立教新座中学校 入試対策
2023年度「立教新座中学校の理科」
攻略のための学習方法
立教新座中学校理科の出題は、知識・計算力・問題文やデータを読み取る力・考察力などの総合力が試される内容になっている。早い段階で知識を固め、実戦的な演習に十分に時間をかけられるかが攻略の決め手になる。分野毎の学習法は以下の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野 今年度は生物の進化に関する出題であった。やや細かい知識を必要とする問題も含まれていた。近年の出題を見ると、生物と環境、キュウリの細胞と浸透圧、生物とDNA、人の消化の働きなどの出題が見られ、知識問題と問題の読み取り力が必要な出題が多い。この分野の学習法として、まずは動物・植物・人のからだの働き・食物連鎖などの知識は確実に身につけたい。その上で、光合成に関する実験・だ液の働きに関する実験・呼吸での気体交換など実験や観察に関する問題や計算問題にも時間をかけて欲しい。
地学分野 本年度は太陽の動きと日時計に関する出題であった。太陽の動きについての基本的な知識と、問題文を読んで日時計のしくみを理解する力が必要であった。近年では、湿度と暑さ指数、地球の動きと昼の長さ、岩石の分類や地球温暖化に関する出題等が見られた。天体に関する出題がやや多い。この分野の対策として、まずは天体に関しての学習に力を入れて欲しい。月や星の動き・季節に変化などの現象について、その理屈を理解し利用する学習をしてほしい。その他では、気象(気温の変化・台風・近年の異常気象)、地層や岩石・地震に関する出題にも対応できるように学習を進めておこう。
物理分野 本年は自転車のギアのしくみに関する出題であった。ここ数年では、てこのつり合い、浮力、振り子の運動、電気回路に関する出題が見られた。力のつり合いに関する出題が多くなっている。今後も力のつり合いを中心とした出題が多くなることが予想される。てこ・滑車・輪軸・振り子・浮力などについて基本原理を理解し、計算問題にも対応できるように練習しておこう。電気や光についての学習も怠りなく進めること。
化学分野 本年度は水溶液と金属の反応と金属の燃焼に関する出題であった。計算問題が中心で、日頃の練習量が結果に結びつきやすい内容であった。ここ数年では燃焼、金属と水溶液の反応など化学変化に関する出題が多くなっている。この分野の学習法としては、まずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本的な知識を確実に身につけて欲しい。さらに、水溶液と金属の反応、金属や気体の燃焼、溶解度等に関しては基本的な計算問題が解けるように練習して頂きたい。
また、他の分野にも共通することとして、実験器具の使い方や測定上の誤差に関する考え方についても理解を深めておきたい。
模試や過去問演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。苦手分野の確認や克服に関しては、家庭教師を有効的に利用して頂きたい。
また、日頃からニュースや天気予報などを通じて、自然や科学に興味の眼を向けて頂きたい。入試直前には、時事問題対策用の問題集などで対策を行って欲しい。
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2023年度「立教新座中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題で、小問数30題であった。試験時間は30分で50点満点、例年通りであった。今年度の合格者の平均点を見ると、昨年と比べるとやや難化している。記号選択問題、適語を答える問題、計算問題が中心で、記述問題は見られなかった。問題文やデータの読み取りに時間がかかり、計算問題も複数見られることから、30分という時間は短く感じるであろう。できる問題から解答欄を埋める姿勢が求められる。
【大問1】 地学 太陽の動きと日時計
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
(1)影は南中時刻(12時頃)にかけて短くなりその後再び長くなる。
(2)夏至の日は太陽高度が高くなるので、影の長さは春分の日に比べて全体的に短く
なる。
(3)春分の日と秋分の日は同じ長さ、また、日の出から日の入りまでが最も短い冬至の日が時間間隔も短くなる。
(4)垂直式日時計に常に太陽の光が当たるようにするには、南に向ければよい。
(5)夏至の日には、太陽は真東より北側から上り、真西より北側に沈む。そのため、南の方角に向けたこの日時計では朝と夕方に影はできない。また、昼間は太陽高度が高くなるので、下に向けて長い影ができる。
(6)①影は西から下の方向を通って東へ、つまり反時計回転をする。
②南中高度の低い冬至は影が短くなる。地面に垂直に立てた棒の影と異なるので注意。
