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栄東中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2015年度「栄東中学校の算数」
攻略のための学習方法

1月校としてはトップクラスの人気を誇る「栄東中学」、何度かある受験機会の中でも最難関とされているのが「東大選抜」である。
先んじて行われる「A選抜」に比べると受験者数では劣るものの、東大選抜が試験として設定されたときからその難易度の高さは注目されてきた。
「A選抜」との差別化を図るべく、基本的な問題が主である「A選抜」に対し、難問を惜しみなく出してくるのが「東大選抜」である。この明確な相違は受験者側からも好意的に受け止められ、両日ともに圧倒的な支持を得て多くの受験者を獲得したのである。
さて、その「東大選抜」の問題ではあるが、やはり歴史的にまだ日が浅いこともあって難易度が安定していないようだ。特に平成26年度・平成27年度は連続してそれまでの年度と比べても質的に大幅に難しくなっていて、それは合格ラインにも如実に現れている。
さて、それではどのように対応していけばよいか…基本的な問題を解ける力をいかにして応用問題に耐えうる学力に上げていくか。真面目に勉強をやってさえいれば、ここだけが大きな課題として残るのである。
そして、栄東「東大選抜」の算数で得点するには、このハードルをクリアできないといけない。普通の一行問題がいくら出来ても東大選抜の問題は解けないからである。前に書いた、「平易な問題で高得点を競い合うテスト」と「難易度が高く、低得点ながら合格可能になるテスト」では、後者の方がはるかに対応は難しい、というのはそういうことで、真摯な態度で受験勉強に臨めば、成績も向上するだろうし、当初あった雑さも消えて正答率も高まっていく。しかし、難度の高い問題を解くための階段だけはなかなか登れないのである。
どうすればよいか?
100%フォローするのはないものねだりになってしまう。
6年生の秋頃までは、難問に挑戦するという心を持って受験勉強に臨むこと。少々難しくても挫けずに時間をかけて最後まで解く、という経験を積むこと。反面、基礎固めに時間をさいている時間がなくなるのでそのあたりはバランスよく勉強をすることが大切だ。
過去問に触れ始めてからは、どの設問まで自分は追究できるかというボーダーラインを冷静に判断すること。大問の設問(3)(4)まで平気で入り込める猛者は置いといて、合格だけを考えた場合は(2)までで十分である。その(2)までいけるかどうか…ここが勝負の分かれ目だ。また、解きやすい大問を見つける「鑑識眼」も必要になる。そこまでの決意と覚悟がどうしても必要だと思う。
よく出されている分野を優先して時間をかけよう。条件の細かい問題や高度なテクニックが必要な問題でもどんどん進めていこう。東大選抜のテストは「力の確実な確認」ではなく「自分はどこまでできるのか」という攻撃的な姿勢で臨みたい。
そして納得できる形で1月を迎えられるよう受験生として態勢を整えてもらいたい。

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2015年度「栄東中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が4、小問が16。【大問1】以外は《考えを示す欄》があるので設問の数は少なく、配点も1問あたり8点から15点と高い。
本年度の問題は、昨年度に引き続き大変レベルが高い問題だった。割合として40%強とれていれば合格できるという代物だったのだ。
個々の問題をそれぞれ細かく見た場合、条件が凝っていてよく練られた問題であるし、受験生にとっては格好の力試しになる部分もあるが、逆にあまりに難しくて学校側にとってはかえって生徒の実力が測りにくかったのではないかと思われる。

