渋谷教育学園幕張中学校 入試対策
2025年度「渋谷教育学園幕張中学校の社会」
攻略のための学習方法
〇問題構成
大問は3つがほぼ定形となっている。一つはさまざまな分野を含んだ総合問題・一つは歴史分野である場合が多い。残る一つは地理分野であったり、地理に絡めた資料の読み取りや分野をはっきり分類できない問題であったりと多彩である。
記述問題が多いのも特徴的である。総解答数の3割~5割が記述問題で占められている。2025年度でも35問中12問と3分の1ほどが記述問題である。字数指定はあるものと無いものが混在する。
また、選択肢問題も正誤の組み合わせを選ぶ形で、一問で2つの文について考えなければならないので、その分、難易度も高くなっている。
〇総合問題
リード文を読んで一問一答で様々な分野の問題に答えていく。テキストに沿った基本レベルのものから、直接テキストには書かれていないような内容まで、難易度もさまざまである。
用語を答えたり、出来事を簡単に説明したりといった単純な問題は出ない。教科書の暗記に加えて、さらにもう少し詳しい周辺事項まで統合して覚えておかないと自信を持って答えられない。テキストだけでなく、もう少し詳しく解説してある参考書なども活用して勉強する必要があるだろう。
〇歴史分野・地理分野
大問1つが独立して割り当てられ、総合問題でも歴史に関する問題は出されるので、配点比率からも歴史分野の比重は重くなっている。
選択肢問題に関しては比較的答えやすい問題も多く得点源としたいところであるが、ここでもただ用語を知っていれば答えられるといった簡単な問題とはなっていない。その出来事や人物について、だれでも覚えているような代表的な知識だけでなく、さらに詳しい細かい情報まで問われている。
基本レベルは覚えていて当たり前で、その先の理解を求められているようである。単にテキストに留まらず、意識的にさらに詳しく補強・学習する意欲が無いと厳しい。
また、地理分野では例年、地図・地形図・統計資料などが用いられている。過去には都道府県別の面積・島嶼数・海岸線距離・耕地面積・森林面積など、さらに都道府県章やシンボルマークなどが使われた年度もあった。多彩な形態で地理に関する広い知識が問われるので入念に準備しておく。歴史分野でも歴史史料・図版などが多く用いられるので、よく練習してデータの読み取りにも慣れておこう。
〇記述問題
出来事や人物の説明ならば知識だけでも答えられるが、本校の記述問題は他の問題と同様、そう単純ではない。その物事の背景・理由を問うものがほとんどである。単に用語を覚えるだけの学習か、なぜ・どうしてそうなったか、その後どんな影響が他方面にあったのか、そういったことを常に考えながらの学習か……。
普段から社会的なさまざまな出来事に関心を持ち、思考を巡らせるといったいわば「社会的考察力」とも言える力を問われているようである。その能力の土台となるのは地理・歴史・政治経済分野での基本的知識であることは言うまでもない。自分の知識を用いてさまざまに考えを巡らす習慣を持ち、思考力を高めておきたい。
〇他校に類を見ない出題
2017年度を例にとると、大問3では日本の各地域を郵便番号・電話番号などのコード番号で区分していることが題材として取り上げられている。そしてなぜそのような番号の分類になっているのかという理由なども訊かれている。2018年度では飛行機の揚力といった理科のような問題も出されている。
およそ通常の社会の学習でこんな内容まで学ばないし、考えることも無いはずである。試験問題で初めて目にしてその場で考えなければならない。かなりの難問である。上記のような記述問題で培った思考力を発揮したいところである。
一方で、リード文も含めると問題量は少ないとは言えない。時間との兼ね合いもあるので、難し過ぎると判断した問題は諦めて、他の問題に時間を回す判断も必要となるだろう。
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2025年度「渋谷教育学園幕張中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
問題数は35問と控えめだが、リード文も多く、資料の読み取りや記述問題など考える時間が必要な問題も多い。他の学校ではあまり見られない珍しいテーマの出題もあり、全ての問題に解答するのはなかなか難しい。
手に負えないと判断したら後回しにして、他の問題を優先したほうが良い。選択肢問題をてきぱきこなして得点を稼ぎたい。
【大問1】現代社会分野
- 難度:やや難
- 時間配分:15分
- ★必答問題
本校の創立100年を題材に、政治のしくみなどについて訊かれている。
問1 子ども家庭(庁)
問2 どちらも正しい。特別区は法人格のある地方公共団体で市と同格であるが、行政区は地方公共団体の一部で市の下部組織であるため、設問のような違いが生じる。
問3 会社名を多くの人が目にするので、大きな宣伝効果が期待できる。
問4 (例) 日照権を侵害しない・建物の高さによる圧迫感や威圧感を軽減できる……など。
