マーク・トウェーン作の二つの物語を題材に、一つの価値尺度に囚われることの不毛を警告し、「ひま」を持つことで自分の世界をつくることができると説いている。

問一　(a)　商談　　(b)　誘惑　　(c)　公定

問二　トムはハックルベリーフィンが捕まえたダニに「小さい」と「難癖・けち」をつけている。

問三　自分で価値をつくる自由な少年たちと異なり、学校へ行き大人になった男女は「一つの価値尺度」を妄信し老後の会話すらも「全国一律」のつまらないものになり、なおかつそのことに自分では気づけない。このような状況に、小泉八雲の描いた幽霊やお化けとは種類の異なる「現実の」恐ろしさを感じているのである。

問四　比較されている他の世界とは、学校へ行き一つの価値尺度に押し込まれて大人になるという現実の社会のことである。それとは違い、『トム・ソーヤー』の世界では子どもは学校にそれほど行かなくてよいのでひまがあり、それぞれの自分の世界をもって自分で価値をつくり、自分で選んだものに自信をもって生きている。

問五　宝を見つけた後の二人の行動に違いが見える。トム・ソーヤーは大人の世界に合わせて皆と同じにふるまおうとしているが、ハックルベリーは行儀よく食事をすることや「簡単に食物が手に入りすぎる」ことに違和感を覚え、もとの自由な生活に戻ろうとしている。この二人の様子から、今後の二人は違う性質の人生を歩み始めるのであろうことが予感されるのである。

問六　イ.　洞穴から救い出された二人を村をあげて大歓迎しているのだから、「大人たちが寛容になる場面がない」は合わない。

　 　  ウ.　ハックルベリーは自らの意志で元の自由な生き方に戻ろうとしているのであって、「大人たちと関わることなく、こどもだけの閉じた世界の中で生きて」いたわけではない。

 　　  エ.　「学校の重要度は高まっており」「人々は学校の方針に従うべきである」などは、むしろ筆者の主張とは逆である。

問七　マーク・トウェインはアメリカの作家なので、ルイザ・メイ・オルコット作の『若草物語』と同じ。シクロフスキーはロシアの作家で、トルストイ作の『イワンのばか』と同じである。

主人公は、子どもの頃に母親から聞かされた恐ろしい話を幼くして亡くなってしまった弟に重ね合わせて、自分の子供にも話すようになる。

問一　(a)　消息　　(b)　網元

問二　イ.　「となりの国」がどこなのかはわからないし、「自分たち」が拉致されるという内容でもない。

　　　オ.　「サメに食べられて」という話にはなっていない。

問三　三歳の時に父は出ていき、自分の父について「特別な思いを持たずに」「無関心」で大人になった、と主人公は述べているので選択肢エが合う。

問四　自分にも男の子が生まれ、子供の頃聞かされた「お話」を自分の子に話すうちに、自分の子と死んだ弟が重なって「お話」に出てくる「首のない鳥」が弟であるように思えてきている。幼くして亡くなってしまった弟の無念や溺愛していた弟を失った自分の悲しみが自分を追いすがってくる「首のない鳥」の姿に投影されているのである。

問五　弟が九歳で亡くなり、おじいさんも若くして死に、父は姿を消し……と主人公の周囲で近しい男性が次々に消えてしまった過去がある。その経験から「この子も死ぬ、きっと死んじゃう、そう決まっている」という思い込み・恐怖が生じ、「男の子なんかほしくなかった」とまで思い、これから育てていくことに苦しみを覚えている。

問六　イ.　主人公にとってこの「お話」は依然として「死」と結びついた怖い話であり、「思い出と結びついて愛着が芽生え」てはいない。また、子供も「話の内容ができる年頃」ではないことが示されている。

　　　ウ.　母が自分に「お話」をした理由についていくつか想像はしているが、「理解できるようになった」とは書かれていない。

　　　オ.　「自分のルーツであるアイヌの民話」はおかしい。

問七　謎の子守歌の冒頭をいきなり書き始めることで読者の興味を強く引く構成になっている→選択肢ウが合う。

問八　ヒントから、作者の父親は太宰治であると推測できる。の文章は『斜陽』の冒頭の部分である。