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芝中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2024年度「芝中学校の理科」
攻略のための学習方法

芝中理科の満点は75点、合格者平均点は例年6割~7割程度であるが、今年度は約5割で、ここ数年の中では最も難度の高い入試であった。塾などのテキストで学習してきたことを使えば解くことができる標準レベルの問題が中心であるが、ややレベルの高い問題も含まれている。各単元の基本知識を早い段階で固めた上で、物理・化学の計算問題を中心に、レベルの高いものまでしっかり練習しておくべきであろう。

芝中学合格へ向けての理科の学習法としては、まず各分野の基本事項を早い段階でしっかり固めることが第一である。分野、単元にこだわることなく、テキストに書かれてある基礎知識をしっかり身につけておこう。覚えたかどうかのチェックもしっかりと行って欲しい。塾のテキストやご家庭でこれまでに解いたことのある問題集でもよいので取り組んで欲しい。その際、過去問に出ている単元だけに的を絞って覚えることは危険であり、どの単元が出題されても大丈夫なように、まんべんなく学習して欲しい。

実験や観察の進め方、実験器具の使い方なども過去に何度か出題されており、覚えておくべき重要なポイントとなる。化学分野の実験、光合成など植物に関する実験、上皿天秤・顕微鏡等の使い方なども理解し、覚えておこう。

どの分野の出題についても言えることとして、実験や観察の結果(表・グラフなど)をもとに考察させる問題の比率が高い。同様のタイプの問題演習をしっかり行いたい。

計算問題については、化学分野では溶解度と濃さ・中和反応・気体の発生・金属の燃焼など、特に比を用いて解く問題の練習をしっかり行うこと。物理分野ではてこ・滑車・浮力など力のつりあいに関する計算問題は演習を積み重ねることにより早めに定着させておきたい。

その他の単元では、出題頻度の高い「電気」「天体」については問題演習に時間をかけよう。電気に関しては、豆電球の明るさの他に、今回出題された電熱線の発熱、電流と磁界などについても演習を十分行うこと。天体に関しては、単なる丸覚えではなく、地球の自転と公転、月の公転などを理解した上で問題演習に取り組むこと。

9月以降は総合的な問題の演習を通じて、実戦力を上げていく時期になる。(そのためにも夏休みまでの基本の定着が必要)芝中過去問の演習はもちろんのこと、他校の過去問であっても同じような傾向の問題には取り組んで欲しい。過去問・模試・その他の問題演習で大切なことは間違えた問題に対しての取り組みである。間違えた問題のやり直しはもちろんのこと、なぜ間違えたのかを分析し、その後の学習にしっかりつなげて欲しい。取り組むべき問題の選択、苦手分野の分析やその対策については家庭教師を有効的に使おう。

最後に時間の使い方だが、各大問における実験・観察の説明が長く、40分で5つの大問を解き切ることは決して楽ではない。しかし慌てることなく、「問題文をしっかり読み理解する」という時間はしっかり確保したい。わからない問題はいったん後回し、できる問題は確実に、計算問題は冷静で丁寧にという気持ちで。空欄が一つ二つあっても慌てることは禁物である。

日頃の問題演習、模試、過去問においても、落ち着いて取り組んでいこう。

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2024年度「芝中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問数は5、小問数は35程度、試験時間は40分で例年通りであった。記号選択問題が中心で、計算問題、簡単な記述問題も見られた。問題数が多く、長めの文章や図、データを読み取って答える問題が中心であるために、40分はかなり短く感じられるであろう。できる問題から解答欄を埋めていくという意識が必要である。過去問などを使って時間を意識した問題演習もしっかり行って欲しい。

【大問1】総合問題 

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分

大問1は例年通り、芝太郎君が登場する総合問題。長めの会話文を読んだ上で答えるタイプの問題。

(1)ロサンゼルス・成田間の航空機で、行きと帰りで所要時間が違う理由の選択問題。偏西風の影響による。

(2)図より、40°45°50°55°でホームランになっている。また、85°で上がった時に最も高く上がっているので、滞空時間が最も長い。

(3)セコイアの絵と特徴を選択する問題。有名な植物ではないが、会話文中の「縄文杉に近い仲間」がヒント。

(4)2023年6月に特定外来生物の指定された生物を選択する問題。アカミミガメとアメリカザリガニが該当する。

(5)導体を選択する問題。アルミニウムと黒鉛が該当する。

(6)太陽光のようなエネルギーを「再生可能」エネルギーと呼ぶ。

大問1は例年通り各分野からの小問を集めた総合問題。時事問題を含めたやや細かい知識問題が含まれている。

【大問2】地学 地学総合問題

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

(1)(a)色が黒いより玄武岩と考えられる。

(b)15字以内の記述問題。小さな穴は水蒸気などの気体が抜けた時にできた。

(2)富士山で星がよく見える理由の選択問題。街の灯りの影響が少ないはすぐにわかるが、もう一つの理由であるそれより上にある空気が少ないからはやや迷う。

(3)(a)北極星に近いが北。空を見上げて使うものなので、が東。地図とは違うことに注意。

(b)図より、9月12日22時と一致している。

(c)同じ時間に星を見ると1日に1度ずつ西に動いて見えるので、2か月前の6月12日には60度東寄りに見える。60度星が動くのに4時間かかるので、午前4時となる。

(4)(a)秋分前の8月なので、太陽は真東より北よりから上る。

(b)15字以内の記述問題。1日中太陽が見えなかったことから、この日は新月。月は太陽と同じ方向にあった。

(5)雲海を作る雲は層雲。

地学分野の総合問題。天体を中心に岩石や気象に関する設問も含まれている。天体については、星の日周運動・年周運動ついての理解度が試される内容。記述問題が2題含まれているが、特に難問ではない。

