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栄東中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「栄東中学校の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

「栄東対策」としては当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れずに。

完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、悲しいことに人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。
基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」での「深知り知識」が求められる栄東ではなおさらだ。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を密かに続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。

いもづる式学習

全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、栄東定番の「複雑な選択肢設問」など絶対に無理だ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。
その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。

このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。無論、栄東で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。

手づくり式学習

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。
塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。
しかし、栄東ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「西暦」だけでなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」と「世紀」や「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が栄東には多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

細部へのこだわり式学習

「問題解説」でも指摘したが、「栄東対策」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。
「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。

過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。
導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。

こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。

意識継続式学習

どのような場合であっても、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても無意味だ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。
栄東の入試本番では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2018年度「栄東中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問1は「地理」(「世界地理」あり)。「『日本と世界のつながり』をキーワードとした生徒5人の発表文」からの出題。
小問は全10問(解答数15)、「選択肢」(「組み合わせ」「整序」あり)、「事項記述」(「空所補充」あり、「漢字」「数字」指定あり)、「自由説明記述」(1問)。

大問2は「歴史」。「紀元前2世紀頃~昭和時代までの年表」からの出題。
小問は全14問(解答数15)、「選択肢」(「不適切」「組み合わせ」「年代(位置)整序」「複数完全解答」あり)、「事項記述」(「人名記述」「漢字指定」あり)、「説明記述」(1問)。

大問3は「公民」(1問のみ「時事」)。「選挙演説を聞いている時の会話文」からの出題。
小問は全8問(解答数8)、「選択肢」(「空所補充」あり、「組み合わせ」「複数完全解答」あり)、「事項記述」。
時間配分は、「説明記述」2問で6分、他は1問を1分弱というペース。無論、メリハリのある「戦術」が求められる。

【大問1】地理(「世界地理」「自由説明記述」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:18分

「アクティブ・ラーニング」の一環としての「日本と世界のつながり」をキーワードとした「生徒5人の発表文」という設定で、(A)「日本と世界の気候の違い」、(B)「環境問題」、(C)「日本遺産」、(D)「貿易」、(E)「さいたま市と海外の姉妹友好都市」、それぞれについての説明文からの出題。

さまざまな「統計資料」や「地形図」などから「地理」の「基本的知識」が問われているのだが、「組み合わせ選択肢設問」が多く、中には悩ましいものもある。
また、「具体例」を受験生自身が挙げた上での「自由説明記述」という新機軸の問題があり、なかなか厄介だ。
以下、そうした「設問」を中心に確認してみる。

[問1] 「下線部についての統計資料読み取り組み合わせ選択肢設問」(6択)。「地理」単元。

説明文(A)の下線部①「日本国内でも地域によって気候はかなり異なります」について、示されている「東北地方」「中部地方」「四国地方」のいずれかの「県庁所在地」を表した(あ)~(う)の「雨温図」と、それぞれの都市がある県の「伝統工芸品」である(え)~(か)で、「中部地方」に「あてはまる組み合わせ」として「正しいもの」を答える。

やたら「問題文」がややこしい。先ずは、正確に読解する必要がある。
要は、3つの「雨温図」から「中部地方」の都市のものを特定し、「伝統工芸品」との「正しい組み合わせ」を答えるわけだ。

「雨温図」の特長に着目すれば、「降水量」が一番多い(い)が「四国地方」で、「気温」が低い(あ)は「東北地方」なので、結果、「中部地方」は(う)だとすぐに特定できるはず。
そして、「伝統工芸品」は(え)「土佐和紙」、(お)「天童将棋駒」、(か)「瀬戸焼」。

ということは、(う)(か)の「組み合わせ」である選択肢(カ)が「答え」だと判別できる。

適切に「設問」を捉えさえすれば平易だったわけだ。「問題文」に惑わされないようにせよ、という教訓だ。

<時間配分目安:1分半>

[問4] 「下線部についての自由説明記述設問」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。「地理」単元。

説明文(B)の下線部④「Think globally, act locally.(地球規模で考え、地域で行動せよ)」について、「環境問題以外の世界の様々な問題を1つあげ、私たち個人や地域がどのような活動ができるか」、「あなたの考え」を説明する。

まさに、この設問において、受験生自らの「アクティブ・ラーニング」の資質が問われているわけだ。さあ、どうだろうか? 

