慶應義塾湘南藤沢中等部 入試対策
2022年度「慶應義塾湘南藤沢中等部の理科」
攻略のための学習方法
本校の入試問題で合格点を取る上で最も重要なことは、様々な科学現象について、自分の頭・手を使って考察した経験をいかに多く積むかということだろう。用意される問題の多くは、それまでの学習を通じて身につけた知識や思考の経験が多いほど、得点しやすいようになっている。
入試本番まで、様々な事象に関心を持ち、能動的に学習することを心掛けたい。
まずは、受験テキストを使って、「物理、化学、生物、地学」の4分野について、重要語句の意味や関連情報、科学現象の原理を丁寧に理解しておくと良いだろう。
言葉を覚えるときは穴埋めの問題や一行問題を解いたり、お家の人にクイズ形式で出題してもらったりすると効率が良い。
言葉をある程度覚えたら、科学現象の原理を知る学習をして欲しい。受験テキストで述べられている現象がなぜ成り立つのか、学習する都度その理由を考えるのが理想だ。その際、自分で納得するまで図鑑や本やインターネットで調べたり、人に聞いてみたり、自分で図を描いて考えたりすると良い。
ある程度、言葉や原理について覚えられたら、引き続き受験テキストを使って、掲載されている演習問題を自力で解けるようになるまで繰り返し解きたい。
数値を使った計算問題には主軸が置かれていないため、計算問題さえ解ければ良いという考え方は本校入試には不向きだが、標準程度の計算問題であれば解けるようにしておきたい。
言葉や原理について、実験や観察結果を通じて問うような問題は数多く練習しておきたい。本校では文を記述させる問題は少ないが、現象の原理を問う問題への対応力を身に着けるために、記述タイプの問題に目を通すことが有効だ。その際に答えを記述してもよいが、答えを口に出して模範解答と照らし合わせるという方法で学習しても良い。
一通り受験テキストの学習を終えたのであれば、本校の過去問を約10年分と、本校に類する傾向・難度の過去問を解きたい。その際、最低でも5回は本校入試問題において時間内に合格点をとっておきたい。一年分の過去問演習が終了したら必ず模範解答・解説を良く読み、不足している知識を受験テキストなどで確認して欲しい。
また、本校が要求する知識がどの程度の細かさであるのか、どの程度の計算問題を解く必要があるのか、どれほどのスピードで解く必要があるのか、といった点を併せて確認し、以後の学習時の参考にすると良い。
必要に応じて知識をまとめた表を作成したり、図解してみたりするとなお良いだろう。この作業を1年分毎に繰り返すことで、本校の入試問題で合格点をとるコツをつかみたい。
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2022年度「慶應義塾湘南藤沢中等部の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
テスト時間25分で大問は4、小問は20台前半と分量だけを見ればテスト時間が短い気もするが設問が全般に平易なので普通に解くスピードがあれば時間不足に陥ることはない。
時間配分においても合否の差を分けたのも本年度は【大問3】の「浮力」に関する問題であろう。当校と併願する学校の過去問または平生の勉強の中で物理難問への対応は出来ていたと考えるものの意表を突かれたレベルであった。あとの大問は例年通り平易で、時間配分よりも問題文を読み間違えるなどケアレスミスをしないよう注意を払いたい。
【大問1】生物の進化の過程と特徴
- 難度:易
- 時間配分:6分
- ★必答問題
生物の進化の過程においてどのように変わったか、植物・動物などの特徴を答えていくもの。小学4年並みの出題もある。
問1・問2は植物における「花粉の運ばれ方」についての問題で、問1で最も有名な運搬者を答えるので問2で「鳥媒花」が出るかどうか…
問3・問4は「生物の体のつくり」の進化についての問題。
問3はすべて選ぶという点が注意するところで、1つだけ選んで嬉々としてはいけない。
問4は9つの生物の中から魚類を選び出すもの。選択肢も平易で間違えようがない。
問5の系統樹の問題も無脊椎動物(バッタ)と脊椎動物(タイなど)を分類してからヒトと共通点が多いかどうかで分けていくだけのもの。
易しい設問なのは間違いないが、みなも間違えないので差をつけられないようにしたい。
【大問2】太陽光発電に関する実験
