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聖光学院中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「聖光学院中学校の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

「地理」「歴史」「公民」全単元と「時事問題」の「知識」を確実に定着させておくこと。「基本的事項」は当然だが、細部にわたる「知識」や「深い理解」も必要なので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも重要だ。

聖光では特に「地理」からの掘り下げた出題が多い。前述したような全分野での「知識定着」(「地形図」は念入りに)が欠かせない。だが、悲しいことに人は忘れるものだ。時が経てば経つ程忘れる。ここに落とし穴がある。

基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し、定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。

その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。聖光ではなおさらだ。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておくことがポイントだ。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。

さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を続けておくことで、ライバルに差をつけたい。

いもづる式学習

「暗記事項」はそれぞれ単独(要は「一問一答方式」)に定着させても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、聖光攻略に必須の「多角的思考」など絶対に無理だからだ。そこで重要となるのが「いもづる式学習法」だ。

「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習

1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。

もし「言葉」としては覚えていても「内容」があやふやになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)も理解するようにする。

このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても「線」で結びつけて答えられることになる。

さらに、単元もまたいでいるので、「単元融合問題」にも対応できるようになる。無論、「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。

手づくり式学習

特に、「歴史」単元の「復習」で必要となる。

塾での「歴史」の学習は普通、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。しかし、聖光に限らず入試問題ではそうした単純なものはほとんどない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。

「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」を対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。また、「地理」単元で、様々な「地形図」から「地図」や「断面図」を作成するのもいい。聖光でよく出題される「書き込み問題」の練習に最適だ。

「年表づくり」や「地図づくり」を楽しみながらやってみよう。

細部へのこだわり式学習

聖光で必ず出題されるのが、「リード文」「設問文」「資料」「図表」等の「要素」と自らの「知識」を多角的に結びつけないと解けない問題だ。

考えるに当たって最も重要なことは、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということだ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。

過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」や「関連事項」等を全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する訓練をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用すること。

こうした「細部へのこだわり学習」をつづけることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」と結びつけて考えればいい。

意識継続式学習

常に何かを「意識」しながら学習することが重要。漠然と机に向っていても無駄なだけだ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。聖光の入試本番では40分という制限時間の中で、様々な「要素」をクリアして答えなくてはいけない。

だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「他の設問」との関連は大丈夫か?「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

当然、「時間」も「意識」すること。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2018年度「聖光学院中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問 は「歴史」。「関東を行き来するルートのひとつである『箱根』の歴史についてのリード文」と「ルート地図」からの出題。
小問は全13問(解答数16)。「選択肢」(「年代整序」あり)、「空所補充事項記述」(「漢字指定」あり)、「説明記述」(1問、「字数指定」なし)。

大問 は「地理」(1問のみ「歴史」)。「伊豆半島を通る国道135号線沿道の地域についてのリード文」からの出題。
小問は全8問(解答数14)。「選択肢」(「不適切」「組み合わせ」あり)、「事項記述」(「空所補充」、「漢字」「カタカナ」指定あり)、「説明記述」(2問、ともに「字数指定」なし)。

大問 は「公民」(1問のみ「時事」)。「日本国憲法第25条」に関連する出題。
小問は全3問(解答数7)。「選択肢」(「空所補充」「不適切」あり)、「事項記述」(1問、「空所補充」、「漢字指定」)。

大問は「公民」「時事」。「最近のお金についてのリード文」からの出題。
小問は全7問(解答数8)。「選択肢」(「不適切」あり)、「事項記述」(「空所補充」、「漢字」「カタカナ」指定あり)、「語句記述」(1問、「空所補充」、「5字以内」指定)。
時間配分としては、「説明記述」は計6分ほど、それ以外は1問で1分弱のペース。

【大問1】歴史(「説明記述」「年代整序」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:13分
  • ★必答問題

「歴史」単元。「関東の内と外とを陸路で行き来するルートのひとつである神奈川県西部に位置する『箱根』の、飛鳥時代~現在までの歴史についてのリード文」と「神奈川県を中心としたルート地図」からの出題。

