芝中学校 入試対策
2019年度「芝中学校の社会」
攻略のための学習方法
例年、大問4つに総解答数40~45程度で作られている。試験の最後に100~150字ほどの論述問題が1問出される以外は、記号選択と用語記入だけ、というのもここしばらくの定型となっている。
大問1・2が地理と歴史、大問3が政治中心だが時に国際社会など他分野も含む、大問4が時事問題と論述文・・・・・・と、一応の区分けがされている。政治分野が少なめの学校も多いが、本校では3分野の問題数はほぼ等しくなっている。
長文記述は本文から要旨を読み取り、キーワードを使ってまとめる読解力や構成力という、いわば「国語力」が必要となる。
また、リード文の総計が4000~5000字にも及ぶことがあり、読むスピードも要求される点に留意が必要である。
地理分野
日本の国土・地形・気候・産業など幅広い範囲から出題される。
主な川の流域の特色(平成27年・第一回)など、あるテーマに沿った出題がよく見られるが、日本各地・さまざまな項目について(2019年度・第1回)訊かれる形もある。
地図を使って位置や大きさを比べさせるような問題、産業・人口などの統計から各地の特徴を考えさせる問題など、単純に用語を答えれば済むような問題は少ない。地図や白地図で位置や面積、主な鉄道や道路の路線などをしっかり確認しておかないとわからない問題も出されていて、難度は高めである。
基本事項をマスターしているのは当然として、日本全体どの地域についても、地名・地勢・産業や交通まで地図上でイメージできるくらい的確な知識が必要となる。
歴史分野
各時代の歴史について、幅広く出題されている。
年表をもとに歴史の流れをたどるものや、それぞれの時代についての短い説明文を読んで答えるものなど、いろいろな形が見られる。
基本的事項は用語記入で書けるかどうかを確かめ、出来事や制度の理解については選択式で選ばせるなど、やはり用語をただ覚えています・・・では通用しない問題である。物事の背景やその後の影響まで考えられないと選択肢の細かな違いを選びきれないようになっている。
また、時代順の並べ替え問題もよく出される。年表で流れをつかむとともに関連事項もまとめて覚えてすぐに引き出せるようにしておかないと、迷って無駄に時間を失うはめになる。
政治分野
日本国憲法・三権の仕組み・財政の問題がよく出されている。
また、この分野と合わせて、国際連合(平成27年度・第一回)のように国際関係や時事問題も出題されており、政治分野ばかりとは限らない。政治については上記の頻出分野を確実に押さえ、時事問題集などにもしっかり目を通しておきたい。
記述問題
3~5つのキーワードを必ず使い、100~150字ほどで答えさせる問題。ここは、社会的なことがらがテーマにはなっているが、国語の問題と思った方が良いかも知れない。
まずキーワードを確認する。本文を読みながら大事な言葉や文に線を引くなり欄外に抜き出すなりしてしまう。その際、指定されたキーワードが文中にあるその周辺は使える部分が多いので、目をつけておく。そして設問に合うように指定された字数でまとめる。答えは本文の要旨に近いものになる場合が多いのである。
それにしても、話題は現代社会で問題とされる内容が多いので、普段からニュースや新聞に目を通し、自分なりに考えるようにしておけば、このような記述にも対応しやすいであろう。国語力と社会に対する関心の度合いが試される問題である。
以上、記述が大きなポイントにはなるが、基本的事項を細かい部分までしっかり身につけていることが大前提なので、全ての分野で高い実力をつけることが第一である。テキスト・地図・白地図・資料集で、地域ごと・年代ごとの重要事項と統計データなどかなり詳しく見ておく。
そして、なぜそのようなデータになるのかまで考えるようにすれば、単なる数字の暗記を超えた、「使える」データを身につけられるのである。
また、本文の長さにも対応できるよう、読解のスピードをつけておくことも忘れないで欲しい。
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2019年度「芝中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数44問で用語記入が多めであること、リード文も多めであることなどを考えると、40分という試験時間は長いとは言えない。
長文記述に5~7分見ておいて、4つの大問に各10分かけるとすると、記述問題以外の各問に1問45秒ほどかけられるが、大問2~4にはリード文もつくので、あまり余裕は無さそうである。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:9分
日本各地の地名・産業・特徴など。
問1 ① 世界自然遺産に登録されている知床半島。
② 奥羽山脈をはさんで秋田側に出羽山地、岩手側に北上高地が並んでいる。
③ 三重県と愛知県の間にあるのは伊勢湾。
④ 世界自然遺産である屋久島。
問2 冬の降水(降雪)量の多さと梅雨の影響が少ないことからBは札幌市、一年を通して降水量が少ないCは瀬戸内気候の倉敷市、残るCが那覇市である。
問3 Pは京都府。先染の紋織物である西陣織が有名である。九谷焼・輪島塗は石川県、伊万里焼は佐賀県の伝統工芸品である。
問4 Yは千葉県。東京のベッドタウンとして通勤・通学の時間が長いウが選べる。
問5 和歌山県・和歌山市はもっと大阪寄りなので、イが×。
問6 自動車を中心とした第二次産業の割合が大きいBが愛知県と考えられる。東京都は情報・出版など第三次産業が突出して高い特徴があるのでAが選べる。残るCが大阪ということになる。
