芝中学校 入試対策
2021年度「芝中学校の理科」
攻略のための学習方法
芝中理科の満点は７５点、合格者平均点は例年６割～７割程度で、今年度は昨年度に比べて易化している。塾などのテキストで学習してきたことを使えば解くことができる標準レベルの問題が中心であるが、ややレベルの高い問題も含まれている。各単元の基本知識を早い段階で固めた上で、物理・化学の計算問題を中心に、ややレベルの高いものまでしっかり練習しておくべきであろう。
芝中学合格へ向けての理科の学習法としては、まず各分野の基本事項を早い段階でしっかり固めることが第一である。分野、単元にこだわることなく、テキストに書かれてある基礎知識をしっかり身につけて頂きたい。覚えたかどうかのチェックもしっかりと行って欲しい。塾のテキストやご家庭でこれまでに解いたことのある問題集でもよいので取り組んで欲しい。その際、過去問に出ている単元だけに的を絞って覚えることは危険であり、どの単元が出題されても大丈夫なように、まんべんなく学習して欲しい。
実験や観察の進め方、実験器具の使い方なども過去に何度か出題されており、覚えておくべき重要なポイントとなる。化学分野の実験、光合成など植物に関する実験、上皿天秤・顕微鏡等の使い方なども理解し、覚えて頂きたい。
どの分野の出題についても言えることとして、実験や観察の結果（表・グラフなど）をもとに考察させる問題の比率が高い。同様のタイプの問題演習をしっかり行いたい。
計算問題については、化学分野では中和反応・水溶液と金属の反応・燃焼など、特に比を用いて解く問題、物理分野ではてこ・滑車・浮力など力のつりあいに関する計算問題は演習を積み重ねることにより早めに定着させておきたい。また、化学分野では反応の様子をグラフで表すとどうなるかもしっかり押さえておきたい。
その他の単元では、出題頻度の高い「電気」「天体」については問題演習に時間をかけて頂きたい。
９月以降は総合的な問題の演習を通じて、実戦力を上げていく時期になる。（そのためにも夏休みまでの基本の定着が必要）芝中過去問の演習はもちろんのこと、他校の過去問であっても同じような傾向の問題には取り組んで欲しい。取り組むべき問題の選択に関しては、家庭教師も有効に利用して欲しい。
過去問・模試・その他の問題演習で大切なことは間違えた問題に対しての取り組みである。
間違えた問題のやり直しはもちろんのこと、なぜ間違えたのかを分析し、その後の学習にしっかりつなげて欲しい。苦手分野の分析やその対策については家庭教師を有効的に使って欲しい。
最後に時間の使い方だが、各大問における実験・観察の説明が長く、４０分で５つの大問を解き切ることは決して楽ではない。しかし慌てることなく、「問題文をしっかり読み理解する」という時間はしっかり確保したい。わからない問題はいったん後回し、できる問題は確実に、計算問題は冷静で丁寧にという気持ちで。空欄が一つ二つあっても慌てることは禁物である。
日頃の問題演習、模試、過去問においても、落ち着いて取り組んで頂きたい。
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2021年度「芝中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は５題、小問数は３５題程度、試験時間は４０分で例年通りであった。記号選択問題が中心で、適語を答える問題、簡単な記述問題、計算問題も見られた。問題数が多く、長めの文章や図、データを読み取って答える問題が中心である。できる問題から解答欄を埋めるという意識が必要である。過去問などを使って時間を意識した問題演習をしっかり行って欲しい。
【大問１】総合問題
- 難度：やや難
- 時間配分：8分
大問１は例年通り、芝太郎君が登場する総合問題。お父さんとの会話文を読みながら各設問に答えていく形式。
（１）太陽の直径：月の直径＝地球から太陽までの距離：地球から月までの距離。
（２）とつレンズによる像に関する設問。ろうそくを焦点の外側に置くと倒立の実像がスクリーンに映り、焦点の内側に置くと、レンズを通して成立の虚像が見える。
（３）記述問題。空気やテーブルよりも、氷水の方が熱を伝えやすかった。
（４）直径数ｍｍ以下のプラスチックは「マイクロプラスチック」。
（５）カラスについての選択肢問題。カラスは尿に相当するものを糞に混ぜて出す。
例年通りの選択肢問題だが、設問数が減った分問題のレベルがやや上がっている。特に（５）の選択肢問題は迷うであろう。
【大問２】生物分野 植物
- 難度：易
- 時間配分：6分
- ★必答問題
（１）アブラナの花のつくりについて、各部の名称を答える問題。
（２）アブラナの油は種子から取れる。
（３）キャベツとハクサイがアブラナ科の植物。
（４）単性化を選択する問題。マツ・ヘチマ・トウモロコシが該当する。
