聖光学院中学校 入試対策
2024年度「聖光学院中学校の理科」
攻略のための学習方法
聖光学院中学理科の出題は、塾のテキストや問題集でしっかり学習していれば十分対応可能な問題も含まれている、細かな知識を問う問題も見られる。また、計算力や思考力を問う問題も例年見られる。
攻略のポイントとして、まずは各分野の知識を確実に身につけることがあげられる。
できる限り早い段階で基本知識を固めたい。その上で秋以降は、物理・化学を中心とした計算問題演習、過去問に類似した総合問題の演習にたっぷりと時間をかけたい。演習に使う問題の選択については、家庭教師に相談して欲しい。分野毎の学習法は以下の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年は植物について、基本知識を問う内容中心の出題であった。今年度の4つの大問の中で、最も得点しやすい大問であったと言える。近年では、標高と樹木、いろいろな動物、植物、ヒトや動物のからだの作りと働き、世界の生物、桜の開花に関する出題が見られた。例年この分野については細かい知識を問う問題が見られる。今後もかなり細かい知識についての出題が考えられる。常日頃から図鑑や資料集に眼を配る、自然や世界の生物などをテーマとしたテレビ番組を観るといった、テキスト以外の部分での学習も大切である。
地学分野 本年度は人工衛星と地殻変動というユニークなテーマの出題であった。人工衛星の名前などかなり細かい知識問題も含まれていた。近年では、太陽の動きと不定時報、星と星座、台風、ハワイ諸島における火山活動、天体等に関する出題が見られた。天体に関する出題がやや多い。この分野の学習法として、気象・火山・地震などについては最近の時事的内容や地理的な内容も含めて整理して欲しい。天体に関しては、単なる丸暗記ではなく、「何故そのように見えるのか？」を理解しながら学習して欲しい。日本だけでなく世界各地で星や月を観測するとどのように見えるか？といったところまで学習して欲しい。
物理分野 本年は棒のつり合いと浮力に関する出題で、思考力が必要なレベルの高い問題も含まれていた。過去の出題傾向を見ても、力のつり合いについての出題が多く、浮力に関する出題が特に多い。近年では力のつり合いの他には、電流と磁界、音に関する出題も見られた。今後も力のつり合いに関する出題が多くなると予想されるので、てこ、滑車、浮力などレベルの高い問題までを含めてしっかり練習して欲しい。電気（豆電球の明るさ・電流と磁界・電熱線による発熱）や光に関する出題もあり得るので、問題演習を通して力をつけて頂きたい。
化学分野 本年度はものの溶け方に関する出題で、レベルの高い計算問題も含まれていた。ここ何年かを見ると、金属の燃焼、水の三態変化、金属と水溶液の反応、気体の発生等の出題が見られた。化学変化の計算問題が出題されることが多くなっている。この分野の学習法としては、まずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本的な知識を確実に身につけて欲しい。さらに、中和・水溶液と金属の反応・金属やろうそくの燃焼・溶解度に関する問題演習をしっかり行って頂きたい。出題頻度の多い金属と水溶液の反応を中心に、多少難しい問題も含めて自信がつくまでしっかり練習を積み重ねて欲しい。
模試や過去問、総合的な演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。苦手分野の確認や克服に関しては、家庭教師を有効的に利用して頂きたい。
また、日頃からニュースや天気予報、図鑑や資料集などを通じて、自然や科学に興味の眼を向けて頂きたい。
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2024年度「聖光学院中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4、小問数は3程度で100点満点（算数・国語は150点満点）。試験時間は40分で例年通りであった。
適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心で、記述問題も含まれていた。基本的な知識問題も意外と多いが、思考力を必要とする問題や細かい知識を問う問題も見られる。また、問題文に書かれてある内容の理解が大きなポイントになる問題が多いのも特徴。問題数に対してテスト時間の40分は長くはないので、できる問題から確実に解答欄を埋めていくことが求められる。
【大問１】 生物 植物
- 難度：易
- 時間配分：8分
- ★必答問題
（１）植物の受粉に関する文章に適語を入れて文章を完成させる問題。「花粉」がめしべの先端につくことを「受粉」という。受粉の後、「子房」の中の「胚珠」が成長して種子になる。
（２）主に植物を食べるのは「草」食動物、動物を食べるのは「肉」食動物、植物も動物も食べるのは「雑」食動物。漢字指定問題。
（３）ヒトが作る消化酵素を選択する問題。アミラーゼとマルターゼが該当。
（４）種子植物を選択する問題。イチョウとモウセンゴケが該当。それ以外は胞子で増える。なお、コケ類は胞子で増えるが、モウセンゴケは種子で増えることに注意。
（５）有胚乳種子は、栄養を「子葉」に蓄える。
（６）（a）植物の発芽の3条件は、「水」「酸素」「適温」
（b）発芽しているのは1週間冷蔵庫に入れ、25℃の明るい室内で十分に水を含ませたスポンジの上で育てたものだけである。なお、10℃の明るい室内という条件で実験をしていないので、10℃で発芽するかどうかわからない。
（c）記述問題。25℃明るい部屋で、水分のない（乾いた）スポンジの上で育てる。
（７）空気中にある窒素を他のものに作り変えづらい。
（８）植物がでんぷんを作る働きは「光合成」。
（９）動物のからだについて運ばれる種子を答える問題。「オナモミ」「センダングサ」などが該当。
植物を中心とした出題で、動物に関する問題も含まれている。（４）（７）の選択問題は迷いやすいが、多くが基本知識の問題で確実に正答を重ねたい。
