立教女学院中学校 入試対策
2024年度「立教女学院中学校の社会」
攻略のための学習方法
分析
設問数について、ここ数年では38~54問(2024年度は41問)と、年度により多少のばらつきも見られるので、今後も同程度の問題数を想定し、スピードを意識した過去問演習にも取り組んでいただきたい。
記号選択や用語記入形式での出題で、いわゆる記述問題は見られない。
地理・歴史・政治経済の分野から必ず出題があり、3分野の融合問題・総合問題となっている年度もある。
また、女子校の社会入試ではあまり出されない「世界地理」の問題も多く含まれる。地図やグラフ、歴史資料も毎年用いられている。
地理分野
地理については、まず日本地理全般について広く学ぶ。
各地の地名・地勢・産業の基本事項をざっと覚えたら、さらに地図や白地図でその位置や関連する地域の情報もまとめて理解を深める。
さらに、世界地理についても基本的な知識は身につけておきたい。ヨーロッパ・アジアにある日本と関係の深い国々や、世界的に話題となった地域について、その国の位置や地域のつながりを地図で確認しておくと良い。
歴史分野
歴史は、テキストの基本事項をしっかり頭に入れる。
その後、断片的な知識を歴史の大きな流れに沿って整理しておくようにする。本校の試験では、歴史の大まかな流れを問われる問題が多いからである。
過去の試験でも、各時代の宗教や建築様式についての問題、時代の並べ替えの問題などがみられた。
時代ごとに、また政治史・文化史・宗教史といった分野ごとに、年表にまとめるなどして、つながりを覚えておくことで対処しやすくなる。
政治分野
政治経済の分野では、日本国憲法・三権の仕組みとはたらき・国際関係が頻出となっている。
さらに、これらをテーマにした時事問題で、過去には憲法改正についてのアンケートから数値を読み取る〈平成25年度〉といった設問もみられた。
日頃から憲法や国際関係についてのニュースなどは常に注意しておき、最新の情報に触れるようにしたい。
まとめ
全体としては、極端な難問奇問の出題は無く、記述問題も出ないオーソドックスな試験である。
ただ、過去の合格者平均点をみてみると年度によってばらつきがあり、ときどき難度の高い出題の年があるようだ。
もし、そのような年に当たってしまった場合は、全く歯が立たないと感じた問題はとりあえず保留して、わかる問題をどんどん進めるといった判断も必要になるだろう。また、総解答数が50を超える年が多いので、時間配分に注意が必要である。
他の女子校と違って、世界についての問題が多いのも特徴で、過去には世界の国々と国旗に関してかなり詳しく訊く問題も出された。地理以外の分野でも世界の出来事が織り込まれて出題されている。
韓国・中国など身近な国、オーストラリア・中東諸国など経済的に日本と結びつきの強い国々、北米大陸やヨーロッパ諸国など・・・・・・このような国や地域について、国際的に関心の高い政治上・経済上の出来事などをよく調べて、必ず地図で場所を確認しておく。
前年度、話題になった新しい事柄がよく出題されるので、最新の時事問題集などでよく練習しておくこと。
また、幅広い範囲の知識を問われる問題がある一方、上記の国旗に関する問題や2017年度で出された地図の読み取りの問題などのように、一点に絞って少し詳しく知識を問う問題もある。
以上のように、学校や塾で習うことから新聞やニュースでしか見られないもの、狭い範囲から広い範囲まで、様々な視点から知識を問われるのが立教女学院の社会の問題なのである。
● テキストで覚えた知識を地図や資料集でしっかり補強する
● 日本の出来事と合わせて、世界の出来事についても基本的な事柄は理解しておく
● 世の中の情勢・最新の社会的問題などに注意をはらう
このような姿勢で、丁寧な学習を心がけてもらいたい。
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2024年度「立教女学院中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2024年度は大問3つで3分野が融合した総合問題となっており、計41問となっている。記号選択と適語記入で構成される。2020年度以降また問題数が多くなっている。
リード文もあるが、下線部だけ見れば答えられる問題も多いので、どうしても時間が足りなければ下線部の近辺だけ読んで済ますのも手である。何問かは難しめの問題も含まれており、正解できれば他と差をつけられる。
【大問1】総合問題
- 難度:標準
- 時間配分:9分
地球温暖化を話題にした総合問題。
問1 氷河期であるから気温が低く、現在の日本海側気候のように冬に降雨(雪)量が多いと考えられるので、アが合う。
問2 海面上昇により生息地域が狭められ食料も乏しくなるなど、氷河時代に適応していたマンモスなどは数を減らしたはずであり、事実絶滅している。
問3 三内丸山(遺跡)
問4 瀬戸内海側に位置する香川県などは、温暖で雨が少ない気候により水が不足しがちだったため、ため池が多く作られた。
問5 ア. 鎌倉時代の将軍の補佐役は執権。
ウ. 侍所ではなく、政所。
