立教女学院中学校 入試対策
2023年度「立教女学院中学校の社会」
攻略のための学習方法
〇分析
設問数については、ここ数年で53問→38問→54問(2023年度は56問)と少ない年度もあった。年度により多少のばらつきも考えられるので、今後も同程度の問題数を想定し、スピードを意識した過去問演習にも取り組んでいただきたい。
記号選択や用語記入形式での出題で、いわゆる記述問題は見られない。
地理・歴史・政治経済の分野から必ず出題があり、3分野の融合問題・総合問題となっている年度もある。
また、女子校の社会入試ではあまり出されない「世界地理」の問題も多く含まれる。
地図やグラフ、歴史資料も毎年用いられている。
〇地理分野
地理については、まず日本地理全般について広く学ぶ。
各地の地名・地勢・産業の基本事項をざっと覚えたら、さらに地図や白地図でその位置や関連する地域の情報もまとめて理解を深める。
さらに、世界地理についても基本的な知識は身につけておきたい。ヨーロッパ・アジアにある日本と関係の深い国々や、世界的に話題となった地域について、その国の位置や地域のつながりを地図で確認しておくと良い。
〇歴史分野
歴史は、テキストの基本事項をしっかり頭に入れる。
その後、断片的な知識を歴史の大きな流れに沿って整理しておくようにする。本校の試験では、歴史の大まかな流れを問われる問題が多いからである。
過去の試験でも、各時代の宗教や建築様式についての問題、時代の並べ替えの問題などがみられた。
時代ごとに、また政治史・文化史・宗教史といった分野ごとに、年表にまとめるなどして、つながりを覚えておくことで対処しやすくなる。
〇政治分野
政治経済の分野では、日本国憲法・三権の仕組みとはたらき・国際関係が頻出となっている。
さらに、これらをテーマにした時事問題で、過去には憲法改正についてのアンケートから数値を読み取る〈平成25年度〉といった設問もみられた。
日頃から憲法や国際関係についてのニュースなどは常に注意しておき、最新の情報に触れるようにしたい。
〇まとめ
全体としては、極端な難問奇問の出題は無く、記述問題も出ないオーソドックスな試験である。
ただ、過去の合格者平均点をみてみると年度によってばらつきがあり、ときどき難度の高い出題の年があるようだ。
もし、そのような年に当たってしまった場合は、全く歯が立たないと感じた問題はとりあえず保留して、わかる問題をどんどん進めるといった判断も必要になるだろう。また、総解答数が50を超える年が多いので、時間配分に注意が必要である。
他の女子校と違って、世界についての問題が多いのも特徴で、過去には世界の国々と国旗に関してかなり詳しく訊く問題も出された。地理以外の分野でも世界の出来事が織り込まれて出題されている。
韓国・中国など身近な国、オーストラリア・中東諸国など経済的に日本と結びつきの強い国々、北米大陸やヨーロッパ諸国など・・・・・・このような国や地域について、国際的に関心の高い政治上・経済上の出来事などをよく調べて、必ず地図で場所を確認しておく。
前年度、話題になった新しい事柄がよく出題されるので、最新の時事問題集などでよく練習しておくこと。
また、幅広い範囲の知識を問われる問題がある一方、上記の国旗に関する問題や2017年度で出された地図の読み取りの問題などのように、一点に絞って少し詳しく知識を問う問題もある。
以上のように、学校や塾で習うことから新聞やニュースでしか見られないもの、狭い範囲から広い範囲まで、様々な視点から知識を問われるのが立教女学院の社会の問題なのである。
● テキストで覚えた知識を地図や資料集でしっかり補強する
● 日本の出来事と合わせて、世界の出来事についても基本的な事柄は理解しておく
● 世の中の情勢・最新の社会的問題などに注意をはらう
このような姿勢で、丁寧な学習を心がけてもらいたい。
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2023年度「立教女学院中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問3つに地理20問・歴史20問・政治経済16問が割り振られ、計56問となっている。記号選択と適語記入で構成される。2020年度以降また問題数が多くなっている。
リード文もあるが、下線部だけ見れば答えられる問題も多いので、どうしても時間が足りなければ下線部の近辺だけ読んで済ますのも手である。
何問かは難しめの問題も含まれており、正解できれば他と差をつけられる。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
日本にいても感じられる海外文化を話題に、農業や工業について訊かれている。
問1 (1) Aは種子を焙煎するのでコーヒーで、雨季と乾季がある方がよいのだからグラフはイが合う。Bは茶でア、Cは小麦でウとなる。
(2) 年降水量500mmの地域なら、カの地域があてはまる。
(3) コーヒーのチェーン店は都市に多くあるのでZ、茶は静岡県や鹿児島県が産地であるからX、小麦はYとなる。
問2 イ. 日本は平地が少なく、農地が広くないので大規模な栽培がしづらい。
問3 中国が多いアは野菜、牛肉はオーストラリア・アメリカが多いのでウ、南米・北欧ではサケ・マスの仲間が多く獲れるのでエ。
問4 ア. 市原・川崎・大阪などは都市圏である。