【大問２】 地学 人工衛星と地殻変動
- 難度：やや難
- 時間配分：8分
（１）宇宙センターのある地名を漢字指定で答える問題。「種子島」
（２）人工衛星の名称についての選択問題。
（３）スマートフォン等にも使われるといことが大きなヒント。「GPS」
（４）赤道に近い地域の方が地軸から離れているために、自転による速さが速い。
（５）（a）AB間の距離が縮まったことから、B側がずり上がったと考えられる。このような断層を「逆断層」という。
（b）図に示された北の向きに注意すること。（a）のようにB側がずり上がったので、北西方向に隆起、逆にA側は南東方向に沈降したことになる。
（c）マグニチュードの値が1大きくなると、地震のエネルギーは約32倍違う。従って、マグニチュードが2違うち、地震のエネルギーは32×32より約1000倍違うことになる。
（６）電波が建物などの障害物に当たると、反射した波が人工衛星に届くために、観測点の正しい位置が観測できない。
人工衛星と地殻変動についての出題。人工衛星の名称などかなり細かい知識問題が見られる。逆断層と正断層の見分け方については、しっかり身につけておくこと。
【大問３】 化学 ものの溶け方
- 難度：やや難
- 時間配分：10分
（１）角砂糖が溶けたことによって見えるもやもやしたものは、水よりも密度が大きいので、下向きに移動する。
（２）30＆の水溶液の中を上向きに移動したことから、小さな容器の中の水溶液は30％の水溶液より密度が小さい、つまり、30＆より濃度が薄いことがわかる。
（３）同様に考えると、15％では上昇するもやもやしたものが見られなかったことと、25％では上昇するもやもやしたものが見られたことから、小さな容器の中の水溶液の濃度は15％より大きく25％未満であるとわかる。
（４）問題文より、ビーカーの中には96.4gの水と、その水に溶けている30.5ｇの硝酸カリウムがある。従って、100gの水に溶ける硝酸カリウムは30.5×100÷96.4より四捨五入して、31.6ｇ。
（５）すべての中性で無色の水溶液について選択すること。アルコール水溶液には臭いがあり、水を蒸発させても固体は残らない。食塩水は電気を通す。
（６）実験結果より、飽和水溶液の中の硝酸カリウムは36.4ｇであることがわかる。36.4÷45.5×100より、このときの水の重さは80ｇ。
（７）問題文の数値を用いて計算すると、5℃における飽和水溶液の濃度は17÷117×100より四捨五入して14.5％、25℃における飽和水溶液の濃度は38÷138×100より四捨五入して、27.5％。5℃で放置する場合、25℃で放置する場合、いずれの場合も、この濃さより濃い水溶液の時に結晶が出てくる。
ものの溶け方に関する出題。ぬれているときの重さと乾燥させたときの重さの2通りあるということが条件を複雑にしている。四捨五入を含めて丁寧な計算を心がけて欲しい。
【大問４】 物理 棒のつり合いと浮力
- 難度：やや難
- 時間配分：14分
- ★必答問題
（１）反時計回りの回転力は10×1＋20×2＝50なので、支点の右側5の場所に10ｇのおもりをぶらさげればよい。
（２）回転力を50にすればよい。（１）以外に、1の場所に5個、1の場所に1個2の場所に2個、1の場所に2個3の場所に1個、1の場所に3個2の場所に1個、1の場所に1個4の場所に1個 合計6通り。
（３）最初の時計回りの回転力は90。反時計回りの回転力も90にするとつり合う。支点の左側に1個Bをぶら下げると、反時計回りの回転力は100か110か120か130か140になるが、右のうでの目盛り3の位置に10ｇのおもりBをぶら下げるとつり合ったことから、3の倍数の120が当てはまる。従って、90÷3よりおもりXの重さは30ｇ。右のうで3にぶらさげたBの個数は120÷3＝40より4個。
（４）（a）200ｇで8000㎤なので、200÷8000より、0.025ｇ/㎤
（b）発泡スチロールに働いている力は「浮力」
（c）気球は空気を暖めることに気球の体積を増加させ、大きな浮力を生み出している。
（d）発泡スチロールの体積×空気の密度が浮力として働く。8000×0.001より、働いている浮力は8ｇ。
（e）発泡スチロールによる反時計回りの回転力は（200－8）×5より960。右側のうでにぶら下がっているおもりによる時計回りの回転力は、10×2＋200×4より820。時計回りの回転力を140増やせばよい。おもりBの数を少なくするためには、できるだけ支点から遠い位置におもりを追加すればよく、5の位置に2個、4の位置に1個が最も少ない。
（５）真空の中では、浮力は働かない。
棒のつり合いと浮力に関する出題。棒のつり合いや浮力についての基本的な解法が身についているかが試される内容で、つり合わせるためのおもりの位置が複数通りあるなど、思考力も要求される。
攻略のポイント
今年度の出題は大問４題であった。例年合格者平均点は７割～８割程度、かなりの高得点が求められる。基本知識を問う標準的なレベルの出題も多いが、細かい知識を問う問題や思考力や計算力が必要な問題も見られる。今年度の出題についても化学・物理分野の中にレベルの高い計算問題や思考力が求められる問題が含まれていた。それに対して。生物分野は基本知識だけで解答可能な出題が中心で得点しやすかった。
本校の理科を攻略するためには、まずは各分野の基本知識を確実に固めることが必要不可欠である。できれば夏休みまでを目途に、各分野の基本をしっかり固めたい。その上で、計算力や思考力を問う問題の演習にも十分に時間をかけたい。
そして何よりも大事なことは、日頃から自然や科学に興味の眼を向けることが大切である。
志望校への最短距離を
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リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。