栄東中学校 入試対策
2016年度「栄東中学校の算数」
攻略のための学習方法
1月校としてはトップクラスの人気を誇る「栄東中学」。
高校での東大合格者数では躍進を続けており、もはや全国トップレベルの進学校であり、中学受験での人気が落ちることはあるまい。
そして何回か設定されている受験機会の中で最難関とされているのが「東大選抜」である。
先んじて行われる「A選抜」に比べると受験者数では劣るものの、東大選抜が試験として設定されたときからその難易度の高さは注目されてきた。
「A選抜」との差別化を図るべく、基本的な問題が主である「A選抜」に対し、難問を惜しみなく出してくるのが「東大選抜」である。
この明確な相違は受験者側からも好意的に受け止められ、両日ともに圧倒的な支持を得て多くの受験者を獲得したのである。
さて、その「東大選抜」の問題ではあるが、この3年間-平成26年度・平成27年度・平成28度と3年連続して量はまだしも、質としては難問~超難問がずらりと並ぶテストとなり、合格ラインにも如実に現れている。
さて、それではどのように対応していけばよいか…基本的な問題を解ける力をいかにして応用問題に耐えうる学力に上げていくか。
真面目に勉強をやってさえいれば、ここだけが大きな課題として残るのである。
そして、栄東「東大選抜」の算数で得点するには、このハードルをクリアできないといけない。普通の一行問題がいくら出来ても東大選抜の問題は解けないからである。
「平易な問題で高得点を競い合うテスト」と「難易度が高く、低得点ながら合格可能になるテスト」では、後者の方がはるかに対応は難しい、というのはそういうことで、真摯な態度で受験勉強に臨めば、成績も向上するだろうし、当初あった雑さも消えて正答率も高まっていく。
しかし、難度の高い問題を解くための階段だけはなかなか登れないのである。
どうすればよいか?
100%フォローするのはないものねだりになってしまう。
6年生の秋頃までは、難問に挑戦するという心を持って受験勉強に臨むこと。
少々難しくても挫けずに時間をかけて最後まで解く、という経験を積むこと。
反面、基礎固めに時間をさいている時間がなくなるのでそのあたりはバランスよく勉強をすることが大切だ。
過去問に触れ始めてからは、どの設問まで自分は追究できるかというボーダーラインを冷静に判断すること。
大問の設問(3)(4)まで平気で入り込める猛者は置いといて、合格だけを考えた場合は(2)までで十分である。
その(2)までいけるかどうか…ここが勝負の分かれ目だ。
また、解きやすい大問を見つける「眼」も必要になる。
そこまでの決意と覚悟がどうしても必要だと思う。
よく出されている分野を優先して時間をかけよう。
条件の細かい問題や高度なテクニックが必要な問題でもどんどん進めていこう。
東大選抜のテストは「力の確実な確認」ではなく「自分はどこまでできるのか」という攻撃的な姿勢で臨みたい。
そして納得できる形で1月を迎えられるよう受験生として態勢を整えてもらいたい。
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2016年度「栄東中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が4、小問が18。【大問1】【大問2】は答えのみ、後半の問題は《考えを示す欄》があるので設問の数は少なく、配点も1問あたり7点と10点で高い。
本年度の問題もまた、一昨年度・昨年度に引き続き大変レベルが高い問題だった。
150点満点として40%強とれていれば合格できるという代物だったのだ。
難問続きの内容だが、時間が大きく不足することはない。
【大問1】小問集(差集め算・速さと比・円の面積・時計算・角度)
- 難度:やや難
- 時間配分:15分
- ★必答問題
小問集と言ってはいるものの、どれも標準以上のレベルであり、十分に算数の勉強を積んできた生徒でないとはじめから苦労しそうだ。
比較的平易な(1)(3)(5)は確実に得点し、(2)が解ければ上出来、合格はもう見えている。
(1)は典型的な差集め算の問題で、計算が少し面倒なだけ。
(2)は「速さと比」の難問で、学校によってはラストに来てもおかしくない。
登り坂・下り坂にかかる時間をそれぞれ比で求め、さらに両車のかかった時間が等しいところから等式をたて…と作業だけでも手間のかかる問題になっている。
さらに進んだ道のりが標高であらわされているのも問題をわかりにくくしている。