【大問1】平均算、相似形、規則性、平面図形

  • 時間配分:15分

(1)の平均に関する問題は受験生にとっては安堵できる問題で、今まで学習してきたであろう「平均の面積図」が使えれば容易に求まる問題になっている。昨年に比べ受験者平均点が上がっているのはこのサービス問題のおかげかもしれない。サービス問題…を間違えた生徒は受験算数を基本からやり直しておこう。
本年度は【大問1】に相似形の問題が2問出ているのが特徴的で、それぞれ解き方は異なるものの、【大問3】も含め平面図形の出題が目立った。
(2)は直角三角形の相似を利用する問題。「5:12:13」の辺比もおなじみであろう。ただ、その辺比を2度使わないと答えまでたどり着けないことと、はじめから辺の長さが分数になってしまい計算が煩わしいので解けにくくなっている。図2にうまく補助線を引いて相似形を作るなど作業もあり、この問題から合否の差がつきはじめることになる。
(3)は数を数字にばらして並べていくという典型題。(ア)の正解は合格には必須。(イ)は位ごとに数字を足していけばよい、と思いついたとしてもかなり面倒な作業が必要になる。時間がかかりすぎるようであれば飛ばすのもやむを得まい。
(4)は平行線と相似形の関係を使う。P、Qとも四角形として扱うと大変そうだが、ちょうど真ん中から四角形ABCDを上下に分けると、三角形の相似として問題に答えられる。そうして(ア)が出来るようならば、(イ):(ウ)の比を求めるのも同水準の問いとして答えが出ただろう。

昨年度の問題に関しては、「初めから楽な問題は一つもなく、むしろ後半の「決め」に使われてもおかしくないレベル~以前のような難易度に戻されることを希望したい」と書いたが本年度のものならばちょうど東大選抜の問題には適切であると思う。6問中4・5問は正解できるようにしたい。

【大問2】周期算

  • 時間配分:10分

典型的な花火の打ち上げ問題。設問も既視感のあるものばかりだ。
ここできちんと正解しておきたい。
逆に(1)~(3)までは解けないとお話にならない設問であり、それぞれの問題で答えが一つずつずれるというミスが見られるかもしれないのでここでしっかり復習しておこう。
(4)は解き方がわかっていても面倒な問題で、【大問1】(3)と同様歯がゆい思いを味わうことになる。しかし3つのベン図を駆使して解けば5分程度で正解までいけるはずで、ここは解き方も含めて全問正解をノルマとしておきたい。

【大問3】平面図形(点の移動,作図,相似など)

  • 時間配分:15分

ここからの大問はかなりきついレベルになっている。また、(1)の点Cの位置を間違えると全滅になってしまう。時間は十分あるので,最低(1)だけはていねいに求めて正解しておきたい。
さいわい速さと半径などの数値が素直なので、PがBに着いたときQは中心Oにあり、そのあとの弧(合わせて360度)を(P側から見て)2:1に分けた点であることは理解できるはずだ。この点の位置が(2)(3)では重要な意味を持つ。

(2)の3点P,O,Qが移動後初めて一直線上に並ぶところを図の上でていねいに作図できるかどうか、技術が問われる。点の位置が定まれば特殊な位置なので角度などは求められるのではないだろうか。もちろん、このあたりまで正解できれば合格は十分保証されていると思われるが…
(3)では半円などを取っ払って三角形と四角形だけの図を書き直すと案外すっきりした関係であることがわかる。すっきりした図が書けたかどうかで勝負はもう決まっている。

【大問4】立体図形

  • 時間配分:10分

問題文の例を読み、(1)まで解けていればよいと思われるが、三角すいの展開図が書かれているところが実はヒントになっていて、「三角すいには辺が6本あり、このうち3辺は面と面をつないでいるので、6-3の3つの辺を切り開けばよい」という規則が求まると(3)まで解けてしまう可能性も出てくる。
(1)で立方体の展開図を書くと面と面とをつないでいる辺は5本なので、12-5=7といった具合だ。
しかし現実にはなかなか考えを展開することは難しいだろうから、(1)のみの正解でもよしとしておこう。

攻略ポイント

テスト時間は50分で150点満点。
受験者平均点は50.6点。それを少し上回れば合格最低点を超えられる。要するに、35%程度の正解率で合格できるというわけだ。

現実にもともと合格点が低い学校は存在する。例年、30%台の得点でも合格できる学校はある。
そういった学校の場合、受験生はある程度覚悟してテストに臨んでいる。

しかし、例年は半分程度の得点を要求する学校が極度にその要求を変えてくるとき、受験生は戸惑い、学校への感触も決してよいものとは結びつかないと思われる。もちろん学校側も「東大選抜」の問題は難しい、と先手は打って受験生を絞ってきたようだが、それにしても受ける側は厳しい経験を積むことになったものだと思う。

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