立教女学院中学校 入試対策
2019年度「立教女学院中学校の社会」
攻略のための学習方法
分析
設問数は2018年度には53問と増加したが、2019年度では38問と例年通りに戻った。年度により多少のばらつきも考えられるので、今後も同程度の問題数を想定し、スピードを意識した過去問演習にも取り組んでいただきたい。
記号選択や用語記入形式での出題で、いわゆる記述問題は見られない。
地理・歴史・政治経済の分野から必ず出題があり、3分野の融合問題・総合問題となっている年度もある。
また、女子校の社会入試ではあまり出されない「世界地理」の問題も多く含まれる。
地図やグラフ、歴史資料も毎年用いられている。
地理分野
地理については、まず日本地理全般について広く学ぶ。
各地の地名・地勢・産業の基本事項をざっと覚えたら、さらに地図や白地図でその位置や関連する地域の情報もまとめて理解を深める。
さらに、世界地理についても基本的な知識は身につけておきたい。ヨーロッパ・アジアにある日本と関係の深い国々や、世界的に話題となった地域について、その国の位置や地域のつながりを地図で確認しておくと良い。
歴史分野
歴史は、テキストの基本事項をしっかり頭に入れる。
その後、断片的な知識を歴史の大きな流れに沿って整理しておくようにする。本校の試験では、歴史の大まかな流れを問われる問題が多いからである。
過去の試験でも、各時代の宗教や建築様式についての問題、時代の並べ替えの問題などがみられた。
時代ごとに、また政治史・文化史・宗教史といった分野ごとに、年表にまとめるなどして、つながりを覚えておくことで対処しやすくなる。
政治分野
政治経済の分野では、日本国憲法・三権の仕組みとはたらき・国際関係が頻出となっている。
さらに、これらをテーマにした時事問題で、憲法改正についてのアンケートから数値を読み取る〈平成25年度〉といった設問もみられる。
日頃から憲法や国際関係についてのニュースなどは常に注意しておき、最新の情報に触れるようにしたい。
まとめ
全体としては、極端な難問奇問の出題は無く、記述問題も出ないオーソドックスな試験である。
ただ、過去の合格者平均点をみてみると年度によってばらつきがあり、ときどき難度の高い出題の年があるようだ。
もし、そのような年に当たってしまった場合は、全く歯が立たないと感じた問題はとりあえず保留して、わかる問題をどんどん進めるといった判断も必要になるだろう。また、総解答数が50を超える年もあるので、時間配分に注意が必要である。
他の女子校と違って、世界についての問題が多いのも特徴で、過去には世界の国々と国旗に関してかなり詳しく訊く問題も出された。地理以外の分野でも世界の出来事が織り込まれて出題されている。
韓国・中国など身近な国、オーストラリア・中東諸国など経済的に日本と結びつきの強い国々、北米大陸やヨーロッパ諸国など・・・・・・このような国や地域について、国際的に関心の高い政治上・経済上の出来事などをよく調べて、必ず地図で場所を確認しておく。
前年度、話題になった新しい事柄がよく出題されるので、最新の時事問題集などでよく練習しておくこと。
また、幅広い範囲の知識を問われる問題がある一方、上記の国旗に関する問題や2017年度で出された地図の読み取りの問題などのように、一点に絞って少し詳しく知識を問う問題もある。
以上のように、学校や塾で習うことから新聞やニュースでしか見られないもの、狭い範囲から広い範囲まで、様々な視点から知識を問われるのが立教女学院の社会の問題なのである。
● テキストで覚えた知識を地図や資料集でしっかり補強する
● 日本の出来事と合わせて、世界の出来事についても基本的な事柄は理解しておく
● 世の中の情勢・最新の社会的問題などに注意をはらう
このような姿勢で、丁寧な学習を心がけてもらいたい。
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2019年度「立教女学院中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問4つに地理11問・歴史15問・政治経済12問が割り振られ、計38問となっている。
記号選択と適語記入で構成される。2018年度は問題数が多かったが、最新年度では平年並みの解答数に戻っている。
1000字超のリード文があるが、下線部だけ見れば答えられる問題も多いので、どうしても時間が足りなければ下線部の近辺だけ読んで済ますのも手である。