「環境問題」であれば、「マンション全体でゴミの分別を徹底する」とか「ひとりひとりが省エネのためにエアコンの設定温度をこまめに調整する」などといった実践していることも含めて思いつくだろうが、それ以外となると……?かも知れないが、発想の仕方は同じだ。

「時事問題」で習得したことや、テレビ・新聞・インターネットなどで知った「世界の様々な問題」と「身近な活動」とを結びつけていきたい。

たとえば、[問題]=「途上国の貧困問題」の場合、「途上国で生産されたさまざまな商品を、適正な価格で取引されたフェアトレードのものかどうかを確認した上で積極的に購入する。」といった「答え」になる。

他にも、「難民問題」や「差別問題」なども考えられるはずだ。
尚、こうした新傾向の問題は、来年度以降も当然、出題が予想される。本校志望者は新たな準備が必要になると心得よ。

<時間配分目安:3分>

[問7] 「下線部についての統計資料読み取り組み合わせ選択肢設問」(6択)。「地理」単元。

説明文(D)の下線部⑦「日本の産業や食卓に与える影響」について、示されている主要国の「自給率」を表した「表」で、(あ)~(う)は「穀類」「野菜類」「天然ガス」、また、(え)~(か)は「日本」「フランス」「アメリカ」のいずれかがあてはまるが、「野菜類」と「日本」に「あてはまる組み合わせ」として「正しいもの」を答える。

なにやら複雑な問題のようにも思えるが、単純化して「表」を読み取れば、実に易しいことに気づくはずだ。

「日本」の「野菜類」の「自給率」は「約80%」、「表」にすでに明記されている「原油」は「0%」ということ(必須定着事項)から、「答え」は、その「組み合わせ」になっている(オ)だとすぐに判別できる。

尚、この「表」に関しては、(い)が示している「穀類」は「日本」だけが「100%」を切っていて(極端に低い「約29%」)、「フランス」は「約176%」の「穀類輸出大国」だということは改めて確認しておきたい。
いずれにしても、「食料自給率」はどこの中学校でも頻出なので、復習は必須だ。

<時間配分目安:30秒>

[問9(1)] 「下線部についての都市名特定選択肢設問」(4択)。「地理」単元。

「世界地理」だ。説明文(E)の下線部⑨「私は夏休みに実際に(さいたま市の)姉妹都市の一つに行きました」について、この生徒が訪れた「都市」を、示されている「空港の看板」(「N 31°09′1″/E 121°47′9″」と記されている)と「ヒント」(アルファベットが記された「方位記号」)を参考にして答える。

「ヒント」から、N=北、E=東だと分かるので、「都市」の位置はほぼ「北緯31度」で「東経121度」だと判断できる。
各選択肢は、(ア)「メキシコのトルーカ市」、(イ)「中国の鄭州市」、(ウ)「ニュージーランドのハミルトン市」、(エ)「アメリカのピッツバーグ市」。

さあ、ここで世界地図を思い浮かべてみよう。「メキシコ」と「アメリカ」は「西経」、「ニュージーランド」は「南緯」なのだから、「答え」は(イ)だと分かるはずだ(ちなみに。「鄭州」は「チェンチョウ」と読む)。

与えられている情報をフル活用すべし。
尚、本校では「世界地理」は必出、確実に押さえておくこと。

<時間配分目安:1分半>

[問9(2)] 「下線部についての時刻特定選択肢設問」(4択)。「地理」単元。

「時差問題」だ。日本が「1月12日午前10時」の時、上記[問9(1)]の「都市」の「時刻としてもっとも近いもの」を答える。

[問9(1)]の「都市」は「鄭州市」で、「時差」を決める「経度」は「東経121度」だと分かっている。「日本の標準時子午線」は無論、「東経135度」。よって、135-121=14、「経度15度」で「時差」は「1時間」(誰もが知らなくてはいけない)、「鄭州市」は「日本」より「西」に位置しているので、「約1時間、時刻が遅い」ことになる。

