渋谷教育学園幕張中学校 入試対策
2022年度「渋谷教育学園幕張中学校の社会」
攻略のための学習方法
問題構成
大問は3つがほぼ定形となっている。一つはさまざまな分野を含んだ総合問題・一つは歴史分野である場合が多い。残る一つは地理分野であったり、地理に絡めた資料の読み取りや分野をはっきり分類できない問題であったりと多彩である。
記述問題が多いのも特徴的である。総解答数の3割~5割が記述問題で占められている。2022年度でも35問中9問と4分の1ほどが記述問題である。字数指定はあるものと無いものが混在する。
また、選択肢問題も正誤の組み合わせを選ぶ形で、一問で2つの文について考えなければならないので、その分、難易度も高くなっている。
総合問題
リード文を読んで一問一答で様々な分野の問題に答えていく。テキストに沿った基本レベルのものから、直接テキストには書かれていないような内容まで、難易度もさまざまである。
用語を答えたり、出来事を簡単に説明したりといった単純な問題は出ない。教科書の暗記に加えて、さらにもう少し詳しい周辺事項まで統合して覚えておかないと自信を持って答えられない。テキストだけでなく、もう少し詳しく解説してある参考書なども活用して勉強する必要があるだろう。
歴史分野・地理分野
大問1つが独立して割り当てられ、総合問題でも歴史に関する問題は出されるので、配点比率からも歴史分野の比重は重くなっている。
選択肢問題に関しては比較的答えやすい問題も多く得点源としたいところであるが、ここでもただ用語を知っていれば答えられるといった簡単な問題とはなっていない。その出来事や人物について、だれでも覚えているような代表的な知識だけでなく、さらに詳しい細かい情報まで問われている。
基本レベルは覚えていて当たり前で、その先の理解を求められているようである。単にテキストに留まらず、意識的にさらに詳しく補強・学習する意欲が無いと厳しい。
また、地理分野では例年、地図・地形図・統計資料などが用いられている。過去には都道府県別の面積・島嶼数・海岸線距離・耕地面積・森林面積など、さらに都道府県章やシンボルマークなどが使われた年度もあった。多彩な形態で地理に関する広い知識が問われるので入念に準備しておく。歴史分野でも歴史史料・図版などが多く用いられるので、よく練習してデータの読み取りにも慣れておこう。
記述問題
出来事や人物の説明ならば知識だけでも答えられるが、本校の記述問題は他の問題と同様、そう単純ではない。その物事の背景・理由を問うものがほとんどである。単に用語を覚えるだけの学習か、なぜ・どうしてそうなったか、その後どんな影響が他方面にあったのか、そういったことを常に考えながらの学習か……。
普段から社会的なさまざまな出来事に関心を持ち、思考を巡らせるといったいわば「社会的考察力」とも言える力を問われているようである。その能力の土台となるのは地理・歴史・政治経済分野での基本的知識であることは言うまでもない。自分の知識を用いてさまざまに考えを巡らす習慣を持ち、思考力を高めておきたい。
他校に類を見ない出題
2017年度を例にとると、大問3では日本の各地域を郵便番号・電話番号などのコード番号で区分していることが題材として取り上げられている。そしてなぜそのような番号の分類になっているのかという理由なども訊かれている。2018年度では飛行機の揚力といった理科のような問題も出されている。
およそ通常の社会の学習でこんな内容まで学ばないし、考えることも無いはずである。試験問題で初めて目にしてその場で考えなければならない。かなりの難問である。上記のような記述問題で培った思考力を発揮したいところである。
一方で、リード文も含めると問題量は少ないとは言えない。時間との兼ね合いもあるので、難し過ぎると判断した問題は諦めて、他の問題に時間を回す判断も必要となるだろう。
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2022年度「渋谷教育学園幕張中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
問題数は35問と控えめだが、リード文も多く、資料の読み取りや記述問題など考える時間が必要な問題も多い。他の学校ではあまり見られない珍しいテーマの出題もあり、全ての問題に解答するのはなかなか難しい。
手に負えないと判断したら後回しにして、他の問題を優先したほうが良い。選択肢問題をてきぱきこなして得点を稼ぎたい。
【大問1】現代社会分野
- 難度:やや難
- 時間配分:15分
銀行の役割や現状の問題点などを題材とした問題。
問1 銀行は低い金利でお金を預かって高い金利でそれを貸し出し、その差額を利益としている。現在日本は長く低金利政策が行われており、銀行の収益がかつてより悪化している。
問2 X. 金融庁は内閣府の外局である。
問3 Y. 金融機関が破綻した場合に保証されているのは、1000万円までの元本と利息の払い戻しで、それ以上は返ってこない可能性がある。
問4 貸し出した金が返ってこない場合、それはすなわち銀行の損益となってしまう。
