立教池袋中学校 入試対策
2022年度「立教池袋中学校の理科」
攻略のための学習方法
立教池袋の理科の出題では、いつもの勉強では、あまり触れることがないユニークな内容が出題されることが多い。本年度の「給湯器のエネルギー効率」「馬の遺伝子」、2021年度の「2021年度の「3億5千万年前の一日の長さ」・「日本刀」・「泡が出る入浴剤」、2020年度の「開花日」に関するいくつかのグラフ・「呼び鈴」、2019年の「もやし」・「暑さ指数」・「実際のエレベータの仕組み」、2018年の「ポップコーン」・「水星の軌道」、2016年の「大地震の周期」・「石油」、2014年の「カレーライス」、2012年の「コケ」、2010年の「ヤマネ」や「LED電球」、2009年の「膨張宇宙」。このうち、「LED電球は塾でも教わったよ」という生徒がいるかもしれないが、それは立教などの学校で出題されたからテキストに取り入れられたのであって、来年にはまた新しい内容が出題されるかもしれない。
もともと小学生の理科の原点は、「身近なものへのなぜ?なに?」であったことを考えると立教池袋の理科の方に正当性があるのだが、中学受験の理科も整理され体系立てまとめられていくと無理・無駄が省かれ、入試に出されやすいものをわかりやすい形で受験生に提供することになる。
それはそれでよいことだし、ほとんどの学校ではその内容の中から出され合格点も取れる仕組みになっている。
立教池袋の場合そのあたり少し異質なところがあるので、過去問を対策する時期になったときには少し注意して問題にあたってみよう。
その点を除くと、大問の文章はていねいでわかりやすく、1つの大問に対して設問も少ないので集中が切れることなく、また苦手な単元が出ても痛手が少ない。どちらかというとやりやすい、解きやすい理科のテストと言えよう。
しかし受験は甘くないのは、だからこそ受験生の多くは取り組みやすく、比較的平均点が高くなっているというところだ。簡単でできた、と思うのは誰もが同じこと。問題は、合格点を上回る正答率が出せたかと言うことであり、主観に過ぎない感想ではない。
やりやすい問題であるけれど、70%前後の得点を要求されるとなるとやはり厳しいレベルであることは間違いない。
合格点を取るための秘訣は?
まずは教材などで学ぶ、受験理科の基本的知識は穴のない形で頭に入れてしまおう。男子にありがちだが、計算分野ばかり得意とせず、植物・動物などの暗記物に時間をかけてもらいたい。
聞かれている知識は基本的とはいってもやはり上位校なので細かいことがらまで出来るだけ頭につめ込んで欲しい。柔軟な頭のうちに暗記力を高めておくことは大切で、長い目で見ても役立つ能力となる。
難易度としてはそう高くないレベルの設問が多いものの、典型的質問にとらわれずいろいろな視点で聞かれるので、同校の過去問や併願校のそれを演習しながら、入試問題ならではの出題を楽しむつもりで取り組んでもらいたい。
分野の克服が終ったら次は時間配分に余裕が持てるよう、早く解けるように自らを改革しよう。普段行う教材も、制限時間を定めてそれ以内に解くという練習を積めば、解くのにかかる時間はだんだんと短くなるはずだ。自分のペースでやるのは模試でよい。普段は自覚的にスピードを上げて解き、しかも正解できるように体と頭を改造していくこと。スピードが上がればいわゆるマイペースでも十分に間に合うようになる。
30分という短い間にいろいろな問題に会えるのが立教池袋の理科である。過去問を解いているうちは、その設問のユニークさを感じながら、面白いなと思って問題にあたって欲しい。そのゆとりある気持ちの向こうに合格が待っているはずだ。
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2022年度「立教池袋中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は30分で大問は6題,小問数は25で50点満点。大問数は昨年より1題減っているが、小問数は変化なし。1つの大問に対する設問数は例年並みで3~5問である。大問は、総合問題的と言うより1つのテーマに沿ってじっくり考えさせる傾向でありそれも変化はない。
出題内容は例年ユニークである。本年度も給湯器のエネルギー効率、馬の遺伝子などの出題が見られた。
30分という試験時間に対して問題数が多く、問題文の読み取りにもかなり時間がかかることから、できる問題から素早く解答欄を埋めていくという姿勢が求められる。
【大問1】給湯器のエネルギー効率
- 難度:難
- 時間配分:5分
(1)「排気ガスを使って水を暖める」構造を選択すること。
(2)天然ガスには水素と炭素が含まれているので、燃焼させると水と二酸化炭素が発生す
る。(1)で選択した構造では排気ガスが給湯器の中の水が流れる管に触れて水ができるの
で、その水を処理する必要が生じる。
(3)200Lの水20℃上げるのに必要な熱量は、42×2×200より16800kJが必要である。
