｢比喩表現の漢字記述｣(全５問/｢漢字１字｣指定)｡

示されている①～⑤の例文中の空所□に入る｢植物に関する漢字一字｣を答える。

｢植物｣に関する漢字を用いた｢比喩表現｣｡｢国語｣の｢知識問題｣で学習したものもあるかも知れないが、ほぼ｢一般常識｣に類する設問だ。
｢答え｣を確認していく。

①｢失敗の原因に思い当たるが□ある｣⇒｢答え｣＝｢節｣⇒｢目につくところ、部分、様子｣といった意味で用いている。
②｢□をつめて働く｣⇒｢答え｣＝｢根｣⇒｢根をつめる｣で｢ひとつの物事を、精神を集中させて、続けて行う｣という意味の表現。
③｢大きな契約を取った社員の□があがる｣⇒これは知っているはず⇒｢答え｣＝｢株｣⇒｢株が上がる｣で｢その人の評判がよくなる｣という意味。
④｢ご近所とのトラブルが悩みの□だ｣⇒｢答え｣＝｢種｣⇒｢種｣を｢原因となるもの｣という意味で用いる⇒｢心配の種｣などもよく使う。
⑤｢悪の□は早いうちに摘んでおこう｣⇒｢答え｣＝｢芽｣⇒｢芽を摘む｣で｢成長･発展の可能性のあるものを取り除く｣という意味で用いる。

分からないものは仕方がない。｢捨て問｣で構わない。ただ、本校に限らず、慶應義塾ではこうした｢一般常識｣が問われる。｢一般教養人｣が求められているのだ。

＜時間配分目安：全問で２分＞

｢拒食｣や｢過食｣など､本来なら人を癒(いや)し快くする行為が、身体への攻撃現象として生じている今､こうした身体の状況をさまざまな角度から論じ、他者との関わりにおいてこそはじめて存在する｢身体の本質｣について論考している。

本文では、近代社会では共同生活のルールを学ぶが、重要なのはルールそのものではなく、ルールがなりたつための前提がなんであるかを理解することだと論じている。
やや難解な語句はあるが、具体例が豊富で、内容は理解できるはずだ。｢漢字の読み｣と｢説明記述｣以外は全て｢空所補充｣という｢空所好き｣の本校らしい大問だ。戸惑わないようにしたい。
以下、いくつかを確認してみたい。

[問一]　｢漢字の読み｣(全５問)。

二重傍線部(Ａ)～(Ｅ)の｢漢字｣を｢ひらがな｣に直す。

昨年よりも平易になっている。当然、｢全問正解｣が必須だ。｢答え｣だけ確認しておく｡
 (Ａ)｢開ける｣＝｢あ(ける)｣､(Ｂ)｢並行｣＝｢へいこう｣､(Ｃ)｢処置｣＝｢しょち｣､(Ｄ)｢納得｣＝｢なっとく｣､(Ｅ)｢前提｣＝｢ぜんてい｣｡

万が一にも､不安な｢読み｣があった諸君は徹底して復習しておくこと。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問四]　｢語句の空所補充選択肢｣(全４問/４択)｡

本文中の空所    １     ～    4    に｢あてはまる語｣を答える。

各選択肢は｢接続詞｣など。本校に限らず、｢接続詞｣や｢副詞｣などの｢空所補充問題｣は定番だ。特に､｢接続詞｣では｢逆接｣以外に十分に注意すること。しっかりと確認しないと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。ここでは、｢逆接｣はない。特に慎重さが求められる。
｢答え｣をチェックしていく。

    １    には｢添加｣の(ウ)｢そして｣がふさわしく､    2    には｢対比･選択｣の(ア)｢あるいは｣、    3    には｢換言説明｣の(エ)｢あるいは｣､    4    には｢強意添加｣の(イ)｢それどころか｣(｢連語｣で｢接続詞｣ではない)があてはまる。
｢そして｣と｢それどころか｣とは同じ｢添加｣なので、特に注意が必要だ。

