慶應義塾湘南藤沢中等部 入試対策
2024年度「慶應義塾湘南藤沢中等部の理科」
攻略のための学習方法
慶應湘南藤沢中等部の理科の得点は、50点満点。基本知識を問う問題も多いが、分析思考型の出題も多く、問題文・図・グラフを読み取った上でその趣旨を理解し、考察・解答する能力が求められる。また、試験時間が25分と短いことから、時間を意識した問題演習も必須である。
攻略のための学習法として、まずは早い段階で基本知識を固めること。その際にはできる限り漢字で覚えること。秋以降は分析思考型の問題の演習に時間をかけること。演習には過去問だけでなく問題文やデータを読み取った上で答えるタイプの問題の演習に時間をかけたい。初見の問題に対して、問題の意味を読み取り素早く判断し解答する練習が必要である。記述問題の練習も行うこと。
各分野の学習法は以下の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年は海に住む生物についての出題で、細かい知識問題が含まれていた。近年では、昆虫のからだのつくりと増え方・生物の進化・人のからだの働き・森林の生物・アサガオの生育等についての出題が見られた。この分野の学習法としては、まずは植物・昆虫・人のからだの働き・生物と環境を中心に生物すべての分野について基本知識を早い段階で固めて欲しい。その上で、植物の働きや人のからだの働きに関する実験や観察を通して考えさせる問題の演習をしっかりおこなって欲しい。
地学分野 本年度は月についての出題で、人が月に滞在する場合の太陽光発電などユニークな内容が含まれていた。なお、太陽光発電については過去にも何度も出題されている。近年それ以外では、台風・暑さ指数について・川の流れの働きなどの出題が見られる。この分野の学習法として、まずは天体・気象・岩石・地層などの基本知識を固めること。その上で、問題演習の時間を十分に確保して欲しい。天体については、何故そのように見えるのか?の理屈をしっかり理解すること。また、時事問題対策として、近年に起こった出来事に関しては入試前にしっかり確認しておきたい。
物理分野 本年は電気回路について出題されている。近年では、浮力・磁石・ブランコの運動・電気回路などの出題が見られた。2022年には浮力についての計算問題が出題されており、今後も力のつり合いに関する計算問題の練習はしっかり行いたい。また、力のつりあい・電気・光・音など各単元において、基本的な性質と我々の生活の中でそれらの性質がどのように利用されているのかについて学習・理解しておきたい。
化学分野 今年度は気体の性質についての出題であった。知識さえあれば正答できる問題で、慶應湘南藤沢受験生にとっては間違いが許されないような内容であった。近年では、ドライアイスについて・ものの燃え方・水溶液の性質・ものの溶け方などの出題が見られた。身近な現象を化学的に考えるという内容が多くなっている。今後は2022年までのように考察力が必要な出題に戻る可能性も十分にあるが、考察問題であっても基本知識は必須である。気体や水溶液の性質、指示薬の色の変化などについて基本知識を早い段階で確実に固めたい。その上で実戦的な演習に時間をかけたい。
慶応湘南藤沢中等部で合格点を取れる力を身につけるためには、まずは夏までに各分野の基本の学習を終えておきたい。そのうえで、秋以降は入試問題と同タイプの総合的な問題演習にも時間をかけて欲しい。もちろん9月以降でまだ苦手な単元に関してはさらに力を入れて定着させる必要がある。9月以降の模試や総合的な演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。
入試直前期には時事問題対策の本が各塾や出版社から出されるので、それらをしっかり活用して頂きたい。
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2024年度「慶應義塾湘南藤沢中等部の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4、小問数は25で50点満点。試験時間は25分で例年通りであった。記号選択問題、適語を答える問題が中心で、記述問題もあった。知識だけで答えられる問題が意外と多いが、細かい知識を問う問題も見られる。試験時間の25分に対して問題量は適量であり、慌てることなく取り組んでほしい。
【大問1】 生物 海に住む生物
- 難度:やや難
- 時間配分:6分
問1 海の中の食物連鎖についての問い。イワシがケイソウを食べ、マグロがイワシを食べる。
問2 ジンベイザメの食べ物に関する選択問題。動物プランクトンや小魚を食べる。
問3 顕微鏡の操作について、順番に並べる問題。注意点として、左上に見えているものを真ん中に移動させたいときには、プレパラートを左上に動かすこと。
