慶應義塾湘南藤沢中等部 入試対策
2017年度「慶應義塾湘南藤沢中等部の理科」
攻略のための学習方法
苦手分野の克服
苦手分野を残さないように、演習の量を確保しておきたい。さらに、演習には、さまざまな教材を用いたい。ひとつの教材だけで学習し続けるのは、おすすめできない。
慶応湘南藤沢中等部の試験において、問われている内容は、いずれも標準的な難易度で、小学生の理科の範囲を、逸脱しているわけではない。しかし、1つの知識が、さまざまな角度から問われている点に注目しよう。
設問の問われ方が変わっても、対応できるだけの演習量が、求められている。特に、テストごとに理科の得点が乱高下し、不安定になってしまっている志望者は、気をつけたい。
資料の読解力
資料を読み取る能力は、合否を左右する。
中学受験においては(12歳の段階では)、知識の量に、大きな差があるわけではない。そこで、慶応湘南藤沢中等部では、志望者を選定するために、「知識の量」だけではなく、「知識の活用」を、試験していると考えられる。資料問題の比重を高くして、「ただ覚えているだけの子ども」と「覚えたことが活用できる子ども」を、判断しようとしているのだろう。
例えば、【大問1】の各設問は、ていねいに解説していけば、大半の子どもは正答できる。きちんとした基礎知識さえあれば、難しくはない。知識の量が多い志望者は、必ずしも有利にはなっていない。
しかし、視点を変えて、志望者の正答までの所要時間に、注目してみる。すると、もっとも速い者で5分、もっとも遅い者で10分くらいに、差が開くだろう。その差の一番の原因は、資料を読み解いていく速度にある。
計算の工夫
計算力には、いくつか確認しておきたい点がある。
まずは、試験時間25分の間、細かな数字を扱い続けても、息切れしないだけの持久力が求められる。設問数が多いので、単純に手を素早く動かしていかなければならない。一問一問を解く速度を上げながら、試験の後半になっても速度が落ちないことが求められる。
また、細かい小数点以下の計算になった場合でも、計算の精度が落ちないかも気になる。この点は、小学校5年生の段階から、計算練習を積んでおけば、準備がしやすい。
最後に、試験時間内に、迅速に見直しができるように、式を整理して書き残しておく習慣が欲しい。もし、間違った解答を見つけても、あらたまって計算式を書き直している時間は、本番にはないはずだ。
志望者に求められる計算力としては、本校において、【大問3】の(問5)の計算問題が、基準になるだろう。過去問の演習において、時間が足りなくなってしまったり、計算式が立てられても計算結果を間違えてしまった場合は、計算力を改善しておきたい。
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2017年度「慶應義塾湘南藤沢中等部の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は25分で、得点は50点満点だ。大問数は4問で、分野ごとに整理して出題される。設問数は例年25問で、そのうちには短い記述形式の設問も含まれている。答案作成の速度を磨いておけば、解答時間に余裕が出る試験構成だ。
【大問1】物理分野(ふりこの運動)
- 難度:やや難
- 時間配分:6分
問1 慶応湘南藤沢では頻出の、実験の設問だ。ある実験の手順には、必ず科学的な理由による裏付けがある。科学の測定は厳密さが求められるが、人間が測定しようとすると、誤差が混入した数値になりやすい。そこで、誤差を減らすために、平均値を取る。
問2 資料読解の設問だ。ふりこのふれ幅を変えても、ふりこの往復時間は変わらないが、ふりこの長さを変えると、ふりこの往復時間は変わる。さらに、ふりこの長さが10cmから40cmと4倍になった時に、ふりこの往復時間は2倍にしかなっていない点に気づきたい。
問4 慶応系列校に特有の、教養を扱う設問だ。対策として、科学史の有名人物はひととおり理解しておきたい。
問5 思考力を試す設問だ。ふりこの長さを変えることは、メトロノームの針を長くすることだと気づきたい。
【大問2】地学分野(太陽と月)
- 難度:標準
- 時間配分:6分
問3 月の公転周期を覚えておこう。
問4 角度を地平線から測量していることに注意して、南中高度の考え方を用いよう。
【大問3】化学分野(上皿天秤 水溶液)
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
問1 こちらも慶応湘南藤沢では頻出の、実験の設問だ。受験用の理科の勉強だけではなく、実験授業も家庭教師に依頼すれば手配してくれるので、相談しよう。実体験があると、理解が深まる。
問4 分銅は、重たい順番に乗せて、天秤の動きを判断する。
問5 水溶液から個体を分離する方法は、ろ過に加えて、水分を蒸発させて析出する方法がある。
【大問4】生物分野(動物のしくみ 生命と環境)
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
問1 慶応湘南藤沢では頻出の、図を見て判断する設問だ。小学校の早い段階から、図鑑を見て学習する習慣をつけておこう。
問6 慶応湘南藤沢では頻出の、細かな知識を確認する設問だ。すべてを選ぶ必要があるので、消去法では通用しない。日頃からていねいに学習しているかが問われている。
攻略ポイント
全体として、丁寧に作業できる受験者が有利な試験構成だ。他人が解けない難問を解いて差をつけるのではなく、むしろ、どれだけ失点しないかを意識したい。言いかえれば、受験本番では、解法がわからない設問があってはいけない。知識に抜けがないか、確認しておきたい。
そこから先は、短い25分という時間で、答案を仕上げていく能力で合否が決まるだろう。
したがって、過去問の演習量は、他校よりも多めに設定しておきたい。一問一問を解くというよりは、答案全体の完成度を上げるという心構えで取り組もう。
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