洗足学園中学校 入試対策
2023年度「洗足学園中学校の国語」
攻略のための学習方法
知識
「洗足の国語」での「攻略ポイント」のひとつである「総合的知識問題」。さあ、どのように対応するか？
当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。
先ず「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。
また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。
入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。「指定字数」の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。
そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されることもあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。
速読
大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で6500～8000字前後。解答時間は50分。当然、「速読」ができた方がいい。
しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Ｎの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。
こうした手法によって、洗足おなじみの「複雑な設問」にも的確に対処できるようになる。これらのコツは塾でも教えてくれるはず。教えてくれなければ、自分から聞いてみるといった積極性がほしい。
その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。洗足に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。
そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。
解法
洗足の「複雑怪奇な設問内容」を「解読」するための基本は、前述した通り「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか？ その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。
繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
記述
「洗足の記述対策」は前述の通りだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。
では、何を「書く」か？ 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。50～80字程度で書いてみる(洗足の様々な「字数指定」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか？ 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20～30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。
「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
意識
いついかなる時でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなくと机に向かっていても無駄なだけ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。
そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。「設問」を正しく理解しているか？ 「条件」に合致しているか？ 「細部」は大丈夫か？ 「必要な要素」は満たしているか？ つまらないミスはないか？ といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。
