芝中学校 入試対策
2024年度「芝中学校の社会」
攻略のための学習方法
例年、大問4つに総解答数40~45程度で作られている。試験の最後に100~150字ほどの論述問題が1問出される以外は、記号選択と用語記入だけ、というのもここしばらくの定型となっている。
大問1・2が地理と歴史、大問3が政治中心だが時に国際社会など他分野も含む、大問4が時事問題と論述文…と、一応の区分けがされている。政治分野が少なめの学校も多いが、本校では3分野の問題数はほぼ等しくなっている。
長文記述は本文から要旨を読み取り、キーワードを使ってまとめる読解力や構成力という、いわば「国語力」が必要となる。また、リード文の総計が4000~5000字にも及ぶことがあり、読むスピードも要求される点に留意が必要である。
地理分野
日本の国土・地形・気候・産業など幅広い範囲から出題される。
主な川の流域の特色など、あるテーマに沿った出題がよく見られるが、日本各地・さまざまな項目について訊かれる形もある。
地図を使って位置や大きさを比べさせるような問題、産業・人口などの統計から各地の特徴を考えさせる問題など、単純に用語を答えれば済むような問題は少ない。地図や白地図で位置や面積、主な鉄道や道路の路線などをしっかり確認しておかないとわからない問題も出されていて、難度は高めである。
基本事項をマスターしているのは当然として、日本全体どの地域についても、地名・地勢・産業や交通まで地図上でイメージできるくらい的確な知識が必要となる。
歴史分野
各時代の歴史について、幅広く出題されている。
年表をもとに歴史の流れをたどるものや、それぞれの時代についての短い説明文を読んで答えるものなど、いろいろな形が見られる。
基本的事項は用語記入で書けるかどうかを確かめ、出来事や制度の理解については選択式で選ばせるなど、やはり用語をただ覚えています・・・では通用しない問題である。物事の背景やその後の影響まで考えられないと選択肢の細かな違いを選びきれないようになっている。
また、時代順の並べ替え問題もよく出される。年表で流れをつかむとともに関連事項もまとめて覚えてすぐに引き出せるようにしておかないと、迷って無駄に時間を失うはめになる。
政治分野
日本国憲法・三権の仕組み・財政の問題がよく出されている。
また、この分野と合わせて、国際連合のように国際関係や時事問題も出題されており、政治分野ばかりとは限らない。政治については上記の頻出分野を確実に押さえ、時事問題集などにもしっかり目を通しておきたい。
記述問題
3~5つのキーワードを必ず使い、100~150字ほどで答えさせる問題。ここは、社会的なことがらがテーマにはなっているが、国語の問題と思った方が良いかも知れない。
まずキーワードを確認する。本文を読みながら大事な言葉や文に線を引くなり欄外に抜き出すなりしてしまう。その際、指定されたキーワードが文中にあるその周辺は使える部分が多いので、目をつけておく。そして設問に合うように指定された字数でまとめる。答えは本文の要旨に近いものになる場合が多いのである。
それにしても、話題は現代社会で問題とされる内容が多いので、普段からニュースや新聞に目を通し、自分なりに考えるようにしておけば、このような記述にも対応しやすいであろう。国語力と社会に対する関心の度合いが試される問題である。
以上、記述が大きなポイントにはなるが、基本的事項を細かい部分までしっかり身につけていることが大前提なので、全ての分野で高い実力をつけることが第一である。テキスト・地図・白地図・資料集で、地域ごと・年代ごとの重要事項と統計データなどかなり詳しく見ておく。
そして、なぜそのようなデータになるのかまで考えるようにすれば、単なる数字の暗記を超えた、「使える」データを身につけられるのである。また、本文の長さにも対応できるよう、読解のスピードをつけておくことも忘れないで欲しい。
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2024年度「芝中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は41問。記号選択が組み合わせの正解を選ぶタイプであること、リード文も多めであることなどを考えると、40分という試験時間は長いとは言えない。
長文記述に5~7分みておいて、4つの大問に各10分かけるとすると、記述問題以外の各問いに1問1分弱ほどかけられるがリード文がつく大問もあり、特に記述問題のリード文は量も多いので、あまり余裕は無さそうである。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
西日本の3つの地方を中心として、各地の特徴などについて答える問題。
問1 A. 筑紫 B. 宮崎 C. 大隅 D. 宇和
問2 雲仙普賢岳で発生した大規模な火砕流で多くの死者・行方不明者が出た。
問3 佐賀県
問4 Fの地点は日本海側気候で冬に降雨(雪)量が多い。Gの地点は太平洋側気候で夏に降水量が増える。Hの地点は瀬戸内気候に属し、年間を通して雨が少ない。
