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立教新座中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「立教新座中学校の理科」
攻略のための学習方法

科学的現象に関する文章の記述や実験結果を手がかりに、「その場で理解して答えを考える」問題が多いのが特徴だが、本年度は地層や電熱線の問題のように、問題集でよく見られる応用問題の出題も見られた。

設問のレベル自体も、一般の問題集のそれを大きく超えるものではないが、地層の形成順序や水温上昇の計算はそもそも苦手分野となりやすいので、まずは「きちんと練習すれば解ける」問題で穴を作らないことが重要である。

さらに言えば、物理・化学分野の計算は手際も重視したい。昨年度、本年度ともに、「式を作ること自体は簡単だが、まともに計算していると大きく時間をロスしてしまう問題」が見られた。計算ミスをチェックする目的も兼ねて、与えられた式の答えがおよそいくつになるかを前もって概算してから計算に着手する習慣をつけておくと良い。

一方、ニホニウムの半減期やオジギソウの葉の開閉に関する問題は、多くの受験生にとって未知の情報であったと思われる。こうした「参考書に準拠しない」問題は問題集への掲載が少ないため、様々な学校の過去問を解くことによって練習するのが良い。

最初は解けなくても構わないので、「どの情報に着目しながら解くか」など、現象を理解してから答えを出すまでの思考過程に注目しながら練習を重ねよう。

全般に解きやすい問題が少ないことから、比率が小さいとは言え、知識問題での失点はなるべく避けたい。  出題されるのは基礎的なものがほとんどだが、特に身近な生物や現象に関する知識と実験に関する知識は問われやすい。

生物の名前から数値まで、たとえばメモリーチェック等などで問われているレベルの知識は最低限定着させておくこと。

また、秋以降には時事的知識の学習時間も確保しなければならない。時事問題に特化したテキストを入手し、社会と合わせて対策しておこう。

以下、各分野の学習において特に注力すべき点を挙げておく。

 

【生物分野】

昨年度、本年度の第1回入試で、身近な植物の生態に関する知識が連続して問われている。

オジギソウの葉の閉じ方・開き方は、実際に触れた経験が無いと正解のしようが無い。教科書的な知識だけでなく、身近な生物や生命現象に対する日常レベルでの関心を問う傾向にあると考えて良いだろう。

実戦練習に入ると軽視されがちだが、植物、メダカなどの動物、昆虫の形態や生態については直前までに見返しておきたい。図鑑などを日常的に眺める習慣があると、なお望ましい。

 

【地学分野】

地層をテーマとする本年度の問題はいかにも「教科書的」であった。しゅう曲によって生じる地層の逆転も時々テーマとなる。

色々な実戦演習を着実にこなしていけば地質分野の対策は概ね問題ないが、地層の形成順序や柱状図の推定、地震の震源地を求める計算など、苦手意識を感じやすい単元を放置しないように。

気象や天体も計算や実戦演習が不可欠だが、こちらは様々な現象の背景にある仕組みまできちんと理解していく必要がある。特に、天体運動は図を描いてとらえられるように練習しておこう。

 

【物理分野】

本年度の「電流と発熱」は、解くうえで必要となる知識や考え方の手がかりが問題文中に示されていたものの、やはり一般的な原則が頭に入っていないと情報を活用しづらい。

特に電熱線を並列・直列につないだ際の発熱量については、「発熱量=電圧×電流×時間」によって決まるという観点から、結果の違いを理解しておいた方が良い。力学に関しても、気圧・水圧や浮力といった力の発生要因、てこを利用した器具の支点・力点・作用点などはざっくりとイメージできるようにしておくこと。

 

【化学分野】

本年度は時事的な話題をテーマとする文章読解の色合いの濃い作問となったが、本来は化学反応の量的な関係を考える計算問題が多い分野である。

気体の生成、中和、燃焼など、様々な化学反応に関する問題演習を通じ、それぞれの考え方と合わせて反応物と生成物、およびその特徴といった知識も把握していくこと。

また、原子・分子モデルを用いた問題も中学入試では時折出題される。本来はいかにも本校が好みそうな「その場で理解して解く問題」だが、軽く学習しておくとイメージしやすく、有利である。

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2017年度「立教新座中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