50分という時間で解き進めていく洗足では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2023年度「洗足学園中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は｢論説文｣、出典は山口裕之｢『みんな違ってみんないい』のか？――相対主義と普遍主義の問題｣(文字数約3500字)。小問は全９問(解答数16)｡｢選択肢｣(｢空所補充｣、｢本文内容合致｣あり)､｢抜き出し｣、｢説明記述｣(全４問。全て｢字数指定｣なし)､｢漢字の書きとり｣(全５問)。問題文は４分程度で読み切り、設問を21分ほどで解きたい。
大問二は｢小説｣、出典は辻みゆき｢家族セッション｣(文字数約3900字)。小問は全７問(解答数は16)｡｢選択肢｣(｢空所補充｣、｢不適切感想判別｣、｢総合的知識問題｣、｢不適切｣あり)､｢説明記述｣(全３問。全て｢字数指定｣なし)。問題文は４分半ほどで読み切り、設問を20分強で解きたい。
[大問一]｢論説文の読解｣(｢説明記述｣｢漢字書きとり｣あり)
- 難度：標準
- 時間配分：25分
- ★必答問題
｢正しさは人それぞれ｣といって他人との関係を切り捨てるのでもなく、｢真実は一つ｣といって自分と異なる考えを否定するのでもなく――考え方の異なる者同士がともに生きていくために、｢正しさ｣とは何か、それはどのようにして作られていくものかを論じている。本文では、他人と合意しなければならないことについて｢人それぞれ｣などといって十分に話し合う努力をしないでいると、社会は分断されてしまうと指摘している。｢文化論｣で難解な語句があるが、｢★注｣を使って内容を理解したい。｢説明記述｣を中心に本校らしい設問が並ぶ大問だ。以下、いくつかを検証してみたい。
[問一] ｢理由説明記述｣(｢２行以内｣指定、｢60字ほど｣の解答欄)
傍線部(１)｢私たちは海外旅行に行くときに、行き先の国の刑法体系について調べておくなどということはしないでしょう｣について、｢その理由｣を｢二行以内｣で説明する。
｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣(｢傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という｢重要解法｣)に｢手がかり｣を求める。傍線部は形式段落の冒頭で、直前に｢たとえば､｣とある。ということは、前段落で述べられていることの｢具体例｣だ。内容を確認すると、｢現在では民主的な価値観や基本的人権が世界的に｢正しい｣と認められており、多くの国の法律は私たちにとって理解不能なほど奇妙な法律体系になっていることはない｣と述べられている。つまり、｢行き先の国の刑法体系｣も｢私たちにとって理解不能｣ではない⇒｢だから｣⇒｢調べておくことはしない｣というわけだ。あとは、こうした内容を整理して｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢民主的な価値観や基本的人権が世界的に『正しい』と認められており、私たちにとっては行き先の国の刑法も理解不能ではないから｡｣(60字)といった｢答え｣になる。
尚、｢説明記述｣では｢最重要要素｣(｢理由説明｣では｢直接的理由｣)を必ず｢文末｣とせよ。
＜時間配分目安：２分半＞
[問二] ｢空所補充の表現抜き出し｣(｢15～20字以内｣指定)
本文中の空所部 (２) に｢入る表現｣を、｢十五字以上二十字以内｣で抜き出て答える。
｢抜き出し｣では、｢抜き出し内容｣を正確に捉(とら)えた上で、｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいく。｢内容｣を捉えるために、先ずは｢空所前後｣を確認する。｢『正しさは社会や国により異なる』などと唱えるまえに、むしろ考えなければならないことは、 (２) についてです｣となっている。空所部は｢正しさ｣に関することだと分かったが、これだけでは抜き出しようがない。さらなる｢手がかり｣を｢同一意味段落｣でチェックしたい(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢根拠･手がかり｣がある)。確認すると、次の形式段落以降で｢ルールを正当化する手続き｣について論じ、その｢手続き｣そのものの｢正しさ｣が問題だと指摘していることが読み取れる。つまり、こうしたことが｢むしろ考えなければならないこと｣＝｢抜き出し内容｣になる。｢範囲｣は当然｢同一意味段落｣。ここでは、傍線部の後２つの形式段落だと判断できるはずだ。丁寧に探していくと、最後から３行前に｢これらの法律は『ルールを正当化する手続きの正しさ』を満たしておらず、やはり不正だった｣という部分がある。まさに、｢抜き出し内容｣そのものだ。｢指定字数｣もＯＫ。よって、｢答え｣は｢ルールを正当化する手続きの正しさ｣(16字)だ。
