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立教池袋中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2024年度「立教池袋中学校の理科」
攻略のための学習方法

立教池袋の理科の出題では、いつもの勉強では、あまり触れることがないユニークな内容が出題されることが多い。本年度では「アーバンベア」「ネッククーラー」、昨年度の「海水の密度」「ボールに働く力」「光の速さの測定」、2022年度の「給湯器のエネルギー効率」「馬の遺伝子」、2021年度の「2021年度の「3億5千万年前の一日の長さ」・「日本刀」・「泡が出る入浴剤」、2020年度の「開花日」に関するいくつかのグラフ・「呼び鈴」、2019年の「もやし」・「暑さ指数」・「実際のエレベータの仕組み」、2018年の「ポップコーン」・「水星の軌道」、2016年の「大地震の周期」・「石油」、2014年の「カレーライス」、2012年の「コケ」、2010年の「ヤマネ」や「LED電球」、2009年の「膨張宇宙」。このうち、「LED電球は塾でも教わったよ」という生徒がいるかもしれないが、それは立教などの学校で出題されたからテキストに取り入れられたのであって、来年にはまた新しい内容が出題されるかもしれない。

もともと小学生の理科の原点は、「身近なものへのなぜ?なに?」であったことを考えると立教池袋の理科の方に正当性があるのだが、中学受験の理科も整理され体系立てまとめられていくと無理・無駄が省かれ、入試に出されやすいものをわかりやすい形で受験生に提供することになる。
それはそれでよいことだし、ほとんどの学校ではその内容の中から出され合格点も取れる仕組みになっている。

立教池袋の場合そのあたり少し異質なところがあるので、過去問を対策する時期になったときには少し注意して問題にあたってみよう。
その点を除くと、大問の文章はていねいでわかりやすく、1つの大問に対して設問も少ないので集中が切れることなく、また苦手な単元が出ても痛手が少ない。どちらかというとやりやすい、解きやすい理科のテストと言えよう。
しかし受験は甘くないのは、だからこそ受験生の多くは取り組みやすく、比較的平均点が高くなっている。簡単でできた、と思うのは誰もが同じこと。問題は、合格点を上回る正答率が出せたかと言うことであり、主観に過ぎない感想ではない。
やりやすい問題であるけれど、70%前後の得点を要求されるとなるとやはり厳しいレベルであることは間違いない。

合格点を取るための秘訣は?

まずは教材などで学ぶ、受験理科の基本的知識は穴のない形で頭に入れてしまおう。男子にありがちだが、計算分野ばかり得意とせず、植物・動物などの暗記物に時間をかけてもらいたい。
聞かれている知識は基本的とはいってもやはり上位校なので細かいことがらまで出来るだけ頭につめ込んで欲しい。柔軟な頭のうちに暗記力を高めておくことは大切で、長い目で見ても役立つ能力となる。
難易度としてはそう高くないレベルの設問が多いものの、典型的質問にとらわれずいろいろな視点で聞かれるので、同校の過去問や併願校のそれを演習しながら、入試問題ならではの出題を楽しむつもりで取り組んでもらいたい。

分野の克服が終ったら次は時間配分に余裕が持てるよう、早く解けるように自らを改革しよう。普段行う教材も、制限時間を定めてそれ以内に解くという練習を積めば、解くのにかかる時間はだんだんと短くなるはずだ。自分のペースでやるのは模試でよい。普段は自覚的にスピードを上げて解き、しかも正解できるように体と頭を改造していくこと。スピードが上がればいわゆるマイペースでも十分に間に合うようになる。

30分という短い間にいろいろな問題に会えるのが立教池袋の理科である。過去問を解いているうちは、その設問のユニークさを感じながら、面白いなと思って問題にあたって欲しい。そのゆとりある気持ちの向こうに合格が待っているはずだ。

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2024年度「立教池袋中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

試験時間は30分で大問は7題,小問数は23で50点満点。大問数は例年6題または7題で、1つの大問に対する設問数は例年3~5問である。大問は、1つのテーマにそってじっくり考えさせる傾向でありそれも変化はない。
出題内容は例年ユニークである。本年度も、アーバンベア、流星、ネッククーラーなどをテーマにした出題が見られた。これらの問題に対しては、問題文の読み取りをしっかり行うことが大きなポイントとなる。
30分という試験時間に対して問題数が多く、問題文の読み取りや計算にかなり時間がかかることから、できる問題から素早く解答欄を埋めていくという姿勢が求められる。