問5 イ. 種子島は鹿児島県である。
ウ. 世界遺産には登録されていない。
エ. 九州地方で最も高い山は屋久島の宮之浦岳である。
問6 地熱発電は火山活動が活発な温泉地周辺で多く行われていることから、⑤。風力発電は強い風が安定して吹く東北や北海道で行いやすいので、④。太陽光発電は全国各地に広く分布している。
問7 ア. 十和田八幡平国立公園や尾瀬国立公園など、複数の県にまたがる国立公園がある。
問8 最も自給率の高いアが米で、2位が野菜、牛乳・乳製品は3位になっている。以下、肉類・果実と続く。
問9 林野率が低いア・イは大阪府か神奈川県。林野率が高くホテル・キャンプ場が多いエ・オは長野県・北海道と考えられるので、ウが京都府となる。
【大問2】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:11分
- ★必答問題
日本の歴史における争いを題材に、各時代の出来事や時代順などが訊かれている。
問1 X. 弥生時代の人々の住居は竪穴住居が一般的であった。
Y. 台地はみずはけが良かったり、水が地下水となって流れていたりする場合が多く、稲作には向かない。
問2 周囲に堀を巡らせた集落を環濠集落と言う。
問3 6世紀末の朝鮮半島は、南に日本と交流が深かった百済、その北に新羅、大陸側に高句麗という国が位置していた。
問4 防人
問5 Ⅲ.藤原純友の乱(939~41年)→Ⅰ.後三年の役(1083~87年)→Ⅱ.保元の乱(1156年)
問6 浄土
問7 a. 裁判は幕府が行ったが、執行の権限を守護に与えた。
c. 寄合とは惣(惣村)という農村の自治組織の集会である。
問8 バテレン追放令を出したのは豊臣秀吉。喧嘩両成敗は今川義元や武田信玄の家法など、戦国時代に作られた分国法に多く定められている。
問9 X. 村の運営に関われたのは本百姓だけで、小作人は関われなかった。
問10 イ. 武士に与えられた身分は士族で、町民などと同じ平民とされた。
問11 日露戦争の講和条約はポーツマス条約。
問12 a. 第三次桂太郎内閣の次の総理大臣は山本権兵衛。
c. 大戦景気では物価が上昇した。
問13 どちらも正しい。
【大問3】政治経済分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
介護制度を題材に、政治のしくみや憲法などについて訊かれている。
問1 (1) 核 (2) 40
問2 介護保険の運用主体は市区町村である。
問3 朱子学では「君臣父子の別」という上下関係を重視し、幕府による支配に都合がよかったため、江戸時代半ばに朱子学以外の学問は禁止された。
問4 Ⅰ. 個人 Ⅱ. 平等
問5 縦の目盛りの数値もヒントになる。アのグラフはおおむね1.4前後で推移して大きな変化はないことから出生率のグラフと推測される。イは0に近かったものが10年で13%ほどに増えているので、育休の取得率であろう。ウは日本の景気が上向いていた時期に上昇していることから有効求人倍率、それと連動するように下がっているエは失業率と考えられる。
問6 社会権のひとつである生存権。
問7 (1) バブル
(2) 導入以降、2度の税率引き上げに応じて額が増えている③が消費税。所得税と法人税では所得税の方が税収が大きいので、①が所得税で②が法人税である。
問8 エ. 介護者が要介護者から離れているときにマークを使うのは適切ではない。
【大問4】現代社会分野
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
戦時の箱根駅伝開催の事例について読んで、考える問題。
問1 ウ. 中山道と甲州街道は下諏訪宿で合流している。
問2 請願権
問3 第三セクター方式
問4 戦時下の箱根駅伝大会は「競走」としては認められず5回中止されたが、「鍛錬」であるとして軍部を説得し1度は開催された。このような過去の例を振り返ってみると、戦争や大規模災害などの困難な状況にあっても、自分たちにできることを考えて前向きに取り組む人がいたことに気づかされる。このような人たちの尽力のおかげで、歴史が連綿とつながっているのである。我々も彼らの努力にならって、自分の未来をひらく原動力にしようという筆者からの呼びかけなのである。
攻略のポイント
多く出題されてよく見かけるような統計から少し外れたデータで問題が作られている印象である。
たとえ見知らぬ統計データが出されたとしても、その今見ている見知らぬデータと自分の知っている知識とを結びつけて正解につなげられるかという、知識と思考の結びつきの問題となってくる。普段からいろいろな物事の背景・理由・周囲への影響などを考えて、思考力をつけられるよう、訓練しておこう。付け焼き刃の浅い勉強では厳しいテストである。そして大問4は、やはり国語力のある人に有利な設問だと言わざるを得ないだろう。
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