい。
自分の言葉で書く問題は、テーマとも関係する部分が多いので、素材文全体をよく考えて傍線部周辺だけにとらわれないように気をつける。
また、第二回試験では、長文の記述問題が出題される場合がある。第二回での受験を考えている人は、長文記述の練習にも取り組んでおくことが肝要である。
漢字・言語事項
大問1つに漢字が割り当てられるのが通例である。合わせて慣用句などの言語事項が出される年度もある。
それほどの難問は見られない。一般的な漢字練習帳やことわざ・慣用句問題集を丁寧に覚えてあれば足りるだろう。問題数は少ないが、あまり差がつかない分野なので確実に得点したい。
詩・短歌・俳句
韻文については生徒の作による詩や俳句を用いた問題が多く見られる。年齢が近い分、内容が理解しやすいものが多い。普段の学習でも、中高生くらいの作者による詩・短歌などに多く触れておくとよい対策になるだろう。
《まとめ》
男子校の国語の問題としてはやりごたえのある試験である。文字数も多く、言葉で記述する問題も多い。50分で終えるには、速さが必要である。
ただ、合格者平均点はさほど高くなさそうでもある(60~65点?)ので、書き抜き問題で答えを探すのに時間がかかりそうなものは諦めるのも一つの方法である。
・文字数が多いので読むスピードをつける。
・書き抜き問題で時間をロスしないように試験の解き進め方を工夫する。
・詩・短歌・俳句などの問題を多くこなし、韻文に対する感覚を磨く。
例年、試験問題の形がほぼ一定なので、できるだけ多くの過去問をこなして慣れておくことが特に有効な試験である。
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2021年度「立教池袋中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
例年の傾向通り、解答数は33問。大問5つは小説2題・随筆文1題と漢字と熟語という構成になっている。今年度の素材文は合わせて8000字ほどであった。
抜き出し問題と文中の内容を自分でまとめるような問題が多く探すのに手間取ると時間が足りなくなるので、まず傍線と設問を確認して読みながら抜き出せる部分の目星をつけるなど、手際よく解き進む必要がある。
【大問一】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:15分
いなくなっていた飼い猫がひょっこり戻ってきて、主人公はいろいろに考えをめぐらす。
(一) 「トンカツを電子レンジに入れながら」から、時間が経って夕食のおかずが冷えてしまったのだと推測できる。「冷めてしまった」「冷えてかたくなった」などを入れれば良さそうである。
(二) 母からそんな考えだと稚内まで行くことになると指摘されて、「まさしくそうだ」と答えているのだから、「竹が見つかるところまで、どこまでも探しに行く」という気持ちが強くあるという意味であろう。
(三) 竹がいなくなっても「待っていればいい」などと気楽に構えているように見える母だったが、「人をさんざん心配させといて」と実は心配していたことを吐露している。それを聞いて主人公は「おっと、と私は思った」と、母が本当は心配していたのだと気づいている。
(四) 目の前の猫が八兵衛ではなく竹であることを、呼びかけたときの反応で確かめようとしている。
(五) しばらくいなくなって家の人に心配をかけたのだから、反省するような申し訳なさそうな様子を示してもよいところだが、そのような「改まった素振り」は見せていないのである。
(六) 「いつもと同じ顔」の竹だと感じている。
(七) 竹の行動に謎を感じながらも、「竹はどこかへひとりで行ってきた」「探してもわからない場所を歩いてきた」と、人間のあずかり知らない竹なりの世界があるのだろうと想像し、無事に帰ってきたことでよしとしている。
【大問二】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:16分
- ★必答問題
映画館の映写室で専門に働く主人公は、狭い世界だが自分なりの映画への関わり方があると感じて仕事を続ける。
(一) ① そもそもシネコンは単独の映画館ではなく、スーパーマーケットや衣料店などの他の商業施設と同じ敷地にあって、複数のスクリーンでいくつもの映画を上演するという形態である。もし「レストランや書店」で働いていていたら、と主人公が想像しているのも「ショッピングモールの中」にそれらがあるからだろう。