したがって、「答え」は「1月12日午前9時」となっている(イ)だ。

「時差問題」の基本は、2地点の「経度」の「東西が同じ」であれば「引き算」、「東西が別」であれば「足し算」で「経度の間隔」を出し、「15度」で割ったものが「時差」となることだ。
もちろん、「西」に位置する方が「時刻が遅い」。このことはしっかりと定着させておく必要がある。

<時間配分目安:1分半>

※[問10(1)~(3)]は「さいたま市」の年代別の3つの「地形図」からの出題となっている。本校では「地形図問題」が必出だ。「地図記号」や「等高線」の細部にわたる読み取りや、「縮尺計算」などが確実にこなせるようにしておきたい。

【大問2】歴史(「年代(位置)整序」「説明記述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:17分
  • ★必答問題

示されている「紀元前2世紀頃~1945年までの年表」から出題。

「歴史」のさまざまな分野からの小問が並んでいる。「不適切」や「組み合わせ」の「選択肢設問」、「人名記述」、「説明記述」……、本校特有の目まぐるしい変化が連続する。よほど注意しないと混乱してしまう。

本年度は特に「整序問題」が厄介で、いくつかの「年代整序」に「位置整序」が紛れていて、しかも、難易度もまちまちなので心してかかること。「事実関係」「背景」「人物」「年代」など、細部まで十分に配慮することが肝要だ。
以下、いくつか検討してみよう。

[問1] 「年表についての不適切選択肢設問」(4択)。「歴史」単元。

年表中の(A)「『[紀元前2世紀頃]稲作が日本に広まる』⇔『[710年]都が平城京に移される』」について、示されている「この間の倭(日本)のようす」の説明文で、「あやまっているもの」を答える。

細部に着目しないと判別が難しい。各選択肢の「キーワード」で「正誤判別」する。
(ア)「奴国王」「漢に使い」「金印」⇒「漢委奴国王」の「金印」=「後漢書東夷伝」に「1世紀」のこととして記されていることは周知のとおり=適切、
(イ)「ワカタケル大王」=「倭の五王のひとり『武』」=「雄略天皇」⇒「古墳時代」=適切、
(ウ)「卑弥呼」「親魏倭王」⇒「魏志倭人伝」に記された「3世紀末」の「倭」=適切、
(エ)「新羅の好太王(広開土王)と戦い敗れた」⇒「広開土王碑」に「4世紀末」のこととして記されている=適切? えっ、全て正しい? とはならない。「新羅」ではなく「高句麗」だったと的確に判別したい⇒不適切だ。

よって、「答え」は(エ)

目配せをした的確な「判別」が求められている。
尚、「高句麗」は「朝鮮半島北部」だが、「広開土王碑」があるのは現在の「中国」の「吉林省」だということも押さえておくこと。

<時間配分目安:1分>

[問3] 「年表中の空所補充人名記述設問」(「漢字4字」指定)。「歴史」単元。

年表中にある空所「[9世紀後半]      (C)  が初の関白となる」に「あてはまる人物の名前」を「漢字4字」で答える。

即答できるか? この問題は本校の「標準レベル」のひとつの指標になる。
「摂関政治」=「藤原道長・頼通」だけでは太刀打ちできない。

「答え」は「藤原基経」。

尚、「初の摂政」=「藤原良房」も知っている必要がある。
本校ではどこまでの「深知り知識」が求められているかを、しっかりと認識することが肝要。

<時間配分目安:30秒>

[問5] 「年表についての選択肢設問」(4択)。「歴史」単元。

年表中の(E)の「[12世紀半ば]日宋貿易がさかんになる」について、「日本側の輸出品」として「もっともふさわしいもの」を答える。

各選択肢は、(ア)「茶」、(イ)「硫黄」、(ウ)「陶磁器」、(エ)「生糸」。

「時代」を考えて(ア)(エ)は即「消去」できなくてはいけない。残りでは、「輸出」と「輸入」を混同しないことが肝要。「日宋貿易」では、「輸出品」=「砂金」「硫黄」「刀剣」「漆器」など、「輸入品」=「茶」「陶磁器」などだ。