「政治分野」から「文化分野」まで、さまざまな「歴史的事項」が問われている。「基礎的知識」で答えられる問題が多いが、判別がやや厄介な「選択肢設問」や、悩ましい「説明記述」などもある。
以下、いくつか確認してみる。

[問1] 「空所補充の事項(人名)設問」(全4問。1問以外は「漢字指定」)。

リード文中の空所( 1 )~( 4 )に「あてはまる語句や人名」を答える。

( 1 )=「万葉集」(漢字指定)と、( 3 )=「歌川広重」(漢字指定)は誰でも即答のはずなので、それら以外を確認する。

先ずは、「(北条氏の)小田原城が降伏すると、(豊臣)秀吉の天下統一が達成され、関東は北条氏にかわって( 2 )が新たにおさめることになりました」。
これはどうか? 「秀吉」が「北条氏」を滅ぼしたのだから、「答え」は「豊臣秀吉」、ではない。思い出してほしい。このとき、「秀吉」は勢力を伸ばしつつあった「徳川家康」を警戒して、本拠地を「江戸」に移させ、「相模」も与えたではないか。
よって、正しい「答え」は、( 2 )=「徳川家康」(漢字指定)だ。

次に、「1940年の東京( 4 )開催が1936年に決まる」。
「東京○○開催」といえば、○○=「オリンピック」しか思いつかないが、「1940年開催」ってなんかおかしい……。が、それでいいのだ。「日中戦争」(1937年)などによって中止となった、「幻の日本初の東京オリンピック」のことは知っておきたい。
なので、( 4 )の「答え」は「オリンピック」でOK。

テキストなどには直接的に説明されていないことでも、「定着している知識」から類推するということが肝要だ。

<時間配分目安:全問で3分弱>

[問2] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。

下線部①「律令時代」について、「律令国家づくりをすすめていった飛鳥時代」の説明で、「正しいもの」を答える。

各選択肢の「キーワード」で正誤判別していく。
(ア)「推古天皇の時」「豪族に国家の役人となることを求める十七条憲法」⇒「推古天皇」の摂政=「厩戸皇子(聖徳太子)」⇒「十七条憲法」はOKだが、「役人となることを求める」? 「役人の心得」のはずだが……? 
(イ)「天武天皇」「最初の戸籍」「庚午年籍」⇒「最初の戸籍」は「天智天皇」だったはず=不適切、
(ウ)「中大兄皇子」「壬申の乱」「大友皇子を倒す」⇒無論、「壬申の乱」で勝利したのは「大海人皇子」(=「天武天皇」)=不適切、
(エ)「持統天皇」「平城京」⇒「平城京」=「元明天皇」は知っているはず、「持統天皇」は「藤原京」=不適切。

ということは結局、(ア)が「正しい」? そうだ。基本的に「十七条憲法」は「天皇中心の国家」を目指すものであり、「豪族」に対して「天皇」に仕えることを求めたからこそ「役人の心得」を記したのだ。

本校では、「歴史的事項」を単に「一問一答形式」で「事項暗記」するだけでは太刀打ち不可能。それぞれの「内容」や「背景」なども理解しておくことが求められる。
もちろん、本問は「消去法」でもいい。

<時間配分目安:1分以内>

[問4] 「下線部についての史料選択肢設問」(4択)。

下線部③の「建武の新政」は社会に混乱をもたらしたが、示されている「史料」で、その「混乱した世相」について述べたものを答える。

意外と抜け落ちている可能性のある「史料問題」。各選択肢を確認する。
(ア)「今一度、日本を洗濯いたし申し候(そうろう)」、
(イ)「このごろ都にはやる物、夜討・強盗・にせ綸旨(りんじ)」、
(ウ)「ざんぎり頭をたたいてみれば、文明開化の音がする」、
(エ)「世の中に蚊ほどうるさきものはなし ぶんぶというて夜も寝られず」。

無論、「答え」は(イ)だと即答できなくてはいけない。「二条河原の落書(らくしょ)」だ。万が一にも知らなかった諸君は、絶対に確認しておくこと。

尚、(ア)は「坂本龍馬」が姉に宛てた「手紙」、(ウ)は「明治時代初期」の「都都逸(どどいつ)」(=江戸時代後期から江戸を中心に広まった代表的な俗曲)、(エ)は「寛政の改革」を皮肉った「狂歌」。

