西武学園文理中学校 入試対策
2024年度「西武学園文理中学校の算数」
攻略のための学習方法
[基本的な前半と手強い後半]
西武文理中学の算数は、かつてははじめから難問が並ぶという、今でいう「栄東(東大選抜)」のような水準の問題だった(西武文理は客観式の解答用紙だったが)。時間の経過とともに以前ほどの難問レベルは影を潜めたものの、テストの前半を占める「基礎~中程度」の問題と後半の難問を含む問題では多少難易度に幅があるようだ。通常テストというのはそのように出来ていることが多いが、西武文理はそのギャップがいささか大きく、合格を第一義に考えるのであれば、前半の問題をそつなく正解し、他科目での落ち込みをなくせばその希望は果たせるだろう。ただ、なんとか算数で点数を稼ぎたいと言うことになると、後半の問題群も無視することは出来ず、いくらかでも正解して得点を重ねておきたいところだ。
[まずは前半攻略を]
この時期、受験勉強をしっかりと積み重ねてきていれば【大問1】の計算問題から【大問3】【大問4】くらいまでは高い確率で正解できているものと思われる(2018年度【大問3】(3)は難問)。
ここまでで問われているのは、どの分野に関してもまんべんなく解くことが出来るという基本的な力の確認であって、受験生それぞれのカリキュラムに沿ったまとめのテキスト、たとえば「四科のまとめ」のような典型題を総ざらい出来るテキストを一通りやり終えて自分のものにしておければ大丈夫だろう。これは受験生としては義務に近いノルマであって、誰もが仕上げた上で受験に臨むと思われる。
分野で注意したいのは「平面図形」で、5年生あたりで習う「角度」「面積」など、受験時代の前半に習う単元もきっちり出来るようにしておきたい。
[後半の難問はねばり強く]
2020年度だと【大問5】【大問6】、2018年度は【大問5】【大問6】、2017年度であればやはり【大問5】【大問6】は基本レベルを超えた、応用力を必要とする「やや難」レベルの難問と言えよう。さらに、2018年【大問3】の(3)、2017年【大問4】の(1)も後半の大問に匹敵する難度を持っている。
これらの問題を克服し、算数で80点以上の点数をとる戦略は生徒それぞれの判断に任せて良いと思う。
算数が得意な生徒には、解いていけないというほどの高難度ではないし、東京の学校を第一志望としている生徒にとっては格好の練習材料となるだろう。入試問題集を集めたものや塾などの応用問題集を解くことで全問とはいかずともねばり強く条件を整理できれば正解にたどり着くことが出来るだろう。
算数で無理をして点数を取らなくても良い生徒の場合、4科目のバランスがよい、または、算数が少し苦手である、という場合はあまり深追いしない方が良いだろう。【大問4】までをきっちりと解いて、あとは見直しにあてるというのも合格するための戦術であり何も恥じることはない。
テスト攻略に対するそれぞれの意識は違ってはいても最後まで努力を続けてとれる問題を増やすと言うことには変わりはない。悔いのないよう受験勉強を完遂しよう。
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2024年度「西武学園文理中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
テスト時間は50分で大問数は5、小問数は19、問題数に対して十分な時間があると思われる。まずは、前半の計算と独立小問をミスのないよう落ち着いて取り組むことを心がけて欲しい。大問の中には式や考え方を記述する欄が設けられている問題も見られる。日頃から、式・図・考え方を残す練習を行って欲しい。
【大問1】計算問題
- 難度:易
- 時間配分:8分
- ★必答問題
(1)整数の計算
(2)( )でまとめる工夫を必要とする整数計算。
(3)分数と小数の混合計算
(4)整数・分数混合の を求める問題。
(5)塩分濃度
計算問題が4題。濃さに関する基本問題が1題。まずはスタートでミスの内容落ち着いて取り組むこと。
【大問2】小問集合(文章題・場合の数・平面図形)
- 難度:易
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1)過不足算 1人あたりの差=1本、全体の差=25本より、人数は25÷1より25人。本数は、25×4+23より123本。