〔注目!――通常は日照権についてだけ答えればよいという問題が多いだろうが、本校では2点答えなければならない。最低限の暗記ではなく、もう少し詳しい理解を求められている。〕
問5 Y. 説明は安全保障理事会のことである。
Z. 白神山地や屋久島など、計5か所が指定されている。
問6 X. 鳩山由紀夫内閣の発足は2009年である。
Y. 田中角栄元首相の逮捕は1976年である。
問7 X. 義務教育は親が子どもを学校に通わせる義務のことである。
Y. 私立学校は授業料が要る。
問8 X. オリンピックでは連合国全体で1つの国として出場している。
問9 家庭の状況が変われば保育が必要か幼稚園でよいかも変わり、施設を選び直す事態になる。
問10 X. 衆議院の再可決には過半数ではなく、3分の2が必要である。
Y. 法律の公布は天皇の国事行為である。
問11 各省庁が他の省庁と連携せず、業務が非効率になってしまう弊害を縦割り行政と呼んでいる。
問12 どちらも正しい。
【大問2】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:15分
- ★必答問題
歴史上の出来事を題材に、各時代の様子や人物について訊かれている。
問1 平清盛が大輪田泊を改修し日宋貿易を始めたのがこの時期である。
問2 中国との貿易は続けられていたので、貿易船に同乗して海を渡ったと考えられる。
問3 X. あまり広まらなかったが、貨幣は日本でも鋳造されていた。
〔注目!――本校でよく出される2つの事項の正誤の組み合わせ問題。1問で2問分のボリュームとひとつでも間違えると得点にならないシビアさがあり、こちらもあいまいな知識では点を失ってしまう。〕
問4 両方正しい。
問5 ルールはあってもしっかり運用されていなかったが、(2)の時代には調査が厳しく行われて私有地が減ったと考えられる。
問6 (ア)は松平定信のこと。寛政の改革として農民の帰郷促進や倹約令などが施行された。
問7 「年貢を上げても」「税収の安定効果が小さい」原因は米の価格の下落と考えられる。需要が変わらないのに「技術や肥料の進歩、流通の安定など」で流通が増えれば一般的に米の価格は下がる。
問8 X. 江戸時代には、銀など重さで計算する貨幣と金など小判のような枚数で計算する貨幣とが用いられていたが、交換に手間がかかるので銀にも二朱という表記貨幣を作ったのである。
問9 国交を認めた日米和親条約では、貿易は認められていなかった。
問10 外国人が居留・取引できるのは、出島などの一部の地域(居留地)に限定されていた。
問11 ロシア国民を納得させる点としては、賠償金の支払いがなかったこと、ロシア領土が奪われなかったことなどが挙げられるだろう。
問12 Z. 1902年(日英同盟)も1910年(韓国併合)も輸入割合は50%を超えていない。
【大問3】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:15分
- ★必答問題
ご当地キャラクターを話題として、各地の特徴や産業などについて訊かれている。
問1 ウは建造物の指定が多いことから京都府、アは工芸品が多いので博物館などが集まる東京都、残るイが栃木県と考えられる。
問2 い草は熊本県で全体の90%以上を生産している。
問3 4. アジアとの路線は多いが、欧米などの便は少ない。
問4 2. 北陸新幹線が金沢まで延伸されたのが2015年である。
問5 輸送機械が多いアは自動車やその関連工場が多い群馬県、電子部品などが多いウは日本のシリコンバレーとも呼ばれる九州の熊本県、残るイが鳥取県である。
問6 奈良市の「奈良」という漢字には特別な意味はない。
問7 瀬戸内地方は少雨の傾向があるのでイの松山、気温が低いウは山間部に近い久万、雨が多いアは太平洋に面した宇和島である。
問8 3ルート同時通行止めが少ないことから、気象などの条件次第で他のルートを選べるという利点があるだろう。
問9 深い湾内は海が穏やかで、外海から離れているため陸上での作業もしやすいと考えられる。
〔注目!―――他の分野と比較して地理分野は難易度が低めの傾向である。それだけにミスすると大きな痛手になるので、地理はぜひ得意にしておきたい。〕
問10 帽子のサクランボから山形県と想像できる。
問11 県境が策定されてから時間が経過し河川の流路が変わったが、県境はそのまま変更していないのである。
攻略のポイント
正誤の組み合わせ選択肢問題・問題のおよそ3分の1を占める記述問題・本校独自のユニークなテーマの問題……と難易度の高い問題が並ぶ。単純な用語の暗記だけでは十分な得点を得られない。基本レベルの高い実力とともに、思考力が求められる。広く社会的な出来事に関心を持ち、その背景・原因や予想される結果・他への影響など、深く考える習慣をつけよう。
また、現実的な問題として全ての問題に解答するのは無理とも思えるので、答える問題を選ぶ選択眼も必要となろう。
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