尚、こうした｢空所補充問題｣では｢候補｣がひとつとは限らないので、必ず全ての｢候補｣を｢代入確認｣すること。

＜時間配分目安：１分半＞

[問六]　｢語句の空所補充記述｣(｢４字｣指定)｡

本文中の空所    C    に｢入る語句｣を｢四文字｣答える。

｢傍線部一文一部の法則｣(｢傍線部｣が｢一文の一部分｣だった場合、｢傍線部以外｣に｢手がかり･ヒント｣がある)で｢空所部前後｣を把握する。

｢もともとみんなで同じような動作をすることは楽しいのだが、    C    をするのはいやなのだ｣となっている。

この一文、何か気づかないか？　
前半と後半が｢対｣になっている。対応しているのだ。｢同じような動作をすることは楽しい｣←〈逆接〉→｢     C    をするのはいや｣という関係だ。
もう少し｢手がかり｣がほしい？　

｢同一意味段落｣の直後に｢みんなよく似た服装をしているが、同じ服装は絶対にいやなのだ｣という別の例が記されている(｢論説文｣では｢同一意味段落に手がかり･ヒント｣がある)。
｢よく似た(服装)｣⇔｢同じ(服装)｣｡であれば、もう分かったはずだ。

｢答え｣は｢同じ動作｣となる。

｢一文の部分どうし｣とか｢文どうし｣での｢対応関係｣(｢⇔｣あるいは｢＝｣)は｢文脈｣を読み取る上でとても重要だ。

＜時間配分目安：２分＞

[問七]　｢条件付き換言説明記述｣(｢字数指定｣なし、｢30字ほど」の解答欄)。

傍線部(１)｢他人の身体に起こっていることを生き生きと感じる練習だ｣について、作者は｢何を育てる練習だと考えているか｣を説明する。

｢条件｣は｢文中の言葉を用いて、文の最後が『～練習』につながるように説明する｣こと。
先ずは、｢練習｣の内容を確認する必要がある。
前文から｢幼稚園で､いっしょに歌い、……お遊戯するだけではなく、いっしょにおやつやお弁当も食べる｣ことだと分かる。要は｢幼稚園での『練習』｣だ。
が、直前直後にはそれ以上の論及はない｡

次に、｢同一意味段落｣で｢幼稚園での『練習』｣について述べている部分を読み解いていきたい。
最終段落で、｢幼稚園でのお歌とお遊戯｣などについて｢身体に想像力を備わせることで、他人を思いやる気持ちをはぐくんできたのである｣と論じられている。
｢はぐくんで｣⇒｢育てる｣と結びつく。
あとは､｢過不足なく｣まとめていきたい｡

たとえば、｢身体に想像力を備わせることで、他人を思いやる気持ちを育てる(練習)｣となる。

｢解法｣に則して｢同一意味段落｣を読み取ることが、｢正答｣へのショートカットだと心得よ。

＜時間配分目安：３分＞

冒険にも恋にもひたむきな、クラスではちょっとだけ変わり者の中学生３人組が奇跡を起こす！――むずむずし､そわそわし､心がくすぐったくなって、じっとしていられなくなる……くじけそうな心に響く青春小説｡

本文では、｢僕(正太郎)｣が挫折した｢水泳｣で活躍する｢妹(真琴)｣にいたずらをしたことで、｢父｣との関係がうまくいかなくなった小学生時代のことが描かれている。
内容は難なく理解できるが、本文が９千字弱と長いため、的確な箇所を特定して読み取ることには苦心するに違いない。なかなか厄介だ。
以下、いくつかの｢設問｣を検証してみよう。