(2)消去算 十円玉の枚数=A枚、五十円玉の枚数をB枚とすると。①10×A+50×B=420 ②4.5×A+4×B=96.5g、以上2つの式ができる。②は2倍して、9×A+8×B=193。この式と①式を利用して消去算の処理を行えばよい。
(3)割合の文章題 A君の支払額は、3000×1.1+2400×1.08より5892円。B君の支払額は、3000×1.08+2400×1.1より5880円。従って、その差は12円。
(4)場合の数 組み合わせの計算となる。順列の計算ではないことに注意。6×5÷2より、15通り。
(5)平面図形 30度60度90度の直角三角形では、一番長い辺と一番短い辺の長さの比が2:1になることを利用する。150度に注目すると、BAの延長線にCから垂線を引くと、その長さは3㎝になる。したがって、6×3÷2より、9㎠。
文章題、場合の数、平面図形からの小問集合。いずれも中学受験頻出の典型題であり、確実に正答して欲しい。
【大問3】暦・条件整理
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
(1)2015年9月19日から2024年1月10日まで、8年と114日。2016年・2020年はうるう年なので、365×8+2+114より3036日間あるので、3035日前。3035÷7=433あまり4より、土曜日となる。
(2)4回のTで20点なので、残りが12点。Gの回数を〇回、PGまたはDGの回数を△回とすると、2×○+3×△=12。また、Gの回数はTの回数以下であることから。Gの回数は3回となる。
(3)問題文より、最後のTの後にGはなかったことに注意が必要。Tの回数が3回とすると、Gが2回、PGが5回で34点となり条件を満たす。Tが2回とすると、Gは0回か1回だが、いずれの場合の条件を満たすことはない。Tが1回だとすると、残りの得点はすべてPGとなるが、条件を満たすことはできない。
ラグビーW杯がテーマというユニークな内容。(1)は暦の計算。暦の計算は受験生が多い。この設問では、8年以上前にさかのぼって考える必要があるため、うるう年に関する知識も必要。(2)(3)は思考力をしっかり使ったうえでの条件整理が必要。
【大問4】速さ・平均
- 難度:標準
- 時間配分:10分
(1)かかった時間の平均が38÷8より4.75時間なので、距離の平均は4.75×60より、285km。
(2)① 距離の平均が15km多くなったので、15×8より、距離の合計、つまりBの家からの距離が120km多くなる。120÷60より、かかった時間は2時間長くなるので、正しい時間は5時間。
② 家からの距離が長いDとHを時速80kmにして計算すればよい。
(2)は記述指定問題。速さと平均に関する出題。基本的な速さに関する計算と平均の計算ができれば十分に対応できる内容である。
【大問5】図形の移動
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1)図より、糸の長さは正方形の4つの辺の長さの合計である16㎝とわかる。
(2)4つの四分円の弧の長さの合計になる。(4+8+12+16)×2×3.14×1/4より、62.8㎝。
(3)(2)と同様に考え、(3+6+9+12+15+18)×2×3.14×1/3より、131.88㎝。
糸を正方形・正三角形のまわりに巻き付けた時に、糸の先が移動する長さに関する問題。テキストや問題集で、必ずと言っていいほどよく取り上げられる典型的な内容の出題であり、日頃の練習の成果が問われる。
攻略のポイント
テスト時間は50分で100点満点。7割以上の正答を目指してほしい。
過去のテストの傾向を見ると、年度によっては難度の高い問題が含まれていることがある。本年度は大問3が思考力が必要なやや難度の高い出題であったが、それ以外は比較的考えやすいオーソドックスな内容が中心であった。特に、前半の計算問題と独立小問は平易な問題が並んでおり、これを落とさずにしっかりと解けるかどうかが合否を分ける鍵となる。
本番で、合格点はクリアしたい生徒は、塾のテキストや基本~標準的な問題を集めた問題集を仕上げること。また、算数で点数を大きくかせぎたい生徒は多少難度の高い問題が含まれた問題集まできっちりと解きこなして100点を目指してみよう。出題の中には記述を指定している問題も含まれているので、日頃から式や図・考え方をノートに残す習慣を身につけよう。
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