こうした「史料」は上位校では頻出なので、理解、定着させておくことが不可欠だ。

<時間配分目安:1分弱>

[問6] 「下線部に関しての選択肢設問」(4択)。

下線部⑤「江戸城の将軍に箱根温泉のお湯が献上されることもあった」に関して、最初に献上された時の「4代将軍・家綱」についての説明で、「正しいもの」を答える。

出た! という感じかも。「3代将軍・家光」、「5代・綱吉」は誰でも押さえているが、「4代」は普通スルーのはず。どうする? 無論、「消去法」の出番だ。各選択肢を確認する。

(ア)「大坂城を攻めて豊臣氏を滅ぼす」⇒「2代・秀忠」に決まっている=不適切、
(イ)「天保の改革」⇒「12代・家慶」の時の老中「水野忠邦」が実施=不適切、
(ウ)「大名が養子を迎える条件をゆるめた」⇒初めて聞くことで?に違いない=不明、
(エ)「生まれながらの将軍」⇒無論、「3代・家光」。

したがって、「消去法」で「答え」は(ウ)で構わない。

「4代・家綱」は「末期養子の禁」を緩和した。「末期養子」とは「後継ぎのいない武士が、その死に際になって急に養子をとろうとすること」で、「お家断絶」を防ぐ目的があった。「江戸幕府」は当初、大名の勢力を弱体化したかったので禁じていたが、「4代・家綱」の頃には幕政も安定し、「お家断絶」による「牢人」(=主君を失った武士)の増加を防ぐためもあって緩和したのだ。

いずれにしても、こうした「知識」は「大学入試レベル」なので、知らなくても当然で、「消去法」で解けることになっていると心得よ。

<時間配分目安:1分半>

[問10] 「下線部についての年代整序選択肢設問」(4択)。

下線部⑨の「明治時代末から大正時代」の時期に起こった4つの出来事を「時期の早い順」に並べかえ、「3番目」になるものを答える。

各選択肢は、(ア)「日本が第一次世界大戦に参戦」、(イ)「韓国併合」、(ウ)「米騒動」、(エ)「ポーツマス条約に反対する暴動」。

それぞれの出来事の「背景」を考え、「流れ」で整序していく。

「ポーツマス条約」によって、ロシアが日本の「韓国に対する優越権、保護権」を認める→「伊藤博文」が暗殺される→「韓国併合」→「第一次世界大戦」に日本が参戦→「二十一か条の要求」→「ロシア革命」→「シベリア出兵」→「米騒動」といった「流れ」だ。

したがって、(エ)(イ)(ア)(ウ)の順となるので、「答え」は(ア)だ。

「年代整序」では、覚えているであろう「年代」の「数字」で特定するのではなく(「数字」を取り違える可能性が大いにある)、「出来事」の「背景」や「流れ」で整序していくこと。

<時間配分目安:1分>

[問13] 「波線部についての条件付き説明記述設問」(「1行」指定、「30字ほど」の解答欄)。

波線部「そのほかの要因によっても、箱根温泉は大きな危機にさらされることになりました」について、「箱根温泉」は「天災のほかにどのような要因によって、どのような危機にさらされていたのか」を「1行」で説明する。

「条件」は、示されている「新聞記事も参考にする」こと。「新聞記事」を確認する。
「箱根は、小田原―真鶴間の鉄道が開通した結果、非常に寂(さび)れ、その代わりに熱海などは、……いつにない繁昌(はんじょう)を呈している。其(そ)の理由は、……諸物価が箱根の半分位で、自然、避寒客が集まった」(「都新聞」1923年1月9日)などといったことが記されている。

そして、「リード文」とともに示されている「地図(ルート図)」からは、「箱根」と「小田原」「真鶴」「熱海」などとの位置関係が分かる。
こうした「情報」に基づいて考えていくと、「箱根温泉」が「危機にさらされて」いる「天災以外の要因」と、「どのような危機にさらされているのか」ということが判断できるはずだ。
さあ、まとめてみよう。