問題文より1Lの天然ガスを燃やすと45kJの熱エネルギーが発生するが実際に使えるエネルギーとなるのは、80%の効率では36kJ、95%の効率では42.75kJ。1Lの燃料代が0.15円なので、16800÷36×0.15-16800÷42.95×0.15 より、約11円安くなる。
SDGs(接続可能な開発目標)と関連して、給湯器のエネルギー効率についての出題。(1)
(2)の選択問題の判断に迷う可能性大。(3)の計算問題もレベルが高い。最初の大問で
はあるが、後に回すという判断も必要。
【大問2】自転車が動くしくみ
- 難度:標準
- 時間配分:5分
(1)ギア比と自転車が動く距離についての選択問題。
(2)60÷48 より、1.25倍となる。
(3)ギア比の自転車の速さの関係を示すグラフの選択問題。比例の関係にあるので、原点を通る直線となる。
(4)グラフの読み取りと解釈がポイント。グラフより、悪条件の時はギア比を小さくすればよいことがグラフから読み取れる。
自転車が動くしくみに関する出題。リード文に「ギア比」について書かれてあり、この文章の理解が大きなポイントとなる出題である。
【大問3】天体
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
(1)月食は太陽-地球-月と並び、月が地球の影に入った時に起こる。日食は太陽-月-地球と並んだ時に起こる。
(2)月の位置から考えると、満月と下弦の月の間にあたる。
(3)アリスタルコスの見積もりについての設問であることに注意。月:地球=1:3、月:太陽=1:19 より、太陽:地球=19:3 より、約6倍となる。
(4)問題文の、太陽・地球の大きさを中心とした説明から、大きいもの(太陽)を中心 に小さいもの(地球)が回る方が起こりやすいと考えたと思われる。
天体に関する出題。(1)(2)は基本知識の設問であり、確実に正答したい。
(3)以降は計算や考察が必要な設問であるが、問題文をしっかり読み取ることができれば、問題なく正答できるであろう。
【大問4】水素の燃焼
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
(1)地球温暖化の原因となる気体より、二酸化炭素。
(2)水素の体積:酸素の体積=2:1 のとき過不足なく反応することから考えること。
(3)空気10mLに含まれる酸素は約2mL、酸素以外が約8mL。酸素2mLと水素4mLが反応するので、水素が2mLあまる。酸素以外の8mLと合わせて10mLの空気が残る。
水素の燃焼に関する出題で、計算問題が中心。水素と酸素が2:1で反応することを利用して解き進めればよく、計算問題としては基本的な問題。日頃の練習の成果を発揮して欲しい。
【大問5】てこのつり合い
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
(1)図3より、Cの重さは60g。Bの重さ+Dの重さ=140g。図2より、Bの重さ+Cの重さ:Dの重さ=3:1 Bの重さ+Cの重さ+Dの重さ=200gなので、Bの重さ+Cの重さ=150g従って、Bの重さは90g。
(2)Bの重さ+Dの重さ:Aの重さ=7:5 より、逆比を取ると、㋐の長さは5cm。
(3)Dの重さ÷Dの体積=50÷6.3=約7.9 表より、鉄だと考えられる。
てこのつり合いに関する出題。(1)は図2と図3の2つを使って考える考察問題。(2)(3)は易問なので、(1)が正答できるかどうかで明暗が分かれる。
【大問6】馬の遺伝子
- 難度:標準
- 時間配分:5分
(1)問題文より、遺伝子Eを持っている場合は黒い毛の馬が生まれる。従って、顕性遺伝子はEである。
(2)鹿毛になる条件は、遺伝子Eを持つ・遺伝子Aを持つ・遺伝子Gを持たない。これに該当するのは、AAEEおよびAaEe の2つ。
(3)栗毛になる条件は、遺伝子Eを持たない・遺伝子Gを持たない。該当するのは、AAeegg、aaeegg、Aaeeggの3つ。
(4)Eとeの遺伝子については、必ずEeに、Aとaの遺伝子についてはAAまたはAa、Gとgの遺伝子についてはGgまたはggになる。これより、可能性があるのは、芦毛または鹿毛。
馬の遺伝子についての出題。問題文に書かれてあることの読み取りと理解がすべてのポイント。
攻略のポイント
テスト時間は30分で50点満点。
受験者平均点は26.6点で、昨年度に比べると4点ほど上がっている。大問1がいきなり難度の高い出題であった。また、ユニークな出題が見られたのも例年通りであったが、大問2以降は標準レベルの問題が並んでいたことがやや難度を下げた要因と思われる。ユニークな内容の出題が多いことは本校の特徴であるが、基本知識・基本的な計算手法を学習することの大切さを忘れないでほしい。
試験時間の30分に対して問題量がかなり多い。また、すべての大問において問題文がかなり長いので、問題文の読み取りにかなりの時間を要する。過去問を中心とした問題演習に時間をかけることが対策として必須である。
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