したがって、「答え」は(イ)

「歴史的事項」では細部の混同を避けることに心せよ。

<時間配分目安:30秒>

[問7] 「年表についての年代整序選択肢設問」(複数完全解答/5択)。「歴史」単元。

年表中の(G)「『[1338年]足利尊氏が征夷大将軍に』⇔『[1543年]鉄砲伝来』」の期間におこった「できごと」として示されている(ア)~(オ)を「古い順」に並べかえ、「2番目」と「4番目」を答える。

「年代整序」では、覚えているであろう「年代」で無理やり「整序」しようとすると、「数字」を取り違えて誤ってしまう可能性があるので、必ず「背景」や「流れ」で整理しつないでいくこと。

ここでは、「室町時代前期」の選択肢(ウ)「足利義満が南北朝合一」→(ア)「日明貿易(勘合貿易)始まる」→「室町時代中期」の(イ)「正長の土一揆」→(エ)「応仁の乱」→「室町時代後期」の(オ)「加賀の一向一揆」という「流れ」。

したがって、「答え」は「2番目」=(ア)、「4番目」=(エ)となる。

「できごと」と「時代の流れ」でつないでいくこと。
尚、「室町時代」のもうひとつの「一揆」として、「山城の国一揆」が「応仁の乱」と「加賀の一向一揆」の間に入るということも押さえておくこと。

<時間配分目安:1分半>

[問8②] 「年表についての内容説明記述設問」(「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)。「歴史」単元。

年表中の(H)「ポルトガル人が鉄砲を伝える」について、「鉄砲伝来」によって「城の構造」に「どのような変化がおこったのか」を説明する。

「鉄砲伝来」により、それまでの「一騎打ち中心」の戦い方が「足軽鉄砲隊による集団戦法」に変化したことはすぐに分かるはず(=[問8①]の「答え」)。
では、「築城法」はどうか? しっかりと考えてみたい。

それまでは「木材」を多用した「山城」が多かったが、それでは鉄砲の攻撃に対しては防ぎきれないことは想像できるだろう。そこで、「石垣」や「土壁」で防ぐ「平城」ということになる。

よって、たとえば、「以前の山城から、石垣や土壁で鉄砲に備えた平城に変化した。」といった「答え」になる。

尚、「変化」を説明するので、「A→B」と「変化の前後」をしっかりと記す必要がある。注意せよ。

<時間配分目安:2分半>

[問12] 「年表についての位置整序選択肢設問」(4択)。「歴史」単元。

年表中の(L) 「『[1854年]日米和親条約締結』⇔『[1889年]大日本帝国憲法発布』」の期間の「できごと」として示されている(ア)~(エ)の「おこった場所」を「南から順」に並べかえ、「2番目」と「4番目」を答える。

前後を「年代整序設問」にはさまれているので、「年代」だと勝手に勘違いしてはいけない。例年のお約束、本校ならではの意地悪な「ひっかけ問題」だ。絶対にひっかからないこと。

各選択肢の「場所」を特定していく。
(ア)「富岡製糸場建設」=「富岡」(群馬県)、
(イ)「西南戦争」=「鹿児島県と熊本県」、
(ウ)「鳥羽・伏見の戦い」=「京都府」、
(エ)「五稜郭の戦い」=「函館」(北海道)。

「南からの位置整序」は、「鹿児島県と熊本県」→「京都府」→「富岡」(群馬県)→「函館」(北海道)となる。

したがって、「答え」は「2番目」=(ウ)、「4番目」=(エ)だ。

「設問」に流されることなく、1問1問を的確に読み解いていくことが肝要。

<時間配分目安:1分半>

[問14] 「年表についての年代整序選択肢設問」(複数完全解答/5択)。「歴史」単元。

年表中の(N) 「『[1925年]普通選挙法制定』⇔『[1945年]ポツダム宣言受諾』」の期間におこった「できごと」として示されている(ア)~(オ)を「古い順」に並べかえ、「2番目」と「4番目」を答える。

