聖光学院中学校 入試対策
2021年度「聖光学院中学校の理科」
攻略のための学習方法
聖光学院中学理科の出題は、塾のテキストや問題集でしっかり学習していれば十分対応可能な問題も多いが、より細かな知識を問う問題も見られる。また、計算力や思考力を問う問題も例年見られる。
攻略のポイントとして、まずは各分野の知識を確実に身につけることがあげられる。
できる限り早い段階で基本知識を固めたい。その上で秋以降は、物理・化学を中心とした計算問題演習、過去問に類似した総合問題の演習にたっぷりと時間をかけたい。演習に使う問題の選択については、家庭教師に相談して欲しい。分野毎の学習法は以下の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野
本年はいろいろな動物に関する知識問題であった。やや細かい知識を問う問題も見られた。近年では、植物、ヒトや動物のからだの働き、世界の生物、桜の開花に関する出題が見られた。例年この分野については細かい知識を問う問題が見られる。今後もかなり細かい知識についての出題が考えられる。常日頃から図鑑や資料集に眼を配る、自然や世界の生物などをテーマとしたテレビ番組を観るといった、テキスト以外の部分での学習も大切である。
地学分野
本年度は台風に関する出題でやや細かい知識問題や計算問題も含まれていた。近年では、ハワイ諸島における火山活動、星・月・惑星などをテーマとした天体に関する出題が見られた。天体に関する出題がやや多い。この分野の学習法として、気象・火山・地震などについては最近の時事的内容や地理的な内容も含めて整理して欲しい。天体に関しては、単なる丸暗記ではなく、「何故そのように見えるのか?」を理解しながら学習して欲しい。日本だけでなく世界各地で星や月を観測するとどのように見えるか?といったところまで学習して欲しい。
物理分野
本年はてこのつり合いと浮力に関する出題であった。過去の出題傾向を見ても、力のつり合いについての出題が多く、特に浮力に関する出題が多い。近年では力のつり合いの他には、電流と磁界、音に関する出題も見られた。今後も力のつり合いに関する出題が多くなると予想されるので、てこ、滑車、浮力などレベルの高い問題までを含めてしっかり練習して欲しい。電気(豆電球の明るさ・電流と磁界・電熱線による発熱)や光に関する出題もあり得るので、問題演習を通して力をつけて頂きたい。
化学分野
本年度は気体の発生と性質に関する出題であった。ここ何年かの出題を見ると、金属と水溶液の反応・気体の発生の出題頻度が多くなっている。この分野の学習法としては、まずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本的な知識を確実に身につけて欲しい。さらに、中和・水溶液と金属の反応・金属やろうそくの燃焼・溶解度に関する問題演習をしっかり行って頂きたい。出題頻度の多い金属と水溶液の反応を中心に、多少難しい問題も含めて自信がつくまでしっかり練習を積み重ねて欲しい。
模試や過去問、総合的な演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。苦手分野の確認や克服に関しては、家庭教師を有効的に利用して頂きたい。
また、日頃からニュースや天気予報、図鑑や資料集などを通じて、自然や科学に興味の眼を向けて頂きたい。
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2021年度「聖光学院中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題、小問数は30題程度で100点満点(算数・国語は150点満点)。試験時間は40分で例年通りであった。適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心で、簡単な記述問題もあった。基本的な知識問題も意外と多いが、思考力を必要とする問題や細かい知識を問う問題も見られる。問題数に対してテスト時間の40分は長くはないので、できる問題から確実に解答欄を埋めていくことが求められる。
【大問1】生物 いろいろな動物
- 難度:標準
- 時間配分:8分
(1)セキツイ動物を選択する問題。
(2)エラ呼吸をする動物を選択する問題。
(3)動物の寿命の比較問題。ていねいに飼育した場合、カブトムシの寿命が一番短い。
(4)成体の大きさの比較問題。メダカが一番小さい。
(5)カブトムシとメダカそれぞれについて、オスとメスの成体の違いについて説明する記述問題。メダカのオスとメスの背びれ・尻びれの違いは中学入試頻出。
(6)カブトムシの成虫を捕まえられるのは夏。
(7)カブトムシの幼虫の飼育に必要なものは腐葉土。
(8)記述問題。親メダカが卵を食べてしまわないように、産卵した後の卵を親と分ける必要がある。
(10)侵略的外来種としてあげられるのは、アライグマ・ハクビシンなどの哺乳類、ニジマス・ブラックバスなどの魚類。
カブトムシ・メダカ・イシガメ・アメリカザリガニなどの昆虫や動物に関する知識問題。簡単なものからやや細かいものまで盛り込まれている。
【大問2】地学 台風
