立教池袋中学校 入試対策
2024年度「立教池袋中学校の社会」
攻略のための学習方法
分析
例年、大問3つにそれぞれ地理・歴史・政治分野が割り当てられ、3分野がほぼ等分に出題されている。
総解答数25~30で試験時間は30分なので、問題量とのバランスは良いが、2~3行ほどの短文記述が4~5問出されるので、そこで多少、時間を必要とする。それ以外は、記号選択と用語記述の問題ばかりである。
内容は幅広い分野から万遍なく出題され、中学入試の基本的な事項が問われる問題がほとんどである。
また、例えば前年度が水産業と武家政治の問題だったら、今年度は伝統工芸品と平安時代について・・・というように、年度ごとに別の分野から出題されることが多くなっている。
地理分野
地形図の読み取り・気候・地勢・産業など、各単元から広く出題されている。
あるテーマに沿って関連した事項を訊くスタイルが多い。地図や統計グラフを使った問題も毎年、見られる。
この分野で、記述問題が1問出されるのが通例である。東京を中心とした関東地方の災害対策(2024年度)やコンパクトシティの利点と疑問点(2023年度)など、さまざまな内容・形式の記述問題となっている。
全体としては基本事項を問う問題がほとんどなので、テキストと地図・資料集で基礎をしっかりと固めておく。
歴史分野
各時代から、政治・文化・外国との関係など、幅広く出題されている。
明治時代の文明開化を題材とした問題(2024年度)や古代~近世の外交について(2020年)というように、ある時代に範囲を絞った問題が多い。
文章による説明資料がよく使われるが、資料集でよく見るような図版が使われた年度もあるので、要注意。
時代順の並べ替えの問題もあるので、年表による整理が有効である。
歴史分野でも、あまりに細かい難解な知識は問われないので、人物・出来事・年代などの基本的事項を丁寧に学習しておく。
また、この分野で記述問題が出される年度(2017年度・2020年度など)もある。2021年度でも、日本古来の文化と外来文化が重層的に共存している例という内容で出題されている。
政治経済分野
日本国憲法・政治の仕組み・国際関係などの問題が出されている。
同時に、環境その他の社会的な問題・時事問題も合わせて出題される。
そして本校の特徴である、記述問題が2~3問、最後に出されるという形式が近年は続いている。
記述問題の内容としては、
①.グラフや統計から読み取れる事実を指摘する
②.前問①で答えた内容をふまえて、その解決策やそれに対する意見を述べさせる
というパターンが多く見られる。
社会科の学習のしかたとして、時事問題に関心を持ち、その背景や影響・結果を考えてみるということがよく言われるが、まさにそのような練習が生きる問題であろう。
統計のデータに素早く目を通し特徴をつかまえるスピードと、解答を字数にまとめる構成力も必要となる。
幸い、字数はそれほど多くないので、一般的な記述対策問題集で練習するのも有効であろう。
さいごに
選択問題や用語記入の問題は、中学受験の基本的な事項を問われるものが多いので、まずは基礎力の充実に努めるべきである。
さらに副教材で知識を補っていけばよい。難問集などに時間を割く必要はない。
そして、やはり差がつくポイントであろう記述問題は、用語や出来事を説明させる単純なもの、資料の特徴を読み取らせるもの、自分で考えさせる論述問題…といったパターンで出題されるので、それぞれに慣れておかなければならない。
記述対策問題集・資料集で多くの問題やデータに触れる。
ニュースや新聞で社会的な問題についてよく考えてみる。
50~60字程度で考えを文章にしてみる。
そのような練習を繰り返して、本校の記述問題のパターンに対応できるようにしておくことが大切である。
また、全体として言葉で書かせる問題が多く、記入する分量が多くなってしまうので、書くスピードをつけ、誤字・脱字をしないように意識して練習しておくことも忘れないようにしていただきたい。
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2024年度「立教池袋中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問3つがそれぞれ地理・歴史・現代社会に割り当てられ、総解答数は23問と、例年通りの構成である。
