｢岐阜県の自然や､農業･漁業･鉱工業などの産業についてのリード文｣からの出題。
本校にしては珍しく、｢地図｣｢地形図｣に関する出題がない。｢統計資料｣も｢雨温図｣と｢農産物の都道府県別生産量割合｣の２種類だけだ。｢出題内容｣も昨年度のややこしいものから一変し、実にオーソドックスな｢地理｣の問題となっている。だが、決して難易度が下がったわけではないので油断は禁物だ。以下、いくつかの｢設問｣を確認してみよう。

[問１(１)]　｢下線部に関連する雨温図の選択肢設問｣(４択)。｢リード文｣中の下線部(ア)｢岐阜県｣の｢県庁所在地｣における｢月別平均気温と降水量を示したグラフ｣を答える。

お馴染みの｢雨温図｣で､｢岐阜県｣が｢内陸県｣だということは誰でも知っているので、難なく判別できると高をくくっているととんでもないことになるので、要警戒。

示されている(Ａ)～(Ｄ)の｢グラフ｣で、(Ｂ)は冬の降水量が多いので、即座に｢日本海側の気候｣だと｢消去｣できるが､残りの判別がなかなか厄介だ。｢年間降水量｣は(Ｃ)がやや多く、(Ａ)(Ｄ)は少ない。｢冬の気温｣は(Ｄ)だけが｢０℃｣を下回っている。ここで、(Ｄ)は｢中央高地の気候｣だと特定し｢消去｣できるはず。そして、｢夏と冬との寒暖差｣がより大きい(Ｃ)＝｢内陸｣と判断して、｢答え｣にしたい。ちなみに、(Ａ)は｢瀬戸内の気候｣だ。たかが｢雨温図｣と侮ってはいけない。やはり、微妙な｢違い｣でも判別できるように鍛錬しておくことが肝要だ。

＜時間配分目安：１分強＞

[問１(２)]　｢下線部についての説明文の不適切選択肢設問｣(４択)。｢リード文｣中の下線部(ア)の｢岐阜県｣についての｢説明文｣で、｢誤っているもの｣を答える。

各選択肢の｢キーワード｣に着目して｢正誤判別｣していきたい。

(Ａ)｢飛彈山脈は、県北西部の長野県との県境｣⇒｢飛彈山脈｣は｢岐阜県｣と｢長野県｣にまたがっているので｢適切｣､ではない。細部に注意しなくてはいけない。｢長野県｣は｢岐阜県｣の｢西部｣ではなく｢東部｣だ＝不適切｡尚、｢飛彈山脈｣は｢新潟県南西部｣と｢富山県東部｣､｢長野県北西部｣と｢岐阜県北東部｣にまたがって、南北に連なっている。

(Ｂ)｢県南部｣に｢輪中｣⇒｢輪中｣といえば｢木曽三川｣が流れ込む｢濃尾平野｣､｢岐阜県南西部｣にも広がっている＝適切。ちなみに、｢木曽三川｣とは東から｢木曽川｣｢長良川｣｢揖斐川｣の総称。

(Ｃ)｢三重県･福井県と隣接｣⇒｢三重県｣？　一瞬悩むかも知れないが、｢岐阜県｣は｢長野県｣｢富山県｣｢石川県｣｢福井県｣｢滋賀県｣｢三重県｣｢愛知県｣と隣接している(｢長野県｣の｢８県｣に次いで､｢埼玉県｣とともに２番目に｢隣接県｣が多い)＝適切。

(Ｄ)｢県南部を東海道新幹線が通過している｣⇒｢岐阜羽島駅｣がある＝適切。｢正誤判別｣ではさまざまな点について、詳細に判断する必要がある。

＜時間配分目安：１分強＞

[問３]　｢下線部に関連する都道府県の組み合わせ選択肢設問｣(４択)。｢リード文｣中の下線部(ウ)｢内陸県｣に関連して、｢岐阜県｣と同様に｢海岸線を持たない都道府県｣の｢組み合わせ｣として｢ふさわしいもの｣を答える。