29個の解答箇所に対して時間は30分。

比較的余裕があるように思えるかもしれないが、大問3の計算問題は、慣れていなければ解答に時間がかかるうえに正解するのもひと苦労だろう。

半面、他の大問はあっさりと答えられるものが少なくないので、それらを手早く片付けた後、大問3に精力を注ぐといった方略で臨むのが良い。

【大問1】地層の形成

  • 難度:標準
  • 時間配分:5分
  • ★必答問題

ほとんどは基礎知識に関する問題。簡単そうに見えるが、「地層のしゅう曲」というワナが仕掛けられている。(6)〜(8)を正しく解けたかどうかが鍵。

(4) ぎょうかい岩は漢字で「凝灰岩」。書けなくても良いが、少なくとも「灰」の字が入っていることを覚えておけば火山灰と結びつけやすい。

(5) 石灰岩を作るのは、炭酸カルシウムの殻を持つ生物。よく出るのはサンゴ、フズリナ、貝類である。

(6) B地点はA地点と同じ地層の並びであるから、小石の大きさの傾向はA地点と同じである。問題はC地点。不整合面が下向きになっていることに気付いただろうか?これは地層の重なりがA、B地点と逆になっていることを意味する。つまり、小石は下にいくほど小さくなる。

(7) (6)が正解できていれば、地層が逆転している理由が分からなくても、aが最も古い地層だと考えられるだろう。

(8) (6)と(7)で地層の逆転に気付かなかった、あるいは逆転の原因が分からなかったとしても、本問の選択肢で「地層のしゅう曲」が与えられているのを見た時点で状況を正しく把握できて欲しい。既に形成された地層が曲げられることで、層の並び順が互いに反対となる地点が出来上がる。

問題はしゅう曲が起こったタイミングであるが、C地点で不整合面が下を向いていることから、しゅう曲は不整合面の形成後であると分かる。さらに、A地点とB地点を見比べることで、断層が生じたのも不整合面の形成後であると分かる。

したがって、最も古い時期に起こったのは不整合面の形成である。

<時間配分目安:5分>

【大問2】ニホニウムの発見

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分

新物質の名称や発見者の名前は時事的知識を問うものだが、ニホニウムに関するそれ以外の設問は文章を読めば答えられる。他に問われているのも基礎レベルの知識であり、落としたくない。

(1) 発見者の名前まで覚えていた受験生は少なかったのでは? ア、イ、エは近年のノーベル賞受賞者だが、自然科学分野でノーベル賞が与えられるのは多くの場合20〜30年前の研究に対してである。

(5) ⑤の気体が酸素であることはすぐに分かるだろう。上方置換や下方置換では空気との混合が避けがたいため、「水にとけにくい気体なら水上置換で集めるのがベスト」という原則を頭に入れておくこと。

(7) 問題文中に「光の速さの10%」と書いてあることから、「6350×2×3.14×7.5×0.1」を計算すれば良いことはすぐ分かるだろう。もちろん、こんな式を真面目に計算してはならない!たとえば「2×7.5=15」、「6350×15×0.1≒9000(9500くらいまで見積もれる力があるとなお良い)」であるから、9000×3.14=28260程度の概算が瞬時にできることが望ましい。

(8) 半減する「回数」を考える。90%以上が消滅するということは、残りが10%未満になるということである。つまり、1/2を何度かければ1/10よりも小さい値になるかを考えれば良い。1/2×1/2×1/2=1/8>1/10、1/2×1/2×1/2×1/2=1/16<1/10であるから、0.003秒後の時点では10%以上残っているのに対し、0.004秒後には10%を下回っていることが分かる。

<時間配分目安:7分>

【大問3】電流と発熱

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

電流を流す時間や水の質量と水温上昇との関係、電熱線の長さや断面積と発熱量との関係は実験結果から読み取れるように作られており、理屈が分からなくても数字だけを比例・反比例の関係に当てはめることで正解にはたどり着ける。

ただ、これらは頭に入れて受験に臨むべき事柄でもある。

(1) 上昇温度と水の質量との間には反比例の関係が、時間との間には正比例の関係があることが、それぞれ【実験1】、【実験2】の表から読み取れる。

電熱線Bは1分間に100gの水を0.3℃上昇させるが、6分間ではその6倍、60gの水ではその100/60倍の水温上昇が起こるはずである。よって、0.3×6×100/60=3.0[℃]と計算できる。小数第一位の表記に注意!