今年度は3分野がほぼ均等に出題されているが、政治経済分野の記述問題がやや難しい。その他の問題も言葉で答える問題が多くなっている。
記述問題を含む最後の大問はやや時間がかかるので、その他の問題はテンポよく進めて記述問題に時間を残しておきたい。
【大問Ⅰ】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
東京を中心とした関東地方に関して、主に災害対策について訊かれている。
問1 (1) 防災 (2) 利根 (3) 房総
問2 茨城県・千葉県にまたがる利根川下流域や霞ヶ浦周辺の低湿地を「水郷」という。
問3 (1) 地図の地域は土地が海面より低い、いわゆる海抜0メートル地帯である。そのため河川には堤防が設けられているが、大地震が起きた場合には堤防の決壊・洪水などの水害が発生することが予想される。
(2) 発生直後には(ウ)の事態が、一般的に言われる3日分の備蓄が尽きるころには(イ)のような事態が発生すると考えられる。一ヶ月ほど経てばインフラも復活し帰宅できる人も増えていくと考えられるので(ア)、1週間後であれば(エ)のような問題が起きてくると思われる。
問4 木造住宅は減ったかもしれないが、高度成長期に多く建てられた建築物が耐用年数を超えて老朽化しており、増加した人口も考えると被害が減るという予想は楽観的ではないか、と資料からは言えそうである。
【大問Ⅱ】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
文明開化を題材とした問題。
問1 (1) 欧化政策の一環として、鹿鳴館が外国との社交場として使われた。
(2) 大久保利通
問2 (1) ア. ➍の資料と食い違っている。
ウ. 図で示されているのはいずれも軽微な犯罪である。
(2) 西洋人や外国からみて野蛮だと思われないように配慮しているようすがわかる。
問3 (1) 日米和親(条約)で2か所の港を開いた。
(2) 岩倉使節団の不平等条約の改正が不調に終わり、日本も欧米と同様の文明国と認められる必要があると考えた。
問4 イ・エ
問5 資料5からは、中国を文明化されていない野蛮な国、それを正そうとする文明国日本という図式が見て取れ、文明開化が戦争の大義名分に使われたことがわかる。
【大問Ⅲ】政治経済分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
MaaSを題材とした問題。
問1 スマートフォンなどの生産は中国で多く行われている。
問2 半導体の生産は台湾が多く受託して過半数を占め、第3位は中国となっている。
問3 ライドシェア
問4 素材文で例示されているのは、自動運転車・鉄道・乗合自動車・電動キックボードなど、自家用車を用いない移動である。このように、移動手段を「所有・保有」するのではなく、「サービス」を買うという形態の社会が予想されるのである。
問5 日本の主力産業と言える自動車生産と輸出であるから、移動をサービスとして利用する社会で自動車の売り上げが低迷することは大きな影響があると考えられる。
問6 愛知県と静岡県は輸送用機械の生産で1位・2位を占め、かかわりが深い。
問7 (1) デジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術の活用による生活や企業活動の変革を意味し、特に企業の競争力や社会貢献を向上させる取り組みという意味で使われることが多い。
(2) 直近ではコロナ禍におけるリモートワークが好例である。離れた地域を瞬時に結べるのがデジタルの大きな強みであり、たとえば僻地の医療では医師が離れた場所から診察したり、危険な場所での作業などを別の場所からリモートで機械に行わせたりなど、「距離」と「時間」を壁としない活動が可能になるのである。
攻略のポイント
用語記入・記号選択は基礎的な問題が多いので、ここを取りこぼすようだと厳しい戦いになる。まずは基本事項の徹底を図る。
記述問題は統計や文書資料を読み取り、そこから考えられることを答えさせるというパターンが多いので、資料が示している先を推理できる思考力が身につくよう、訓練を積んでおきたい。
また、今回は記述問題が3問出題されているが、時間との兼ね合いも考え、自分の苦手な分野や特に難しいと感じる問題は諦めるというのも、現実的な選択かもしれない。
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