芝中学校 入試対策
2014年度「芝中学校の算数」
攻略のための学習方法
芝中の算数は,いならぶ学校の中でも良問率が高く,算数の実力を公正に測れるという意味では,志望校として過去問対策にあたる場合も,力をつけるために演習として解く場合も必ず実力アップできるという効果がある。
では,芝中学に合格するためには何に注意し,どのような対策を施せばよいのか?
具体的な問題を例にとって説明したい。
2011年(平成23年度)第1回出題【大問Ⅵ】
『ある水そうには,2つの注水管AとBがあり,A管では45分,B管では1時間3分で,それぞれ空の水そうをいっぱいにすることができます。
空の水そうに,はじめの10分はA管とB管の両方を用いて水を入れました。その後,A管だけを用いて□分水を入れ,つぎにB管を用いて何分か水を入れたところ水そうがいっぱいになりました。空の水そうに水を入れ始めてから,水そうがいっぱいになるまでに43分かかりました。』
仕事算に比を用い,さらにつるかめ算で解答していくというパターン化した問題だが,「芝」らしく解答欄ひとつしかない。あまり難しくない問題だが,解く流れとしてはこうだろう。
1.A管とB管の1分間に入れる水量の比を出す。…a
2.aを用いて水そう全体の容積を整数値bで出す。
3.bの答えからA・B合わせて10分間の水量をひく。…c
4.cの数値を用いてつるかめ算の解き方から答えを導き出す。
芝中の場合,解答欄には答えを書きこむだけなので、ひとつの大問に対する小問の数が少ないと配点がそれだけ高くなる。設問(1)(2)と分かれてくれている方が点数がとりやすいのだが,上記の段取りをきちんと踏んで最後までミスしないで終了したとしてようやく1問解いたことになると言う,大変手間がかかるのが特徴である。
公開模試や塾の教材には親切なものが多いので,たいてい解きやすいように(2)のヒントとして(1)が設定されることが多く,しかもそこで得点(マルつけ)出来ることになっているが,芝では解く過程を最後まで見透せた上でいくつかの段階を経て解いていけない限り点数には結びつかない。例に挙げた大問はそんな中ではまだ解きやすい方である。現段階で易々と解けてしまった生徒もいるだろう。いつもこんなものではないので,1つの例として考えてもらいたい。
それでは普段何を行えばよいかと言うことだが,過去問を解くのはもちろんとして,中・上クラスの文章題,しかも設問が1つしかない問題に多くあたることが大切である。周りを見ても適切なものがないという場合は,ある大問の(2)や(3)だけ,先生に指示をもらって解いてみてはどうだろう。文章題でもそうだが,平面図形特に相似形などでは最後の設問だけ答えるのは難しいことが多く,簡単に得点をくれない芝中の対策にはうってつけだと思われる。
ただしそれよりもっとずっと前のステージで止まっている生徒,さきほどの「水そう問題」で,Ⅰの段階にも進めなかった生徒は基礎力不足と言えるので,ひとつ学年を戻した教材でまずは典型題にあたり,いろいろな解き方をマスターすることが必要だ。つるかめ算?芝中合格を目指す生徒は「つるかめ算の解き方=九九」程度に使いこなせることが最低条件だ。
合格するための学習法をまとめると
・過去問を解きながら本校の問題レベルを把握し,上記の対策法を用いて多くの文章題にあたり,複雑な条件下の問題にも対応できる力をつけること。
・平面図形の問題には積極的に手を出し,難易度の高いレベルまで解けるよう時間をかけること。
・基本的な力だけでは合格点には到達しない。一行問題集のレベルで安住せず,同レベルの学校の問題などでも演習をすること。
過去問に取りかかるのは秋からでよいが,時間配分・問題量などにはとりたてて大きな特色はないのでそのときの実力が出やすい形式になっている。
本番までに3度は繰り返し,芝中合格の力を身につけて臨もう。
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2014年度「芝中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が9つ、小問が14問。大問2から大問9まではやや難しい文章題が分野のバランスよく並んでいる。
解く力が備わっていれば時間不足になるということはない。また,考えても考えても分らないという超難問もなく,算数の典型的問題をうまく応用させた良問が続く。算数の力が公正に判定されやすいテストと言えよう。
【大問Ⅰ】計算問題
- 時間配分:5分
(1)・(2)とも頭をひねることもない。小数をていねいに分数に直し、計算のルールに従って解いていけば正解に到達する問題。
必ず当てておきたい。
【大問Ⅱ】数の性質
- 時間配分:5分>
たわむれに,200を15で割ると「ある整数」がすぐ出てしまうので面白味には欠ける。生徒にとってはその方がいいのかもしれない。あとは等差数列の公式を用いて和を求める。正解必須。
【大問Ⅲ】流水算の応用