たとえば、「鉄道が開通し、物価が安く気候が温暖な熱海に客を奪われる危機。」といった「答え」になる。

「条件」も含めて、与えられた「情報」を「設問内容」に応じて的確に処理し、判断していくことが求められている。

<時間配分目安:2分>

【大問2】地理(「歴史」1問、「地形図読み取り」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:14分

「地理」単元(1問のみ「歴史」)。「神奈川県小田原市から静岡県島田市まで、伊豆半島東部の海岸沿いを通る国道135号線、その沿道の地域についてのリード文」からの出題。

「地理」の「基本的問題」が中心だが、そこは本校のこと、「統計資料」「地形図」「写真」「図版」などの「素材」を正確に読み取らなくては「正解」にたどり着けない。
いくつかの「設問」を検討する。

[問1(1)] 「空所補充語句記述設問」(「漢字」指定)。「地理」単元。

リード文中の空所( 1 )に「あてはまる語句」を「漢字」で答える。

空所部分は、「( 1 )湾に突き出した真鶴半島」となっている。「真鶴半島」はさすがに知らなくても不思議はない。どうするか? 知らなくても答えられはずだと考えたい。

「リード文」とともに示されている「地図(ルート図)」があったではないか。確認すると、「真鶴半島」が神奈川県南部に面している「海」に「突き出ている」ことが分かる。
であれば、「答え」は「相模(湾)」だと特定できる。

「私が知らない」→「誰も知らない」→「知らなくても解ける」と考えて、どうにか「手がかり」を見い出すことが重要だ。

<時間配分目安:1分以内>

[問2(b)] 「下線部についての統計資料読み取り選択肢設問」(全2問/11択)。「地理」単元。

下線部①「ミカン栽培」について、示されている「表」は「イチゴ」「茶」「ミカン」「ナス」の「生産量上位4都道府県」を表しているが、「熊本県」と「静岡県」に「あたるもの」を、(ア)~(サ)の中からそれぞれ答える。

お馴染みの「都道府県ランキング」だ。
「茶」が「1位」になっている(エ)=「静岡県」が「答え」だとすぐに分かる。

で、「熊本県」だ。これらの中に「熊本県」が「1位」のものはないはず。上位にくるとしたら……。
「イチゴ」は「栃木県」「福岡県」、「茶」は「静岡県」「鹿児島県」、「ミカン」は「和歌山県」「愛媛県」、「ナス」は「高知県」、あっ!、「2位」は「熊本県」だった? そのとおり。「ナス」の「2位」である選択肢(ウ)は、「イチゴ」では「3位」、間違いない。
というわけで、「熊本県」=(ウ)がもうひとつの「答え」だ。

尚、「農産物」に限らず、「工業製品」等々も代表的な「都道府県ランキング」は、せめて「ベスト3」までは定着させておきたい。

<時間配分目安:2問で1分半>

[問6(a)] 「下線部に関連しての事項記述設問」(「カタカナ2字」指定)。「地理」単元(「一般常識」に近い)。

下線部⑤「(大室山の)山焼き」に関連して、大室山に生えている植物は「かつて主に屋根を葺(ふ)くために用いられていた」が、「その植物の総称」を「カタカナ2字」で答える。

「屋根を葺く」という表現自体が「?」という諸君もいるだろう。ただ、「世界遺産」の「合掌造り集落」を学んだときに、あの屋根は「茅(かや)葺き屋根」だということを、見聞きしたことがあったのではなかろうか。
「答え」は「カヤ」だ。

「捨て問」でも構わないのだが、テキストの隅にしか載っていないようなことまでを注意しておくと、こういうときに役立つということだ。

<時間配分目安:30秒>

[問7] 「下線部についての理由説明記述設問」(「15字以内」指定)。「地理」単元(といっても、「考察」問題)。

下線部⑥の「キンメダイ漁」は、「値段を高くすることができるので、網ではなく釣りによって漁獲」されているが、「なぜ釣りによって漁獲すると値段を高くできるのか」を「15字以内」で説明する。