イ. 日本で海底油田の採掘はほとんど行われていない。
ウ. 四日市市で発生した公害病はぜんそくである。
問5 ウ. 朝鮮半島の冬は温暖湿潤ではなく、むしろ逆である。
問6 (1) 群馬県の自動車工場などはブラジル人労働者が多いのでB、沖縄県には米軍が駐留していることからアメリカ人が多いCが那覇市、残るAが長崎市である。
(2) ウ. 謙譲語・尊敬語など日本独特の話法は難しいので、まずは平易な日本語を覚えてもらった方がよい。
オ. 居住エリアを分けてしまっては、交流の機会が少なくなってしまうのでよくない。
問7 (1) Aは北海道・宮崎・熊本が上位なので肉牛、Bは群馬・愛知で多く栽培されるキャベツ、Cは長野が2位でリンゴ、Dはダイコンである。
(2) ① 宮沢賢治 ② やませ ③ 白神山地 ④ 十和田湖
⑤ シラス ⑥ 桜島
Xは面積2位の岩手県、Yは青森県、Zは鹿児島県である。
【大問2】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
東京西部地域を題材として、各時代の出来事や人物について訊かれている。
問1 本能寺の変(1582年)→伊達政宗が秀吉に従う(1590年)→慶長の役(1597年)→ウィリアム=アダムスの漂着(1600年)。
問2 小田原周辺を拠点としていたのは(後)北条氏。
問3 エ. 大阪の商人が江戸周辺で新田開発をするのはおかしい。
問4 徳川綱吉の生類憐みの令の影響である。
問5 参勤交代を追加したのは3代将軍である徳川家光。
問6 ア(戦時中)→ウ(戦後)→イ(東京オリンピックの頃)→エ(1972年)。
問7 現在も日本とアメリカで共同使用している横田基地。
問8 品川は東海道の最初の宿場町である。
問9 アは5世紀、ウは6世紀、エは7世紀なので、イが3世紀で最も近い。
問10 源頼朝の妻、北条政子。
問11 前九年の役・後三年の役で活躍した源義家。
問12 大化の改新のもう一人の中心人物、中臣鎌足。改新後に天皇から藤原の姓を与えられた。
問13 その頃、関東地方に勢力をもっていた平将門による反乱。
問14 新政府は人民の心得として各地に五榜の掲示を立て、外国と交流すべきことや、キリスト教の禁止などを伝えた。
問15 1923年に「関東大震災」が発生し、東京は大きな被害を受けた。都市の「復興」のため各地から木材・土砂などの建築資材が大量に運び込まれた。
問16 人口増加に伴い都心部で働いて郊外の自宅に帰る人が増えた。都市の周辺に住宅街が形成されるドーナツ化現象が起こり、鉄道の路線が延伸された。
問17 室町幕府の初代将軍、足利尊氏。
問18 板垣退助が結成したのは自由党。
問19 封建社会において、御恩と奉公を仲立ちとした主従関係を結んだ武士を御家人という。
【大問3】政治経済分野
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
2022年の出来事を話題に、国際関係や政治のしくみについて訊かれている。
問1 (1) 非政府組織(NGO)。
(2) 政府開発援助(ODA)のひとつで、海外協力隊という。青年海外協力隊など、いろいろな活動がある。
問2 (1) 全加盟国が一国一票の投票権を持って参加する会議が総会である。
(2) SDGsは「持続可能な社会」を目指す取り組みの指標となるものである。
問3 公布された11月3日は文化の日、施行された5月3日は憲法記念日で祝日になっている。
問4 (1) イとオ
(2) 環境権は憲法に規定のない「新しい権利」である。また、納税は「権利」ではなく「義務」である。
(3) 要介護度に応じて必要なサービスが受けられる介護保険制度。
(4) 障害(バリア)が無いという意味の「バリアフリー」。
問5 現在の福沢諭吉から渋沢栄一に代わる。
問6 (1) ア. 任期は6年である。
イ. 衆議院465名、参議院248名で半分より多い。
オ. 参議院に解散はない。
(2) イ. 衆議院が内閣に対する不信任決議を出せるので、逆である。
ウ. 違憲立法審査権を持つのは裁判所である。
エ. 内閣は最高裁判所長官を「指名」し、天皇が「任命」する。
問7 地方自治体(地方公共団体)
問8 最初に警察予備隊が結成され、そのあと保安隊と呼称が変更され、さらに自衛隊となって現在に至る。
問9 (あ) ロシアによるウクライナへの侵略は、今なお(2023年6月現在)進行中である。(い) 日中共同声明(1972年)により中華人民共和国(中国)との国交が正常化した。
攻略のポイント
基本的な事項を幅広く答える問題と範囲を絞って少し詳しく答える問題とがある。
前者のミスを最小限に抑えるべく、基本事項の学習を徹底する。その際、必ず地図を手元に置いてイメージできるように覚える。歴史は時代の流れを常に意識し、出来事の順番がすぐ浮かぶようにしておきたい。合格者平均点が高いので、このレベルでの失点は避けたい。
その上で、後者への対策として、覚えたことの周辺事項までまとめて確認し、引き出せるようにしておく。
そして時事問題で戸惑わないように、社会的な出来事・新聞の一面になるような話題について(直近の数年に起こったことは特に)噛み砕いて理解しておく。付け焼き刃の一夜漬けではなく、日常的に新聞・ニュースに目を向けておきたい。
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