芝中学校 入試対策
2021年度「芝中学校の社会」
攻略のための学習方法
例年、大問4つに総解答数40~45程度で作られている。試験の最後に100~150字ほどの論述問題が1問出される以外は、記号選択と用語記入だけ、というのもここしばらくの定型となっている。
大問1・2が地理と歴史、大問3が政治中心だが時に国際社会など他分野も含む、大問4が時事問題と論述文・・・・・・と、一応の区分けがされている。政治分野が少なめの学校も多いが、本校では3分野の問題数はほぼ等しくなっている。
長文記述は本文から要旨を読み取り、キーワードを使ってまとめる読解力や構成力という、いわば「国語力」が必要となる。
また、リード文の総計が4000~5000字にも及ぶことがあり、読むスピードも要求される点に留意が必要である。
地理分野
日本の国土・地形・気候・産業など幅広い範囲から出題される。
主な川の流域の特色(平成27年・第一回)など、あるテーマに沿った出題がよく見られるが、日本各地・さまざまな項目について(2019年度・第1回)訊かれる形もある。
地図を使って位置や大きさを比べさせるような問題、産業・人口などの統計から各地の特徴を考えさせる問題など、単純に用語を答えれば済むような問題は少ない。地図や白地図で位置や面積、主な鉄道や道路の路線などをしっかり確認しておかないとわからない問題も出されていて、難度は高めである。
基本事項をマスターしているのは当然として、日本全体どの地域についても、地名・地勢・産業や交通まで地図上でイメージできるくらい的確な知識が必要となる。
歴史分野
各時代の歴史について、幅広く出題されている。
年表をもとに歴史の流れをたどるものや、それぞれの時代についての短い説明文を読んで答えるものなど、いろいろな形が見られる。
基本的事項は用語記入で書けるかどうかを確かめ、出来事や制度の理解については選択式で選ばせるなど、やはり用語をただ覚えています・・・では通用しない問題である。物事の背景やその後の影響まで考えられないと選択肢の細かな違いを選びきれないようになっている。
また、時代順の並べ替え問題もよく出される。年表で流れをつかむとともに関連事項もまとめて覚えてすぐに引き出せるようにしておかないと、迷って無駄に時間を失うはめになる。
政治分野
日本国憲法・三権の仕組み・財政の問題がよく出されている。
また、この分野と合わせて、国際連合(平成27年度・第一回)のように国際関係や時事問題も出題されており、政治分野ばかりとは限らない。政治については上記の頻出分野を確実に押さえ、時事問題集などにもしっかり目を通しておきたい。
記述問題
3~5つのキーワードを必ず使い、100~150字ほどで答えさせる問題。ここは、社会的なことがらがテーマにはなっているが、国語の問題と思った方が良いかも知れない。
まずキーワードを確認する。本文を読みながら大事な言葉や文に線を引くなり欄外に抜き出すなりしてしまう。その際、指定されたキーワードが文中にあるその周辺は使える部分が多いので、目をつけておく。そして設問に合うように指定された字数でまとめる。答えは本文の要旨に近いものになる場合が多いのである。
それにしても、話題は現代社会で問題とされる内容が多いので、普段からニュースや新聞に目を通し、自分なりに考えるようにしておけば、このような記述にも対応しやすいであろう。国語力と社会に対する関心の度合いが試される問題である。
以上、記述が大きなポイントにはなるが、基本的事項を細かい部分までしっかり身につけていることが大前提なので、全ての分野で高い実力をつけることが第一である。テキスト・地図・白地図・資料集で、地域ごと・年代ごとの重要事項と統計データなどかなり詳しく見ておく。
そして、なぜそのようなデータになるのかまで考えるようにすれば、単なる数字の暗記を超えた、「使える」データを身につけられるのである。
また、本文の長さにも対応できるよう、読解のスピードをつけておくことも忘れないで欲しい。
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2021年度「芝中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は38問。記号選択が組み合わせの正解を選ぶタイプであること、リード文も多めであることなどを考えると、40分という試験時間は長いとは言えない。
長文記述に5~7分みておいて、4つの大問に各10分かけるとすると、記述問題以外の各問に1問45秒ほどかけられるがリード文がつく大問もあり、特に記述問題のリード文は量も多いので、あまり余裕は無さそうである。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
沖縄県の地形や産業を中心とした問題。
問1 冬に降水(雪)量が多い①は日本海側の金沢。②は冬に降水量が少ないので太平洋側の気候の東京、③が那覇となる。
問2 A. 台風は夏の太平洋高気圧の縁をなぞるように日本に近づいてくる。小笠原気団は太平洋高気圧の西部にあたる。
B. 日本に近づくと偏西風に乗り、東向きに進路を変える。
問3 イ. 熱気や湿気が抜けやすいように窓や戸を広く採っているので、×。
エ. 沖縄には長い川はなく、水もたまりにくい地質である。
問4 きくは電照菊で有名な愛知県が一位である→①。
らっきょうはナシなどと同じで水はけのよい地質が合っているので、鳥取で多く栽培されている→③。