はっ? そんなこと考えたこともないに違いない。だが、答えられる。だからこそ、本校の「設問」として成立している。「考察」しよう。「釣り」と「網」、何が違ってくるのか?
「釣り」では当然、一匹ずつ釣り上げるが、「網」では数多く魚がひしめき合っている状態で引き上げられる。もう分かったはずだ。「網」では、どうしても魚の体に傷がつきやすくなる。つまり、「見ばえ」が悪くなるわけだ。

よって、たとえば、「魚の体に傷がつきにくいから。」といった「答え」となる。

自らの「常識」を信じて「考察」することも必要な場合があると肝銘せよ。

<時間配分目安:1分半>

【大問3】公民(「時事」1問あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:6分

「公民」単元(1問のみ「時事」)。「最近の日本では『貧困』や『格差』に関する問題を耳にすることが増えてきた」という観点での、「日本国憲法第25条」の「条文」に関連する出題。

問題数は少ないが、「公民」「時事」についてのエアポケットになっていそうな事項が問われ、ややひねった問題もある大問になっている。
以下、いくつかの「設問」を検証したい。

[問1(a)] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。「公民」単元。

下線部①の「健康で文化的な最低限度の生活」が確保されていたかが争われた事件に「朝日訴訟」があったが、この裁判では「どのような生活が『健康で文化的な最低限度の生活』にあたるかは、担当大臣の裁量に委ねられる……」という判断が下された。「この担当大臣」として「正しいもの」を答える。

そして、「なお選択肢は、事件当時の名称」との注意書きがある。
各選択肢は、(ア)「大蔵大臣」、(イ)「通産大臣」、(ウ)「厚生大臣」、(エ)「文部大臣」。

なるほど、今では耳にしない「名称」だ。なにやらものものしく、ややこしい設問だ。が、ここでビビッては負けだ。冷静に考えること。
「日本国憲法第25条」に関する裁判ということは、「社会保障」に関するものだと分かるはず(ここでは「公的扶助(生活保護)」)。「社会保障」の担当省庁といえば、現在は「厚生労働省」(省庁再編で「厚生省」と「労働省」がひとつになった)。

したがって、「答え」は(ウ)になる。

ちょっとひねった問題で動揺したとしても、落ち着いてひもといていけば大丈夫だ。
尚、「大蔵省」→「財務省」、「通産省」→「経済産業省」、「文部省」→「文部科学省」ということは知っておくこと。

<時間配分目安:1分>

[問3(a)] 「波線部に関しての空所補充事項記述設問」(「漢字」指定)。「時事」単元。

波線部の「貧困や格差に関する問題」に関して、「生活水準を示す指標」のひとつである「エンゲル係数」は、「自由に使えるお金のうち    A    に使われている割合」のことだが、空所    A    に「入る語句」を「漢字」で答える。

問題文にもあるように、近年この「エンゲル係数」が高水準(生活が苦しいことになる)となっていることが報道されている。その意味では典型的な「時事問題」なのだが、果たしてここまで押さえているだろうか? 

「答え」は「食料費(食費)」だ。

「公民」では「死語」になったとさえ考えられ、ほとんど無視されていた「エンゲル係数」が「時事」でよみがえったわけだ。
「時事」単元は、他の「単元」とクロスさせて理解し、定着させることが肝要だ。

<時間配分目安:30秒>

[問3(b)] 「波線部に関しての空所補充選択肢設問」(4択)。「公民」単元。

波線部の「貧困や格差に関する問題」に関して、「高度経済成長期から昭和の終わり頃まで、社会の格差が少なく、国民生活が豊かであることを表現する『一億総    B    社会』という言葉があった」が、この空所    B    に「あてはまる語句」を答える。

各選択肢は、(ア)「活躍」、(イ)「懺悔(ざんげ)」、(ウ)「中流」、(エ)「メディア」。

前問の「時事問題」を解いた直後、「一億総○○社会」とくれば、「一億総活躍社会」で決まり、とばかりに「時事問題」的発想で「答え」を出したりしてはダメだ。
確かにそれは、安倍内閣のスローガンだが、問われているのは「高度経済成長期から昭和の終わり頃」のもの。