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1)海面温度27℃以上で台風が発生すると言われている。
(2)アメリカ周辺の北大西洋やメキシコ湾付近で発生するのは「ハリケーン」。
(3)2018年台風21号に関する出題
(a)衛星写真を手掛かりに進んだ経路を選択する問題。
(b)台風の周辺では台風に向かって反時計回りの向きに風が吹きこむ。9月3日の15時には鹿児島市の南海上に台風があるので、鹿児島市では北東からの風が吹いていると考えられる。
(c)ふだんの気圧の95%が950hPaなので、ふだんの気圧は950÷0.95より1000hPa。気圧が50hPa下がったので、海水面は50cm上昇する。
(d)気圧が下がったことにより海水面が上昇する現象を「高潮」と呼ぶ。
(e)大阪湾での海水面の急上昇は、台風の通過と大阪湾に向かって吹きこんだ強
い風の影響と考えられる。
2018年の台風21号を題材にした台風に関する出題。テキストに書かれてある基本知識が確実に定着していることが絶対に必要。その知識を利用して考察する力も求められる。特に、台風周辺の風の向きは本校以外の入試でも頻繁に取り上げられる内容なので、理解不十分な場合にはしっかり復習して欲しい。
【大問3】化学 機体の発生と性質
- 難度:標準
- 時間配分:10分
(1)図に示された気体の集め方は水上置換法。
(2)「ものを燃やす働きがある」より、この気体は酸素。
(3)酸素は過酸化水素水に触媒である二酸化マンガンを加えると発生する。
(4)酸素の性質に関する選択問題。
(5)「音を出して燃える」より、この気体は水素。
(6)硫酸や塩酸に溶けて水素を発生させる固体は鉄。
(7)(a)酸素と水素が反応してできる物質は水。
(b)塩化コバルト紙に水をつけると、青色からうすい赤色に変わる。
(c)これはかなりひっかかりやすい1題。
物質Yの重さ-気体Xの重さ=反応した気体Vの重さ
従って、0.8gの気体Vが0.1gの気体Xと反応して物質Yが0.9gできることになる。3gの気体Vと0.4gの気体Xでは、3gの気体Vと0.375gの気体Vが反応し、3.375gの物質Yができる。
(8)「容器内の気体の体積ははじめに比べておよそ5分の4になります」が非常に大きなヒント。残った気体は窒素。
(7)の計算は間違いやすいが、その他多くが基本的な知識問題。聖光受験者であれば、確実に正答したい。
【大問4】物理 てこのつり合いと浮力
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(1)物体Aの体積は5×5×5 より125㎤。重さは125×5より625g。
物体が液体に浸かっているとき、「浸かっている部分の体積×液体の密度」に相当する浮力が働く。(アルキメデスの原理)
625gの物体に125gの浮力が働くので、625-125 より500g。
(2)てこのつりあいの計算問題。20×40÷10 より物体②の重さは80g。
物体②の密度は5g/㎤なので、80÷5 より16㎤。
(3)ばねばかりにかかる重さは、40+80 より120g。
(4)物体③の重さは、25×4 より100g。つりあいの計算をすると、20×
40÷100 より、8cm。
(5)空気中で棒が水平になったことから、棒の真ん中からX点までの距離とY点までの距離の比は5:4.
浮力から重さを引いた値を計算すると、X点には80-16 より64g、Y点には100-25 より75gかかる。
回転力を計算すると、64×5=320 75×4=300 となるので、棒のX点がY点より低くなるように傾く。
(6)物体④と物体⑤は同じ重さだが、物体⑤に働いた浮力の方が大きいので、物体⑤は密度の小さな金属Bでできていると考えられる。
(7)物体④は80g16㎤、物体⑤は80g20㎤。浮力が等しくなるような状態で棒は止まるので、物体⑤のうち4㎤が空気中に出る。
(8)64:60=16:15 なので、棒の中心から物体④までの距離:棒の中心から物体⑤までの距離=15:16になるような位置に物体⑤を移動させればよい。
(9)ばねばかりの示す値は、64+60 より、124g。
てこと浮力を中心とした力のつり合いに関する出題。てこのつり合いと浮力に関する計算問題が並んでいる。得意・不得意で大きく差のつく出題。本校では力のつり合いの出題頻度が高く、得点源となるように演習に時間をかけて欲しい。
攻略のポイント
今年度の出題は大問4題であった。例年合格者平均点は昨年とほぼ同じ84点程度、かなりの高得点が求められる。基本知識を問う標準的なレベルの出題が多いが、細かい知識を問う問題や思考力や計算力が必要な問題も見られる。
本校の理科を攻略するためには、まずは各分野の基本知識を確実に固めることが必要不可欠である。できれば夏休みまでを目途に、各分野の基本をしっかり固めたい。その上で、計算力や思考力を問う問題の演習にも十分に時間をかけたい。
そして何よりも大事なことは、日頃から自然や科学に興味の眼を向けることが大切である。
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