本校に限らず、｢内陸県｣は定番だ。当然、全て定着していなければならない。各選択肢を確認する。

(Ａ)｢京都府･奈良県･滋賀県｣､
(Ｂ)｢埼玉県･山梨県･岡山県｣､
(Ｃ)｢長野県･茨城県･東京都｣､
(Ｄ)｢栃木県･群馬県･滋賀県｣｡

無論、｢答え｣は(Ｄ)だ。｢内陸県｣は｢群馬県･栃木県･埼玉県･山梨県･長野県･岐阜県･滋賀県･奈良県｣の｢８県｣､忘れていた諸君はしっかりと復習しておくこと。

＜時間配分目安：30秒＞

[問５]　｢下線部についての不適切選択肢設問｣(４択)。｢リード文｣中の下線部(オ)の｢伝統工業｣の｢現状｣についての｢説明文｣で、｢誤っているもの｣を答える。

各選択肢の｢正誤判別｣をする｡

(Ａ)｢後継者減少｣｢職人の高齢化｣⇒誰もが知っているはずの｢現状｣＝適切｡

(Ｂ)｢漆など、伝統的工芸品の原材料の国内調達が困難｣⇒直接的には知らなくとも、これも｢生産量｣や｢価格｣のことから考えれば、類推可能だ＝適切。ちなみに、｢漆｣の国内消費量の98％は輸入品が占め、ほとんどが｢中国産｣｡

(Ｃ)｢製品に大きな影響を与え得る部分は手作業｣⇒？　なかなか悩ましい。そんなこと、知らなくても当然＝不明。

(Ｄ)｢農林水産大臣により指定を受けた伝統的工芸品｣⇒｢伝統的工芸品｣の指定は｢経済産業大臣｣に決まっている＝不適切。

したがって、結果的に｢答え｣は(Ｄ)となる。
ちなみに、｢伝統的工芸品｣に指定される｢条件｣のひとつに｢製造工程のうち、製品の持ち味に大きな影響を与える部分は、手作業が中心であること｣という項目があるので、(Ｃ)＝適切だ。
尚、｢不適切選択肢設問｣では、｢適切｣｢不適切｣のどちらからでも｢判別｣できるように考えていくことが肝要。

＜時間配分目安：１分強＞

[問６]　｢下線部に関連する内容説明記述設問｣(｢字数指定｣なし､｢50字ほど｣の解答欄)。｢リード文｣中の下線部(カ)｢鉱物資源｣に関連して、｢都市鉱山｣とは｢どのような考え方か｣を説明する。

｢事項記述｣として問われれば誰もが答えられる定番の｢都市鉱山｣だが、｢説明記述｣となるとどうか？　戸惑う受験生も多いのではないか？　｢携帯電話｣｢レアメタル｣……といった言葉は思い浮かんでも、｢50字ほど｣で｢説明｣するとなると……｡何か｢手がかり｣がほしい。改めて｢問題文｣を確認すると、｢『都市鉱山』という概念のもと、資源を積極的に活用しようとする動き……｣とある。これは使える。ということで、まとめてみたい。

たとえば、｢廃棄された携帯電話などに使用されているレアメタルなどの金属を回収し、資源として再利用するという考え方｡｣といった｢答え｣だ。｢問題文｣を含めて、あらゆるところに｢手がかり･ヒント｣が潜んでいると心得よ。

＜時間配分目安：１分半＞

｢兵庫県内の芦屋市、神戸市、姫路市、丹波市などに点在する遺跡や史跡などをめぐる旅行記形式のリード文｣からの出題。｢弥生時代｣から｢江戸時代幕末｣までの多様な｢歴史的事項｣が問われている｡

本校では例年、｢歴史単元｣に難解な問題が多いのだが、本年度は極端な難易度となっている。ひとつある｢説明記述｣と｢選択肢設問｣の１題だけが超難問で、他はとても平易なのだ。それらを的確に見極めて、しっかりと得点を重ねていきたい、ここでは｢超難問｣だけを検討してみる。尚、これらは｢捨て問｣でも構わない。

[問１]　｢下線部に関しての条件付き理由説明記述設問｣(｢字数指定｣なし､｢50字ほど｣の解答欄)。｢リード文｣中の下線部(ア)｢(芦屋市にある弥生時代の遺跡について)標高200メートルの高い丘に位置していた集落の跡｣は｢逃げ城｣的な存在で、｢弥生時代｣は｢戦いの時代｣であることが推測されるが、このような｢丘上や山上に築かれた集落跡｣から、｢なぜ『戦いの時代』だと推測されるのか｣を説明する。

