慶應義塾湘南藤沢中等部 入試対策
2018年度「慶應義塾湘南藤沢中等部の社会」
攻略のための学習方法
スライド式学習
「SFC合格」に向けては、「地理」「歴史」「公民」の全単元・全分野の「知識」、そして「時事問題」を確実に押さえておくことが重要。
「基礎的事項」は無論、相当細かな「知識」や「深い理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等もチェックしなくてはいけない。
そして、確実に定着させておきたい。だが、悲しいかな、人は忘れるものだ。時が経てば経つほど忘れる。実はここに落とし穴がある。
基本的に、「知識」を定着させるために「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習したのか、その時期が問題となる。
塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年の夏休み前には終える。
その後は「復習」となるが、そのメインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。
6年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。前述のようにSFCでは「地理」「歴史」単元に含まれる全分野から多数出題される。そこで、独自の「復習」が必要となる。
塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておくことが勝利につながる。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用してもいい。
さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を密かに続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。
いもづる式学習
定着すべき「暗記事項」はそれぞれ単独(要は「一問一答方式」)で定着させておいてもほとんど意味がない。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられないからだ。
そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。
「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても内容があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ついでにここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。
このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても「線」で結びつけて答えられることになる。さらに、単元もまたいでいるので、SFCでも時おり見られる「単元融合問題」にも対応できる。無論、必出定番の「年代の整序問題」にはバッチリだ。
手づくり式学習
特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は普通、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。だが、SFCの入試問題ではそうした単純なものはない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。
それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。
「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。こうした「大きな流れ」で理解しておくことで「年代の整序問題」にも対応しやすくなるのだ。
さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」を対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。
細部へのこだわり式学習
SFCで必ず出題されるといってもいい「ハイレベルな知識問題」(特に「地理」「歴史」に多い)や「設問文の内容を組み合わせて考える問題」。これらを考えるに当たって最も重要なことは、「設問内容」や「条件」をいかに正確に読み取るかということだ(それらは「ヒント」になっていることが多い)。「リード文」や「設問文」に示されていることに基づいて「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには、とにかく「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。無論、トレーニングが欠かせない。
「過去問」や「演習問題」等を用いて、各事項の細かな「意味」「統計資料の数字」や「関連事項」と「設問文の内容」等の全てを材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する訓練をするのだ。導き出せることについては、問題集やテキストの「解説」に示されているので活用すること。
こうした「細部へのこだわり学習」をつづけることで、次第に「リード文」や「設問文」に示された着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」と結びつけて考えればいい。
意識継続式学習
どのような状況でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漠然と机に向っていても単なる時間の無駄。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。
そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。SFCの入試本番ではたった25分という制限時間の中で、様々な「設問条件」をクリアして答えなくてはいけないのだ。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。
当然、「時間」も「意識」すること。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。さらに、何度も指摘しているが、「慶應ボーイ&ガール」になるための「大人の常識」も「意識」すること。
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2018年度「慶應義塾湘南藤沢中等部の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は「地理」(1問のみ「時事」あり)。「日本や世界の自動車生産と、その新技術についてのリード文」からの出題。
小問は全5問(解答数5)。「選択肢」(「不適切」あり)、「事項記述」(「カタカナ」指定)。
大問2も「地理」。「新幹線に関する統計資料」からの出題。
小問は全4問(解答数4)。「選択肢」のみ(「不適切」「組み合わせ」あり)。
大問3は「歴史」。「縄文時代」「弥生時代」「古墳時代」それぞれについての「説明文」からの出題。
小問はなし(解答数9)。「選択肢」のみ(全て「正誤判別」)。
大問4も「歴史」。「史料」(北条泰時の手紙)からの出題。
小問は全5問(解答数5)、「選択肢」(「年代整序」あり)、「事項記述」(「ひらがな」指定)。
大問5も「歴史」。「明治時代の政治に関する会話文」からの出題。
全3問(解答数7)、「選択肢」のみ(「空所補充」あり)。
大問6は「公民」(1問のみ「時事」あり)。「衆議院と参議院についての会話文」からの出題。
小問は5問(解答数5)、「選択肢」(「空所補充」あり)、「事項記述」(空所補充)。
大問7は「公民」「時事」(1問のみ「歴史」あり)。「条約に関するリード文」からの出題。
小問は6問(解答数6)、「選択肢」のみ(「不適切」「空所補充」「年代整序」あり)。
時間配分は、1問で30秒強というペース。無論、メリハリのある「戦術」が求められる。
【大問1】地理(「時事」1問あり。「事項記述」あり)
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
「日本や世界の自動車生産における近年の大きな変化――地球環境への負荷や自動運転技術の実用化などをめぐるリード文」からの出題。
「地理」の「産業分野」の「統計資料読み取り」に関する「基礎的知識」を問いつつ、「一般常識」や「時事問題」も出題されている。
以下、後者について確認する。
[問3] 「条件付き下線部に関する事項記述設問」(「カタカナ」指定)。
「一般常識」だ。リード文中の下線部(ウ)「安全性や快適さを高める工夫」に関して、「人工衛星と通信して音声や画面で道案内するしくみを何と呼ぶか」を「カタカナ」で答える。
「条件」は「解答らんの指示にしたがって答える」こと。
もちろん、「カーナビ」のことだ。以上、終了!でいいのか?