「満州事変」から「太平洋戦争」までの「15年戦争」の「流れ」を正確にたどっていくこと。

「満州事変」→「満州国建国」→「五・一五事件」→選択肢(イ)「国際連盟脱退」→「二・二六事件」→(オ)「盧溝橋事件」→「第二次世界大戦」→「北部仏印進駐」→(ウ)「日独伊三国同盟」→(ア)「日ソ中立条約」→「南部仏印進駐」→(エ)「真珠湾攻撃」という「流れ」だ。

よって、「答え」は「2番目」=(オ)、「4番目」=(ア)となる。

「昭和」の「戦前→戦中→戦後」は細かな「整序」が必須となる。「背景」を理解して、確実に「流れ」をつかんでおきたい。

<時間配分目安:1分半>

【大問3】公民(「時事」1問あり)

  • 難度:
  • 時間配分:5分

「選挙の候補者4人の演説を聞いている時の親子の会話文」からの出題。

「公民」の「基礎的問題」かと思いきや、「外国人」の「組み合わせ選択肢」や「憲法」に関する「正誤判別」「複数完全解答」など、なかなか一筋縄ではいかないものも多い。また、「国連加盟国」についての「時事問題」も厄介だ。
以下、いくつか検証する。

[問1] 「下線部に関しての組み合わせ選択肢設問」(6択)。「公民」単元。

下線部①の「民主政治」に関する考えを主張した「人物」の説明として示されている(あ)~(う)について、「人物の名前の組み合わせ」として「正しいもの」を答える。

「人物」は、「モンテスキュー」「ベンサム」「リンカーン」の3人だ。「ベンサム」は知らなくて当然。問題ない。(あ)(う)の説明の「キーワード」で「人物」を特定していきたい。

(あ)「人民の、人民による、人民のための政治」=もちろん、「リンカーン」だ。この時点で選択肢は(オ)(カ)の2択に絞られる。
(い)「最大多数の最大幸福」=?で構わない。
(う)「法の精神」「三権分立」=即座に、「モンテスキュー」と判別可能。

となると、結果的に「答え」は(カ)になる。

「最大多数の最大幸福」はイギリスの思想家「ベンサム」の主張だ。これも覚えておこう。
「組み合わせ選択肢」では、「消去法」を存分に活用すること。

<時間配分目安:30秒>

[問2] 「下線部についての選択肢設問」(4択/複数完全解答)。「公民」単元。

下線部②「国会」についての「説明」として示されている(ア)~(エ)で、「正しいもの」を「2つ」答える。

細部まで見落としがないようにすること。
各選択肢を確認したい。
(ア)「国会議員は、国会開会中は原則として逮捕されないが、現行犯の場合は逮捕される」⇒う~ん、よく分からない。
(イ)「衆議院議員の任期満了による総選挙が行われたあと、特別国会が開かれる」⇒「特別国会」は「解散」による「総選挙」のあとで、「任期満了」の場合は「臨時国会」または「通常国会」だということは知っているはず=不適切、
(ウ)「国会では常任委員会と特別委員会が設けられ、国会議員は原則として常任委員会のいずれかに所属する」⇒これも常識=適切、
(エ)「委員会審議においては、公聴会が必ず実施されなければならない」⇒「予算案」と「憲法改正」の審議では「必ず」だが、その他は「義務ではない」⇒必ず定着すべき事項=不適切。

結果的に、(ア)は「適切」となる。したがって、「答え」は(ア)(ウ)

ちなみに、(ア)は「国会議員の不逮捕特権」とよばれるものだ。確認しておきたい。

<時間配分目安:1分>

[問3] 「下線部に関しての正誤判別組み合わせ選択肢設問」(4択)。「公民」単元。

下線部③「内閣」に関して、「省庁」や「委員会」の説明として示されている(A)と(B)について、「正しければ○」、「あやまっていれば×」とした場合の「組み合わせ」として「正しいもの」を答える。