｢条件｣は｢平地に築かれた集落と比較して説明する｣こと。｢弥生時代｣は｢戦いの時代｣ということは知っていても、そのことと｢丘上や山上に築かれた集落跡｣を結びつけることなど学習していないに違いない。超難問だ。だが、｢私が知らない｣⇒｢誰も知らない｣⇒｢知らなくても解ける｣と考えていきたい。｢手がかり｣を探す。

｢問題文｣から、｢高い丘に位置していた集落の跡｣＝｢逃げ城｣⇒｢戦いの時代｣と結びついていることが分かるはずだ。また、｢条件｣にある｢平地に築かれた集落｣⇒｢弥生時代｣は｢稲作の時代｣⇒｢水のある低地の集落｣ともつながる。これらから、｢『戦いの時代』だと推測される理由｣を考察していく。｢弥生時代｣は｢稲作｣のために｢平地に築かれた集落｣が普通だが、｢逃げ城｣としての｢高い丘に位置していた集落｣があるということは、｢戦い｣に備えていたことになるわけだ。こうした内容を｢過不足なく｣まとめていく。

たとえば、｢稲作のための平地の集落とは違い、『逃げ城』としての丘上の集落は戦いに備えたものだと考えられから｡｣といった｢答え｣だ。｢問題文｣｢条件｣＝｢手がかり･ヒント｣だと心得よ。

＜時間配分目安：２分半＞

[問８]　｢下線部に関連しての選択肢設問｣(４択)。｢リード文｣中の下線部(ク)｢銀｣に関連しての｢説明文｣で、｢正しいもの｣を答える。

それぞれの｢説明文｣の｢キーワード｣に着目して｢正誤判別｣をする｡

(Ａ)｢鎌倉時代｣｢銀貨の流通｣⇒｢鎌倉時代｣には｢銅銭｣である｢宋銭｣が流通していたことは常識＝不適切｡

(Ｂ)｢イギリスやオランダとの間でおこなわれた南蛮貿易｣⇒｢南蛮貿易｣の相手は｢スペインやポルトガル｣､これまた常識＝不適切。

ここまではいいのだが、残りが曲者だ。

(Ｃ)｢江戸時代｣｢東日本では金、西日本では銀｣⇒｢大学入試レベル｣だ。｢東国の金遣い、西国の銀遣い｣と言われ、｢江戸時代｣には東日本は金貨建てで金貨支払い､西日本は銀貨建てで銀貨支払いが普通だった＝適切。

(Ｄ)｢江戸時代末｣｢日本では金１に対して銀５､外国では金１に対して銀15という交換比率｣｢日本からの銀の流出が問題になった｣⇒またして｢大学入試レベル｣で知らないことばかりかも。が、少し落ち着いて考えれば、何かがおかしいと気づくはず。｢金１｣に対して､｢銀５｣と｢銀15｣の｢交換比率｣であれば、｢外国｣にとって｢日本｣の｢金｣は｢３倍お得｣なわけで、｢日本｣から｢金｣が流出するに決まっている＝不適切。

したがって、(Ｃ)については知らなくても、結果的に｢答え｣は(Ｃ)だと判別できる。｢説明文｣の｢細部｣にこだわって｢判別｣することで、道は開けると心得よ。

＜時間配分目安：２分＞

｢『大日本帝国憲法』と『日本国憲法』の､主に『人権』に関する違いや特徴についての先生と生徒の会話文｣からの出題。｢公民｣の基本的知識を問う問題が多いが、判別しづらい｢選択肢設問｣や､｢エアポケット｣として抜け落ちてしまっている可能性がある｢時事的要素｣を問う問題もある。
以下、いくつか考えてみたい。

[問３]　｢下線部に関する選択肢設問｣(４択)。｢リード文｣中の下線部(ウ)｢基本的人権｣のひとつに｢社会権｣があるが、それについての｢説明文｣で、｢正しいもの｣を答える。

