芝中学校 入試対策
2022年度「芝中学校の国語」
攻略のための学習方法
出題傾向と特色
ここ数年は漢字・語句の問題が2題、読解問題が2題という構成が定型となっている。素材文は文学的文章と説明的文章が1題ずつ、文量は計7000~8000字ほど。
文学的文章は、受験生と世代の近い登場人物が悩みや葛藤を乗り越えて成長していく話が多い。
説明的文章は科学・自然・哲学など、扱われる題材が幅広い。年齢的にあまり馴染みの無い分野だと、内容も難しく感じられる。説明的文章については、やや難しい文章にも触れて見慣れておきたい。
読解問題・記述問題
2015年度より、読解問題の設問はすべて記述式となった。昨年・今年とも設問数は大問二つにそれぞれ四題ずつ、計八題。記述問題で求められる総字数は2022年度では460字で、25~100字で書く形になっている。
記述問題に特化した形式に気後れしてしまう人もいるかもしれない。直近の5年間では合格者平均点が5~6割ほどと以前よりは難しくなっているが、記述問題で6割の部分点を得られればよいのだという考え方もできる。
「自分で考えて書きなさい」・「自分の意見を答えなさい」といった論述タイプの記述ではない。特に説明的文章の問題では、本文から適切な部分を抽出し、まとめることで解答をつくることができる場合が多い。文学的文章も年齢や舞台の設定が受験生にも馴染みやすいものが多いので、登場人物の心情も理解しやすい。読解力が適切についていればそれほど難しくは感じないはずである。
まずは説明的文章・文学的文章の読解の技術をしっかり身に着けよう。
説明的文章なら形式段落と意味段落の整理、各段落の要点と細部の見分け、全体の要約と要旨など。文学的文章なら登場人物の整理、時間・場所・人物の入退場による場面分け、人物の言動や情景などから心情の読み取り、物語のテーマなど。
基本的な読解力をつけた上で、記述に慣れておく。説明的文章では要点をそのまま記述に使える場合が多いだろう。文学的文章では人物の気持ちや行動の理由が訊かれることが多い。それぞれの文章を多く読んで、一定の字数でまとめる練習を積んでおこう。
最初から最後まで記述が続く試験なので、書く事への抵抗感があるようだと辛い。完璧な解答を目指さなくて良いので、部分点は取れるようにまずは一定の字数を書き込めるよう、過去問を多くこなしてまとめ方のコツをつかみたい。
漢字・語句
漢字も毎年10問ほど出題されている。読みを明らかにせず文脈から当てはまる漢字を考えさせるような問題もある。難しい問題も見られるが、普段からの語彙を増やす努力がモノを言う分野でもあるので、漢字テキストと同様、読書などからも漢字を吸収するよう心がけてほしい。
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2022年度「芝中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
漢字+言葉の知識の問題が10問、読解問題の記述が8問という記述問題に特化した構成である。漢字・言語事項は4~5分で済ませて、残りは読解と記述に充てることになる。
素材文の字数は計6600字ほど。重要箇所を傍線・印などでマークしながら読み終え、ひととおりすべての記述の必要字数を満たして最後まで書けるスピードが欲しい。完璧な解答を目指して時間が足りなくなる事態は避けたい。
【大問一・二】漢字・慣用句
- 難度:標準
- 時間配分:大問一・二合計5分
- ★必答問題
【大問一】漢字の書き取り
① 弁護士
② 牛肉
③ 退場
④ 一目散――わき目もふらずに走るようす。
⑤ 布教――ある宗教を一般に広めること。
【大問二】漢字・慣用句
① 遊んだ
② (混乱を)招く
③ 水に流し(て)――過去のいざこざなどを、すべてなかったことにする。
④ 穴があったら入りたい――身を隠したいくらいに恥ずかしい。
⑤ お茶を濁し(た)――その場しのぎで、いいかげんにごまかす。
【大問三】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:23分
- ★必答問題
プラットフォームに飲み込まれないためには、「思考体力」をつけて「形式知」を「暗黙知」にすることが重要であると説いている。
問一 次の段落で説明している。「プラットフォームを形成するもの」は「コンピューターと結びついたコスト合理性とコモディティ化」という「経済的な合理性」である、とまとめられているので、ここを使う。
問二 前段落で具体例が述べられているので、その例の元となっている部分を探す。すると、段落冒頭の「コンピューターの作るバーチャルな代替物で人々が幸福感を得て満足するような面」が出てくること、の例であることがわかる。傍線部②の「潮流」とは、冒頭のこの部分を指していると思われる。
問三 「思考力体力を高めるための第一歩」は、「ネットや他人から得た情報を鵜吞みにするのではなく、あらためて自分で考える習慣をつけること」だと述べられている。そして思考体力の基本は「解釈力」なので知識を他の知識と結びつけておくことが重要だと指摘している。以上の二点を字数以内でまとめればよい。
問四 他人から聞いたりネットで集めたりしただけの「形式知」では新しい価値は何も生まれない。「形式知」を鵜呑みにするのではなく、自分の頭でしっかり考え、他の知識とひたすら結びつけて、その答えと自分の人生はどう接続されていくのかを考えて思考を深くし、ただの「形式知」から新しい価値を生み出す「暗黙知」に変えていかなければならないのである。
【大問4】小説の読解
- 難度:難
- 時間配分:22分
孤児院で暮らす主人公は公立の全日制高校の合格を目指していたが、定時制高校に通う船橋らに嫌がらせや暴力を受け、悪行の濡れ衣を着せられてしまう。
問一 船橋らが暴力をふるっているのは主人公たちに全日制高校へ行くことを断念させるためである。あきらめさせて、自分たちと同じように夜間の定時制高校に通い昼間は働くという生活をさせたいのである。
問二 小川と佐久間が、寄付に頼って全日制に行くのではなく「働きながら夜間学校へ通う」と言ったことを受けている。院長は二人が心変わりをした理由はわからないながら将校たちの手前、ほめるような言い方をする必要もあったのであろうと考えられる。
問三 主人公に嫌がらせをするために、ハーモニカを盗んだという濡れ衣を着せようとした。その事件に次いで、今回の恋文事件も誰かが仕組んだ同じ構図(全日制をあきらめさせるために主人公を悪者にしようとしている)の出来事であろうと、院長は気づいていたということである。
問四 裕福な家に生まれて敬虔に神の善意を信じているらしい院長には、家族もなく孤児院で暮らす主人公や船橋たちの間の、人を妬む気持ちや邪魔するために事件まででっちあげてしまう悪意などは、理解できないだろうと主人公は考えている。公立の全日制高校に寄付で通えるのは院長からしたら誰からも祝福されるべきすばらしいことなのだが、それを妬んで邪魔しようとする船橋らの心情などは特に、説明してもわかってもらえないと、主人公は思ったのである。
攻略のポイント
記述問題には必ず手をつけて規定の字数(9割)を埋めて、部分点を得る。無理に綺麗な答案を書こうとしなくて良い。適切な読解力があれば、合格点に到達できるように作られている。思った答えをテキパキ書き進めよう。
とは言え、100字もの記述をまとめるのには経験が必要なので、過去問や類似問題で十分に練習しておくこと。
合格者平均点と受験者平均点の差が小さい、差がつきにくい試験なので、2割の配点がある漢字もミスしたくない。丁寧に学習しておこう。
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