問4 アジが体内の塩分の濃さをどのように一定に保っているのかに関する文章を完成させる選択問題。尿の量が少ないので、えらを通じて余計な塩分を体外に出している。
問5 海のエコラベルは「持続可能」な漁業で獲られた水産物であることを示している。なお、解答には漢字4字の指定がある。
問6 絶滅が危惧されている水産物として、ニホンウナギ・クロマグロ該当する。
海に住む生物に関する出題。知識問題中心だが、海のエコラベルなど細かい知識を問う問題も含まれている。
【大問2】 地学 月
- 難度:標準
- 時間配分:6分
問1 太陽-月-地球と並んでいることになるので、新月になる。
問2 水は酸素と水素からできている。人が呼吸で出した二酸化炭素は植物の光合成に必要。水素は可燃性があり、爆発すると体積が急激に増えるので、燃料として使われる。
問3 月の基地のエネルギー源として太陽光を考えると、日光が長時間あたる場所に基地を建設するのがよい。
問4 月の南極付近の太陽高度は0度に近いので、月面に対して垂直に太陽光パネルを設置するのがよい。
問5 記述問題。重力が少ない分、打ち上げるのに必要なエネルギーが少なくても済む。問題文の「月の重力の大きさは地球の重力の大きさよりも小さくなります。」が最大のヒント。
月に関する出題。問2までは満ち欠けに関する問題。問3以降は人が月に滞在するための基地・発電・火星探査についての問題。問2には気体の性質に関する基本的な知識が必要となる。
【大問3】 物理 電気回路
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1 図の豆電球のつなぎ方は「並列」つなぎ。
問2 電流計は回路に対して直列につなぐ。電流計の+端子を乾電池の+側につなぐ。Aにだけ流れる電流を計測することに注意。
問3 まず初めは、測れる電流が最も大きい-端子を使う。針の振れが小さくて読み取れないときは、となりの端子につなぎかえる。
問4 問題文の「豆電球Aに流れる電流の大きさは豆電球Bに流れる電流の大きさの2倍」より、Aの電気抵抗を1とするとBの電気抵抗は2、AとBを直列につなぐと電気抵抗は3になる。電気抵抗が3倍になったので、乾電池の数3倍の6個にすればよい。
問5 (ア)に流れる電流を3とすると、(イ)には2の電流が流れる。
問6 現在家庭にも普及している発光体は「LED」
問7 記述問題。LEDは白熱電球に比べて消費電力が少なく、寿命も長い。
電気回路についての出題。電流計のつなぎ方、電気抵抗を使って回路に流れる電流を考える問題、LEDについて等幅広く問われているが、際立った難問はみられない。比較的標準的な出題となっている。
【大問4】 化学 気体の性質
- 難度:易
- 時間配分:6分
- ★必答問題
問1 水に溶けて酸性になる気体は、塩化水素・二酸化炭素・二酸化硫黄
問2 水に溶けてアルカリ性になる気体は、アンモニア
問3 刺激臭のある気体は、塩化水素・アンモニア・二酸化硫黄
間違いやすいのはメタン。メタンには臭いはない。
問4 空気中に含まれる割合が多い順に、窒素・酸素・アルゴン
問5 地球温暖化の原因となる気体は、二酸化炭素・二酸化硫黄
問6 水上置換法で集めたので、水に溶けやすい気体ではないが、多少は水に溶ける二酸化炭素を集めたと考えられる。炭酸カルシウムと塩酸の反応で二酸化炭素が発生する。
問7 記述問題。二酸化炭素が水に溶け、ペットボトル内の気圧が下がった。
気体の性質に関する出題。中学受験で頻繁に登場する気体の性質を確実に覚えていれば十分正答可能な問題が中心。
攻略のポイント
大問4題での出題であった。過去の出題を見ても、各分野から大問4題の出題になっている。今回の出題を見ると、昨年に比べて分析・思考型の問題が減り、知識重視の問題中心になっている。水溶液・力学の本格的な計算問題も今年度は一切なかった。ただし、2022年には浮力に関する本格的な計算問題が出題されている。来年以降は、分析思考タイプの問題や計算問題が増えることも想定した学習は必要である。
本校受験者に求められる力は、実験結果やグラフから「なぜそのような結果になったのかを考察する力である。基本知識を夏までを目標に固め、秋以降はその知識を用いた演習に時間をかけて欲しい。記述問題の練習も必須である。また、記号選択問題であっても、理由・理屈をしっかりしっかり考えた上で選択する練習を起こって欲しい。
知識事項を覚える上ではできる限り漢字で覚えること。本年も漢字指定の知識問題が出題されている。また、時事的問題対策も必須である。日頃から科学・自然に興味を傾けるとともに、直前期の対策も忘れずに行うこと。
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