芝中学校 入試対策
2022年度「芝中学校の理科」
攻略のための学習方法
芝中理科の満点は75点、合格者平均点は例年6割~7割程度である。塾などのテキストで学習してきたことを使えば解くことができる標準レベルの問題が中心であるが、ややレベルの高い問題も含まれている。各単元の基本知識を早い段階で固めた上で、物理・化学の計算問題を中心に、レベルの高いものまでしっかり練習しておくべきであろう。
芝中学合格へ向けての理科の学習法としては、まず各分野の基本事項を早い段階でしっかり固めることが第一である。分野、単元にこだわることなく、テキストに書かれてある基礎知識をしっかり身につけて頂きたい。覚えたかどうかのチェックもしっかりと行って欲しい。塾のテキストやご家庭でこれまでに解いたことのある問題集でもよいので取り組んで欲しい。その際、過去問に出ている単元だけに的を絞って覚えることは危険であり、どの単元が出題されても大丈夫なように、まんべんなく学習して欲しい。
実験や観察の進め方、実験器具の使い方なども過去に何度か出題されており、覚えておくべき重要なポイントとなる。化学分野の実験、光合成など植物に関する実験、上皿天秤・顕微鏡等の使い方なども理解し、覚えて頂きたい。
どの分野の出題についても言えることとして、実験や観察の結果(表・グラフなど)をもとに考察させる問題の比率が高い。同様のタイプの問題演習をしっかり行いたい。
計算問題については、化学分野では中和反応・水溶液と金属の反応・燃焼など、特に比を用いて解く問題、物理分野ではてこ・滑車・浮力など力のつりあいに関する計算問題は演習を積み重ねることにより早めに定着させておきたい。また、化学分野では反応の様子をグラフで表すとどうなるかもしっかり押さえておきたい。
その他の単元では、出題頻度の高い「電気」「天体」については問題演習に時間をかけて頂きたい。
9月以降は総合的な問題の演習を通じて、実戦力を上げていく時期になる。(そのためにも夏休みまでの基本の定着が必要)芝中過去問の演習はもちろんのこと、他校の過去問であっても同じような傾向の問題には取り組んで欲しい。取り組むべき問題の選択に関しては、家庭教師も有効に利用して欲しい。
過去問・模試・その他の問題演習で大切なことは間違えた問題に対しての取り組みである。
間違えた問題のやり直しはもちろんのこと、なぜ間違えたのかを分析し、その後の学習にしっかりつなげて欲しい。苦手分野の分析やその対策については家庭教師を有効的に使って欲しい。
最後に時間の使い方だが、各大問における実験・観察の説明が長く、40分で5つの大問を解き切ることは決して楽ではない。しかし慌てることなく、「問題文をしっかり読み理解する」という時間はしっかり確保したい。わからない問題はいったん後回し、できる問題は確実に、計算問題は冷静で丁寧にという気持ちで。空欄が一つ二つあっても慌てることは禁物である。
日頃の問題演習、模試、過去問においても、落ち着いて取り組んで頂きたい。
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2022年度「芝中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は5題、小問数は35題程度、試験時間は40分で例年通りであった。記号選択問題が中心で、適語を答える問題、簡単な記述問題、計算問題も見られた。問題数が多く、長めの文章や図、データを読み取って答える問題が中心である。できる問題から解答欄を埋めるという意識が必要である。過去問などを使って時間を意識した問題演習をしっかり行って欲しい。
【大問1】総合問題
- 難度:易
- 時間配分:5分
- ★必答問題
大問1は例年通り、芝太郎君が登場する総合問題。お父さんとの会話文を読みながら各設問に答えていく形式。
(1)甲殻類を選択する問題。ダンゴムシとミジンコが該当。
(2)問題文中の「2番目に大きな個体がオス」より、4.8cmの個体。
(3)全体の量が原液の5倍に、つまり、氷と水を合わせた量が原液の4倍になるように水を加えればよい。
(4)方位磁針のN極が北を指すことから、地球の北極に磁石のS極があると考えることができる。
(5)雲量0~1で快晴、2~8で晴れ、9~10で曇り。
(6)天気記号の雷を選択する問題。
大問1は例年通りの総合問題。(1)の選択にやや迷う可能性があるが、その他は(3)の計算問題も含めて易問。確実に正答して欲しい。
【大問2】物理 電磁石・豆電球の明るさ
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
(1) はかりの目盛りが増えたことから、電磁石の下側がN極になり、はかりの上の磁石と反発し合う力が働いたと考えられる。電磁石は右手の親指以外の4本の指を電流の向きに合わせた時に、親指の向いた側がN極。
(2) 鉄がコイルに引き寄せられるので、はかりの目盛りは100gより小さくなる。ただし、軟鉄ではなく銅を用いているので、磁力は軟鉄の時と比べて弱い。
(3)右手を使って確認すると、電磁石の下の端はN極である。
(4)豆電球が2個直列につながっているEとFが最も暗い。
(5)豆電球1個、乾電池1個の回路で乾電池から流れる電流を1とすると、豆電球が2個並列につながっているCとDは乾電池から4の電気が流れ出るので、乾電池の寿命が一番短い。