問6 (1) ウ・寛永のききん(1640~43年)→ア・享保のききん(1731年~31年)→イ・天明のききん(1782~88年)→エ・天保のききん(1835~37年)
(2) 打ちこわし
問7 ハザ-ドマップ
問8 ア. 1948年に採択されたのは世界人権宣言。
イ. 安全保障理事会は5か国の常任理事国と10か国の非常任理事国で構成される。
エ. 採択された条約でも、批准するかどうかは各国の自由である。
問9 京都議定書
問10 イ. 発展途上国の労働者が安い賃金で働かされることが温暖化の解決にはつながらないし、近年のフェアトレードを重視する流れにも反している。
問11 エ. 先進国の排出量削減の取組みは目標に達しておらず、十分とは言えない。
【大問2】総合問題
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
日本人と川との関係を題材とした総合問題。
問1 日本は国土が山がちで川の流れは急峻になり、水源から河口までの距離が短いという特徴がある→選択肢ウ・エ
問2 農業用水で最も多く使われるのは水田であり、他の用途と異なり節水ができないので、最も多いイのグラフが農業用水である。農業用水は全ての水使用量の3分の2ほどを占める。
問3 イ・大津宮(飛鳥時代)→ウ・正長の徳政一揆(室町時代)→ア・安土城(安土桃山時代)→エ・井伊直弼の彦根藩主(江戸時代)
問4 淀川
問5 天正遣欧(天正遣欧少年)使節
問6 島津
問7 全ての年代で最も多いイは火力発電。2010年を過ぎて大きく減っているウは東日本大震災の影響で稼働が停止した原子力発電。近年わずかだが増えているエが新エネルギーで、大きな変化が見られないアが水力発電である。
問8 治水工事で新田開発が進み物流も増え、人口も増加したはずなので選択肢イは合わない。
問9 イ. ほしかが肥料として広く使われるようになったのは江戸時代である。
ウ. 野田は千葉県の都市である。
エ. 関東最南端の岬は犬吠埼である。
問10 エ. 明治神宮が建立された(1920年)のは関東大震災(1923年)より前である。
問11 最上川は山形県庄内平野を流れる川で、俳句の作者は松尾芭蕉である。
問12 四万十(川)
【大問3】総合問題
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
いくつかの県の特徴を題材とした総合問題。
問1 ① 武装して自衛力を高めようという考え――イ・ウ
② 軍事力の増強が国を守ることにはならないという意見――ア・エ
問2 熊本県と新潟県で発生した水俣病のことである。原因の特定に時間がかかり、裁判まで長い時間を要したので、イが誤り。
問3 (1) からし蓮根が名物なのは熊本県。九州新幹線が通っているので、エが間違い。
(2) 半導体の生産で世界最大手の台湾企業TSMCが熊本県に工場を建設した。経済の波及効果が期待されている。
問4 (1) チャプチェやビビンバといった料理からユナは韓国出身とわかる。問われている侵略は、豊臣秀吉による2回の朝鮮出兵(文禄の役・慶長の役)のことである。
(2) 日本による韓国併合は1910年。
(3) a. 朝鮮戦争
b. ア 国連軍の主力であったアメリカ軍からの日本への物資の発注で、朝鮮特需と呼ばれる好景気となった。
問5 (1) 都道府県などの地方公共団体では、条例を制定し住民投票を行うことができる。
(2) イ. 住民の過半数の反対で法律の制定を阻止できる。
問6 (1) イ. かつて日本の農業の中心だった米は食生活の変化に伴い徐々に生産を減らしている。北海道や東北地方も主な生産地であるが、北陸地方は他の生産物が少ない分、米の割合が高くなっている。
(2) 「6月下旬の戦没者追悼式」や「悲惨な地上戦」などから、リコの県は沖縄県と考えられる。沖縄県には稲作に適した水持ちの良い土地や灌漑に必要な大きな川などがないため、米作りには向いていないのである。
問7 (1) 計算すると日本の国会における女性議員の割合は約15.4%となり、スウェーデンや韓国より低い。
(2) ア. スウェーデンは子育て支援の厚い国のひとつであり、出産費用の全額補助や高校卒業までの育児手当支給、両親ともに育児休暇が取れるなどの施策で、出生率も高くなっている。
攻略のポイント
基本的な事項を幅広く答える問題と範囲を絞って少し詳しく答える問題とがある。
前者のミスを最小限に抑えるべく、基本事項の学習を徹底する。その際、必ず地図を手元に置いてイメージできるように覚える。歴史は時代の流れを常に意識し、出来事の順番がすぐ浮かぶようにしておきたい。合格者平均点が高いので、このレベルでの失点は避けたい。
その上で、後者への対策として、覚えたことの周辺事項までまとめて確認し、引き出せるようにしておく。
そして時事問題で戸惑わないように、社会的な出来事・新聞の一面になるような話題について(直近の数年に起こったことは特に)噛み砕いて理解しておく。付け焼き刃の一夜漬けではなく、日常的に新聞・ニュースに目を向けておきたい。
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