「条件」に従うと「カーナビ(システム)」となる。なんか、しっくりこない。しかも、「カーナビ」は単なる「通称」、「略称」だ。やはり、ここは「正式名称」で記述する必要がある。
よって、「答え」は「カーナビゲーション(システム)」になる。
知らなかった諸君は覚えておきたい。「事項記述」では、指示がない限り「正式名称」で答えることが鉄則だ。
<時間配分目安:30秒>
[問5] 「下線部についての不適切選択肢設問」(4択)。「時事」単元。
下線部(オ)の「自動運転技術の実用化」について示されている説明で、「適当でないもの」を答える。
近年、上位校で頻出の「自動運転技術」に関する「時事問題」だ。
各選択肢の「キーワード」で正誤判別していく。
(1)「混雑緩和や資源節約に期待」⇒最も効率的な運転が可能になる=適切、
(2)「自動車メーカー以外にIT企業が参加」⇒「グーグル」などがいち早く開発を進めていることは知っているはず=適切、
(3)「事故の責任の扱いは未定」⇒ようやく「国際的なルール」づくりに着手した段階=適切、
(4)「農業や土木工事などには未導入」⇒トラクターや建設機械などに一部導入されている=不適切。
したがって、「答え」は(4)だと即決できなくてはいけない。
尚、「自動運転技術」は日々進化している。常に「最新情報」をゲットしておくことが肝要。
<時間配分目安:30秒>
【大問2】地理(「選択肢」のみ。「組み合わせ」「不適切」あり)
- 難度:やや難
- 時間配分:3分
日本国内の新幹線(北海道・東北・上越・北陸・東海道・山陽・九州)で「北海道」以外のそれぞれを(A)~(F)として、それらの「長さ」「旅客数」「終点のある道府県の人口」を示した「表1」と、それぞれの「終点位置」を(ア)~(カ)で表した「日本地図」、そして、それらに関連した「表2」からの出題だ。
「地理」としてはさほど難解ではないはずなのだが、「資料」の細部への不注意や「組み合わせ選択肢」での見落としなどが致命的になってしまうという、ひとくせある「統計資料読み取り設問」の典型だ。
では、曲者の2問を検討しよう。
[問1] 「統計資料読み取りの組み合わせ選択肢設問」(6択)。「地理」単元。
「表1」中の「(A)(C)(F)の終点」を「日本地図」の地点(ア)~(カ)からそれぞれ選んだ「組み合わせ」として「正しいもの」を答える。
先ずは、「表1」(A)~(F)の各新幹線を特定しなければ始まらない。
各項目の「特徴的な数字」に着目して決めていきたい。
先ずは「長さ」、「最長」の(A)は「東北新幹線」、「最短」の(F)は「九州新幹線」、これらは問題ないはず。
次に「終点道府県の人口」、「最多」は「大阪府」(新大阪)なので、(C)=「東海道新幹線」、「最少」は「青森県」(新青森)で、(A)=「東北道新幹線」。
そして、「長さ」と「人口」がともに「2位」の(B)=「山陽新幹線」、残りの(D)(E)では、「人口」が倍近く多い(E)=「上越新幹線」(新潟)、(D)=「北陸新幹線」(金沢)だと特定したい。
これらから「地図上の位置」を確認すれば、「答え」は、(A)=(ア)、(C)=(エ)、(F)=(カ)となっている(1)だと判別できるはずだ。
面倒ではあるが、こうした問題では丁寧に特定していくことが求められる。尚、「組み合わせ選択肢」では「消去法」を最大限活用すること。
<時間配分目安:1分半>
[問4] 「統計資料読み取りの組み合わせ選択肢設問」(6択)。「地理」単元。
「自動車」「鉄道」「航空」「船」による「旅客輸送」と「貨物輸送」の「平均輸送距離」を示した「表2」について、表中の「X」「Y」「Z」がそれぞれ表す「自動車」「鉄道」「航空」の「組み合わせ」として「正しいもの」を答える(「船」はすでに記入されている)。
「表2」では、「旅客輸送」と「貨物輸送」ともに「X」が断トツで、以下、「Y」「Z」となっている。
であれば、「輸送」が最も多いのは「自動車」なのだから、「X」=「自動車」に決まっているじゃん。と考えてしまった諸君は、まんまとひっかかっている。
表の「項目」は「人数」や「量」ではなく、「距離」なのだ。
ということは、より「遠距離」の場合の「輸送手段」を考えなくてはいけない。もちろん、より遠くへは「航空」を利用するはずだ。
したがって、「答え」は、「X」=「航空」、「Y」=「鉄道」、「Z」=「自動車」となっている(6)だと判別しなくてはいけない。
馴染みのある「統計資料」だとしても、それぞれの「項目内容」が異なっている可能性があるので、十分に注意する必要がある。
