サレジオ学院中学校 入試対策
2018年度「サレジオ学院中学校の理科」
攻略のための学習方法
出題分析
男子校らしい質の高い問題が並ぶ中に、意表を突いたような設問がある。それがサレジオ学院の理科に対するイメージである。
ここ2年間の問題(A試験)を例にとるならば、
2017年度は頻出分野からの出題が多く、どの大問にも計算問題が含まれていてかなりやりがいのある内容となっており、2018年度は【大問1】【大問4】にかなりマイナーな分野を取り上げて受験生たちの肝を冷やし、【大問2】【大問3】は頻出分野でありながらあまり解いたことのない設問が並んだ。
どちらの形式をとっていても全体に難易度は高く、受験生は心してその準備に取りかからなければならないだろう。
初見の問題に出会ったら
サレジオ学院の理科を解いていると、たとえば2017年度の【大問3】「血液の流れ」に関する問題、2018年度の【大問2】「塩」に関する問題など、日ごろの受験勉強や模試などでお目にかかったことのない問題に遭遇することがあるだろう。
この二つの大問はそれぞれ良問だと思われるがその理由は、今までに習ってきた理科の勉強における知識・解法などを総動員すればある程度正解が得られるからだ。ただただマイナーな知識を問うとか複雑な計算をさせるという見た目の難しさではなくて、問題文や実験結果を読み考察し、その上で答えを出させるという「応用力」を問うているところが理科の力を見るというテスト本来の目的を果たしている。
このような問題に対応するためには、1つは理科の基本的知識・解法は頭に入れた上で多くの問題演習をじっくりと行っていきたい。典型的な問題ばかり並べたまとめ的な問題集よりは最新の入試問題を集めたものの方が良いかもしれない。サレジオ学院でなくても、入試問題にはいろいろなタイプがあることを知ることができ、その経験が初見の問題に相対したときに力強い味方となって正解を出すアシストをしてくれるはずだ。
計算問題に強くなろう
こちらも上記の勉強法と重なるところはあるが、ひとえに問題演習をこなしより多くの問題パターンに触れておきたい。2017年度のように典型的な計算問題に終始する場合もあるかもしれないが、2018年度のように「圧力」や「塩」の計算にはなかなかあたる機会がない。1つの設問でも多く解けることがサレジオ合格につながる。それには「これだけたくさんの問題を解いてきた」という自身が何よりのパワーだ。ひと味違う計算の醍醐味を堪能しよう。
問題文を読むということ
さらに課題として残るのは、サレジオ学院の理科における問題文の分量の多さとその新しい内容だ。2017年度【大問3】の血液の流れを取り上げた問題ではその傾向が顕著である。1つ1つの設問に対する問題文が長い上に、(2)の「血液の流れる時間」、(3)の「胎児の血液の流れ」、(4)の「ヘモグロビンの計算」などはそれぞれの内容がはじめて解法するものであり、しっかりと問題文を読めないと正解を出すことが困難になっている。ありきたりの問題を解くだけではなく、サレジオ学院の過去問を通して、国語の長文読解のような深い気持ちで問題文を読んでもらいたい。
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2018年度「サレジオ学院中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
テスト時間40分に対し大問4問・小問は25と特別分量が多い学校ではないが、問題文・設問文自体が長く、または設問に入るまでのリード文が長いので設問数の割には時間に余裕はないと考えるべきだろう。
また、本年度の大問で言うならば【大問1】【大問4】のようにマイナーな分野から出題されたり、【大問2】【大問3】のように、頻出分野ではあっても初めて見聞きするような実験結果が提示され、それを参考にしながら問題を解くという作業もある。
大問1問あたり10分という持ちタイムを十分に活用して、このユニークな問題群にあたってもらいたい。
【大問1】物理…圧力
- 難度:標準
- 時間配分:6分
物理と言っても「てこ」でも「ばね」でも「ふりこ」でもなく、ましてや「浮力」でもなく、「圧力」である。【大問1】は最後までそれ一本で通している。当てが外れた生徒もさぞかし多かったのではあるまいか。
設問の水準は本年度の問題中では平易な方で、計算問題も「圧力」の内容としては基本的なものである。しかしながらこの内容に触れてこなかった生徒の場合はかなり苦戦したと思われる。
レベルとしては(1)~(3)はぜひ解けておきたい問題で、(4)は多分に算数的な問題であり、復習しておこう。
理科の出題分野を「出る順」に10段階に区切った場合、「圧力」は下から2番目くらいではないかと思われるが、もっと下位の分野がこのあと待ち構えているとは受験生は予想できまい。
