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芝中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「芝中学校の算数」
攻略のための学習方法

芝中の算数は、数ある学校の中でも良問率が高く、算数の実力を公正に測れるという意味では、志望校として過去問対策にあたる場合も、力をつけるために演習として解く場合も必ず実力アップできるという効果がある。

では、芝中学に合格するためには何に注意し、どのような対策を施せばよいのか?
具体的な問題を例にとって説明したい。

2011年(平成23年度)第1回出題【大問6】
『ある水そうには、2つの注水管AとBがあり、A管では45分、B管では1時間3分で、それぞれ空の水そうをいっぱいにすることができます。
空 の水そうに、はじめの10分はA管とB管の両方を用いて水を入れました。その後、A管だけを用いて□分水を入れ、つぎにB管を用いて何分か水を入れたところ水そうがいっぱいになりました。空の水そうに水を入れ始めてから、水そうがいっぱいになるまでに43分かかりました。』

仕事算に比を用い、さらにつるかめ算で解答していくというパターン化した問題だが、「芝」らしく解答欄ひとつしかない。あまり難しくない問題だが、解く流れとしてはこうだろう。

1.A管とB管の1分間に入れる水量の比を出す。…a
2.aを用いて水そう全体の容積を整数値bで出す。
3.bの答えからA・B合わせて10分間の水量をひく。…c
4.cの数値を用いてつるかめ算の解き方から答えを導き出す。

芝中の場合、解答欄には答えを書きこむだけなので、ひとつの大問に対する小問の数が少ないと配点がそれだけ高くなる。                                             設問(1)(2)と分かれている方が点数がとりやすいのだが、上記の段取りをきちんと踏んで最後までミスしないで終了したとしてようやく1問解いたことになると言う、大変手間がかかるのが特徴である。

公開模試や塾の教材には親切なものが多いので、たいてい解きやすいように(2)のヒントとして(1)が設定されることが多く、しかもそこで得点(マルつけ)出来ることになっているが、芝では解く過程を最後まで見通せた上でいくつかの段階を経て解いていけない限り点数には結びつかない。

例に挙げた大問はそんな中ではまだ解きやすい方である。現段階で易々と解けてしまった生徒もいるだろう。いつもこんなものではないので、1つの例として考えてもらいたい。

それでは普段何を行えばよいかと言うことだが、過去問を解くのはもちろんとして、中・上クラスの文章題、しかも設問が1つしかない問題に多くあたることが大切である。

周りを見ても適切なものがないという場合は、ある大問の(2)や(3)だけ、先生に指示をもらって解いてみてはどうだろう。文章題でもそうだが、平面図形特に相似形などでは最後の設問だけ答えるのは難しいことが多く、簡単に得点をくれない芝中の対策にはうってつけだと思われる。

ただしそれよりもっとずっと前のステージで止まっている生徒、さきほどの「水そう問題」で、1の段階にも進めなかった生徒は基礎力不足と言えるので、ひとつ学年を戻した教材でまずは典型題にあたり、いろいろな解き方をマスターすることが必要だ。

芝中合格を目指す生徒は「つるかめ算の解き方=九九」程度に使いこなせることが最低条件だ。

 

合格するための学習法をまとめると

・過去問を解きながら本校の問題レベルを把握し、上記の対策法を用いて多くの文章題にあたり、複雑な条件下の問題にも対応できる力をつけること。

・平面図形の問題には積極的に手を出し、難易度の高いレベルまで解けるよう時間をかけること。

・基本的な力だけでは合格点には到達しない。一行問題集のレベルで安住せず、同レベルの学校の問題などでも演習をすること。

 

過去問に取りかかるのは秋からでよいが、時間配分・問題量などにはとりたてて大きな特色はないのでそのときの実力が出やすい形式になっている。
本番までに3度は繰り返し、芝中合格の力を身につけて臨もう。

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2017年度「芝中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が9つ、設問が20問。                                                                                                大問2から大問9までは「標準」~「やや難」の文章題が分野のバランスよく並んでいる。本年度は、芝中学の問題としては設問数も多く、いろいろな意味で過渡期を感じさせるつくりである。

問題の質は相変わらず高いものの【大問2】から【大問6】までと、さらに【大問8】もさほど取り組みにくい問題ではなく、普段の勉強の中で経験してきた問題とあまり差がなかったのではないか。

「芝」独特の解きにくい問題もないではないが、意外とあっさりとした印象で、合格点までの得点であれば制限時間内で十分に対応可能である。

【大問Ⅰ】計算問題

  • 難度:標準
  • 時間配分:5分
  • ★必答問題

どちらの計算問題も工夫が必要ということはなく、丹念に粘り強く最後までしっかりと計算していけば正解できるという問題。算数としての面白味は感じられないが、必ず正解しておこう。