(2) 電熱線の長さと熱量との関係は【実験2】のAとB、断面積と熱量との関係は【実験2】のAとCを参照すれば良い。

(3) (2)の結果から、電熱線の長さが1/2倍になれば発熱量は2倍、断面積が1/2倍になれば発熱量も1/2倍である。よって、長さも断面積も電熱線Bの1/2であれば、時間あたりの発熱量はBと同じになる。

(4) 【実験3】から、電熱線AとCを並列につないだ際の発熱量は、それぞれの電熱線を単独で回路につないだ際の発熱量を合計した値になっていることが分かる。

電熱線BとCを並列につないだ場合も同様に考えられる。【実験2】の結果から、電熱線B、Cに5分間電流を流した際の水100gの上昇温度がそれぞれ1.5℃、6.0℃であるので、並列につないだ際の温度上昇は1.5+6.0=7.5[℃]と計算できる。

(5) (3)と考え方は同様。Cと比べて断面積が1/2倍であるから、長さも1/2倍であれば良い。

(6) (5)の結果を利用し、Cと同じ抵抗を持つ「長さ0.05m、断面積0.05cm2」という電熱線C’を考える。

そうすると、電熱線A、B、C’の断面積は同じであるから、BとCを直列につないだ回路の持つ抵抗は、「長さ0.2+0.05=0.25[m]、断面積0.05cm2」の電熱線が持つ抵抗としてとらえられる。

これは電熱線Aの長さの2.5倍であり、Aに5分間電流を流した際の水100gの温度上昇が3.0℃であることから、BとCを直列につないだ回路に5分間電流を流した際の温度上昇は電熱線の長さに反比例して3.0÷2.5=1.2[℃]と計算できる。

(7) 電熱線A、Bがそれぞれ入ったビーカーにおける発熱量の合計を考えて、2つのビーカーに分配すれば良い。

【実験3】より、直列につながれた電熱線A、Bの両方ともを100gの水に入れて1分間電流を流したとき、水温上昇は0.2℃である。

他方、並列につながれた電熱線A、Bの両方ともを100gの水に入れて1分間電流を流したとき、水温上昇は(4)の考え方と同様0.6+0.3=0.9[℃]と求められる。

つまり、直列回路と並列回路における発熱量の比は0.2:0.9=2:9である。(直列A):(直列B):(並列A):(並列B)の発熱量の比は、2/3:4/3:3:6=2:4:9:18となる。よって、温度上昇が最も小さいビーカーは①である。

(8) (6)より、直列につながれた電熱線B、Cが生む熱量は5分間で水100gの温度を1.2℃上昇させることから、1.2×100=120[cal]の熱量が発生していると分かる。

(7)と同様にそれぞれの電熱線が生む熱量の和が120calであると考えられるので、【実験4】と同じように電熱線B、Cをつないだ場合の水温上昇の比を求める必要がある。

【実験2】における電熱線A、B単独での上昇温度比と【実験4】における直列回路の上昇温度比が逆比の関係にあることから、B、Cを直列につないだ場合、それぞれのビーカーで発生する熱量の比は1/0.3:1/1.2=4:1である。

よって、Bを入れたビーカーにおける発熱量は120×4/5=96[cal]と求められるため、水100gの上昇温度は96÷100=0.96[℃]である。

<時間配分目安:12分>

【大問4】オジギソウの生態

  • 難度:やや難
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

(1)と(2)は知識問題であるが、他の設問は問題文の記述を手がかりに考える必要がある。いずれにしても教科書に載っているような知識だけでは対応できず、日頃の自然体験や考察力が求められる。

(3) オジギソウを見たことがなくても、「葉へいが『おじぎ』をするように動く」という記述から、葉へいは地面に近づくように動くと推測できるだろう。そのためには模式図における(イ)の部分がしぼむ必要があり、しぼむためには水が(イ)から(ア)へ移動する必要がある。

(4) 「光が当たらないように暗くしても、葉は夜になるまで閉じない」という記述から、オジギソウの葉は光以外の情報から昼夜の変化を感じ取って開閉していると推測できる。つまり、光の有る無しにかかわらず、日中は葉が開いており夜間は葉が閉じているはずである。

(5) オジギソウが光とは無関係に昼夜を認識しているという現象は、オジギソウに「体内時計」が備わっていることを意味する。同じく、時差ボケも東西の移動に伴い生活時間帯が変化する一方、人間の体内の昼夜認識がすぐには変化しないことから生じる現象である。

<時間配分目安:6分>

攻略のポイント

大問3は多くの受験生が苦手とするテーマだったが、問題集でよく見るパターンの問題ではあるため、十分に練習を積んだかどうかで差がついたのではないか。

全般に、「よく目にするものの、きちんと正解するのは簡単ではない」という問題が多く、本年度も受験者平均点は6割に満たない。初歩的な問題で失点しないことが重要である。

特に、「すべて選べ」形式の選択肢問題には下線などによる修飾が全く施されていないため、指示を見落とさないように注意が必要である。

また、問題文や図表をきちんと読み取れば答えを出せたり、それまでの小問の答えを利用できたりする問題が多いことからも、「設問理解」が攻略のための重要ポイントであると言える。

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