問5 X. 1ドル買うのに200円必要だったのが100円で済むのだから、ドルが安くなったのである。
問6 Y. 日本銀行は「銀行の銀行」・「政府の銀行」として他の銀行や政府との取引を行い、個人や一般の会社とは取引しない。
問7 Y. 岸田内閣でも、引き続き設置されている。
問8 Y. 法律案については重要な議題であるため、再可決には出席議員の3分の2以上の賛成が必要であると、厳格になっている。
問9 X. ネット銀行でも通常の銀行と同じ取引ができる。
問10 決済に必要な機器の導入に費用が掛かったり、決済手数料が発生しその分儲けが減ったり、また実際に入金されるまでに一定の時間がかかってしまったりなどの問題がある。
問11 X. 例えばATMでも入力が必要であるなど、暗証番号などの使用がペーパーレス化につながるとは言えない。
問12 X・Yともに正しい。
【大問2】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:15分
- ★必答問題
童という存在を話題として、各時代の出来事や人物について訊かれている。
問1 1. 最澄は遣唐使として中国に渡った日本人である。
2と3はともに奈良時代の出来事。
問2 A. 民衆による土一揆は室町時代が最初である。
C. チンギス=ハンではなく、フビライ=ハン。
問3 B. 東海道新幹線の開通は1964年である。
D. 昭和初期の頃のことである。
問4 1. 大正時代の出来事である。
2. 大日本帝国憲法の制定は第一回帝国議会が開かれるより前であり、また参議院ではなく貴族院であった。
4. 当時は空軍は組織されていない。
問5 B. 国際連盟の本部はスイスのジュネーブに置かれた。
C. 二・二六事件は1936年に起こった陸軍によるクーデター未遂事件である。
問6 A. ナウマンゾウなどを狩猟していたのは旧石器時代である。
C. 吉野ケ里遺跡ではなく、三内丸山遺跡である。
問7 A. 図5を見ると、人々の服装からみな男性であることがわかる。
D. シベリア出兵を見越したコメの買い占めが発端となり、コメ騒動が始まったのは8月であった。
問8 1. 元禄文化ではなく、化政文化である。
2. 『東海道中膝栗毛』は十返舎一九による小説である。
4. 雪舟が水墨画を大成したのは室町時代である。
問9 老中水野忠邦は物価高の原因を株仲間であるとしてこれを解散させたが、効果は上がらなかった。
問10 平安時代~鎌倉時代にかけて輸入された宋銭が室町時代でも多く使われており、勘合貿易で入ってきた明銭も使われ始めたことがわかる。
問11 資料から、童たちは武士のように元服をして烏帽子をかぶったりせず、髪を下ろしたりなど独特の格好をしていることが見て取れる。
【大問3】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:15分
- ★必答問題
3つのテーマをもとに、各地の気候や産業について訊かれている。
問1 気象庁の発表する「平年並み」などの「平年」は、30年間の数値をもとに計算され、10年ごとに新しい10年の数値と入れ替えられる。
問2 ほとんどの地点で年平均気温が上昇している、とあるので選択肢1が合う。
問3 熊谷は日本の最高気温の1位・2位を争う地点なので(ア)、東京は何日か猛暑日があり大都市の特徴として熱帯夜も多くなるので(ウ)、残る銚子が(イ)と考えられる。
問4 森林や土の地面は雨水を吸収・保持して地下に蓄える働きが強い。都市化で舗装された地面が多くなるとそうした機能が失われ、水が一気に地表を流れて洪水や土砂崩れを起こしやすくなってしまう。
問5 斜面で稲を栽培する工夫で、棚田と呼ばれる。
問6 鹿児島県や静岡県の台地で多く栽培されていることを考えると、選択肢3は合わない。
問7 カツオはマグロなどと同じく日本海流に乗って回遊してくる魚である。昆布は羅臼や利尻など北海道の沿岸が産地として有名である。
問8 網で獲るとたくさんの魚がこすれて傷みやすいのだが、一本釣りならそのようなことが少ない。
問9 仕事などの都合で常に一定数の人の移動があるので、ある程度の空き家がないと引っ越しもできなくなってしまうのである。
問10 例に挙げられた県は冬に雪が多く降る地域である。そのためシーズン中に数回の雪下ろしが必要になる場合が多く、人が住んでいないと手入れができず家が損壊してしまう恐れがある。
問11 4. 図3では、沖縄県の空き家率はそれほど高くなっていない。
攻略のポイント
正誤の組み合わせ選択肢問題・問題のおよそ4分の1を占める記述問題・本校独自のユニークなテーマの問題……と難易度の高い問題が並ぶ。単純な用語の暗記だけでは十分な得点を得られない。基本レベルの高い実力とともに、思考力が求められる。広く社会的な出来事に関心を持ち、その背景・原因や予想される結果・他への影響など、深く考える習慣をつけよう。
また、現実的な問題として全ての問題に解答するのは無理とも思えるので、答える問題を選ぶ選択眼も必要となろう。
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