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芝中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2015年度「芝中学校の算数」
攻略のための学習方法

芝中の算数は、数ある学校の中でも良問率が高く、算数の実力を公正に測れるという意味では、志望校として過去問対策にあたる場合も、力をつけるために演習として解く場合も必ず実力アップできるという効果がある。
では、芝中学に合格するためには何に注意し、どのような対策を施せばよいのか?
具体的な問題を例にとって説明したい。

2011年(平成23年度)第1回出題【大問6】
『ある水そうには、2つの注水管AとBがあり、A管では45分、B管では1時間3分で、それぞれ空の水そうをいっぱいにすることができます。
空 の水そうに、はじめの10分はA管とB管の両方を用いて水を入れました。その後、A管だけを用いて□分水を入れ、つぎにB管を用いて何分か水を入れたところ水そうがいっぱいになりました。空の水そうに水を入れ始めてから、水そうがいっぱいになるまでに43分かかりました。』

仕事算に比を用い、さらにつるかめ算で解答していくというパターン化した問題だが、「芝」らしく解答欄ひとつしかない。あまり難しくない問題だが、解く流れとしてはこうだろう。
1.A管とB管の1分間に入れる水量の比を出す。…a
2.aを用いて水そう全体の容積を整数値bで出す。
3.bの答えからA・B合わせて10分間の水量をひく。…c
4.cの数値を用いてつるかめ算の解き方から答えを導き出す。

芝中の場合、解答欄には答えを書きこむだけなので、ひとつの大問に対する小問の数が少ないと配点がそれだけ高くなる。設問(1)(2)と分かれている方が点数がとりやすいのだが、上記の段取りをきちんと踏んで最後までミスしないで終了したとしてようやく1問解いたことになると言う、大変手間がかかるのが特徴である。

公開模試や塾の教材には親切なものが多いので、たいてい解きやすいように(2)のヒントとして(1)が設定されることが多く、しかもそこで得点(マルつけ)出来ることになっているが、芝では解く過程を最後まで見通せた上でいくつかの段階を経て解いていけない限り点数には結びつかない。例に挙げた大問はそんな中ではまだ解きやすい方である。現段階で易々と解けてしまった生徒もいるだろう。いつもこんなものではないので、1つの例として考えてもらいたい。

それでは普段何を行えばよいかと言うことだが、過去問を解くのはもちろんとして、中・上クラスの文章題、しかも設問が1つしかない問題に多くあたることが大切である。周りを見ても適切なものがないという場合は、ある大問の(2)や(3)だけ、先生に指示をもらって解いてみてはどうだろう。文章題でもそうだが、平面図形特に相似形などでは最後の設問だけ答えるのは難しいことが多く、簡単に得点をくれない芝中の対策にはうってつけだと思われる。
ただしそれよりもっとずっと前のステージで止まっている生徒、さきほどの「水そう問題」で、1の段階にも進めなかった生徒は基礎力不足と言えるので、ひとつ学年を戻した教材でまずは典型題にあたり、いろいろな解き方をマスターすることが必要だ。つるかめ算?芝中合格を目指す生徒は「つるかめ算の解き方=九九」程度に使いこなせることが最低条件だ。

合格するための学習法をまとめると
・過去問を解きながら本校の問題レベルを把握し、上記の対策法を用いて多くの文章題にあたり、複雑な条件下の問題にも対応できる力をつけること。
・平面図形の問題には積極的に手を出し、難易度の高いレベルまで解けるよう時間をかけること。
・基本的な力だけでは合格点には到達しない。一行問題集のレベルで安住せず、同レベルの学校の問題などでも演習をすること。
過去問に取りかかるのは秋からでよいが、時間配分・問題量などにはとりたてて大きな特色はないのでそのときの実力が出やすい形式になっている。
本番までに3度は繰り返し、芝中合格の力を身につけて臨もう。

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2015年度「芝中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が9つ、設問が17問。大問2から大問9まではやや難しい文章題が分野のバランスよく並んでいる。本年度は設問数がやや多かったようだ。
解く力が備わっていれば時間不足になるということはない。また、考えてもどうしても分らないという超難問もなく、算数の典型的問題をうまく応用させた良問が続く。算数の力が公正に判定されやすいテストと言えよう。