[問一]　｢漢字の書きとり｣(全５問)。

二重傍線部(ａ)～(ｅ)の｢カタカナ｣を｢漢字｣に直す。

昨年度に比べ易やや難化している。が、失点はしたくない。確認してみよう。
(ａ)｢スポンジのようにキュウシュウし｣＝｢吸収｣⇒何ら問題なし､
(ｂ)｢車でシュウユウしましょ｣＝｢周遊｣⇒一瞬戸惑うか？　
(ｃ)｢ヒトケのなさそうな｣＝｢人気｣(ここでは｢ニンキ｣ではない)⇒以外と定着していないので要注意､
(ｄ)｢カンバン｣＝｢看板｣⇒これもいけるはず､
(ｅ)｢ザッシを読みながら｣＝｢雑誌｣⇒まさかとは思うが、｢誌｣を｢紙｣としないこと｡

どうだろうか？　あいまいなものがあったら徹頭徹尾｢漢字練習｣を繰り返すこと。

＜時間配分目安：１分半＞

[問五]　｢語句の空所補充選択肢｣(全３問/５択)｡

本文中の空所   Ⅰ   ～   Ⅲ   に｢入る語｣を答える。

各選択肢は全て｢形容動詞｣。｢意味｣の微妙な相違を的確に見極める必要があり、一筋縄ではいかない。
各選択肢は、(ア)｢唐突に｣､(イ)｢急に｣､(ウ)｢やさしそうに｣､(エ)｢おもむろに｣､(オ)｢熱心に｣｡
空所を確認する。

｢『手の傷、大丈夫？』　   Ⅰ   母は言った｣｡この空所には、｢母｣が｢どのような様子｣で｢手の傷、大丈夫？｣と言ったのかが分かる言葉が入るはずだ。
そこで、｢直前直後から｢状況｣を読み取りたい(｢小説｣では｢同一場面の直前直後｣に｢手がかり･ヒント｣がある)｡
車に乗っている｢僕｣と｢母｣がラジオから流れている曲について会話を交わし、｢その曲が終わると｣､｢母｣が｢手の傷、大丈夫？｣と言っている。｢曲が終わった後｣に｢新たな話題｣を持ち出している。
したがって､｢答え｣としては｢落ち着いて、ゆっくりと事を始める様子｣を意味する(エ)｢おもむろに｣がふさわしい。

次は｢『正太郎、いつも真琴の宿題みてくれてありがとね』　『なにそれ､    Ⅱ    』｣というやりとりだ。
直前から、｢真琴｣が出場する水泳大会に行く前に､｢僕｣と｢母｣が近くの店で食事をしている時の｢会話｣だと分かる。
｢いつも真琴の宿題みて｣るのに、改めて｢母｣に言われた｢僕｣が｢なにそれ｣と受けた直後なのだから、(イ)の｢急に｣が｢答え｣だ。

そして、最後は｢『お父さんね、このまえ言ってたよ』　母がまた   Ⅲ   言った｣｡
これまで同様に｢状況｣を確認する。
｢真琴｣の水泳大会の帰りの車内、爆睡している｢真琴｣を見た｢母｣が｢見てよ、あの寝顔｣と｢僕｣に話しかけた直後の言葉だ。
それまで全く｢お父さん｣のことなど話題になっていないので、｢だしぬけである様子｣を表す(ア)｢唐突に｣が｢答え｣だ。

尚、｢おもむろに｣＝｢不意に｣だと勘違いしている諸君が結構いる(大人でも多い)｡注意すること。
いずれにしても、本校では｢高度な語彙力｣が求められていることを改めて肝銘せよ。

＜時間配分目安：全問で３分＞

[問九]　｢心情説明選択肢｣(５択)｡

傍線部④｢お父さんだって、お母さんと同じこと、正太郎に対して思ってるんだよ｣について、｢お母さんはどう思っているのか｣を答える。

｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)をしたいが、ここだけでは｢お母さんの心情｣は読み取れないので､さすがに｢消去｣は無理だ。

そこで、｢同一場面｣を確認すると、直前で｢お母さん｣が｢お父さんの思い｣を代弁していることが分かるはずだ。
その内容は、｢お父さん｣は｢自分が無理矢理水泳をやらせて、つらい思いをさせたんじゃないか､だから、正太郎がやることに関して、口を出すのはやめよう｣と思っている､ということだ｡
そして、傍線部にあるように、｢お父さん｣と｢お母さん｣は｢同じこと｣を思っている。