尚、｢抜き出し｣では｢候補｣は決してひとつとは限らないので、必ず｢範囲｣のすべてを確認する必要がある。
＜時間配分目安：２分半＞
[問三] ｢換言説明選択肢｣(４択)
傍線部(３)の｢『正しさ』は、ある行為に複数の人間が関わるときに、その人たちの間で合意が形成されることで成立します｣とは｢どういうことか｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)。ここは｢換言説明｣なので、｢合意が形成されることで成立します｣の｢原意｣と結びつかない｢換言｣を｢消去｣する。各選択肢の｢文末｣を確認する(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)｡本問の｢文末｣は全て｢決まるということ｣なので、その直前だ。
(ア)｢(お互いが)すべてを認めているかによって｣､(イ)｢皆が納得できるかによって｣､(ウ)｢自分自身の行動や生活態度によって｣､(エ)｢権力者による強制であるかによって｣｡どうだろうか？ ｢複数の人間の間で合意が形成される｣のだから｢皆が納得できる｣以外は｢消去｣できると判別可能のはずだ。他の部分の説明を｢同一意味段落｣で確認しても特に誤っていないので、｢答え｣は(イ)になる。見事な｢一発消去｣だったではないか。｢原意消去｣は必ず使いこなせるようにしたい。
＜時間配分目安：１分半＞
[問四] ｢空所補充の語句選択肢｣(全４問/４択)
本文中の空所 Ａ ～ Ｄ に｢入る語｣を答える。
各選択肢は、｢接続詞｣と｢副詞｣だ。必出の本校に限らず定番の問題。｢接続詞｣では｢逆接｣はともかく、それ以外には十分に注意すること。｢逆接｣以外ではどれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの｢接続詞｣の｢意味･用法｣を的確に押さえた上で、｢内容｣を確認すること。また、形式段落冒頭の｢接続詞｣は｢前段落全ての内容｣を指し示すことにも注意したい。では、それぞれの空所の｢答え｣を確認していきたい｡
Ａ には｢例示｣を表す｢副詞｣である(ウ)｢たとえば｣、 Ｂ には｢換言｣の｢接続詞｣(イ)｢つまり｣､ Ｃ には｢論じる必要のないほど、はっきりしているさま｣を表す｢副詞｣の(エ)｢もちろん｣、 Ｄ には｢添加｣の｢接続詞｣の(ア)｢それに｣がそれぞれ入ると特定できるはずだ。｢候補｣はひとつとは限らないので、必ず全て｢代入確認｣すべし。
＜時間配分目安：１分半＞
[問五] ｢内容説明記述｣(｢１行｣指定、｢30字ほど｣の解答欄)
傍線部(４)｢あからさまに暴力的な手続き｣について、｢誰がどうすることか｣を｢一行｣で説明する。
｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣で確認すると、直前に｢そうした｣という｢指示語｣がある。つまり、｢そうした｣が傍線部の内容だ。段落冒頭だということに注意しながら｢指示語｣を開いて(段落冒頭の指示語は前段落全ての内容を指し示す)、説明すべき｢要素｣を読み解いていく。｢誰が｣＝｢権力者が｣、｢どうすること｣＝｢法律を一方的に定めて、従うことを暴力で強制すること｣だと分かるはずだ。あとは、簡潔にまとめていきたい。たとえば、｢権力者が法律を一方的に定めて、従うことを暴力で強制すること｡｣(30字)といった｢答え｣だ。｢設問内容｣に応じた的確な｢解法｣を用いて解き進めていくことが重要だ。
＜時間配分目安：２分＞
[問八] ｢漢字の書きとり｣(全５問)
昨年度よりはやや難しくなったが、本校としては｢標準レベル｣。｢全問正解｣でいきたい。当然、｢文脈｣を正確に読み取り、的確な｢漢字｣に結びつけることを忘れてはならない。それぞれを確認する。