【大問1】アーバンベアについて

  • 難度:
  • 時間配分:4分
  • ★必答問題

(1)クマの生態の変化に影響を与えていることの選択問題。「過疎化」に関連する内容を選択すればよい。

(2)ブナ・コナラ・ミズナラ、いずれも凶作または不作なので、豊凶度は1である。従って、豊凶指数の計算結果も1となる。

(3)グラフの読み取り問題。豊凶指数が低いとクマの出没件数が多くなっている。
 
(4)凶作のため、食べ物を求めて市街地に出没すると考えられる。
   
「アーバンベアについて」というユニークな内容の出題だが、問題文やグラフの読み取りさえできれば解答可能な平易な問題が中心である。

【大問2】物質の状態変化(ネッククーラー)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:5分

(1)冷凍庫の中と同じ温度も冷やされる。

(2)室内が28℃だったので、ネッククーラーも28℃。その後、ネッククーラーの中の固体が液体に変わるまで28℃を保ち、すべて液体に変わると温度が上昇する。

(3)室内が28℃だったので、ネッククーラーも28℃。中に入っているものが水なので、外に出るとすぐに温度が上昇する。

(4)氷の1㎏の1/10、下げる温度は3.7℃の18/3.7倍なので、58.5×1/10÷3.7×18より四捨五入して、28.5g必要となる。

ネッククーラーを題材にした物質の状態変化に関する問題。「物質が状態変化するとき、与えた熱が状態の変化に利用されるため、温度が変化しない」という知識がポイントとなる。

【大問3】流星について

  • 難度:標準
  • 時間配分:3分
  • ★必答問題

(1)打ち上げ花火の光だけは、実際に一点から広がっている。
 
(2)流星が見える時間は、日の出直前と日没直後に限らない。真夜中にも見える。

(3)問題文や図がヒント。地球の進行方向の向きに見えるので、真夜中から空が明るくなる明け方までが多く見える時間帯となる。

流星についての出題。やや迷う選択肢問題もあるが、問題文・図が大きなヒントとなる。

【大問4】太陽高度と地温・気温

  • 難度:標準
  • 時間配分:3分
  • ★必答問題

(1)太陽高度によって棒の影の長さが変化する。

(2)最高になる時刻の順に、太陽高度⇒地温⇒気温となる。また、気温より地温の方が高くなる。

(3)フィルムで覆うことで、水分の蒸発を防ぐことができる。

太陽高度と地温・気温についての出題。基本的な知識問題であり、確実に正答して欲しい内容。

【大問5】空気中の気体と燃焼

  • 難度:
  • 時間配分:3分
  • ★必答問題

(1)気体の中で木炭を燃焼させると気体が発生することから、は酸素、は二酸化炭素。は燃焼に使われずに残った気体なので窒素。

(2)酸素は空気の約20%なので、20分の4となる。

空気中の気体と燃焼に関する出題。会話文を読んだ上で答えるという形式になっているが、問われている内容は気体と燃焼についての基本事項である。

 

【大問6】気体の発生

  • 難度:やや難
  • 時間配分:6分

(1)石灰水を白く濁らせる気体は二酸化炭素。二酸化炭素は炭酸カルシウムと塩酸の反応で発生する。炭酸カルシウムが含まれるものは3個。

(2)実験結果より、Cには酸素を発生させるのに必要な二酸化マンガンと、水素を発生させるのに必要な亜鉛が含まれていることがわかる。

(3)実験結果を考察すると、は炭酸カルシウムと亜鉛。は炭酸カルシウムと二酸化マンガン、は亜鉛と二酸化マンガンとわかる。塩酸をかけた時、からは二酸化炭素と水素が発生し、合計は330㎤。からは二酸化炭素のみが発生し、その体積は130㎤。からは水素のみが発生するので、その体積は330-130より200㎤。

気体の発生に関する出題。水素・酸素・二酸化炭素の発生方法に関する知識は必須。その上で、実験結果に対する考察力が求められる。

【大問7】力のつり合い

  • 難度:やや難
  • 時間配分:6分

(1)50-30=20より、20㎏の力で引いている。

(2)(1)より、定滑車の左右のひもは20㎏ずつの力でつり合っている。従って、はかりにかかる重さは62-20×2より、22㎏。

(3)はかりにかかる重さが0㎏になるためには、62÷2より31㎏の力で引けばよいので、31÷20より、1.55倍となる。

(4)体重より大きな力で引くことはできない。体重が50㎏なので、体重+体重+畳+体重計+おもり が100㎏になるときのおもりの重さは、100-50-12より38㎏。従って、38÷50より76%。

力のつり合いに関する出題。自分が乗ったゴンドラのひもを引くという設定は過去の中学入試の出題や問題集等でも見かけるので、それらの問題での演習の経験の有無で明暗を分けるであろう。

攻略のポイント

テスト時間は30分で50点満点。本校理科の特徴として、ユニークな内容をテーマとした出題が多いことがあげられる。問題文を読んで、書かれてある内容や出題の意図を理解することが大きなポイントとなる。とは言っても、解答に必要なことは学習してきた知識や解法である。基本知識・基本的な解法を学習することの大切さを忘れないでほしい。
試験時間の30分に対して問題量がかなり多い。また、すべての大問において問題文がかなり長いので、問題文の読み取りにかなりの時間を要する。過去問を中心とした問題演習に時間をかけることが対策として必須である。

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