芝中学校 入試対策
2016年度「芝中学校の理科」
攻略のための学習方法
芝中理科の満点は75点、合格者平均点は例年6割~7割程度である。本年度の問題であれば、 4 の中に何問か難問があるが、多くの問題が塾などのテキストで学習してきたことを使えば解くことができる基本問題が中心である。計算問題についても、十分な練習が必要ではあるが、超難問は存在しない。しっかり学習を積み重ねていきさえすれば、合格者平均に近い正答が得られるかと思われる。
まず、各分野の基本事項を早い段階でしっかり固めることが必要である。夏休み中までを目途に、テキストに書かれてある基礎知識をしっかり身につけて頂きたい。覚えたかどうかのチェックもしっかりと行って欲しい。塾やご家庭でこれまでに解いたことのある問題集でもよいので取り組んで欲しい
その際、過去問に出ている単元だけに的を絞って覚えることは危険であり、どの単元が出題されても大丈夫なように、まんべんなく学習して欲しい。
実験や観察の進め方、実験器具の使い方なども過去に何度か出題されており、覚えておくべき重要なポイントとなる。化学分野の実験、光合成など植物に関する実験、上皿天秤・顕微鏡等の使い方なども理解し、覚えて頂きたい。
計算問題については、化学分野では中和反応・水溶液と金属の反応・燃焼など、特に比を用いて解く問題、物理分野ではてこ・滑車・浮力など力のつりあいに関する計算問題は演習を積み重ねることにより早めに定着させておきたい。また、化学分野では反応の様子をグラフで表すとどうなるかもしっかり押さえておきたい。
9月以降は総合的な問題の演習を通じて、実戦力を上げていく時期になる。(そのためにも夏休みまでの基本の定着が必要)芝中過去問の演習はもちろんのこと、他校の過去問であっても同じような傾向の問題には取り組んで欲しい。取り組むべき問題の選択に関しては、家庭教師も有効に利用して欲しい。
過去問・模試・その他の問題演習で大切なことは間違えた問題に対しての取り組みである。
間違えた問題のやり直しはもちろんのこと、なぜ間違えたのかを分析し、その後の学習にしっかりつなげて欲しい。
例えばH28年度芝中過去問 2 で間違えが多かったならば、「地層・岩石」の分野が根本的に苦手である、という可能性があり、この単元全体をしっかり復習する必要があろう。
このあたりの判断にも、家庭教師を有効的に使って欲しい。
最後に時間の使い方だが、40分で大問5つ小問35程度は決して楽ではない。しかし、実験や観察に関する問題文を読んで答える問題が中心となるので、「問題文をしっかり読む」という時間はしっかり確保したい。わからない問題はいったん後回し、できる問題は確実に、計算問題は冷静で丁寧にという気持ちで。空欄が一つ二つあっても慌てることは禁物である。
日頃も問題演習、模試、過去問においても落ち着いて取り組んで頂きたい。
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2016年度「芝中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は5題、小問数は35程度、試験時間は40分で例年通りであった。簡単な記述やグラフや図の作成の問題もあったが、ほとんどが記号選択や用語を答えるオーソドックスな問題形式であるのも例年通り。特徴的なこととしては、芝中では頻繁に出題されている力学や電気ではなく、「光」をテーマにした問題が出題された。生物分野の眼のつくりや働きに関する問題の中にも、光(レンズによる像のでき方)に関連した問題が含まれていることも注目される。
【大問1】理科の基礎知識に関する出題
- 難度:標準
- 時間配分:5分
芝太郎君の体験に関する文章を読んで答える、毎年恒例の理科の基礎知識に関する出題。
(1)人間の心臓の働きと呼吸に関しての問題
(2)イチョウが風媒花であることを問う問題
(3)水の状態変化と体積の変化に関する問題
水が氷になると、体積は約1.1倍になる。
(4)エレベーターに乗った時の気圧の変化に関する問題
(5)光の性質や色の見え方に関する問題 さそり座のアンタレスやオリオン座のベテルギウスは赤く見えるのと同様に、電熱線が赤く見えるのは表面温度の影響である。
いずれの問題も、テキストで学習した知識を身の回りで実際に見られる現象と結び付けて考えることができるかを問う出題となっている。
【大問2】「地層」に関しての出題
- 難度:易
- 時間配分:5分
- ★必答問題
(1)「断層」についての基本問題。
(2)断層と不整合面のでき方から、各層ができた順番を問う問題で、地層の問題として
は一般的な出題。
(3)(4)凝灰岩は泥岩や砂岩といった堆積岩のように丸みを帯びてなく角ばっていることは、顕微鏡を使って確認できる。
(5)日本上空の偏西風の影響で火山灰は西から東に向かって流れていく可能性が高い。