(ア)｢『正しさは社会や国により異なる』などとトナえるまえに｣＝｢唱(える)｣⇒何ら問題なし。
(イ)｢勝手にスイソクした｣＝｢推測｣⇒定番の熟語だ⇒｢文脈｣を正しく読み取ること。
(ウ)｢セスジが寒くなります｣＝｢背筋｣⇒やや分かりづらいか⇒｢背筋が寒くなる｣(＝恐怖などのためにぞっとする)という｢慣用句｣で定着させておくこと。
(エ)｢不正をコクハツする｣＝｢告発｣⇒お馴染みのはず。
(オ)｢努力をしないで済ませる態度をジョチョウする｣＝｢助長｣⇒これは難問か？⇒｢力を添えて、ある物事の成長や発展を助けること｣、｢不必要な力添えをして、かえって害すること｣⇒後者の｢悪い意味｣で用いられることが多いので注意したい。
尚、｢トメ｣｢ハネ｣などにも配慮し丁寧に記すことは言うまでもない。
＜時間配分目安：全問で１分半弱＞
[大問二]｢小説の読解｣(｢不適切感想判別｣｢総合的知識問題｣あり)
- 難度：やや難
- 時間配分：25分
赤ちゃんのときに病院ですり替えられたという衝撃の事実に直面した中学１年の３人の少女たち、｢千鈴(ちすず)｣･｢姫乃(ひめの)｣･｢菜種(なたね)｣が互いへの理解を深め合いながら、新しい生き方を探し求めていく物語だ。本文では、それぞれの家族の間を行き来する｢ホームステイ｣を繰り返しているうちに、３人の心の中にお互いに対する思いが募(つの)っていく様子が描かれている。内容は難なく理解できる。だが、｢セリフ｣と｢ト書き｣の対応や｢会話｣と｢地の文｣との結びつきなどの読み取りなどで厄介なものがある。また、｢表現効果判別｣や｢感想判別｣といった新機軸の出題もある大問だ。心して解いていきたい。以下、いくつかの｢設問｣を確認する。
[問一] ｢条件付き心情説明記述｣(全３問。｢２行以内｣指定２問と｢３行以内｣指定１問)
傍線部(１)｢三人はとうとう、よどんでいた気持ちをぶつけあうことになってしまった｣について、(一)～(三)の枝問に答える。
｢条件｣は｢本文全体を通して説明する｣こと。枝問は、(一)｢姫乃｣→｢菜種｣･(二)｢菜種｣→｢千鈴｣･(三)｢千鈴｣→｢姫乃｣、それぞれに対する｢心情｣を説明するものだ。｢本文全体｣の｢会話｣と｢地の文｣、さらには｢セリフ｣と｢ト書き｣との連関から｢心情｣を読み取っていくことになる。
(一)だけを考えてみよう(｢２行以内｣指定、｢60字ほど｣の解答欄)
｢姫乃｣の｢菜種｣に対する｢心情｣が読み取れる｢同一場面｣をチェックしたい(｢小説｣では｢同一場面の直前直後｣に｢手がかり･ヒント｣がある)。そこから、｢姫乃｣は｢菜種｣が｢門倉の娘｣と言われていると知って、テストでいい点をとったり、手伝いをしたりして気に入られようとしている｢菜種｣のことを、前からずっと｢ずるい｣と思っていたことが分かるはずだ。こうした内容を適切にまとめていく。たとえば、｢門倉家の家族として受け入れられ、テストでいい点をとったり手伝いもしたりして気に入られようとしているのがずるいという思い｡｣(60字)といった｢答え｣だ。他の枝問も｢同一場面｣を読み解いてまとめてみること。
＜時間配分目安：全問で８分程度＞
[問二] ｢表現の意味の選択肢｣(全５問/７択)
｢総合的知識問題｣｡｢慣用句｣｢ことわざ｣など。
傍線部(２)に｢耳が勝手に声を拾う｣とあるが、示されている｢『耳』を使った慣用句｣｢『声』や『音』に関することわざ｣などについての｢説明｣を【語群】の中からそれぞれ答える。
示されている｢表現｣は、(一)｢耳が痛い｣､(二)｢寝耳に水｣､(三)｢産声(うぶごえ)を上げる｣､(四)｢猫なで声｣､(五)｢音を上げる｣｡誰も知らないものがあるやも知れぬ。が、本校志望者であれば｢消去法｣も駆使してなんとか｢全問正解｣といきたい。｢答え｣を確認する。
(一)＝【語群】(ウ)｢弱点を指摘されてつらい｣､(二)＝(エ)｢不意の出来事に驚く｣､(三)＝(カ)｢新しい物事が作り出される｣､(四)＝(ア)｢人の機嫌を取ろうとする言い方｣､(五)＝(キ)｢困難な状況に耐えられない｣｡
｢慣用句｣･｢ことわざ｣･｢成句｣(＝古くから慣習的に用いられているひとまとまりの言葉)などは４年連続して出題されている。
尚、本校では他に｢故事成語｣･｢四字熟語｣などの習得、定着も必須だ。
＜時間配分目安：全問で１分半＞
[問三] ｢心情説明選択肢｣(４択)
傍線部(３)｢そんな、めちゃくちゃな｣について、｢このときの『千鈴』の心情｣を答える。