「正誤判別」する。
(A)「気象庁は、環境省におかれている」⇒そりゃ、そうでしょう、と何気なく判断してはダメで、「気象庁」は「国土交通省」だと知っておく必要がある=不適切、
(B)「消防庁は、国家公安委員会におかれている」⇒これはやや難問か? エアポケットかも知れないが、「消防庁」は「総務省」=不適切。

よって、(A)(B)ともに「☓」となっている(エ)が「答え」だ。

尚、「警察庁」は「国家公安委員会」なので要注意。

<時間配分目安:1分>

[問5] 「空所補充の国名選択肢設問」(5択)。「時事」単元。

会話文中の空所部( ⑤ )に「あてはまる国名」を答える。

空所部は、「2011年に国際連合に加盟したのは何という国だっけ」「(  )だよ」となっている。

各選択肢は、(ア)「東ティモール」、(イ)「バチカン市国」、(ウ)「南スーダン」、(エ)「モンテネグロ」、(オ)「スイス」。

典型的な「時事問題」、即決といきたい。
「答え」は(ウ)

ちなみに、「南スーダン」は2017~18年にかけても「自衛隊日報問題」で話題になったので、来年度も要注意だ。
尚、「東ティモール」(21世紀最初の独立国)と「スイス」(「永世中立国」として国連未加盟だった)は2002年、「モンテネグロ」は2006年に加盟している。無論、「バチカン市国」は未加盟のままだ。

「時事問題」の配点は少ないが、絶対に失点はしたくないので、確実にチェックしておくこと。

<時間配分目安:1分弱>

[問8] 「下線部に関連しての選択肢設問」(6択/複数完全解答)。「公民」単元。

下線部⑧「憲法改正草案」に関連して、現在の「日本国憲法」の「条文に書かれている語句」を、示されている(ア)~(カ)から「すべて」答える。

「語句」の「複数完全解答」、よほど慎重に判別しないと失点してしまう。厄介な問題だ。確認したい。
(ア)「君が代」⇒これはさすがにバカバカしい=不適切、
(イ)「公共の福祉」⇒誰でも知っている=適切、
(ウ)「プライバシーの権利」⇒「基本的人権」としては明記されていない「新しい人権」=不適切、
(エ)「臣民」⇒「大日本帝国憲法」の規定=不適切、
(オ)「自衛隊」⇒第9条に「戦力の不保持」が規定されているだけ=不適切、
(カ)「幸福追求に対する国民の権利」⇒これは難問か? 第13条、定着しているか? 「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」だ=適切。

したがって、「答え」は(イ)(カ)だ。「日本国憲法」の「条文」は本校に限らず頻出だ。代表的なものは暗記しておく必要がある。

<時間配分目安:1分半>

攻略ポイント

●本校の最大のネックは、あらゆる「設問形式」が複雑に混在していて解答数も多いので、頭が混乱し「自滅」する恐れがあるということだ。
「適切」と「不適切」、「単数」と「複数」といった「選択肢問題」や、「年代」「位置」などの「整序問題」、様々な「条件」のある「説明記述問題」等が次々に出題されてくる。「設問形式」を正確に理解し判断することが最高の「攻略法」。それさえできれば、問題自体はさほど難しくない。
現に、過去4年間の「受験者平均得点率」は「64.2%」とハイレベル(本年度は64.3%)。本校の合格者はこうした「問題」に的確に対処できていると心得よ。

●「複数選択肢問題」や「完全解答問題」でさらに求められるのは、「細部へのこだわり」と「知らない問題」への「対処法」。
前者はいかに「細部」から「正誤判別」ができるかであり、後者はいかに「知っていること」に結びつけられるかということだ。「深知り知識」が定着していなくても、必ずどこかに「手がかり」「ヒント」が隠されていると考えること。
「リード文」「設問文」や「設問条件」、「設問どうしの関連」等々と「自らの知識」を多角的に結びつけて考察することで絶対に解くことができるのだ。従って、「多角的思考」ができるよう、十分に訓練しておきたい。

「地理」では「地図」「地形図」「統計資料」等、「歴史」では「年表」「歴史史料(「図版」含む)」等がよく出題されるので、確実に覚え、繰り返し確認しておくこと。
もちろん、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。テキストとしては「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。

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