(6)CとDが電磁石に流れる電流が一番多いが、100回巻きであるDが最も強い電磁石になる。
(7)Aの電磁石の強さを1とすると、Bは2、Cは4、Dは8、Eは0.5、Fは1、Gは2、Hは4となる。従って、5通り。
電磁石および豆電球の明るさに関する出題。電磁石の極の見分け方、強い電磁石を作る条件、並列回路・直列回路における豆電球の明るさなど、電気に関する知識が身についているかを問う標準レベルの問題が並んでいる。正答できない問題があれば、知識が定着していないと考えられるので、テキストの復習などを通して知識の定着を図って欲しい。
【大問3】地学 気象
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
(1)ひらがな3文字指定。水蒸気が水滴になり始める温度を「ろてん」という。
(2)知識問題。気温30℃における飽和水蒸気量は、30g程度。
(3)空気中の水蒸気量についての選択問題。
(4)雲のでき方についての説明文の穴埋め問題。膨張して上昇した空気は上空で温度が下がり、露点になると水蒸気が水滴になり、これが雲となる。
(5)雲つぶと雨粒の直径の比が1:100なので、体積の比は1:1000000になる。
(6)風は台風に向かって反時計回りに吹き込むので、通過前は東寄りの風、通過後は西寄りの風が吹くと考えられる。
(7)記述問題。台風のエネルギー源は海から蒸発した水蒸気なので、上陸するとその供給がなくなり弱くなる。
雲のでき方、台風についてなど気象に関する出題。(5)の計算問題など注意すべき問題は含まれるが、基本的な知識問題が中心。飽和水蒸気量と湿度および台風についての基本知識が不安な方は、テキストや問題集を使って知識を確実なものにすること。
【大問4】化学 化学変化と気体の発生
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
(1)電子てんびんを水平に調整する方法に関する問い。
(2)炭酸カルシウムと塩酸の反応で発生する気体は二酸化炭素。二酸化炭素は貝殻に酢をかけても発生する。また、二酸化炭素が水に溶けた炭酸水は酸性。
(3)二酸化炭素は水に溶けるので、水に溶けにくい空気と置き換えている。
(4)1.0gの炭酸カルシウムでの実験で、メスシリンダーには270mLの気体が集まったが、30mLは加えた塩酸の体積にあたるので、発生した二酸化炭素の体積は、240mLである。
(5)実験結果の表より、塩酸30mLと過不足なく反応する炭酸カルシウムは2.5gで、このとき発生する二酸化炭素は600mL。従って、塩酸20mLと反応する炭酸カルシウムは、2.5×2/3 より約1.7g。従って、余るのは炭酸カルシウムになる。また発生する二酸化炭素は、600×2/3 より、400mL。
(6)グラフの作成問題。塩酸の濃度が3倍になると、過不足なく反応する炭酸カルシウムも3倍の5gに、その際に発生する二酸化炭素も3倍の1200mLになる。
(7)含まれている炭酸カルシウムは、684÷600×2.5 より、2.85g。従って、2.85÷3×100 より、95%となる。
化学変化と気体の発生をテーマとした出題。(4)が間違えやすく、その正誤が(5)以降に影響して明暗が大きく分かれる。
【大問5】生物 生物総合
- 難度:標準
- 時間配分:9分
(1) コケ類についての選択問題。コケは胞子で増えるので、種子はない。
(2)クモについての選択問題。頭胸部と腹部に分かれており、頭胸部にあしが8本ついている。また、腹部には節がない。
(3)コオロギについての選択問題。足が発達していて移動能力が高い。また、雑食性でいろいろなものを食べる。
(4)漢字3文字指定。生物の死骸や落ち葉を分解するので、「分解者」。
(5)アカマツの種子の絵を選択する問題。
(6)光の強さと二酸化炭素の吸収量を示したグラフについての設問。中学入試頻出問題。二酸化炭素吸収量がグラフの+側でないと成長できないことがポイント。
(7)森林の高さにおける相対照度について、グラフの読み取り問題。
前半はいろいろな生物についての知識問題。後半は光の強さと植物の成長についてのグラフ読み取り問題。特に、(6)の光の強さと二酸化炭素吸収量のグラフについての問題は中学入試頻出問題。テキストや問題集でしっかり学習して欲しい。
攻略のポイント
例年通り各分野からからの出題であった。全体的に標準レベルの問題が多い。大問1の総合問題は例年通り、大問2以降は実験や観察についてのリード文や図・グラフ等を読み取った上で答えるタイプの問題が中心になっている。昨年と大問1が易化、大問2以降は大問4の計算問題のレベルは高いが、それ以外は標準レベルの出題と言える。
出題単元については、ここ数年の傾向で出題頻度が高い単元もあるが、過度の固定観念は危険であり、どの分野から出題されても大丈夫なように、しっかり準備をして頂きたい。
まずは各分野の基本をしっかりと固めた上で、計算問題、実験や観察の結果・データ・表・グラフなどについて考えるタイプの問題の演習に時間をかけて頂きたい。
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