｢説明文｣の｢キーワード｣に着目して｢正誤判別｣をしていきたい｡

(Ａ)｢人間たるに値する生活を営む権利である｣⇒｢社会権｣のひとつである｢生存権｣の｢健康で文化的な最低限度の生活を営む権利｣なら誰でも知っているが、｢人間たるに値する生活を営む権利｣は聞きなれない言葉だ。よく分からない＝不明｡

(Ｂ)｢生存権｣｢勤労の権利｣｢財産権の保障｣が代表的なもの⇒これは判別できなくてはいけない｡｢財産権｣は｢自由権｣の｢経済の自由｣だ＝不適切。

(Ｃ)｢自らの考えを自由に表明できる権利｣⇒無論、これは｢自由権｣の｢精神の自由｣＝不適切。

(Ｄ)｢フランスで制定されたワイマール憲法にその原型がみられる｣⇒｢ワイマール憲法｣はいいのだが、｢フランス｣ではなく｢ドイツ｣だということに気づきたい＝不適切。

よって、(Ａ)が｢正しい｣ことになり､｢答え｣となる。｢社会権｣は｢20世紀型人権｣で、｢人間たるに値する生活を営む権利｣で間違いない。当然のことながら､｢選択肢設問｣では｢消去法｣を駆使することが重要。

＜時間配分目安：１分＞

[問５(１)]　｢下線部に関連する語句の空所補充記述設問｣(全２問/ともに｢漢字指定｣)。｢リード文｣中の下線部(オ)｢三権分立｣に関連して示されている｢三権分立の図｣の中にある空所　Ｘ　と　Ｙ　に｢あてはまる語句｣をそれぞれ｢漢字｣で答える。

誰もがとても見慣れた｢図｣だ。
　国会　と　内閣　と　裁判所　の｢三角形｣で｢三辺｣に｢→｣｢←｣が記されている。

空所を確認すると、ともに　国会　と　裁判所　の関係で、｢→｣に｢　Ｘ　の設置｣とあり、｢←｣が｢　Ｙ　権｣となっている。ということは、｢答え｣は　Ｘ　＝｢弾劾裁判所｣､　Ｙ　＝｢違憲立法審査(権)｣だと即答できなくてはいけない。

尚、｢弾劾裁判所｣の｢劾｣を｢刻｣と書き間違える諸君が結構いる。注意すること。本校は｢漢字指定｣が多いので、どれほど｢用語｣をしっかり覚えていても、｢漢字｣を違(たが)えては苦労も水泡に帰す。｢国語｣と同じように｢社会｣でも確実に｢漢字の書き取り練習｣を繰り返すこと。

＜時間配分目安：２問で１分半＞

[問６]　｢下線部に関連しての不適切選択肢設問｣(４択)。｢リード文｣中の下線部(カ)｢選挙｣に関連しての｢説明文｣で、｢誤っているもの｣を答える。

各｢説明文｣の｢正誤判別｣をしていこう｡

(Ａ)｢衆議院議員選挙において、候補者は小選挙区と比例代表の両方に立候補することができる｣⇒知っているはずの｢重複立候補制｣だ＝適切｡

(Ｂ)｢衆議院議員選挙における比例代表制は、全国11ブロック｣⇒これも周知のとおり＝適切。

(Ｃ)｢参議院議員選挙では、各都道府県をひとつの選挙区としておこなう選挙区制と、比例代表制を採用｣⇒少し前までのテキストであればそう記されていて｢適切｣だ。が、2015年に｢公職選挙法｣が改正され、｢鳥取県｣と｢島根県｣､｢徳島県｣と｢高知県｣とが｢合区｣され、それぞれ｢ひとつの選挙区｣になっている＝不適切。

(Ｄ)｢参議院議員選挙における比例代表制は､政党名か候補者名を書いて投票｣⇒｢衆議院｣は｢拘束名簿式｣(｢政党名｣のみ)､｢参議院｣は｢非拘束名簿式｣(｢政党名｣か｢候補者名｣)ということは知らなくてはいけない＝適切。

よって、｢答え｣は(Ｃ)。

近年、衆参ともに｢議員定数｣は度々変更されているので、常に最新のものにバージョンアップしておく必要がある。ちなみに、来年2019年には｢参議院議員選挙｣があるが、2018年に｢定数６増｣となっているので要注意だ。

＜時間配分目安：１分強＞