(6)ハマグリとあさりは示相化石であり、2枚の貝殻が重なって地層から発見されたこ とは、この場所が浅い海であったことを示す。
(7)岩石の分類に関する基本知識を問う問題。各岩石が堆積岩・火山岩・深成岩のいずれに属しているかをしっかり覚えていれば正答できる。
(1)~(7)いずれも、地層・岩石に関しての基本知識を持っていれば、正答しやすい問題となっている。
【大問3】「セキツイ動物の眼のつくりと働き」に関する出題
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
(1)眼が退化して光を感じることができない生物は、そもそも光の届かない深海のような環境で生活していると考えられる。
(2)ほ乳類の眼のつき方に関する出題
草食動物の眼は、敵に襲われたときに素早く逃げることができきるように、左右についていて、広い範囲を見渡すことができる。
(3)眼のつくりと光の通り道に関する出題
角膜→ひとみ→レンズ→ガラス体→もうまく の順に光が通っていく。
(4)ガラス体に関する出題
ガラス体といっても、ゼリー状の物質(コラーゲン)でできている。
(5)凸レンズの厚さが厚いほど焦点距離は短くなる。遠くの物を見るときには、レンズの厚さを薄くして焦点距離を長くしている。
(6)眼で見た情報の脳への伝わり方に関する問題。学習してきた知識を使うというよりも、与えられた問題文と図をしっかり読み取ることができるかかがポイント。
眼の内部の壁の左右と視野の左右が入れ替わっていることに注意。
【大問4】「光の性質と像のでき方」についての出題
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
(1)ピンホールカメラは光の「直進」する性質を用いたものである。
(2)針穴から遠くなるほど像の大きさは大きくなり、明るさは暗くなる。
(3)相似を利用して求める計算問題。板の直径と板と焦点までの距離の比は、太陽の直径と太陽から地球までの距離の比と等しくなる。
(4)指定されたA点およびC点から板の穴の両点を通る延長線を引くと、視界の中に太陽がどのように見えているかわかる。
(5)難問。Aの位置では穴に近いためにスクリーンに太陽の像はできず、単に正方形の光が映る。Cの位置であれば像ができ、実際とは上下左右が入れ替わった像が映る。
(6)(3)同様に比を使って求める計算問題。鏡の1辺の長さと鏡から壁までの距離の比が、太陽の直径と太陽から地球までの距離と等しい、そのような状況より鏡と壁の距離を大きくすれば丸い形が映る。(3)穴の直径が1cm、(6)の鏡の1辺の長さが10cmなので、(3)の答えの10倍以上の距離にすればよい。
(3)以降は計算問題もあり、しっかりとした思考力も要求される。同じ物理分野でも多くの生徒が力学や電気の学習に時間をかけている傾向にあり、光は苦手にしている生徒も多い。今回の 4 には苦戦した生徒も多かったのではないだろうか。
【大問5】「中和反応および二酸化炭素の発生」に関する出題。
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1)ビュレット(メスシリンダーも同様)で液面を読むときは、真横から液面の一番下を、最小目盛りの1/10まで読み取る。
(2)フェノールフタレイン液の色の変化に関する基本問題。
(3)同じ濃さの塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を用いて実験すれば、中和するときの2つの水溶液の比は一定になる。
(4)完全中和の時の2つの水溶液の比よりも水酸化ナトリウムの量を多く混ぜると、部分中和によってできる食塩と余った水酸化ナトリウムが残る。
(5)石灰水に二酸化炭素を通すと白く濁る。
(6)この装置の仕組みを知っていた生徒は少ないはず。絵をしっかり見て思考力を働かせて欲しい。
(7)石灰石がなくなったとき、二酸化炭素の発生も止まる。
(8)計算問題でグラフを完成させる問題。塩酸の濃さが半分になったため、同じ体積の二酸化炭素を発生させるためには、塩酸の量を2倍にする必要がある。
一見難しそうな問題に見えるが、(6)を除いては比較的考えやすい易問が並んでいる。
攻略のポイント
合格ラインに乗るには、複雑な計算問題やグラフ作成問題を早い時期に慣れておく必要がある。
「習うより慣れろ」でテキストや同様の内容が出題されている学校の過去問を数多く解くことで苦手意識を克服して欲しい。
じっくり考えて解く時間を夏休み中につくること。その後、より早くより正確に問題を解く問題演習の時間を取ること。
ただし、難しい問題ばかりを解くのに時間を取られ、誰でも解ける問題をおろそかにしない。
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