<時間配分目安:1分以内>
【大問3】歴史(「選択肢」のみ。全て「正誤判別」)
- 難度:易
- 時間配分:3分
- ★必答問題
「時代の特徴についての正誤判別設問」(全9問)。「歴史」単元。
「縄文時代」「弥生時代」「古墳時代」のそれぞれ3つの特徴について示した説明で、「適当なもの」には「○」、「適当でないもの」には「☓」を答える。
「歴史」の基礎的問題で、本校志望者であれば手際よく「全問正解」して当然の大問だ。各説明の「キーワード」で「正誤判別」していくことになる。ただ、焦っていると判別を誤りそうなものもあるので、2問だけ考えてみたい。
「弥生時代」の(2)「青銅製や鉄製の鍬(くわ)や鋤(すき)が多数出土」⇒「青銅製」のものは「祭器」⇒「答え」=「☓」⇒「青銅製」の「製」の見逃がしや、前後の「修飾関係」を読み違えると判別を謝るので要注意。
「古墳時代」の(1)「古墳の種類は前方後円墳だけに統一」⇒無論、「円墳」や「方墳」などもある⇒「答え」=「☓」⇒「前方後円墳」に瞬時に反応し即断してしまわないこと。
とにもかくにも、「細部」に配慮することが鉄則。
<時間配分目安:全問で3分弱>
【大問4】歴史(「年代整序」「事項記述」あり)
- 難度:難
- 時間配分:5分
「北条泰時」が京都にいる弟に出した手紙の内容を示した「史料A」からの出題。
「鎌倉幕府第3代執権」で「御成敗式目(貞永式目)」を制定した「北条泰時」については誰でも知っているはずで、その点では平易なはずなのだが、中にドキッとするようなひねりの利いた難問が紛れている。いかにも本校らしい大問。2問について確認する。
[問4] 「下線部についての事項記述設問」(「ひらがな5文字」指定)。「歴史」単元。
「史料A」の中の下線部(ウ)の「以前からある朝廷が定めた法令」を、「何と呼ぶか」を「ひらがな5文字」で答える。
下線部前後は、「御成敗式目が制定されても、それまでの朝廷の取り決めなどは改められることはない」という「文脈」になっている。
それにしても、「朝廷が定めた法令」? 何だ?
皆目見当もつかなくて当然。難解だ。が、ここは落ち着いて考えをめぐらせてみたい。
「史料A」は「鎌倉時代」のことで、「以前からある」ということは、「平安時代」までの「法令」だと考えられるはず。「朝廷」が統治に用いた「決まりごと」といえば……、そう、「律令」ではないか!と思いつきたい。
よって、「答え」は「りつりょう」となる。
無論、「律」とは「刑罰についての規定」、「令」は「一般行政に関する規定」。
尚、「北条泰時」の頃は「幕府」と「朝廷」の二重統治(公武二元政治)だったということも理解しておくこと。
本問は確かに難問なので無論、「捨て問」でも構わない。ただ、本校ではこうした「ディープな知識」が求められる場合があることは心得ておくこと。
<時間配分目安:1分強>
[問5] 「史料に関しての年代整序選択肢設問」(4択/複数完全解答)。「歴史」単元。
「史料A」に関して示されている、(1)~(4)のできごとを「古い順に並べて」答える。
本校に限らず上位校では頻出の「年代整序」。各選択肢の「キーワード」から「時代(時期)」を特定していく。
(1)「後醍醐天皇が鎌倉幕府を倒そうとしたが失敗」⇒「鎌倉時代末期」⇒「後醍醐天皇」は「鎌倉幕府」を実際に倒すまでに2度失敗していることは覚えておきたい、
(2)「六波羅探題を設置」⇒「承久の乱」の直後で「鎌倉時代前期」、
(3)「元が日本に攻めてきた」⇒「文永の役」「弘安の役」でともに「鎌倉時代中期」、
(4)「史料Aの法令がつくられた」⇒「北条泰時」の時で「鎌倉時代前期」。
問題は(2)と(4)の順だ。「承久の乱」の時は「2代執権・北条義時」で、「泰時」は「3代」ということは分かるはず。であれば、(2)が前だ。
したがって、「答え」は(2)→(4)→(3)→(1)となる。
尚、「年代整序」では「年代」の「数字」だけに頼るのではなく、「背景」や「流れ」を理解した上で「整序」していくことが肝要だ。
<時間配分目安:1分強>
【大問5】歴史(「選択肢」のみ。「空所補充」あり)
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
「おもに明治時代前期の政府内の対立のようす」に関する「会話文」からの出題。
「空所補充設問」が中心の大問で、「明治時代の歴史」の「基本的知識」を問うものがほとんどだが、「早とちり厳禁!」のものもあるので、少し検証しよう。
[問1(い)] 「語句の空所補充選択肢設問」(12択)。「歴史」単元。