速さと時間の比から距離の比が出せてもそこで終わらないように「自動車が走る道は一定の割合で標高が変わるものとします」という問題文を上手に解釈しよう。
(3)は面積が与えられていて、半径がわからない円を利用する問題。
東大選抜を受験する生徒であればすでに「半径×半径」を利用して問題を解くくらいの技術は身についているだろう。
決してやさしいとはいえないものの、解けておきたい問題だ。
よもや(4)がこれほど面倒な問題とは…問題文を読んだ時点では思わなかった。
受験会場では解けなくても問題ないものの、新種の問題として記憶しておきたい。
要は、長針と短針の間の角が153度になるようなところをすべて調べていくという解き方。
その上で(1分間に動く長針と短針の差=)5.5度で割り切れるかどうかを改めて計算するという…ここはスルーするのが賢明。
(5)の角度の問題もまた、(3)同様特殊な解き方を必要とはするものの、それもまた定着していると判断したい。必ず正解しておくこと。
【大問2】濃度・条件整理
- 難度:やや難
- 時間配分:15分
やや難の問題が2つ並んでいる。設問数は4つあり、2つ以上は解けておきたい。
(1)は食塩水の問題を解くのと同じような扱いをすればよい。
<方法1>では、原液を加えるだけで水の量は変わらないことから、水の量を求め、(原液の5倍=)水の量は全体の5分の4からできあがった原液の量を計算、そこから470を引けばよい。または面積図で。
<方法2>では、イml捨ててイml加えることから全体量は変わらないので、面積図などからあとから加えた原液量とイml捨てた後の全体量の比を求め比例配分する。この値が分数になるので若干不安になる。
(2)は4個入りと6個入りの箱では単価としては6個入りのほうが安いものの、買う個数によっては4個入りを買ったほうが安くなるということを使って調べていく問題。
さいわいそれにあてはまる和菓子の数が8,9,イ,アと4通りであることが示してあるので、アを求めてからその間にあるイの数を調べていけばよい。なかなか面白い問題である。
【大問3】立体図形(三角柱と水の体積・高さ)
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
東大選抜の問題としては既視感があり、解きやすい問題だった。
ここで救われた受験生たちもたくさんいたことだろう。
(1)(2)まではぜひ解けてほしい。
ともに三角形ABCと水の入っていない部分に出来る小さい三角形が相似で、(1)では相似比、(2)は面積比を使えば容易に解答できる。
立体図形の問題でありながら、側面の直角三角形だけを使って解けてしまう、平面図形の問題になっている。
ポイントは図が示されていないので、自分で作図するなどして問題の意図が理解できるかどうかであろう。
普段から図を書くことを怠ってきた生徒にはいたい失点となりかねない。
(3)もまた作図できれば内容は標準的。
水が入っていない部分が三角すいの形で現されるので、その体積を高さで割って底面の三角形の面積を求めていく。
【大問4】調べていく問題
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
大変に手間がかかる問題だが、同じような内容の問題は中学入試で何回か出されたことがあるので、その問題を解いた経験がある生徒は(2)くらいまでは挑んでみよう。
(1)では5秒ごとの変化を調べていけばよいことがわかる。ただしそのことをつかめるかどうかがポイントだ。
ヒントには6秒後、16秒後の数値が書かれているのも意地悪なところ。
(2)まで手をつけたら【大問1】に戻って見直しを始めよう。
攻略ポイント
テスト時間は50分で150点満点。
受験者平均点は51.3点と約34%。
点数で60点、40%程度の正解率で合格できるというわけだ。
本年度の問題で言うと、
【大問1】の(1)(3)(5)
【大問2】のうち設問2つ。
【大問3】の(1)(2)
あたりが解きやすそうな設問であったと思う。
これを全部正解できたとして55点になる。
合格するにはもうあと1・2問の正解がほしい、とすれば【大問1】の(2)、【大問2】の残り2つ、【大問3】の(3)、【大問4】の(1)が候補に挙がる。
栄東の「東大選抜」はこの3年間、受験者平均が150点満点の50点台という過酷な問題を出してきた。
受験生もそれを周知の事実として受け止めるとともに、難問攻略をしっかり行って「東大選抜」に臨もう。
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