- 時間配分:5分
エスカレーターの速さを川の速さに見立てた問題で,受験勉強を普通にやってくれば必ず解いたことのある内容である。
かかった時間から逆比で速さの比を求め,「21段」にあたる比の大きさを求めれば難なく解ける。ここも正解しておきたいところ。
【大問Ⅳ】売買損益の問題
- 時間配分:6分
これはいかにも「芝」らしい,売買損益の文章題と言える。ここらあたりから問題の出来不出来の差がつき始めると思われる。
ここでは,値下げ後の売値を①とする,マルイチ算の解き方を紹介したい。
6個ずつ袋に入れたものを,4個分の値段で売るので売値は(2/3)になる。
500×150+①×20+(2/3)×30−20×200=5180を解いて、①=42(円)
(50−42)÷50=0.16→1.6割引(整数値だと思って答えに自信がなくなり空欄にした生徒は不幸だった…)
【大問Ⅴ】通過点
- 時間配分:5分
古典的とも言える,速さの差に割合を加えた問題。A,B,Cの速さの差を線分図にまとめられると答えは出やすい。Cの速さを求めるまでの問題なので,出来れば正解しておきたい。
【大問Ⅵ】規則性の問題(周期算)
- 時間配分:6分
これまた受験算数をこなしてきた生徒なら,一度ならず二度三度やったことがある問題だ。
早速,規則を線分に書き出していったことと思われる。ところがそのあとで条件がもう一つ複雑になっていることが判明する。今までの問題は「花火が打ち上がる」時間のみで聞かれる問題が多かったが,ここでは「花火が開く」時間も考慮に入れなければならない。「スター」「ムーン」の花火が開く時間の周期と,同時に開く時間(公約数を使う)が求められれば解答できる。
(2)はまだしも(1)は答えまでたどり着きたい。
【大問Ⅶ】立体図形(円すいの転がり)
- 時間配分:5分
円すいまたは円すい台が転がる問題では,「母線÷半径=回転数」という公式を知っていると便利。
「母線÷5=8」より,半径5cmに対応する母線が40cmとすぐ分る。
後半はこの問題のみ解きやすいと言えるので,ここは(1)(2)とも短時間で解けるように。
【大問Ⅷ】点の移動(グラフと面積)
- 時間配分:8分
この問題からより複雑さが増し,いよいよテストは胸突き八丁にさしかかる。
問題形式はよくある多角形の辺にそって点が移動していくというありがちなものだが,正解へのアプローチと少し意地悪な設定が受験生を苦しめる。
まずグラフの分析から始める。Aを出発した点PがB,C,D,Eに着いた時間を確認してから,ABEを結び三角形を作ろう。「AB×AE÷2=102」からABまたはBCの長さを求めるのだが,積が204になる整数を巧く求めたい。素因数分解を使って,「204=12×17」が見つかれば(1)は求められよう。
(2)では,勝手な思い込みによって不正解者を多数出したことが予想される。
それは「AE=BC」の条件と自分の視力を信じたことから,「CD=DE」と決めてしまうことである。これが「意地悪な設定」であり,地獄に仏と思ったらやはり鬼だったというのが現実。数値から言うと,CDとDEはたった1cm違うだけなのだが…。
グラフの一部を使ってCからDまでかかる時間(つまりCDの長さ)を求めなければならない。イヤ,まったく長さが違って見えれば受験生はグラフに一目散に向かうであろうが,同じに見えてしまうことで往々にして引っかかりやすくなる。
ここができれば合格は確実だ。ただし,容易でないことも確かで,本年度のテストでは大きく合否を分けた問題と言えよう。
【大問Ⅸ】割合と比
- 時間配分:5分
流すボールが半分ずつに分かれていく(1)だけは丹念に解いていこう。
(2)はやはり「芝」らしい,還元算的解き方をする問いだが,難易度が高いので出来なかったとしてもあまり心配することはない。
攻略のポイント
テスト時間50分で100点満点。合格者平均点は69.3点,受験平均は52.0点ということで,60~70点を合格の目安としよう。
設問の難易度だけで判断すると,大問【6】【8】【9】の6つの小問のうちいくつ正解できたかが大切だ。2つか3つは答えを出せるように力をつけておきたい。
そのためのポイントとしては
・塾の教材や市販の問題集などで,中~高程度の難易度を持つ問題に多く触れ,ねばり強く問題を解くこと。
・問題を解くための道具(線分図や数式など)を書くことをいやがらず,1つずつ問題を解きほぐすことに情熱を持つこと。
・ほぼ同程度の難易度を持つ学校の問題も時間があったら解いておくとよい。
問題のレベルはオーソドックスな難問というところなので,特別なひらめきや解法のテクニックはいらない。標準的な解き方と公式を身につけておけば少なくとも合格点までは取れる。そこまで行き着かないのはまだまだ演習不足なだけだ。スマートなだけでない,ねばり強くどろくさく問題にあたれる生徒に向いた学校である。
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