芝中学校 入試対策
2022年度「芝中学校の算数」
攻略のための学習方法
芝中の算数は、数ある学校の中でも良問率が高く、算数の実力を公正に測れるという意味では、志望校として過去問対策にあたる場合も、力をつけるために演習として解く場合も必ず実力アップできるという効果がある。
では、芝中学に合格するためには何に注意し、どのような対策を施せばよいのか?
具体的な問題を例にとって説明したい。
2011年(平成23年度)第1回出題【大問6】
『ある水そうには、2つの注水管AとBがあり、A管では45分、B管では1時間3分で、それぞれ空の水そうをいっぱいにすることができます。
空 の水そうに、はじめの10分はA管とB管の両方を用いて水を入れました。その後、A管だけを用いて□分水を入れ、つぎにB管を用いて何分か水を入れたところ水そうがいっぱいになりました。空の水そうに水を入れ始めてから、水そうがいっぱいになるまでに43分かかりました。』
仕事算に比を用い、さらにつるかめ算で解答していくというパターン化した問題だが、「芝」らしく解答欄ひとつしかない。あまり難しくない問題だが、解く流れとしてはこうだろう。
1.A管とB管の1分間に入れる水量の比を出す。…a
2.aを用いて水そう全体の容積を整数値bで出す。
3.bの答えからA・B合わせて10分間の水量をひく。…c
4.cの数値を用いてつるかめ算の解き方から答えを導き出す。
芝中の場合、解答欄には答えを書きこむだけなので、ひとつの大問に対する小問の数が少ないと配点がそれだけ高くなる。 設問(1)(2)と分かれている方が点数がとりやすいのだが、上記の段取りをきちんと踏んで最後までミスしないで終了したとしてようやく1問解いたことになると言う、大変手間がかかるのが特徴である。
公開模試や塾の教材には親切なものが多いので、たいてい解きやすいように(2)のヒントとして(1)が設定されることが多く、しかもそこで得点(マルつけ)出来ることになっているが、芝では解く過程を最後まで見通せた上でいくつかの段階を経て解いていけない限り点数には結びつかない。
例に挙げた大問はそんな中ではまだ解きやすい方である。現段階で易々と解けてしまった生徒もいるだろう。いつもこんなものではないので、1つの例として考えてもらいたい。
それでは普段何を行えばよいかと言うことだが、過去問を解くのはもちろんとして、中・上クラスの文章題、しかも設問が1つしかない問題に多くあたることが大切である。
周りを見ても適切なものがないという場合は、ある大問の(2)や(3)だけ、先生に指示をもらって解いてみてはどうだろう。文章題でもそうだが、平面図形特に相似形などでは最後の設問だけ答えるのは難しいことが多く、簡単に得点をくれない芝中の対策にはうってつけだと思われる。
ただしそれよりもっとずっと前のステージで止まっている生徒、さきほどの「水そう問題」で、1の段階にも進めなかった生徒は基礎力不足と言えるので、ひとつ学年を戻した教材でまずは典型題にあたり、いろいろな解き方をマスターすることが必要だ。
芝中合格を目指す生徒は「つるかめ算の解き方=九九」程度に使いこなせることが最低条件だ。
合格するための学習法をまとめると
・過去問を解きながら本校の問題レベルを把握し、上記の対策法を用いて多くの文章題にあたり、複雑な条件下の問題にも対応できる力をつけること。
・平面図形の問題には積極的に手を出し、難易度の高いレベルまで解けるよう時間をかけること。
・基本的な力だけでは合格点には到達しない。一行問題集のレベルで安住せず、同レベルの学校の問題などでも演習をすること。
過去問に取りかかるのは秋からでよいが、時間配分・問題量などにはとりたてて大きな特色はないのでそのときの実力が出やすい形式になっている。
本番までに3度は繰り返し、芝中合格の力を身につけて臨もう。
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2022年度「芝中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が9(1問減った)、設問が16問(こちらも減少)。大問2から大問10までは「標準」・「やや難」の文章題が分野のバランスよく並んでいる。本年度は大問・設問数ともに減ったものの作業に時間がかかるものが目立ったので時間に余裕は見られなかっただろう。
捨て問にあたるほどの超難問は存在しないものの、男子進学校なだけに平易な問題を克服してきたくらいでは歯が立たない問題も多い。
平常の勉強でも十分対応できるものの、応用問題への対策は厚くして臨みたい。
【大問1】計算問題
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
(1)では、「3.4」という小数に目をつけて計算式をどこまでまとめられるかがカギになる。(2)は0.375など小数を分数の直してからの逆算になる。