さて、各選択肢、(ア)｢お父さんと話してほしい｣､(イ)｢水泳をがんばってほしい｣､(ウ)｢好きなことをやってほしい｣､(エ)｢正太郎の絵を見せてほしい｣､(オ)｢真琴と仲良くしてほしい｣｡

｢お母さん｣も｢お父さん｣と同じで、｢正太郎がやることに関して、口を出すのはやめよう｣と思っていることになるので、｢答え｣は(ウ)だ。

本問では無理だったが、時間短縮のために、設問段階での｢原意消去｣には必ずチャレンジすること。

＜時間配分目安：２分＞

[問十]　｢語句の空所補充抜き出し｣(｢６字｣指定)。

本文中の空所      D      に｢入る語句｣を抜き出して｢六文字｣で答える。

｢抜き出し設問｣では､｢抜き出すべき内容｣を正確に捉えた上で､｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいく。空所前後を確認する。

[問九]の傍線部④の｢母の言葉｣の直後の｢ト書き｣で、｢今日の母は、まるで      D      口調で話す｣となっている。ということは、｢内容｣は｢僕に対する母の口調｣だ。
次に｢範囲｣だが、当然ながら｢同一場面｣となる。
ここでは｢今日の母｣とあるので、｢今日のこと｣が描かれている部分となる｡確認すると、２つ目の(中略)の直後からで、相当に広い｢範囲｣なので注意を要する。
丁寧に探していくと、   Ⅱ   の16行前に｢友達みたいな口調で母は言った｣とある。｢口調｣そのもので、｢字数｣も合致する。

他の部分にはふさわしいものがないので、｢答え｣は｢友達みたいな｣となる｡

｢抜き出し設問｣ではいかに｢範囲｣を絞り込めるかがポイントだ。また、｢抜き出し候補｣はひとつとは限らないので、必ず｢範囲全て｣を隈なく探すこと。

＜時間配分目安：２分半＞

｢条件付き長文自由記述｣(｢120字以内｣指定)｡

｢あなた｣は｢新しく作る小学校の教室の設計を任された｣が、｢設計する際､どのような工夫をするか｣を｢百二十字以内｣で記述する。

｢条件｣は｢工夫したい点とその理由を、二つ説明する｣こと。
｢自由記述｣なので無論、何を述べても構わない。ご自由にどうぞ！というわけだ。だが、｢何でもいい……自由に……｣となればなるほど、逆にどうしていいか分からなくなるに違いない。そういうときは、何か｢具体的なこと｣を思い浮かべればいい。そこから｢考え｣をつなげていくのだ。

幸い、本問の題材は諸君に身近な｢小学校の教室｣だ。｢設計の工夫｣といっても難しく考える必要はない。｢今の自分の教室｣で、何か｢困っている点｣や｢不都合な点｣､｢不愉快な点｣などが必ずあるはずだ。
それらの点について、｢こんな風だったらいいな｣とか｢ここをこうすればより良くなる｣などといった｢工夫｣を考えていきたい。

たとえば、｢暑さや寒さで勉強に集中できないから｣⇒｢冷暖房完備にするという工夫｣､｢外の音がうるさくて気が散るから｣⇒｢防音設備のある窓にするという工夫｣､｢後からだと黒板が見えにくいから｣⇒｢全体を扇形の教室にする工夫｣……。

ただ、｢教室の設計｣なので、｢机や椅子の配置換え｣といったことではなく｢構造｣そのものに関することにすること。また、｢工夫したい点｣と｢その理由｣を｢二つ説明する｣という｢条件｣を確実に満たすことが肝要だ。

本校特有の｢自由記述(論述)｣、どのような｢課題｣が与えられても、冷静沈着に｢自らの知識｣を総動員して、｢設問｣にいかに正確に対応できるかがポイントとなる。

＜時間配分目安：８分以内＞