問7 2011年の東日本大震災をきっかけに原子力発電所が操業を停止したので大きく減っているウが原子力とわかる。
最も割合が高いオが石油と考えられるが、温室効果ガスを多く出さない天然ガスに切り替わってきていることに着目してイが天然ガスと推測される。
水力・石炭に大きな変化は無い。
問8 四国地方で大きな火山災害は起こっていないので、アは誤り。
問9 メタンハイドレートはメタンガスが水和状態で存在するもので、日本近海に天然ガス100年分もの埋蔵量があると思われるが、コストや技術面での課題が多く、実用化には数十年かかるともいわれている。
【大問2】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:11分
- ★必答問題
いろいろな時代の特徴的な出来事や人物について訊かれている。
問1 a. 石包丁では根刈りではなく穂を刈り取った。
d. 須恵器と弥生土器は系統が異なる。
問2 『後漢書』東夷伝には、奴国王が漢委奴国王と記された金印を光武帝から授かったという記述がある。
問3 ウ. 飛鳥寺を建てたのは蘇我馬子。厩戸王は法隆寺や四天王寺を建てた。
問4 阿倍仲麻呂の望郷の歌「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」はよく問題にも出されるので覚えておこう。
問5 ア. 日宋貿易を行ったのは平清盛。
ウ. 同業者の組合は座。問・問丸は年貢の運送管理や中継ぎを行った業者。
エ. このような航路が整備されたのは江戸時代。
問6 いずれもキリシタン大名であるが、天正遣欧使節団を派遣したのは大村純忠。
問7 豊臣秀吉が出したバテレン追放令。秀吉は当初はキリスト教を認めていた。
問9 ア. 中国とも貿易を行っていた。
ウ. コシャマインではなくシャクシャインが正解。
エ. 朝鮮から派遣されたのは朝鮮通信使。
問11 下関条約で得た遼東半島を、後にロシア・フランス・ドイツによる三国干渉に譲歩して返還したが、国内ではロシアへの反感が高まり日露戦争へとつながった。
問12 第一次大戦中、日本は中国に対して二十一か条の要求をつきつけ多くを認めさせ、戦後のベルサイユ条約で国際的にも認められた。
問13 戦後の物資が乏しい時期、配給制度も麻痺する中、闇市と呼ばれる自由市場が形成され、農作物や軍からの横流し品などが取引された。
問14 エ. 日中共同声明の調印によって国交が回復したので×。
【大問3】政治経済分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
日本国憲法やその改正手続きについて訊かれている。
問1 (1)・(2) 1945年8月14日、日本はポツダム宣言を受け入れ、無条件降伏した。その後はマッカーサーを司令官とするGHQの統治下におかれ、民主国家にふさわしい憲法制定を目指した。
(3) 「『家』制度が廃止された」と書かれている。家長に権限が集中する古い家族制度を解体し、ひとりひとりが「個人」として尊重される社会を目指したのである。
(4) 憲法は国の最高法規である。重要法規の条文は暗記してしまおう。
(5)~(7) 憲法改正は、国会の発議の後、国民投票で過半数の賛成が得られれば成立し、天皇により公布される。
問3 民主的な選挙の4大原則として、普通選挙・平等選挙・秘密選挙・直接選挙がある。それぞれの意味を確認しておこう。
問4 ①・②・④は日本国憲法の規定である。
問5 「Aを被相続人とする」とは、Aの財産が配偶者や子に相続されるという意味である。
まず、妻と子で財産を二分の一ずつ相続する。子が複数いる場合は子の間で等分するので、問題の例では四分の一ずつということになる。その結果、配偶者が600万円・長男と次男がそれぞれ300万円ずつ相続する。
問6 (2) ① 50分の1ではなく、有権者の3分の1である。
③ 提出先は選挙管理委員会である。
④ 過去に失職した例がある。
【大問4】現代社会分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
サマータイムを話題とした問題。
問1 経度15度で1時間の時差があること、東経・西経での経度差に注意して計算しよう。
問2 マイクロソフト社のウィンドウズが世界でもっとも普及しているOSである。
問4 地理的な理由が2つ、コンピューターの時刻設定に関する理由が1つ述べられている。
日本は欧州より緯度が低いので夏の昼時間が短く、資源節約の「対策」としてメリットが少ないこと。
国土が南北に長いので、全国一律の制度として「合理的」ではないこと。
「情報社会」である現代では、時刻情報を年に何回も変更するのは大変であること。
以上の3点を字数に注意してまとめよう。
攻略のポイント
多く出題されてよく見かけるような統計から少し外れたデータで問題が作られている印象である。
たとえ見知らぬ統計データが出されたとしても、その今見ている見知らぬデータと自分の知っている知識とを結びつけて正解につなげられるかという、知識と思考の結びつきの問題となってくる。
普段からいろいろな物事の背景・理由・周囲への影響などを考えて、思考力をつけられるよう、訓練しておこう。付け焼き刃の浅い勉強では厳しいテストである。
そして大問4は、やはり国語力のある人に有利な設問だと言わざるを得ないだろう。
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