会話文中の空所( い )に「あてはまる語句」を答える。
空所前後は「この使節団(岩倉使節団)には長州出身の ( い )も参加している」となっている。
「岩倉使節団」で瞬時に反応し、パッと目に入った選択肢(10)「大久保利通」だと即答しないこと。「長州出身」とある。「大久保利通」は「薩摩藩出身」だ。
正しい「答え」は、(7)の「木戸孝允」だ。
まさに、「早とちり厳禁!」の典型。「空所補充」で選択肢が多数ある場合には、全てを確実にチェックする慎重さが求められる。当然、空所前後への配慮も不可欠だ。
<時間配分目安:30秒>
[問2] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。「歴史」単元。
会話文中の下線部(ア)の「西南戦争」について示されている説明で、「適当なもの」を答える。
各選択肢の「キーワード」で正誤判別をする。
(1)「西郷軍はイギリスの支援を受けた」⇒無論、あり得ない。あくまでも「内戦」=不適切、
(2)「西郷軍は3年以上に渡って戦った」⇒「1877年~」とは覚えていないはず、約半年間で終わっている=不適切、
(3)「政府は徴兵で動員した兵を用いた」⇒「政府軍」は「徴兵制」による近代的な軍隊と一部「警察力」だった=適切、
(4)「西南戦争以前、士族は武力による政府への抵抗を行わなかった」⇒「佐賀の乱」(1874年)など「士族の反乱」は以前にも起きており、「西南戦争」は「最大にして最後の反乱」だった=不適切。
したがって、「答え」は(3)。
「キーワード」を見逃がさないことが肝要。
<時間配分目安:30秒>
【大問6】公民(「時事」1問あり。「事項記述」あり
- 難度:標準
- 時間配分:3分
「2017年9月の衆議院解散を切り口にした、衆議院と参議院との違い」についての「会話文」からの出題。
「公民」の「基本的事項」や基礎的な「時事問題」(1問)だ。
ただ、ほんの一部、選択肢で悩ましいものが紛れている。以下、2問だけチェックしたい。
[問1] 「語句の空所補充選択肢設問」(4択)。「時事」単元。
会話文中の空所( あ )に「あてはまる語句」を答える。
空所前後は「2017年9月に安倍晋三内閣は( あ )の冒頭で衆議院を解散した」となっている。典型的な「時事問題」だ。
各選択肢は、(1)「常会」、(2)「臨時会」、(3)「特別会」、(4)「両院協議会」。
安倍内閣は野党の要求した「臨時国会召集」を3カ月も無視し、開催したと思ったらその冒頭で「解散」してしまったということは押さえているはず。
よって、「答え」は(2)。
「時事問題」はその「流れ」も踏まえて的確に学習しておきたい。
<時間配分目安:30秒>
[問3] 「語句の空所補充選択肢設問」(4択)。「公民」単元。
会話文中の空所( い )に「あてはまる語句」を答える。
空所前後は「(衆議院の優越に関して)( い )の審議については、衆議院が可決した後、参議院が30日以内に議決しないと衆議院の議決が国会の議決になる」。
「衆議院の優越」での「参議院での○○日以内の議決」の問題だ。
混乱している諸君がよくいるので注意したい。各選択肢を確認する。
(1)「予算案」⇒「30日以内」、
(2)「内閣総理大臣の指名」⇒「10日以内」、
(3)「法律案」⇒「60日以内」で「参議院が否決」したとみなし、衆議院で「出席議員の3分の2以上」の賛成で「再可決」すれば成立、
(4)「内閣不信任案」⇒そもそも「衆議院だけ」に認められている。
したがって、「答え」は(1)。
「衆議院の優越」は頻出なので、「細部」も含めてしっかりと復習確認しておくこと。
<時間配分目安:30秒弱>
【大問7】公民 時事(「歴史」1問あり。「年代整序」あり)
- 難度:やや難
- 時間配分:4分
「条約の定義や批准との関連など」についての「リード文」からの出題。
「条約」に関するさまざまな事項が、「公民」と「時事」を行き来しながら問われている(1問だけ「歴史」あり)。
意外とエアポケットになっていそうな内容もあり、やや難解な大問だ。以下、いくつか確認したい。
[問2] 「下線部に関する選択肢設問」(4択)。「公民」単元。
リード文中の下線部(イ)の「自然環境」に関する「条約」として示されている(1)~(4)の説明で、「正しいもの」を答える。
実はこの小問、選択肢(4)の「ラムサール条約は、湿地・干潟の保護について定めている」が絶対に「正しい」と確信できるはずで、「答え」は(4)で問題ない。
ただ、他の選択肢に関しては「?」という曖昧(あいまい)な感じではないか?