世の中何があるかわからない、という好例となってしまった。
<時間配分目安:6分>
【大問2】化学…ものの溶け方
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
まず「塩」についての説明がある。「塩には4種類あり、「カルシウム塩」…」という部分である。そしてこのうち「ナトリウム塩」が食塩の成分である、ということを教えられる。
そしてそのあとは「塩田」からその「ナトリウム塩」を取り出す方法が6段階にわたって製法が書かれ、これをもとに設問に答えていくという形式になっている。
よほどの「塩マニア」でないかぎり「塩田」から「食塩」を取り出す方法は知らないだろうから、水溶液に関する知識を集結させて、初見の大問にあたっていくしかない。頭を研ぎ澄ませば正解も見えてくる。
(1)は簡単な知識の問題。無理して漢字で書かなくてもよい。
(2)は表1を見て、「カルシウム塩だけが含まれない」濃さを選び取ろう。
(3)もまた表1を読むと、「カルシウム塩」の次は「ナトリウム塩」つまり「食塩」の結晶が出てくることがわ
かる。
(4)は「ナトリウム塩」も取り除かれたあとだ。「にがり」の濃さも選べるだろう。
(5)(6)は純粋な計算問題で、(5)では「3つの塩の和」を「その和と水200gの和」で割ったものを100倍する。
(6)は【大問2】きっての難問で、計算力も必要とされる。
表1から4つの塩のうち「カルシウム塩」は水溶液の濃さが13%以上になると結晶が出てくるのではじめに生じるのは「カルシウム塩」のものとわかる。塩の濃さが13%ということは残りの87%は水で、これが200gにあたる。200÷0.87≑230(g)となるので、(5)で溶かした塩と水の和215gとの差をとると「マグネシウム塩」を15gとかすことがわかる。
<時間配分目安:10分>
【大問3】生物…植物
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
(1)は珍しく植物に関する基礎的な知識を問う問題だが、①の解答がまさかこうなるとは…
(2)は与えられた実験とその結果から①と②に答える。実験の結果はまさに予想通りのものだから、驚きはない。しかし「よごれの度合い」を示す式の選ばせ方はあまり小学生らしくない問題になっていて少しとまどうかもしれない。選んでみればまさにその通りの式なのであるが…②は常識的なことを書いておけば良い。
(3)は長大な実験・その結果に対して設問は1つしかない。しかし選択肢をしっかり選ぶためには表や図をきっちりと読めなければならない。なかなかの難問である。
<時間配分目安:8分>
【大問4】地学…低気圧の移動と前線
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
この【大問4】はすべて知識を問われている問題であり普通ならば「点の稼ぎどころ」として重宝され、最後にそんな大問であれば歓迎したいところだ。しかし内容は「低気圧」である。しかも、「高気圧」との比較とか「冬の天気図」ではなくて「低気圧の移動と前線」についての設問だ。
これは理科の出題分野を「出る順」に10段階に区切った場合、一番下のランクに入る分野だろう!まだ「目」や「耳」のつくりのほうが覚えている確率が高そうだ。計算問題ならば与えられた条件からあたりをつけて解くことも可能かもしれないが、どれも単純に知識の問題なので知らなくては正解を導き出すことは出来ない。逆にこの「低気圧」分野まで手が回っていた生徒は大喜びで得点を稼ぎ大きなアドバンテージを得たことだろう。これは本当に裏をかかれた出題だった。
習った範囲は、すべてしっかりと復習しておこう、という戒めかもしれない。
<時間配分目安:8分>
攻略のポイント
テスト時間は40分で75点満点。
本年度は本文でも触れたとおりマイナーな分野からの大問が2題出されたこともあり平均点は少し低めになっている。解けるとしたら【大問1】の「圧力」の方だろうから、ここと【大問2】【大問3】で合格ラインの50点を確保したい。
サレジオ学院の場合、頻出の内容であってもユニークな出題形式をとることがあるので、基本的な知識を身につけておくのはもちろんのことだが、それを新しい形式の問題においても活用できる「応用力」が必要とされる。
過去問をしっかりと解いて内容を吟味・研究し、多少変わった問題が出されても対応できる柔軟性を取得しておこう。誰でもはじめて見るような問題は苦手なものだ。その条件は同じなのだからあせることなく問題に立ち向かう努力を続けてもらいたい。
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