太陽の動きと日時計に関する出題。季節による太陽の動きの変化についての理解ができているかが第1のポイント。これについては受験生であれば確実に押さえておきたい。さらに、問題文と絵からかべにかけた日時計のしくみを理解できるかがもう一つのポイント。
【大問2】 生物 生物の進化
- 難度:標準
- 時間配分:7分
(1) a:「殻でおおわれている」よりカニ b:「背骨を持つ」よりヒト。
絵を見て化石の名称「アンモナイト」を答える問題。
(2) 問題文を読み取り、生物3種の関係を示す図を選択する問題。
(3) Ⅰは爬虫類(ヤモリ)、Ⅱは哺乳類(ヒト)、Ⅲは魚類(メダカ)、Ⅳは原始的な魚類(ヤツメウナギ)。ヤツメウナギは「生きた化石」ともよばれ、魚類とは区別される。
(4) クジラの胸びれ・人の腕・コウモリの翼はいずれも魚のひれが進化したものと考えられる。
生物の進化に関する出題。(4)は迷いやすい設問になっているが、それ以外は得点しやすい内容になっている。
【大問3】 物理 自転車のギアのしくみ
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
(1) 輪軸のつり合いの計算問題。10×1÷5 より、2kg。
(2) ギア1が反時計まわりに1回転するとギア2は時計回りに4/3回転し、同時にギア3も4/3回転する。ギア3とかみ合っているギア4は反時計まわりに2回転する。
(3) 前ギアが1分間に1回転すると後ギアは2回転する。後ギアが2回転すると、半径が30cmの後輪が2回転する。1時間で自転車は60×3.14×2×60より、より、約226m進む。従って14km進むためには、従って、14000÷226=61.9・・・ より、1分間に約60回転させればよい。
(4) 後ギアにかかる重さは、30×1÷5より、6kg。この6kgが前ギアにもかかるので、ペダルにかける重さBは、6×10÷15 より、4kg。
(5) 前ギアの歯数は少ないほど、小さな力を大きな力に変えて後ギアに伝えることができる。また、後ギアの歯数は多くした方が後輪に大きな力を伝えることができる。
自転車のしくみに関する出題で、内容としては、輪軸のつりあいと歯車の回転が中心。(3)の計算問題が最も難問。それ以外の設問でしっかり正答したい。
【大問4】 化学 水溶液と金属の反応・金属の燃焼
- 難度:標準
- 時間配分:8分
(1) マグネシウムと塩酸の反応で発生する気体は水素。水にほとんど溶けないので、水上置換法で集める。
(2) 表より、水素の発生が3.3Lで止まっている。塩酸の体積が20mLの時水素は1.0L発生しているので、マグネシウム3.6gと過不足なく反応する塩酸の体積は、20×3.3 より66mL。従って、マグネシウム4.8gと過不足なく反応する塩酸は、66×(48÷36)より、88mL。
(3)マグネシウムと塩酸が過不足なく反応しているとき、マグネシウム・塩化水素の片方だけ増やしても、発生する水素の体積は変化しない。
(4)0.72-0.48より、結びついた酸素は0.24g。問題文より、マグネシウムと酸素は3:2で結びつくので、燃焼したマグネシウムは0.36g。0.36÷0.48 より、75%
(5)問題文より、銅と酸素は4:1で結びつく。
マグネシウムの重さを③、銅の重さを➍とすると、酸化マグネシウムの重さは
⑤、酸化銅の重さは❺となるので、
③+➍=4.0g
⑤+❺=6.0g
が成り立つ。この2つの式より、消去算を行って③を求めればよい。
(6)水素と酸素の体積比が2:1のとき、水が最も多く発生する。合計21.6Lにするためには、水素が14.4L、酸素が7.2L、このときできる水は、3.6×(7.2÷2.4)より、10.8g。
前半は金属と水溶液の反応、後半は金属の燃焼についての出題。いずれも「過不足なく反応する」時の比を考えることがポイント。(5)の消去算を使って解く問題は問題演習などでも見かける問題。その他の計算問題も、日頃の問題演習がしっかりできているかどうかで明暗が分かれるであろう内容。
攻略のポイント
今年度の出題は大問が4題で昨年同様。知識問題も多いが、計算問題や思考力を必要とする問題も多く、メリハリの効いた出題となっている。例年通り、問題文や実験や観察のデータに基づいて解く問題が中心で、知識の丸暗記だけでは解けない出題が多いのも本校理科入試問題の特徴である。今年度の出題では、大問2の自転車のしくみを考えるというテーマの出題が最も難度が高かった。
本校の理科を攻略するためには、各単元をまんべんなく学習し、基本的な知識を確実に身につけることが最も大切である。知識問題も多いので、ここでの取りこぼしがないように備えたい。物理・化学分野を中心に計算問題も出題されるので、基本はもちろん、ややレベルの高い計算問題の練習も不可欠である。秋以降は入試問題の形式に近い総合的な演習も必要である。その際には、時間を意識した演習を心がけること。時間との戦いも大きな特徴である。
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