- 難度:易
- 時間配分:5分
- ★必答問題
太陽光発電について、基本的な問いが問1から問3まで続き、問4では北海道など一部の地域での工夫が問われている。あまり問われたことがないので失点する可能性があるが、北海道の家屋における屋根の傾斜などを思い出すと答えが浮かんでくるかもしれない。
問5は冬休みあたりに勉強した時事問題の知識が問われている。
【大問3】浮力
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
…といつもの湘南藤沢理科をこなしてきて【大問3】でびっくり。突然浮力の問題である。はじめに浮力に関する説明があるのでそれはわかるものの、実験と設問などは本格的なもので、ここは実力を発揮できるところだ。
問1では、最初の設問なのにあとの実験2の結果を用いることになる。実験2で銀メダル498.5gとなっているのは浮力を受けた後の銀メダルの重さなので、空気中での重さを求めるには銀メダルが受ける浮力の重さ(1.0×52.5)を加えなければならない。
問2では今度は実験1の結果を使う。銀メダル731.0gというのは銀メダルの重さに容器の重さを加えたものになっている。そこで731.0gから問1の数値をひくと容器の重さが出、水と容器の重さの合計380gから容器の重さを引けば水の重さが出るというもの。
問3は、水中での金メダルの重さを問われている。金メダルは銀メダルに金がうすくぬられているので銀メダルより少し重くなっている。その重さは7.6÷19.0で求められる。その重さを問1で使った銀メダルの体積に加えて金メダルの浮力を算出し、銀メダルの重さにうすくぬった金の重さを加えたあとで浮力をひけば良い。
問4では亜鉛と銅のてんびんを使った問題に発展している。やはりこれが一番難しい。
ここでは亜鉛と銅の重さが出ていないので自分で適当な数値を与えれば良い。例えば、実験3での支点までの距離8cmと9cmの最小公倍数72(g)などである。しかしこれだと実験3は整数で乗り切れても実験4で割り切れなくなってしまうので(もちろんそれで押し切っても良い)9cmと7cmの最小公倍数63(g)を採用してみよう(7の倍数であることに目をつけたことが良かったことになる)。
実験3から63×8÷9=56(g)より、浮力を受けている銅の重さは56gになるので63-56で銅の体積は7cm3となる。次に実験4から63×6÷7=54(g)より、浮力を受けている亜鉛の重さは54gとなり、63-54=9で亜鉛の体積は9cm3となる。あとは1cm3あたりの重さを求めればいいので勝負はここまで。しかし冷や汗を流す問題ではあった…。
【大問4】ドライアイス
- 難度:易
- 時間配分:6分
- ★必答問題
ドライアイスに関する長い説明があり、その中に質問も混じっている。【大問2】までのKSFのレベルの問題ばかりだ。問2では、気体が液体に変化したものを選べば良い。ドライアイスと言うより、物質の三態の問題と言うべきか。
問3ではすでにドライアイスは脇役でBTB液を黄色に変化させるものを選べとのこと。ドライアイスが二酸化炭素の固体であることから酸性の水溶液などを求めれば良い。
問4では二酸化炭素であることを確認する実験内容を30字以内で書くことを求められている。ここでは毎度おなじみの石灰水に登場してもらい、実験の方法と予想される結果をまとめたい。「石灰石に混ぜてみる」だけでは駄目で、その結果として「白くにごる」までしっかりと書き切ること。
攻略のポイント
テスト時間は25分で50点満点。
本年度の問題は【大問3】以外の大問は例年なみに平易な感じを受けたものの合格点は若干下がった(70%台)と推定される。併願する学校や普段の授業の中で物理や化学の難問にも対応できるようにしておかないと足下をすくわれる可能性がある、と思わされた問題だった。
また、理科全般に関する基本的な知識の定着はもちろん、理科の時事問題(地学分野に多い)にもしっかり目を通し簡単なところで失点しないよう十分な対策をして本番に臨みたい。
また、本年度【大問3】の流れを受けて今後問題が再度難化する可能性も否定できないので、過去問にしっかりあたり、本来この学校が持っていた問題の難度にも対応できるようにしておきたい。
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