オクラは温暖な気候の鹿児島・高知や沖縄で多く栽培されている→②。
問5 北前船で大阪に運ばれたこんぶは沖縄を経由して中国へも輸出された。沖縄は薩摩藩に侵攻されその支配下にあったが国としての存在は認められ、中国(清)の冊封(さくほう・名目的な君臣関係)下にもあった。
問6 商品販売額の規模から、②が北海道。観光業や沖縄軍関係の仕事に就く人が多いため第3次産業の割合が高い①が沖縄県、③が秋田県である。
問7 ②は少子・高齢化が顕著である特徴から秋田県。労働年齢人口が多い①が東京都、③は出生率が高い沖縄県の特徴が示されている。
問8 まずYとZのグラフを見て、③が北海道で②が鹿児島県と仮定するとYが肉用牛でZが豚であると考えられ、Xが産卵鶏と決められる。
問9 イリオモテヤマネコが生息する西表島。
問10 エコツーリズムの考えにもとづき、環境学習をしながら自然を探訪するエコツアーなども組まれている。
問11 基点から直線で測った距離で見ればいいので比べやすい。
【大問2】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:11分
- ★必答問題
縄文時代から昭和時代まで、各時代の出来事について訊かれている。
問1 X. 吉野ヶ里遺跡は弥生時代の遺跡である。
Y. 稲作は北海道までは伝わっていない。
問2 「漢委奴国王」と刻まれた金印が福岡県・志賀島の畑で発見された。
問3 「貧窮問答歌」は『万葉集』に収められた長歌で、作者は山上憶良。
問4 開墾した土地を三代にわたって私有する権利を認めた、三世一身法。
問5 アは後醍醐天皇ではなく後鳥羽上皇。イは北条義時ではなく北条泰時。ウは徳政令を出しても経済は混乱し、幕府の弱体化につながったので×。よって正解はエとなる。
問6 増上寺は室町時代に真言宗から浄土宗に改宗し、後に徳川家の菩提寺となり慶長年間に現在地の芝に移された。
問7 今川氏は駿河(静岡県)、島津氏は薩摩(鹿児島県)の戦国大名。
問8 イ. 江戸では金貨、大阪では銀貨が多く用いられたので逆である。
問9 イ. 大戦景気で日本の経済が大きく発展したときの説明で、合っている。
問10 最初の本格的な政党内閣、原敬内閣。
問11 部落差別の撤廃を目指して、1922年に全国水平社が結成された。
問12 当時の首相・田中角栄が1972年に日中共同声明に調印し、国交が正常化した。
問13 先進国首脳会議、略してサミット。
【大問3】政治経済分野
- 難度:標準
- 時間配分:9分
行政の仕事や改革を話題とした問題。
問1 国の借金である国債のことである。日本銀行や生命保険会社など国内保有率は約92%で、ほとんどが日本国内での借金である。
問2 国民の「知る権利」を国の行政に対しても保証するため1999年に情報公開法が制定された。
問3 イ. 生活に困っている人への給付は生活扶助(生活保護)である。
ウ. 医療費は国民の保険料と一部負担でまかなわれている。
問4 中曽根康弘は日本専売公社・日本国有鉄道・日本電信電話公社の三公社を民営化した。小泉純一郎による郵政民営化法案が可決されたのは2005年である。
問5 国立公文書館や造幣局など、独立行政法人は7法人ある(2020年4月現在)。
問7 高齢者の増加と少子化に伴い、年金だけでは生活できない人や身寄りのない単身者も増えており、高齢者世帯が大きく増えている(X)。母子世帯の数は大きな変化はないと考えられる(Y)ので、(Z)が傷病・障害者世帯となる。
問9 現在各国が目標としているのはパリ協定での取り決めである。発展途上国にも削減目標を課している点でそれまでの取り決めとは異なっている。
問10 国民は所得の半分近くを国に納めている計算になる。
【大問4】現代社会分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
循環型社会を形成するための3つの取り組み(3R)を題材とした問題。
問1 パソコンやディスプレイは家電リサイクルとは別枠で、PCリサイクルとして料金が販売価格に含まれており、PCリサイクルマークが付いていれば料金はかからない。
問2 アルミニウムの原料となるボーキサイトはオーストラリアから多く輸入されている。
問4 3つのワードに注目すると、第2段落で「リサイクルでごみを分別することが自然になっている」、第4段落で「レジ袋の有料化という体験を通じてリデュースという考え方が社会に定着していく」、第5段落で「きっかけがあればリユースも生活に定着していく」と述べ、「3Rの要素が根付いたとき、日本は循環型社会になったと言える」と結論づけている。それぞれのRについてのこの3か所を抜き出して、筆者の結論を最後に置けばうまくまとまるだろう。
攻略のポイント
多く出題されてよく見かけるような統計から少し外れたデータで問題が作られている印象である。
たとえ見知らぬ統計データが出されたとしても、その今見ている見知らぬデータと自分の知っている知識とを結びつけて正解につなげられるかという、知識と思考の結びつきの問題となってくる。
普段からいろいろな物事の背景・理由・周囲への影響などを考えて、思考力をつけられるよう、訓練しておこう。付け焼き刃の浅い勉強では厳しいテストである。
そして大問4は、やはり国語力のある人に有利な設問だと言わざるを得ないだろう。
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