② まず、大学1年生でシネコンで働きだしたころのことを思い出している場面があるが、選択肢にはない。そして「オープン以来、プロジェクション同士で付き合った人はいない」とオープン当初からの内部事情を知っていることが示されているので、選択肢イが正解となる。
(二) 大学に行くまでは「実家の映画館」を手伝っていたことが語られている。
(三) 挙げられているのは、フロア・コンセ・ボックスとストア・オフィスの五つである。
(四) プロジェクション専門で働いていることで「深いところまで来られたのだ」と感じている。ひとつのことを長く続けることでしか得られないものがあるという「深み」を「世界が広がる」と表現したのだと考えられる。
(五) (1) ずっと映写室専門で仕事をしてきた経験を「一つのことをつづける」と表している。
(2) 映画一筋だった祖父の「人生は豊かだった」のだと感じ、「夢と希望を持ち、一番好きなことを続けられた」と評価している。自分も「映写の仕事が好きなのだ」と改めて気づいている。祖父の人生に自分を重ね、狭い世界だがその分深く好きなことに関わり続けていきたいと感じているようである。
(六) 映写室以外の世界をまぶしく感じることもあるだろうが、自分にとっては映写こそが希望をもって続けられる仕事である。空欄に「光」を入れるとどちらの意味にも通じぴったり納まる。
【大問三】随筆文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:15分
- ★必答問題
子供のための図書館で働く筆者の、まだ字が読めない子供たちに絵本を読み聞かせて本の世界へ招き入れてあげて欲しいという、大人たちへの願いが述べられている。
(一) 本の貸し出しもしているので、小規模ではあるが図書館のような施設であろう。
(二) 「背中だけを見せて立っている一冊」であるから、本の背中=背表紙であることがわかる。字が読めればそこには本の題名が書いてあるはずである。
(三) 二人ともまだ「字が読めない」ことが、共通点として読み取れる。
(四) 筆者が絵本を読んであげると伸一君は夢中になって内容を追いかけ、その本を借りていった。読み聞かせをしてあげたことで本の楽しさを知り本へ向かう意欲を持ってもらえた、そのことを「本の中に入った」と表現したのである。
(五) 本を読んでみたいけれど字が読めないため踏み込むことができないでいる子供にかける言葉であるから、「読んであげようか」などが考えられる。
(六) 伸一君の様子で考えればわかりやすい。「何かそこにある。だけど(字が読めないので)それが意味のあるものとして伝わってこない」という状態である。「本を読んでみたい」と本の世界の入り口近くまで来ているという意味であろう。
(七) 書物の国に入るために必要で、無いと密入国者になってしまうのであるから、「パスポート」がよい。
(八) 幼稚園の先生の呼びかけに「おかあさん」が出てきている。子どもに読み聞かせをしてあげられる身近な大人としては「おとうさん」もいるはずであるから、「おとうさん、おかあさん」の二人ということになる。
【大問四】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:2分
- ★必答問題
一. 真骨頂 二. 来訪 三. 推移 四. 快(く) 五. 委(ねる)
【大問五】熟語
- 難度:やや難
- 時間配分:2分
行進(進行)・手相(相手)・客観(観客)・日当(当日)――残った字で「小学生」が作れる。
攻略のポイント
書き抜き問題では探す範囲が指定してある試験が多いものだが、本校はそれが無い問題が多い。うっかりすると全文を何度も読み返すはめになる。
本文を読む前にまず設問にざっと目を通し、書き抜き問題で使えそうな箇所をチェックしながら読み進むのが良いだろう。詩や短歌・俳句が好んで出される傾向にあるので、類似問題を多くこなして、慣れておきたい。
また、第二回の試験では長く記述する問題が出されることが多いので、第二回での受験を考えている人は対策を怠らないようにしたい。
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