最優先は｢そんな｣という｢指示語｣を開くことだ(｢指示語｣が出たら即開くこと)。直前から、｢そんな｣＝｢千鈴は、ずるい、ずるいことをしてないかもしれないけど、ずるい｣という｢姫乃｣の言葉だと分かる。で、ここで｢原意消去｣。ここは｢心情説明｣なので、｢めちゃくちゃな｣と言ったときの｢心情｣と結びつかないものを｢消去｣する。各選択肢の｢文末｣と照合する｡
(ア)｢途方に暮れている｣､(イ)｢不安を抱いている｣､(ウ)｢困惑している｣､(エ)｢苛立ちをあらわにしている｣｡
｢ずるいことをしてないかもしれないけど、ずるい｣⇒｢めちゃくちゃな｣なのだから、｢困惑｣以外は｢消去｣だと判別できなくていけない。｢同一場面｣から、他の部分の説明も特に誤っていないと分かるので、｢答え｣は(ウ)だ。やはり、｢原意消去｣は使える。｢小説｣でも問題ない。活用せよ。
＜時間配分目安：１分半＞
[問七] ｢不適切感想判別選択肢設問｣(４択)
示されている｢本文についての先生の説明｣と、それに対する｢Ａさん｣～｢Ｄさん｣の｢感想｣に関して、｢４人｣の中で｢明らかに本文の内容や特徴と合わない一人は誰か｣を答える。
あくまでも｢感想｣なので、一人ひとりの｢主観的要素｣で｢正誤判別｣はできない。よって、客観的な｢事実関係｣の｢正誤｣のみに絞(しぼ)って｢判別｣することになる。丁寧に判別していくと、選択肢(エ)｢Ｄさん｣の｢感想｣中に｢千鈴、姫乃、菜種、それぞれの視点から、三者三様の描き方をしたもの……｣とあるが、本文は３人の会話の間に｢千鈴｣だけ｢心の内面｣が語られていて、明らかに｢千鈴の視点｣から描かれていることが分かるはずだ。よって、｢答え｣は(エ)になる。
尚、本問は｢新大学入試制度｣、特に｢大学入学共通テスト｣を意識していることは明白なので、来年度以降も当然出題があり得ると考えよ。
＜時間配分目安：２分半＞
※尚、[問六]は｢表現効果の不適切選択肢設問｣(４択)になっている。４か所の｢表現上の効果｣についての｢事実関係｣等を正確に読み解いて判別する必要があり、とても手間暇(ひま)がかかる。したがって、戦術的には｢あとまわし｣にすること。｢捨て問｣でも構わない。
攻略のポイント
●｢説明記述｣での｢素直ではない設問内容｣をいかに的確に解きほぐすかが、｢最大の攻略ポイント｣。攻略のためには、｢文章内容｣に対応した｢解法｣を的確に用いて考えることが必要だ。したがって、基本的｢解法｣を完全に習得して適切に応用できるようにしておくことが重要。｢設問内容の取り違い｣による｢失点｣や｢減点｣を防ぎ、｢得点力｣を安定させたい。｢合格ライン｣は６割半程度(本年度の４科目合計の｢合格最低得点率｣61.1%、｢国語｣の｢受験者平均得点率｣は64.9%)。｢説明記述｣での配点比率が高い本校では(本年度は43%)､｢失点｣｢減点｣が致命的になると心得よ。
●｢記述方法｣の対策も怠ってはならない。正否の分かれ目となる｢最重要要素｣を｢文末｣として他の｢必要要素｣を積み上げていく手法を完璧にマスターすること。｢内容｣から必要度の優先順位を特定し、優先度の高いものから積み上げる。それぞれの｢要素｣を｢20～30字程度｣でまとめられるように徹底的に練習することが必要だ。さまざまな｢字数｣に応じてまとめられるような練習もしておきたい。
●ミスが許されない｢総合的知識問題｣｡｢国語常識｣を含む｢あらゆる知識｣が問われる。本校を志望したその瞬間から、独自に｢幅広い知識｣を常に習得していくこと。塾での学習だけでは全く不十分なので、｢独習｣は欠かせない。
●昨年度初出の｢内容推測記述｣に引き続き、本年度は｢不適切感想判別選択肢設問｣が出題された。2021年度から導入された新たな｢大学入試新制度｣を意識したものだ。来年度以降の出題も予想されるので、｢思考力･判断力･表現力｣を磨くべく練習を重ねてほしい。
●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は全体で例年6500～8000字前後(本年度は約7400字)。てきるだけ素早く正確に読み取っていきたい。分速750字以上を目標に｢読む練習｣を常にすること。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
洗足学園中学校の科目別
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