<時間配分目安:5分>

 

【大問Ⅱ】平均算

  • 難度:標準
  • 時間配分:3分
  • ★必答問題

やったことあります感にあふれた平均算の、面積図を使うタイプ。芝中受験者であれば必ず正解して前に進みたい。

<時間配分目安:3分>

【大問Ⅲ】速さの問題

  • 難度:やや難
  • 時間配分:5分

自転車などで上り下りの道を往復するという速さの問題。                        やさしい問題ないものの、これもおそらくどこかで出会い、どこかで解いたことがあるはず。       

ABの長さとBCの長さが同じであれば行き帰りにかかる時間に差は出ないわけなので、BCのほうが5km長いことと、かかった時間の差が10分であることから(1)に取り組んでいく。

(1)が解ければ(2)はあまり難しくない。
できれば正解しておきたい問題。不正解だった生徒はしっかり復習して定着させよう。

<時間配分目安:5分>

【大問Ⅳ】規則性(図形)

  • 難度:標準
  • 時間配分:5分
  • ★必答問題

与えられた図から使える規則性を見つけてそれを生かそう。作られる正方形の数、●印の数、まわりの長さの間にきまりがある。両問ともそのきまりにしたがって解けるものと思われる。(1)だけでもあてておきたい。

<時間配分目安:5分>

【大問Ⅴ】平面図形(相似・面積と高さ)

  • 難度:標準
  • 時間配分:5分
  • ★必答問題

三角形の相似、高さと面積の関係を使う良問である。                         (1)は即解できるとして、(2)はもう一つの相似の関係から改めて三角形EBFの面積を求めていく。答えは分数になるもののここは二つとも正解しておきたい。

<時間配分目安:5分>

【大問Ⅵ】影の問題

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

こちらも既視感のある問題で、特別に変わった工夫もないので(3)まで確実に当てておきたい。逆に間違えた生徒は、この内容の復習にさっそく取りかかろう。

<時間配分目安:6分>

【大問Ⅶ】場合の数

  • 難度:
  • 時間配分:6分

重ねるアイスの個数に合わせてそれぞれ場合の数を求めていくという難問である。            「スプーンですくって最大4個」の問題文を適当に読んでしまうと全滅だ。

(1)では、アイスクリームの数が1個、2個、3個、4個に分けてそれぞれ場合の数を求める。

(2)は、3種類の味がある以上アイスクリームの数は3個か4個。4個のほうは難しい。

(3)は、(1)と(2)の答えをうまく使うときれいに求められるが、それも(1)(2)が正解という条件付きだ。

ここは難度高し。2つ以上あてられればたいしたもの。

<時間配分目安:6分>

【大問Ⅷ】水そうグラフ

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

3年続けて水そうグラフの大問が出ていて、本年度のものは解きやすい部類に入る。グラフだけですべて処理できる問題はあまり難しさを感じない。

(1)はグラフの変化にはつるかめ算という典型的なもの。(2)はグラフの後半を使えばよい。やはり「やったことがある」という問題にこの地点で出会えるのは受験生にとっては心強い。

<時間配分目安:6分>

【大問Ⅸ】平面図形(折り返し)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:6分

多少作図能力を試される問題となっている。が、ここでも(1)程度の問題には触れてきているだろうから、そこだけでもしっかり正解しておこう。

一番右側に書かれた小さい正方形に図2の模様を写し、一つずつ広げてはじめに形に戻していこう。時間はあると思うのでていねいに書く時間もあるはずだ。(2)はさらにやっかい。こちらはより細かい作業が待っているので得意な生徒は挑戦してみよう。

<時間配分目安:6分>

攻略のポイント

テスト時間50分で100点満点。                                  合格者平均点は62.1点,受験平均は48.7点と難度の高かった昨年度と比べると平均点は高めだが、例年並みともいえる。合格点は55点くらいに設定。

【大問1】【大問2】【大問4】【大問5】【大問6】は確実に当てておきたい。【大問3】【大問8】【大問9】は正解できる設問を出したい。【大問7】は難しいのでそれなりに…

そのためのポイントとしては
・塾の教材や市販の問題集などで,標準からやや難しめの問題に多く触れ,典型的な出題への耐性と解き方をたくさん身につける
・問題を解くための手段(線分図や数式など)をきっちりと身につけ、問題によって使い分けられるようにしたい。
・ほぼ同程度の難易度を持つ学校の問題も時間があったら解いておくとよい。

本年度は「芝中」としてのレベルは保ちつつも、やや問題の個性が薄くなったような気がした。       昨年度は難度が高かったこともあるので、過去問にはすべてあたっておこう。

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