【大問3】生物 心臓のつくりと働き

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

(1)肺へ血液を送り出す血管は、右心室(3)につながっている肺動脈(う)

(2)ひらがな指定なので「はいどうみゃく」

(3)静脈血が流れているのは、大静脈・右心房・右心室・肺動脈、つまり、図の左側になる。静脈血は酸素の少ない血液につけられた名称で、静脈(血管につけられた名称)とは異なることに注意。

(4)(a)②弁Bを開き、全身に血液を送り出している。容積が変わっていないので、弁は閉じている。弁Aが開き、左心房から左心室に血液が流れ込んでいる。

(b)65×(100-30)×60より、単位をLに変換して273L。

心臓のつくりと働きに関する出題。(3)までは基本知識問題で確実に正答したい。(4)の弁の動きに関する問題はレベル難。

【大問4】物理 電熱線の発熱

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

(1) 図1と図4を比べると、図4では電流が2倍流れている。これより、電熱線Pの電気抵抗は電熱線Qの2倍とわかる。電気抵抗は電熱線の長さに比例し、電熱線の断面積とは反比例の関係にある。

(2) 電熱線Pと電熱線Qは並列につながっている。電池は3個直列につながっているので、Pに流れる電流は90mA、Qに流れる電流は180mA、電流計に流れる電流は合計の270mA。5分後の水温の差は、17.2-13.6より3.6度。

(3) 電熱線Pと電熱線Qは直列につながっている。電熱線Pの電気抵抗を、電熱線Qの電気抵抗をとすると、直列につないだときの回路全体の抵抗はとなる。電気抵抗がのとき電流は180mAなので、電気抵抗がのときは60mAとなる。また表より、電熱線Pに60mA流れると水温は11.6℃、電熱線Qに60mA流れると水温は10.8℃になり、その差は0.8℃になる。

(4) 電熱線Pを並列につなぐと電気抵抗はになるので、さらに電熱線Qを直列につなぐと、電気抵抗はとなる。したがって、流れる電流は90mA。実験結果より、電流が2倍になると上昇温度は4倍になっている。電熱線Qに180mA流れると水温は7.2℃上昇しているので、電熱線Qに90mA流れると、上昇温度は7.2÷(2×2)より1.8℃となる。

電熱線の発熱に関する出題。後半は電気抵抗を使って考えるというややレベルの高い手法が必要となる。同様のタイプの問題演習を日頃行っているかどうかが問われる。

【大問5】化学 ものの溶け方

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分

(1)  グラフの読み取り問題で易問。

(2)水の重さが100gのとき、イは50℃で85g溶け、30℃では45g溶けるので、40gの結晶が出てくる。50℃の飽和水溶液を100g作ったので、出てくる結晶の重さは、   40×100÷(100+85)より四捨五入して、21.6g。

(3)グラフを選択する問題。グラフを読み取ると、ウは200gの水に対して20℃では68g、80℃では102g溶ける。68gを溶かすまでは濃さは同じで、20℃の時はこれ以上濃さが増えなくなる。80℃の時は、102g溶かすまでさらに濃さが増え、102g以降は濃さが一定となる。

(4)濃さ50%のエタノール溶液を100g作るには、水が50g、エタノールが50g必要。水50gの体積は50㎤。表より、エタノール1㎤の重さは0.78gなので、エタノール50gの体積は、50÷0.78より四捨五入して、64.1㎤。

(5)表より50%のエタノール溶液の密度は0.91g/㎤なので、100gの体積は100÷0.91より四捨五入して、109.9㎤。(4)で求めた水とエタノールの体積の合計は114.1㎤なので、104.1-109.9より4.2㎤小さくなっている。

(6)実験結果についての選択問題。試料とじょうりゅう液の濃さの差が最も大きいのは試料Bを用いた時である。

(7)試料F(60%エタノール溶液)に関する実験結果より、得られたじょうりゅう液の濃さは80%なので、じょうりゅう液10gに含まれるエタノールは8g。従って残液90gに含まれているエタノールは60-8より52g。濃さは52÷90×100より四捨五入して、57.8%

ものの溶け方に関する出題。前半の計算問題は標準レベル、後半のエタノールの濃さに関する計算には思考力の必要なレベルの高い問題が含まれている。

攻略のポイント

例年通り各分野からからの出題であった。全体的に標準レベルの問題が多いが、今年度は物理分野と化学分野の問題レベルがやや高かった大問1の総合問題は例年通り、大問2以降は実験や観察についての長めのリード文や図・グラフ等を読み取った上で答えるタイプの問題が中心になっている。

出題単元については、ここ数年の傾向で出題頻度が高い単元もあるが、過度の固定観念は危険であり、どの分野から出題されても大丈夫なように、しっかり準備をしよう。まずは各分野の基本をしっかりと固めた上で、計算問題、実験や観察の結果・データ・表・グラフなどについて考えるタイプの問題の演習に時間をかけよう。試験時間は40分と十分な時間があるとは言え、問題数が多い。過去問等試験時間を意識した問題演習も必須である。

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