本年度もまた難度の高い計算問題が出題されたので、過去問でみっちりと計算問題対策を積んできた受験生たちはその成果を出せそうだ。計算に苦手意識がある生徒は少し大問を解いてから戻って解くというのも手段である。
【大問2】食塩水
- 難度:易
- 時間配分:3分
- ★必答問題
昨年度に続き食塩水が【大問2】に登場したが、本年度のものは典型題の域を出なかった。ここは確実に正解したい。解き方は「面積図」を使うのが普通か。
【大問3】平面図形
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
対角線の長さから正方形の面積は求められるので、あとは図形の大きさを割合で表すなど標準的な手法で答えを出していける。角CHE=90°というところがミソで、これを上手く使えると(2)の答えも出せる。
【大問4】差集め算
- 難度:標準
- 時間配分:5分
ややレベルの高い差集め算であり、教室に24人ずついれるときと30人ずつ入れるときの過不足部分の差に幅があるので整数問題としての処理も必要である。
【大問5】場合の数
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
7枚のカードから3枚ないし4枚を並べて整数を作るという「順列」問題だが、カードには複数枚同じ数が含まれるので単純に「積の法則」は使えない。
(1)(2)ともまずカードの組み合わせを選び、1つ1つ並べられる数を調べていく。手間はかかるが良問なのでしっかり復習しておきたい。
このあたりから点差がつき始めるものと思われる。
【大問6】平面図形の面積
- 難度:やや難
- 時間配分:6分
この問題は古典的な難問で、「難関問題集」などでも取り上げられてきたものだが、あまり触れる回数も多くなかったと思うので苦戦したと思う。補助線を複数本ひき、等しい面積の部分を調べていく、これもまた良問なので復習必至だ。
【大問7】ニュートン算
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
昨年度に引き続きニュートン算が登場したが、【大問2】と並んで典型題の域を出ていないものだった。(2)はつるかめ算を用いれば容易に求めることが出来る。後半の問題ではこの問題は絶対に落とせない。
【大問8】点の移動(反射)
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
長方形の頂点を出発した点が入射角と反射角が等しいという性質から次々に辺にぶつかっては反射していくという問題。難関校対策では必ず行われる問題で、反射した辺の側に長方形を継ぎ足していくという解き方もご存じかと思うが、反射する回数が多く作図も大変なので「やや難」とした。
【大問9】速さとグラフ
- 難度:標準
- 時間配分:7分
2人の人間が自宅と公園の間を何度か往復して、その2人のへだたりを表したグラフが与えられているというもの。出題の仕方によってはかなり難易度の高い問題になることもあるが、ここではそこまでの難しさは見られなかった。
グラフが変化するたびにどちらかが自宅または公園に着いたことを表しているので速さが「芝太郎君>弟」ということから、芝太郎君が自宅と公園を17分36秒で往復することがわかる。ここからアを求めることが出来る。また、2人が2回目にすれ違うのは22分24秒だから、これを2で割れば1回目にすれ違う時間も求められる。芝太郎君が自宅から公園までかかる時間は求めてあるので、かかった時間の逆比から2人の速さの比が求められよう。
攻略のポイント
テスト時間50分で100点満点。合格者平均点は66.9点,受験平均は52.1点と例年と比較してもその差はほんのわずかであり、テスト全体の問題レベルは非常に安定している。合格に必要な点数は65点くらいなので、少し上の70点を目標と定めよう。
【大問1】【大問2】【大問3】【大問5】【大問7】【大問8】は確実に当てておきたい。
【大問4】、【大問8】、【大問9】もしっかり復習してできるようにしておこう。
上記通りに勉強すれば、優に70点以上の得点が望めるだろう。
そのためのポイントとしては
・塾の教材や市販の問題集などで標準からやや難しめの問題に多く触れ、典型的な出題への耐性と解き方を多く身につける。
・問題を解くための手段(線分図や数式など)もきっちりと身につけ、問題によって使い分けられるようにしたい。
・ほぼ同程度の難易度を持つ学校の問題も時間があったら解いておくとよい。
本年度は問題の質が均一化しており、【大問2】からの文章題では、問題の取捨選択が命運を握った可能性がある。この数年間は難易度は安定しているものの、それ以前のように難度が高くなる年度もある。入手できる範囲の過去問にはすべてあたり、難しいパターンの場合でもそれなりの対応が出来るようにしてテストに臨もう。
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