渋谷教育学園幕張中学校 入試対策
2020年度「渋谷教育学園幕張中学校の社会」
攻略のための学習方法
問題構成
大問は3つがほぼ定形となっている。一つはさまざまな分野を含んだ総合問題・一つは歴史分野である場合が多い。残る一つは地理分野であったり、地理に絡めた資料の読み取りや分野をはっきり分類できない問題であったりと多彩である。
記述問題が多いのも特徴的である。総解答数の3割~5割が記述問題で占められている。2020年度でも36問中11問と3分の1ほどが記述問題である。字数指定はあるものと無いものが混在する。
また、選択肢問題も正誤の組み合わせを選ぶ形で、一問で2つの文について考えなければならないので、その分、難易度も高くなっている。
総合問題
リード文を読んで一問一答で様々な分野の問題に答えていく。テキストに沿った基本レベルのものから、直接テキストには書かれていないような内容まで、難易度もさまざまである。
用語を答えたり、出来事を簡単に説明したりといった単純な問題は出ない。教科書の暗記に加えて、さらにもう少し詳しい周辺事項まで統合して覚えておかないと自信を持って答えられない。テキストだけでなく、もう少し詳しく解説してある参考書なども活用して勉強する必要があるだろう。
歴史分野・地理分野
大問1つが独立して割り当てられ、総合問題でも歴史に関する問題は出されるので、配点比率からも歴史分野の比重は重くなっている。
選択肢問題に関しては比較的答えやすい問題も多く得点源としたいところであるが、ここでもただ用語を知っていれば答えられるといった簡単な問題とはなっていない。その出来事や人物について、だれでも覚えているような代表的な知識だけでなく、さらに詳しい細かい情報まで問われている。
基本レベルは覚えていて当たり前で、その先の理解を求められているようである。単にテキストに留まらず、意識的にさらに詳しく補強・学習する意欲が無いと厳しい。
また、地理分野では例年、地図・地形図・統計資料などが用いられている。過去には都道府県別の面積・島嶼数・海岸線距離・耕地面積・森林面積など、さらに都道府県章やシンボルマークなどが使われた年度もあった。多彩な形態で地理に関する広い知識が問われるので入念に準備しておく。歴史分野でも歴史史料・図版などが多く用いられるので、よく練習してデータの読み取りにも慣れておこう。
記述問題
出来事や人物の説明ならば知識だけでも答えられるが、本校の記述問題は他の問題と同様、そう単純ではない。その物事の背景・理由を問うものがほとんどである。単に用語を覚えるだけの学習か、なぜ・どうしてそうなったか、その後どんな影響が他方面にあったのか、そういったことを常に考えながらの学習か……。
普段から社会的なさまざまな出来事に関心を持ち、思考を巡らせるといったいわば「社会的考察力」とも言える力を問われているようである。その能力の土台となるのは地理・歴史・政治経済分野での基本的知識であることは言うまでもない。自分の知識を用いてさまざまに考えを巡らす習慣を持ち、思考力を高めておきたい。
他校に類を見ない出題
2017年度を例にとると、大問3では日本の各地域を郵便番号・電話番号などのコード番号で区分していることが題材として取り上げられている。そしてなぜそのような番号の分類になっているのかという理由なども訊かれている。2018年度では飛行機の揚力といった理科のような問題も出されている。
およそ通常の社会の学習でこんな内容まで学ばないし、考えることも無いはずである。試験問題で初めて目にしてその場で考えなければならない。かなりの難問である。上記のような記述問題で培った思考力を発揮したいところである。
一方で、リード文も含めると問題量は少ないとは言えない。時間との兼ね合いもあるので、難し過ぎると判断した問題は諦めて、他の問題に時間を回す判断も必要となるだろう。
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2020年度「渋谷教育学園幕張中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
問題数は36問と控えめだが、リード文も多く、資料の読み取りや記述問題など考える時間が必要な問題も多い。他の学校ではあまり見られない珍しいテーマの出題もあり、全ての問題に解答するのはかなり難しい。
手に負えないと判断したら後回しにして、他の問題を優先したほうが良い。選択肢問題をてきぱきこなして得点を稼ぎたい。
【大問1】政治経済分野
- 難度:やや難
- 時間配分:14分
- ★必答問題
訪日外交人への対応という話題で、社会の状況や憲法・政治についても訊かれている。
問1 経済規模の指標とされるGDPは、人口が大きな要因となっている事実がある。少子高齢化が進み人口が減少すれば国全体としての経済活動が縮小することになるのである。
問3 Y パラリンピックはオリンピックと同じ年に同じ会場で開催される。
