西武学園文理中学校 入試対策
2021年度「西武学園文理中学校の算数」
攻略のための学習方法
[基本的な前半と手強い後半]
西武文理中学の算数は、かつてははじめから難問が並ぶという、今でいう「栄東(東大選抜)」のような水準の問題だった(西武文理は客観式の解答用紙だったが)。時間の経過とともに以前ほどの難問レベルは影を潜めたものの、テストの前半を占める「基礎~中程度」の問題と後半の難問を含む問題では多少難易度に幅があるようだ。通常テストというのはそのように出来ていることが多いが、西武文理はそのギャップがいささか大きく、合格を第一義に考えるのであれば、前半の問題をそつなく正解し、他科目での落ち込みをなくせばその希望は果たせるだろう。ただ、なんとか算数で点数を稼ぎたいと言うことになると、後半の問題群も無視することは出来ず、いくらかでも正解して得点を重ねておきたいところだ。
[まずは前半攻略を]
この時期、受験勉強をしっかりと積み重ねてきていれば【大問1】の計算問題から【大問3】【大問4】くらいまでは高い確率で正解できているものと思われる(2018年度【大問3】(3)は難問)。
ここまでで問われているのは、どの分野に関してもまんべんなく解くことが出来るという基本的な力の確認であって、受験生それぞれのカリキュラムに沿ったまとめのテキスト、たとえば「四科のまとめ」のような典型題を総ざらい出来るテキストを一通りやり終えて自分のものにしておければ大丈夫だろう。これは受験生としては義務に近いノルマであって、誰もが仕上げた上で受験に臨むと思われる。
分野で注意したいのは「平面図形」で、5年生あたりで習う「角度」「面積」など、受験時代の前半に習う単元もきっちり出来るようにしておきたい。
[後半の難問はねばり強く]
2020年度だと【大問5】【大問6】、2018年度は【大問5】【大問6】、2017年度であればやはり【大問5】【大問6】は基本レベルを超えた、応用力を必要とする「やや難」レベルの難問と言えよう。さらに、2018年【大問3】の(3)、2017年【大問4】の(1)も後半の大問に匹敵する難度を持っている。
これらの問題を克服し、算数で80点以上の点数をとる戦略は生徒それぞれの判断に任せて良いと思う。
算数が得意な生徒には、解いていけないというほどの高難度ではないし、東京の学校を第一志望としている生徒にとっては格好の練習材料となるだろう。入試問題集を集めたものや塾などの応用問題集を解くことで全問とはいかずともねばり強く条件を整理できれば正解にたどり着くことが出来るだろう。
算数で無理をして点数を取らなくても良い生徒の場合、4科目のバランスがよい、または、算数が少し苦手である、という場合はあまり深追いしない方が良いだろう。【大問4】までをきっちりと解いて、あとは見直しにあてるというのも合格するための戦術であり何も恥じることはない。
テスト攻略に対するそれぞれの意識は違ってはいても最後まで努力を続けてとれる問題を増やすと言うことには変わりはない。悔いのないよう受験勉強を完遂しよう。
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2021年度「西武学園文理中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
テスト時間は50分で大問は5問、【大問3】~【大問5】では式・考え方を書かせる欄があるので分量としてはちょうど良いというところで、本年度であれば問題が平易であったため時間が足りなくなると言うことはなかったと思われる。
また、ふだんから客観式のテストになれてしまっている生徒は少し特訓して「必要十分」な式・答えを書けるようにしておこう。
【大問1】計算問題・数の性質
- 難度:易
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1)~(4)まで、いずれも平易な計算問題であるが、
(1)は分配のきまりを使って計算をまとめ
(2)は分母を12に通分して計算し
(4)は(4÷5)のところを分数として処理するなどそれぞれ工夫して答えを出すようにしよう。
(5)は約数の個数を求める問題で、全部書き出していっても良いが、72を2×2×2×3×3と素因数分解してそこから(3+1)×(2+1)=12個と求めるやり方もある。もとが大きな数であればあるほど時間の節約につながるので覚えておきたい。
【大問2】小問集(分数・売買損益・三角形の角度・回転移動)
- 難度:易
- 時間配分:12分
- ★必答問題
どの問題も「易」レベルの問題でこれまでも解いたことのある典型題ばかりなので、全問正解して先に進みたい。
(1)ここは約分できない分子だけを書き出していけば良い。
(2)原価を1とおくと、定価は1.2、その1割引は1.08となり、利益の割合は1.08-1の0.08である。これが120円に相当するのでここから原価が求まる。
(3)三角形の内角の和は180度なので、●●+○○=180-46である。よって、●+○はその半分になるのでxの角が求まることになる。
(4)は作図がある分だけ手数がかかる。点Pが動いた線は半径がそれぞれ3cm、4cm、5cmの四分円となるから、円周率をまとめて計算すること。
【大問3】規則性
- 難度:易
- 時間配分:9分
- ★必答問題
正方形の折り紙を止めるために必要なマグネットの数は3個で、最後のみ4個となっている。
(1)は5枚のうち、4枚は3個で止められるので3×4+4で答えが出る。
(2)も2021枚のうち、2020枚は3個で止められるので、3×2020+4で答えが出る。
(3)は逆に折り紙の枚数を求めるので、(2020-1)÷3でちょうど答えが出る。ちょうどというのは(2020-4)÷3+1で答えを出す解き方もあるからだ。
いずれにしても小5レベルの平易な問題なので全部正解したい。
【大問4】速さ
- 難度:易
- 時間配分:9分
- ★必答問題
(1)2.4kmを2400mにして分速で割ればよい。
(2)残った1.6kmを分速150mで歩くと9時50分の電車には間に合わない。そこでこの距離を10分で行くような速さを求める。
正直、なぜこんなに易しくしてしまったのだろうかと頭をかしげる問題である。
【大問5】平面図形(三角形の相似)
- 難度:標準
- 時間配分:10分
本年度の問題は最後まで難易度が上がらなかった。(2)で相似の関係を作るときに補助線が必要なので「標準」設定としたが、できればしっかりと解ききって終わりたいレベルである。
(1)は台形の面積の公式を知っていればすぐに解ける。
(2)では、AFとBCを右に延長してその交点をHとし、三角形ADGと三角形HEGの相似比を求めれば良い。
(3)は(2)の結果を受けて、三角形HEGから三角形CFHをひくのが妥当な解き方だろう。答えは分数になるがさほど複雑な計算ではないのでミスしないように。
攻略のポイント
テスト時間は50分で100点満点。
合格者平均点などは発表されていないが、この水準のテストであれば80点以上はとれる力をつけておきたい。
テストの傾向が二極化していて、2021年度・2019年度のように「平易な問題だけで完結する」ときと、2020年度・2018年度またそれ以前のような、「後半に難問を含む構成になる」ときがある。いずれの場合もポイントは前半の標準問題を落とさずにしっかりと解けるかどうかなので、レベルの差こそあれその点が合否を分ける鍵となる。また難度の高い設問を含む年にあたった場合は、問題の取捨選択能力を問われる。
本番で、合格点はクリアしたい生徒は標準的な問題を集めた問題集を仕上げること。また、算数で点数を大きくかせぎたい生徒は難問が含まれた応用問題集まできっちりと解きこなして100点を目指してみよう。
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