サレジオ学院中学校 入試対策
2024年度「サレジオ学院中学校の理科」
攻略のための学習方法
⑴ 知識分野
本校の入試では、計算分野や思考力問題の難易度に比べて、知識問題でやや易しいものが目立つ。その為、まずは細かい知識ではなく標準的な知識をムラなく完璧に仕上げたい。ただその際、単なる一問一答的な暗記に終始させず、テキストの詳しい解説部分や資料集・参考書・インターネット等を活用し、周辺事項まで掘り下げた解説を読み込んでおきたい。細かい事まで覚える必要が無いが、そうすることで、より深く広いイメージを伴った理解をしておきたい。
⑵ 思考力問題
これは物理・化学の計算問題とも異なる問題で、主に生物・地学分野から、一定の知識をより大きな文脈の中で活用したり、またはその場で隠れた法則性を見つけて解く問題である。この分野では頻出の典型問題は決して多くないが、問題集やテストからこうしたものを丹念に拾って思考の道筋を理解しておきたい。勿論各大問の後半の小問まで仕上げなくとも、大まかな道筋の理解を積み重ねてゆけば、まずは十分である。
次項(3)と共通するが、サピックス生なら毎週のテキストに多様な問題が含まれているので、それを進めてゆけば良いし、早稲アカ生なら『マスターテキスト演習編』を全て仕上げたい。他に市販教材の『塾技100』(文英堂)や『でる順過去問』(旺文社)などもお薦めしておく。サピックス生でも過去のテキストなどから探すのは手間が掛かるので、市販教材を活用するのも良いだろう。単元別の演習ではなく大問単位で選んで構わないので、とにかく初見の問題を探して当たっておこう。
またその際、まずは時間を気にせず、初見での「一発正解」を目指し、条件を正確に読み取り、深く考えるトレーニングを積んでほしい。
⑶計算分野
本校の計算分野問題の特徴として、塾で習う典型問題とは異なるやや見慣れない設定が多い点が挙げられる。ただそうは言っても、いざ解く段階では、塾で習った典型的な解き方で解けるので、既知の内容を初見の問題に正確に運用したい。これは少しハードルが高いが、様々に類推する「思考のチャレンジ」を楽しんでほしい。
対策としては、より多くの計算系大問に触れることが重要である。その為に問題集も1冊に絞らず数冊を買い置き、典型問題は当然の事、未知の問題を求めてパラパラと問題集をめくって探してほしい。ただこの際も、初見時の正解にもこだわって、雑にはならず丁寧に取り組んでほしい。
⑷ 過去問演習
個性的な出題の多い本校入試では、過去問の重要度は高めと言える。多くの年度に目を通し、その場で思考力を働かせる感覚を養いたい。初見で苦労した大問は二度目に取り組むのも効果的である。
また他の難関男子校の過去問でも、大問単位で見慣れぬ問題を求めてチャレンジしてみるのも良い対策となる。 その他、本校の理科では時間配分の手際の良さも必要と言え、過去問演習を通してその点に磨きをかけたい。ただし、必要なのは実はスピードではなく、精度の高い前進と、難易度を見極めてとばす判断である。あくまで丁寧に解き、諦める時は潔く、を心掛けてほしい。
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2024年度「サレジオ学院中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間40分で大問4つとオーソドックスな構成だが、小問数は多めである。また各大問に、精読すべきリード文や実験説明が多い上、記述問題も多く、時間的余裕はほぼ無い。またテストでありがちな「大問内では易しい順に小問が並ぶ」傾向は、本校には全く当てはまらないので、小問ごとに自分にとっての難易度を的確に判断しながら、全問ムラなく当たる必要がある。
【大問1】物理(浮力)
- 難度:易~難(問2・4)
- 時間配分:10分
- ★必答問題
苦手な人も多い「浮力」の問題である。冒頭から「しまった!」とならないよう、今のうちにしっかりと学んでおこう。複数の物体を沈めたり、アルコールが出てきたり、グラフの作成を求めたりとフルコースである。各自とばす問題を見極めながら、まずはあまり時間をかけ過ぎずに通過したい。
(1)のアルキメデスは大人には常識レベルだが、中学受験では豆知識程度の扱いで済ませ、問題集にもほとんど現れない為「やや難」である。
(2)は概ね浮力の基本〜標準レベルの問題で、(a)(b)(c)は必ず正解したいが、(d)はやや複雑か。
(3)で早々とアルコールが登場し、難易度が上がる。計算上も当てずっぽうで正解されることの無いように上面側を訊かれているので、「やや難」となる。
(4)でアルコールから再び水に戻り、難易度も「易」に戻る。