（５）ツルレイシのめ花の絵を選択する問題。子房のふくらみに注目すること。
（６）記述問題。め花にビニール袋をかぶせると受粉できない。実験結果から、ツルレイシのめしべにツルレイシの花粉がついたときだけ実ができたことがわかる。
植物の花のつくり・受粉等に関する知識問題。ここでの間違いは明らかな知識不足なので、植物の分類・花のつくり・働きなどについてもう一度しっかり学習すること。
【大問３】物理分野 滑車のつり合い
- 難度：標準
- 時間配分：9分
- ★必答問題
（１）滑車のつり合いの計算。１１０÷２ より５５ｋｇ。
（２）１１０ｋｇの体重の人を半分の重さで支えることができる代わりに、引く長さは２倍になる。
（３）「よゆうを持って支える」に注意。１本のひもにかかる重さが４５ｋｇで計算すると、４５×４ より１８０ｋｇ以下。
（４）同様に４５ｋｇの重さでひもを引くと考える。４５×２×２×２ より３６０ｋｇ。
（５）動滑車２つの重さと登る人の体重を合わせた１１２ｋｇを４本のひもで支えることになるので、１１２÷４ より、２８ｋｇ。
（６）３つある動滑車で滑車の重さを含めて計算する。
（１００＋６）÷２＝５４ （５４＋６）÷２＝３０ （３０＋６）÷２＝１８
よゆうも考えると、１８＋５ より２３ｋｇ。
（７）２×２×２×２ より１６ｍ。
ボルダリングが題材になっているが、標準的な滑車のつり合いに関する出題。滑車の重さを考慮した計算など、日頃の練習の成果を発揮することができれば、得点を伸ばせる内容になっている。
【大問４】地学分野 地層
- 難度：標準
- 時間配分：7分
- ★必答問題
（１） 断層だが、漢字３文字指定なので「正」か「逆」の判断が必要。断層の上側がずり上がっているので、逆断層。
（２） 断層ができるときの現象は地震。
（３） れき岩・砂岩・でい岩のつぶの大きさに関する設問。
（４） ホタテの化石→冷たい砂のある海 サンゴの化石→暖かくきれいな浅い海
（５） 地層の図から起こった出来事の順に並べる問題。断層ができたのはしゅう曲が起こった後、不整合面ができたのは断層ができた後。
（６） 記述問題。砂岩は川を流れている間に角が削られて丸みを帯びている。ぎょうかい岩は火山灰が降り積もったもので、川の流れの影響を受けない。
（７） アンモナイト・キョウリュウは中生代の化石。
地層に関する出題。知識問題が中心であり、（６）の並べ替え問題は中学入試で頻出。
しっかり得点できなかった時は、テキストを使って知識の整理を行うこと。
さらに、（６）同様の並べ替え問題については問題集などを使って練習して欲しい。
【大問５】化学分野 中和反応
- 難度：標準
- 時間配分：10分
（１） Aはにおいのあるアルカリ性の水溶液なのでアンモニア水。Bは固体が溶けたアルカリ性ではない水溶液なので食塩水。
（２）グラフより、水酸化ナトリウム水溶液を４０㎤加えた時に残る固体は２．４４ｇなので、３０㎤加えた時は、２．４４×３/４ より、１．８３ｇ。
（３）水酸化ナトリウム水溶液を８０㎤加えた時に残った固体の重さは４．１１ｇ。このうち２．４４ｇは食塩なので、４．１１－２．４４の１．６６ｇは水酸化ナトリウムの固体。水酸化ナトリウム水溶液４０㎤に１．６７ｇの水酸化ナトリウムの固体が含まれていることがわかる。水酸化ナトリウム水溶液を１００㎤加えると中和に使われずにあまる水酸化ナトリウム水溶液は６０㎤。ここに含まれる水酸化ナトリウムの固体は、１．６７×６０/４０より、２．５０５ｇとなる。
（４）１．６７÷（４０×１．０４）より、約４．０％。
（５）蒸発皿が水にぬれていても、実験結果は変わらない。
（６）水酸化ナトリウム水溶液に塩酸を加えていった時のグラフの形状の選択問題。
ポイント①：塩酸を加えていなくても固体（水酸化ナトリウム）が残る。
ポイント②：中和した後、あまるのは気体が溶けた塩酸なので、固体は増えなくなる。
中和に関する出題。いずれも標準的なもので難問はない。水酸化ナトリウム水溶液に塩酸を加える場合と、塩酸に水酸化ナトリウム水溶液を加える場合の違い、特にグラフの形状が重要なポイントとなる。
攻略のポイント
例年通り各分野からからの出題であった。全体的に標準レベルの問題が多い。大問１の総合問題は例年通り、大問２以降は実験や観察についてのリード文や図・グラフ等を読み取った上で答えるタイプの問題が中心になっている。昨年までに比べると大問１が難化、大問２以降は易化している。
出題単元については、ここ数年の傾向で出題頻度が高い単元もあるが、過度の固定観念は危険であり、どの分野から出題されても大丈夫なように、しっかり準備をして頂きたい。
まずは各分野の基本をしっかりと固めた上で、計算問題、実験や観察の結果・データ・表・グラフなどについて考えるタイプの問題の演習に時間をかけて頂きたい。
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