【大問Ⅰ】計算問題

  • 時間配分:5分

(1)・(2)とも慎重に問題に当たりたい。小数をていねいに分数に直し、計算のルールに従って解いていけば正解に到達する問題。
必ず得点できるようにしておこう。

【大問Ⅱ】数の性質・・・倍数

  • 時間配分:5分>

252を素因数分解すると、252=2×2×3×3×7となるので、「9の倍数で4の倍数」となるような数の組み合わせを考えればよい。
1+9+2=12より、2つの数の和は6か15。組み合わせとしては(6,0)(2,4)(7,8)のいずれかとなる。7の倍数でもあるので(6,0)はダメで、当てはめて計算すると(2,4)がうまくいく。
例年よりは手が込んだ問題なので少し時間がかかるのはやむを得まい。

【大問Ⅲ】割合と比

  • 時間配分:6分

問題文をよく読んでていねいに計算すれば(1)と(2)の(ア)は簡単に求まる。(イ)ではA君からみて勝ち負けの組み合わせを順番に調べていかなくてはならない。【大問2】に続けて、一発で答えが出ない問題になっている。

【大問Ⅳ】和と差の文章題・・・平均の問題

  • 時間配分:5分

よくありがちな問題だと、平均の面積図を用いることが多いが、この問題はそれも不要で、差を使って飲物代が求まればあとの参加人数も正解できるだろう。

【大問Ⅴ】平面図形・・・等積移動

  • 時間配分:5分

正六角形の分割とおうぎ形の面積を組み合わせた問題。正六角形の分割では、中心の点と結んでヒントを得る、という作業が行われていれば直角三角形の移動は難しいことではあるまい。
また、移動がわからなくても面積を出すことは出来るので、ここは正解しておきたいところだ。

【大問Ⅵ】速さの問題・・・速さと比

  • 時間配分:6分

さて、ここまでスムーズに解いてきた生徒もこの問題では立ち止まることになるだろう。ダイヤグラムを使う解き方が好みでない自分でも、ダイヤグラムを書いて内容を整理した問題。
トラックが片道を走るだけであれば容易につるかめ算で解ける問題なのだが、トラックが往復するということで、本年度はやりの調べていくという過程を経ないと答えまでたどり着かない。速さの問題では異質なので、解き方も含めて挫折した生徒も多かったに違いない。
自転車(速さ1)とトラック(速さ3)が、26分(35-4-5)で距離36を走るので、立式して解けないわけではない。小学生らしく、当てはまる数を探してもよい。
いずれにしても難易度が高く、ここでの不正解はやむを得まい。

【大問Ⅶ】立体図形(構成)

  • 時間配分:6分

ここでもわかりやすい(1)に比べて(2)の難度は高い。立体図形の苦手な生徒は(1)のみ行っておこう。

【大問Ⅷ】水そうグラフ

  • 時間配分:6分

後半ではこの問題が解きやすかった。水そうに水を入れていき、時間と高さの関係を復習するのにはちょうどよい問題レベルになっている。グラフも変化が少ない。
(1)ではAとBの差、Bの値が求まれば答えまではすぐだ。
(2)では、Aの高さ(=Bの高さ)を求めるときに、はじめの6cmを抜かさないこと。そこでつまずかなければ正解できたものと思う。
ここをしっかりあてて、合格点を突破したい。

【大問Ⅸ】和と差の文章題・・・つるかめ算

  • 時間配分:6分

最後もやはり「調べる」問題だった。
(1)は個数が決まっていないつるかめ算、よく「いもづる算」とも呼ばれるもの。BとCについての式を立てて表を作り、しっかりと数え上げていけばよい。
(2)は(1)を使うとわかってもなかなか難しい問題。ここは無理せず当てに行かなくてもよい。

攻略のポイント

テスト時間50分で100点満点。合格者平均点は65.2点、受験平均は51.7点ということで、60点を合格の目安としよう。
設問の難易度だけで判断すると、大問【6】【7】【9】の5つの小問のうちいくつ正解できたかが大切だ。2つか3つは答えを出せるように力をつけておきたい。
そのためのポイントとしては
 ・塾の教材や市販の問題集などで、中~高程度の難易度を持つ問題に多く触れ、ねばり強く問題を解くこと。
 ・問題を解くための道具(線分図や数式など)を書くことをいやがらず、1つずつ問題を解きほぐすことに情熱を持つこと。
 ・ほぼ同程度の難易度を持つ学校の問題も時間があったら解いておくとよい。
問題のレベルはオーソドックスな難問というところなので、特別なひらめきや解法のテクニックはいらない。標準的な解き方と公式を身につけておけば少なくとも合格点までは取れる。そこまで行き着かないのはまだまだ演習不足なだけだ。
スマートなだけではない、ねばり強くどろくさく問題にあたれる生徒に向いた学校である。

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