(5)は丁寧に解き進めた上でグラフを作成しなければならず、時間配分を考えて一度とばすのも妥当だろう。おもりを沈めると同時に水面は上昇するので、そのぶん複雑である。これはほとんど算数で、本質的には標準レベルなのだが、不慣れな問題設定でもあり、理科としては「難」か。
【大問2】化学(金属)
- 難度:易~難(問1・4)
- 時間配分:11分
- ★必答問題
鉄鉱石から鉄を取り出す方法を、学びながら解き進める良問である。ただ冒頭のリード文に加え、⑶以降は小問ごとにリード文が追加され、解き進めるのに時間を要する点が厄介でもある。
(1)では手順1の後に残った鉄と銅を塩酸によって分類するのだが、やや細かい知識である反面、消去法でも正解し易く、難しくはない。
(2)は⑴を正確に覚えていた人のみ正解できる。「やや難」だろう。
(3)は問題文を素直に読めば簡単な計算で解け、難しくはないが典型問題ではなく「やや難」だろう。
(4)は表から計算してグラフにまとめる問題。内容的には易しいが、意味を理解した上で作業して正解できるかを問う。標準レベルである。
(5)はかなり難しい。特にBとDの鉄については問題文からも導きにくく、全体的にも初見で複雑な為、「捨て問」と判断するのが妥当だろう。
【大問3】生物(水質調査)
- 難度:易~難(問1・3・5・6)
- 時間配分:11分
- ★必答問題
屋外でのフィールドワークを題材とした楽しい問題である。ただし冒頭の水質調査方法の読み取りは注意を要する。試験時間も半ばだが、落ち着いて読み取りたい。
(1)の①は「a」を例示してあるので易しいだろう。②も方法説明を読めば易しい。
(2)は思考力を問う問題で、工場の存在は公害問題の知識からも気になる中、それに惑わされずに「b」と「c」の類似性に気づいた上で、「住宅地1」でもなく「住宅地2」を選ぶのはなかなか難しい。更に理由を記述しなければならず、途中で諦めても仕方ないか。
(3)は焦って「ア」に飛びつかず、「ウ」がベストと気づきたい。易しいと言える。
(4)は3つ完答が難しいか。昆虫も植物も、主なものはコツコツ覚えておこう。
(5)で内容が植物に変わると、急に易しくなる。表4まで用意されているので、簡単な計算をすれば済む。
(6)は対照実験の理解を問う問題で、2つとも答えなければならないとは言え、易しいだろう。
大問全体としては、冒頭の調査方法説明など前半で手間取り、難しい問題もある一方で、終盤が易しい・「大問前半は易しいからちゃんと解き、後半は難しいからとばしてもいい」というステレオタイプな対応をしてはならない。目の前の小問に毎回しっかり取り組み、難易度はその都度自分で判断して進む習慣をつけておきたい。
【大問4】地学(地震と火山)
- 難度:易~難(問1・3・5・8)
- 時間配分:8分
- ★必答問題
本年は「地震」と「火山」について、基礎的な知識と理解を問う問題が多かった。
(1)は「a」「b」とも基礎知識であり、「c」も前後の内容から気づいて正解したい。(2)は全く習わない内容のため難しい。海外の地震や噴火のニュースは年に数回で、4カ国への正確な知識は望めないはずだ。
(3)は大まかな知識と会話文を踏まえれば難しくない。標準レベル。
(4)は会話文の内容から論理的に導き出せるものなので難しくはないが、多くの受験生にとって初見の内容ではあり「やや難」か。
(5)はごく易しい比の計算で、本校受験生ならば当然知っていてほしい内容である。
(6)も大人には常識であり基礎知識であるが、東日本大震災から13年が経ち、11〜12歳の受験生が確実に覚えているか、「やや難」かも知れない。
(7)は改めて問われる事が珍しく確信が持ちづらいが、正確な知識が無くても素直に考えて選びたい。「やや難」ではあるが、消去法でも正解可能だ。
(8)基礎的な知識問題で、記述を含め標準レベルと言える。
攻略のポイント
75点満点で受験者平均が54.5点、合格者平均が60.2点と例年よりも高かった。合格には50点台後半が必要と言える。各大問に易しい知識問題が一定数あり、まずここを確実に正解した上で、難度の上がる思考力問題・計算問題をどこまで取れるかで合否が決まる。
思考力問題では各事象の持つ意味を踏まえ、蓄えた知識を活用して類推する力、また計算問題では実験内容を正しく理解し、不慣れな道筋でも自分の思考に沿って進む力が試される。
バランスの取れた良問が続くので、ムラの無い基礎知識力と、様々な科学的思考力を磨いて、積極的に解き進めてほしい。
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