重要な「条約」もあるので、ここで確認しておきたい。
(1)の「ウィーン条約」=「オゾン層の保護を目的とする国際協力のための基本的枠組を設定」したもので、その下に「フロンの使用禁止」を定めたのが「モントリオール議定書」。
(2)の「ワシントン条約」=「絶滅の恐れのある野生動物の取引についての規定」。
(3)「バーゼル条約」=「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制」。
これらについても、おおよそのことは覚えておくこと。
<時間配分目安:30秒弱>
[問4] 「下線部についての不適切選択肢設問」(4択)。「公民」「時事」単元。
リード文中の下線部(ウ)「日本は全ての国際的な条約を批准しているわけではない」について、日本が2017年4月現在で「『批准していない』条約」を答える。
各選択肢の、(2)「人種差別撤廃条約」と(3)「子どもの権利条約」は知っていて当然で、(1)の「拷問禁止条約」も「日本国憲法」の規定からすれば批准していると考えられるはず。
よって、「答え」は(4)「死刑廃止条約」になる。
「死刑廃止」は国際的な主流であり、批准していない国は日本以外ではアメリカ、中国、イスラム諸国などの少数派だということは認識しておこう。
尚、「批准」とは「条約に対する国家の最終的な確認、確定的な同意の手続き」で、日本では「国会の承認」になる。
<時間配分目安:30秒>
[問6] 「大問に関連する選択肢設問」(4択)。「時事」単元。
本大問全体に関連して、「2017年のノーベル平和賞」を受賞した「国際キャンペーン」の名称を答える。
「アルファベット略称」の問題だ。果たして正確に定着しているかどうか?
「答え」は、選択肢(1)の「ICAN」。
その他は、(2)「IAEA」=「国際原子力機関」、(3)「IMF」=「国際通貨基金」、(4)「IOC」=「国際オリンピック委員会」。
「国連機関」や「国際機関」の「アルファベット略称」は、「日本語正式名称」とセットで定着させておくこと。
尚、「I~」=「国際~」、「W~」=「世界~」、「UN~」=「国連~」と覚えておくと便利だ。
<時間配分目安:30秒弱>
攻略ポイント
●最大のネックは「試験時間」だ。「戦術」は不可欠。
基本は「取れる問題を確実に押さえる」こと。瞬時に「捨て問」を判別し、次の問題に立ち向かうべきだ。
配点は各1~2点、7割程度と推定される合格ライン(非公表)を考えれば、10問ほどは「捨て問」としても構わない。難易度から判断して「基礎的知識」で十分対応可能だ。
●本校では「時事問題」「歴史」などで「大人の一般常識」がよく問われる。
塾のテキストでは扱われていないようなものなので、そうした問題が出されるということを日頃から「意識」しておくことが重要だ。
その上で、「新聞」や「テレビのニュース」は必ずチェックし、知らないことがあったら確認し、周りの「大人たちの会話」にも「参加」するように心がけたい。
●「SFCは最新ネタが好み」いうことも心得ておきたい。本年度も「2017年9月」のという「時事ネタ」があった(昨年度は「11月の出来事」まで、他校に類例のない「直近さ」だ)。
無論、「時事問題」に限らず全単元で「最新情報」に基づく出題がある。常にアンテナを張りめぐらせておくこと。当然、「統計資料」は必ず最新版で覚えたい。
テキストとしては「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。
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