何問かは難しめの問題も含まれており、正解できれば他と差をつけられる。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
各県や地域の特徴について。
問1. ア――北海道・イ――沖縄県・ウ――新潟県。エは瀬戸内地域。
問2. ア 北海道は新潟県とコメの生産1・2位を争っている。近くを寒流の千島海流が流れ、サケ・マスなどの漁獲が多い。2018年9月にはマグニチュード6.7の地震が発生し、広い範囲で停電が起きた(北海道胆振東部地震)。
イ 沖縄県は日本で唯一地上戦が行われた場所である。温暖な気候を利用してパイナップルやさとうきびの栽培が盛んであったが、近年は花の栽培が増えている。
ウ 新潟県のコシヒカリは日本を代表するコメの優良品種である。
エ 瀬戸内地域では沿岸部でコンビナートが多く作られている。3つのルートで連絡橋が架けられ、中国地方――四国地方を車で移動できるようになっている。
【大問2】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:3分
工業地帯・工業地域について。
問1. 現在は中京工業地帯・阪神工業地帯・瀬戸内工業地域の順で多くなっており、以下に関東内陸・京浜と続く(日本国勢図会2018/19)。
問2. トヨタ自動車のある愛知県豊田市。
問3. 埼玉県・群馬県・栃木県にまたがる関東内陸工業地域。
【大問3】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
- ★必答問題
世界遺産のある地域に関する歴史について訊かれている。
問2. 松下村塾は現在の山口県萩市に吉田松陰が開いた私塾。門下生には高杉晋作や伊藤博文など、幕末から明治時代にかけて活躍した多くの人物がいる。
問3. ア 聖徳太子は藤原氏ではなく蘇我馬子と協力したので×。
問5. 竜安寺は細川勝元により室町時代に建てられた。アは江戸時代、エは鎌倉時代のことである。
問7. エ 鎌倉時代に北条氏が就いた役職は執権。管領は室町時代のキーワードになっている。
オ 元寇は外国との戦いであったため、勝利しても十分な報奨=土地を御家人に与えられなかった。
問8. 三内丸山遺跡は青森県青森市にある、縄文時代にも定住が行われていたという証拠となった大規模集落跡である。
問10. 蝦夷地と漢字で書けるようにしておこう。「暇」という漢字を虫偏にすればよい。
問11. 正倉院の宝物としては「瑠璃の坏(るりのつき)」や写真ウの「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんのびわ)」などが有名である。
問12. 姫路城は別名「白鷺城」とも呼ばれる、白壁の優美な城である。
【大問4】政治経済分野
- 難度:標準
- 時間配分:9分
ネルソン・マンデラを話題とした問題。
問2. よく「テロ」と短く使われるが、「テロリズム」と正式に覚えよう。
問3. イ 本部はニューヨークにある。
ウ 青年海外協力隊はJICA(国際協力機構)が日本のODA(政府開発援助)の一環とし
行っている派遣制度である。
問5. 簡易裁判所は全国各地に438ヵ所が設置されている。
問8. 義務教育は子供に教育を受けさせる義務であるので、イは間違い。
問9. ウ・エ・オは国会の仕事である。イの参議院には解散はない。
問11. 地球に熱を閉じ込めるというイメージで「温室効果ガス」と呼ばれる。
攻略のポイント
基本的な事項を幅広く答える問題と範囲を絞って少し詳しく答える問題とがある。
前者のミスを最小限に抑えるべく、基本事項の学習を徹底する。その際、必ず地図を手元に置いてイメージできるように覚える。歴史は時代の流れを常に意識し、出来事の順番がすぐ浮かぶようにしておきたい。合格者平均点が高いので、このレベルでの失点は避けたい。
その上で、後者への対策として、覚えたことの周辺事項までまとめて確認し、引き出せるようにしておく。
そして時事問題で戸惑わないように、社会的な出来事・新聞の一面になるような話題について(直近の数年に起こったことは特に)噛み砕いて理解しておく。付け焼き刃の一夜漬けではなく、日常的に新聞・ニュースに目を向けておきたい
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