よって、「答え」は(ウ)の「中流」となる。

ちなみに、「一億総懺悔社会」は敗戦直後、「一億総メディア社会」は近年の「SNS時代」を表す表現だ。
尚、本問は「ひっかけ問題」ではないのに勝手に「ひっかかる」恐れがあるのだ。前問に流されて漫然と説くのではなく、1問ごとに頭を切り替えて臨むことが肝要だ。

<時間配分目安:1分弱>

【大問4】公民「時事」(「語句記述」あり)

  • 難度:
  • 時間配分:7分

「公民」「時事」単元。「電子マネーや消費税の価格表示、年金などの最近のお金にまつわるさまざまなことについてのリード文」からの出題。

「公民」の「経済分野」や「時事問題」などの基礎的事項が問われている平易な大問だ。一気呵成に得点を重ねていきたい。
2問だけ考える。

[問3] 「下線部についての事項記述設問」(「カタカナ」指定)。「時事」単元。

下線部⑤の「仮想通貨」の「先駆的存在で、運用開始以来シェア(市場占有率)1位を続けているもの」を「カタカナ」で答える。

典型的な「時事問題」だ。
「答え」は「ビットコイン」と即答できなくてはいけない。

この程度の「時事的事項」が本校の「標準レベル」だ。もし押さえていなかった諸君がいたら、習得事項を見直すこと。
尚、2018年1月日本で、「仮想通貨」のひとつである「NEM(ネム)」が580億円も流出するという事件が起こった。来年度の「時事問題」として要注意!

<時間配分目安:30秒>

[問5] 「下線部についての空所補充語句記述設問」(「5字以内」指定)。「時事」単元(「公民」的要素含む)。

下線部⑤「(消費税の表示は『税込み価格』が義務付けられていたが)2013年10月から2021年3月までの間、『定価(本体2000円+税)』のような価格表示が認められている」について、示されている「なぜ一時的にこうした価格表示方式が認められているか」を説明した文中の空所に「あてはまる言葉」を「5字以内」で答える。

説明文の空所は「消費税率が               引き上げられることが決められたから」となっている。

どうにも面倒な問題文だ。だが、「消費税」についての基本的知識から考えることができるはず。「消費税」は当初の「3%」(1989年)→「5%」(1997年)→「8%」(2014年)と税率がアップしてきており、さらに、2019年には「10%」に引き上げられることが決まっている。このことは誰でも知っている。
であれば、現在の「8%」が変更になることがすでに分かっているので、上記のような「価格表示」が一時的に認められていると判断できるだろう。

したがって、「答え」は「段階的に」といったものになる。

一読すると複雑な設問設定は本校の定番。それに惑わされることなく、単純化して解き進めることが重要。

<時間配分目安:1分半>

攻略のポイント

●最大の特色は、「リード文」「設問」「統計資料」「地図」「地形図」「図表」「写真」などの「要素」と「自らの知識」を多角的に結びつけて考察しないと解けない問題が多いということだ。設問どうしの連関にも注意する必要がある。
出題傾向は一貫しているので、最低でも10年分以上の過去問練習をしておきたい。「解説」をしっかりと読んで、どのような「要素」を組み合わせて考えていくのかを確認し、「多角的思考」ができるように訓練すること。

●合格ラインは高い(過去5年間の「合格者平均得点率」は74.7%、本年度は74.1%)。7割以上は確実に得点したい。
時間を考えれば「戦術」が不可欠。基本は「取れる問題を確実に押さえる」ということ。「取れそうにない問題は潔く捨てる」というメリハリも必要だ。「基礎的知識」で基礎点(7割程度)は獲得可能。無論、「単純ミス」は絶対にしないこと。

●「地理」では、「地図」「地形図」「統計資料」「写真」「図版」等が必ず出題されるので、練習を重ねること。
また、「神奈川御三家」の一校として「神奈川の御当地問題」もしばしば出題されるので、個別の学習が不可欠。ただし、テキストにはないので、要注意。

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