問4 現金・おつりのあるなし・プリペイドカードなど、支払方法が多くあり慣れていない外国人は戸惑うであろう。また、キャッシュレス決済に十分対応していない現状もある。
問6 車いすでも利用しやすいように手すりなどの補助具が設置され広いスペースが確保されている。また、赤ちゃんのための補助いすやおむつの交換台も多く設置されている。
問7 X ガソリンエンジンと電気モーターを併用するのはハイブリッド車である。
問8 Y 中国の探査機は着陸に成功したが、インドは失敗している。
問9 「徴収方法」と「徴収する団体」で分類する。つまり、直接税・間接税か国税・地方税かで分けると、観光旅客税は支払うのは利用客だが国に税を納めるのは航空・船舶会社ということになるので、国税で間接税となり酒税と同じということになる。
問10 X 予算案は内閣が作成する。
Y 予算案については衆議院に先議権がある。
問11 成田空港の周辺には民家も多く存在するので夜間の飛行は禁止されている。
問12 災害時などに停電・断水が起こるとトイレが使えなくなる場合があるので、防臭加工のシートや段ボール製など、いろいろな非常用トイレが開発されている。
【大問2】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:16分
女性の社会的地位を話題として、各時代の人物や出来事について訊かれている。
問1 〔1〕 女性解放運動の先駆者・平塚らいてう(雷鳥)。
〔2〕 現・津田塾大学の創設者である津田梅子。
問2 2・3は弥生時代、4は旧石器時代に関する説明である。
問3 X 冠位を与えられたのは主に中央の有力豪族と畿内周辺の地方豪族に限られていた。また、大臣である蘇我氏は冠位を与える側であったと考えられる。
Y 律が刑法で、令が行政法などである。
問4 Y 『土佐日記』は紀貫之の作である。
問5 系図を見ると、娘や孫を天皇の后や天皇にして親族となり、自分は摂政・関白として実権を握るという構図が見える。頼通の娘・寛子には男児が生まれず、そうした親戚関係をつくれなかったことが読み取れる。
問6 扇を購入するのは上流階級が主で、それを売る側も庶民ではなく、相手の地位に応じた身なりを整えていたと考えられる。
問7 書状は、離婚が正式なものであることを保証する内容である。また、女性から要求したということは、離婚の原因が女性側になかったことを意味していると思われる。
問8 X 参考にしたのはドイツ(プロイセン)の憲法である。
Y 不平等条約の改正は後に陸奥宗光や小村寿太郎らによってなされたので、この時ではない。
問10 1918年には、シベリア出兵を見越した商人らが米の買い占めや売り惜しみをしたので価格が高騰し、米騒動のきっかけとなった。
問11 民主党による戦後初の本格的な政権交代は1933年、沖縄返還は1972年、ソ連との国交回復は1956年である。
【大問3】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:15分
- ★必答問題
山形県酒田市付近の地図を題材に、地域の産業や交通などについても訊かれている。
問1 (1) 酒田市で日本海にそそぐのは山形県を代表する河川・最上川。
(2) 日本海から関門海峡・瀬戸内海を通り大阪へと至る西廻り航路。
(3) 中央の山地が冬の北西からの冷たい季節風を防いでくれるので、東側に集落が多い。
(4) 図2で見ると島には高校がない。県外に進学する高校生と、それに合わせて親世代も島外に出たのだと考えられる。
問2 (1) 運河などの水運が発達し、そこにかかる橋が多くなった。
(2) 琵琶湖から流れる淀川は瀬田川・宇治川・淀川と県ごとに名前を変え、大阪湾で海にそそぐ。
(3) 果実が多い①はミカン・柿・梅などを特産とする和歌山県、畜産が目立つ②は神戸牛などブランド牛がある兵庫県、④は京野菜の栽培が多い京都府、残る③が滋賀県となる。
(4) いずれも海に面した各地方の中心地であり、工業用地などの需要から埋め立てにより土地が作られた。
問3 (2) 各地域への距離・料金の関係から北陸か中部地方と考えられるが、沖縄への料金が特に高いことから、大きな空港を持たない北陸地域と思われる。
(3) 沖縄地域へは船か飛行機、またはその両方を使う必要があり、必然的に料金が高額になってしまうのである。
攻略のポイント
正誤の組み合わせ選択肢問題・問題のおよそ3分の1を占める記述問題・本校独自のユニークなテーマの問題……と難易度の高い問題が並ぶ。単純な用語の暗記だけでは十分な得点を得られない。基本レベルの高い実力とともに、思考力が求められる。広く社会的な出来事に関心を持ち、その背景・原因や予想される結果・他への影響など、深く考える習慣をつけよう。
また、現実的な問題として全ての問題に解答するのは無理とも思えるので、答える問題を選ぶ選択眼も必要となろう。
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