舞台はアメリカの田舎町。年の離れたいとこであり親友でもある｢ミス･スック｣たちと暮らしている｢僕｣が、いじめっ子の｢オッド｣に仕返ししようとする物語。
本文は、｢感謝祭のパーティー｣に招待した｢オッド｣に、｢僕｣がいよいよ｢仕返し｣を実行する場面。｢翻訳もの｣だが、表現は分かりやすく難なく理解できる内容のはずだ。
｢記述｣や一部の｢選択肢設問｣に渋渋らしさが表れている。
以下、いくつかを検討してみる。

[問一]　｢漢字の書きとり｣(全５問)。
さほど難しいものはない。渋渋志望者であれば｢全問正解｣が当然。
若干悩ましいものとしては、
①｢頭(こうべ)をタれ｣(＝｢垂(れ)｣)、
③｢イすくめる｣(＝｢射(すくめる)｣)
くらいか｡
渋渋では｢慣用的表現｣での｢漢字｣がよく出題されるので、｢語彙力｣そのものを高めることが必須。

＜時間配分目安：１分＞

[問三]　｢内容説明選択肢｣(５択)。
傍線部(２)｢そのつるにからめ取られているのは告発された相手ではなく、告発した側だった｣について、｢この表現から読み取れるのはどのようなことか｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡
各選択肢の｢文末｣(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)が、｢つるにからめ取られている｣(＝｢比喩(隠喩)表現｣)に結びつかないものを｢消去｣する。
選択肢は、
(ア)｢この場から逃げ出したいという気持ちでいっぱいになっている｣、
(イ)｢強い空腹を改めて感じている｣、
(ウ)｢自分の立場が危うくなるのを恐れている｣、
(エ)｢敵意によって支配されてしまっている｣、
(オ)｢重圧から逃れられなくなっている｣｡
であれば、｢からめ取られている｣⇒｢身動きできない｣のだから、(オ)以外は｢消去｣だと気づかなくてはいけない。(オ)は他の部分の説明も特に誤ってはいない。従って、｢答え｣。
｢原意消去｣で｢一発解答｣、十分に活用すること。

＜時間配分目安：１分半＞

[問四]　｢理由説明記述｣(61～70字指定)。
傍線部(３)｢そういう冗談はよくないね。私のカメオはちゃんといつもの場所にあったよ｣について、｢ミス･スックがオッドをかばい、また『僕』の言うことを否定したのはなぜか｣を説明する。
先ずは｢指示語｣を開く(｢指示語｣が出たらすぐに開くこと)｡
｢そういう｣＝｢『僕』が『オッドがミス･スックのカメオを盗んだ』と言った｣こと。
｢小説は同一場面に根拠あり｣(｢小説｣の｢最重要解法｣)が原則だが、ここでは｢ミス･スックの真意｣は説明されておらず、最後の｢場面｣(＝｢僕とミス･スックの会話｣)にあることはすぐ分かるはずだ。そこで彼女は、｢オッドの盗み｣は｢計算ずくでやったこと｣ではないが、｢僕｣が｢オッドの面目を潰そうとした計画｣には｢企まれた残酷さ｣があり、｢ほかのことはなんだって赦せてもそれだけは別だ｣と述べている。
つまり、｢計算ずくでやったのではないオッドの盗み｣は｢赦せても｣、｢企まれた残酷さ｣がある｢オッドの面目を潰そうとした『僕』の計画｣は｢赦せない｣ということだ。
こうしたことを、｢『僕』の計画が赦せなかったから｣が｢直接的理由｣(｢理由説明｣で最も重要な要素)になるので｢文末｣にして(｢記述｣では｢最重要要素｣を｢文末｣にする)、表現を調えて｢過不足なく｣まとめればいいい。
たとえば、｢計算ずくでやったことではないオッドの盗みは赦せても、オッドの面目を潰そうとした、企まれた残酷さがある『僕』の計画は赦せなかったから｡｣といった｢答え｣となる。
｢解法｣に則して考え、分かりやすくまとめること。

＜時間配分目安：４分＞

[問七]　｢表現説明選択肢(不適切複数解答)｣(６択)。
｢この小説の設定や表現の特徴を説明したもの｣で｢ふさわしくないもの二つ｣を答える。
｢設定｣や｢表現の特徴｣なので、｢心情｣等に踏み込まず、｢事実関係｣のみで｢消去｣していく。
選択肢(エ)｢美しい自然を丹念に描写｣⇒｢牧草地が黄金色とあずき色に輝いている｣という描写しかない、(オ)｢周囲の大人からは理解されがたい｣⇒｢ミス･スックという理解者｣がいる。
よって、(エ)(オ)が｢不適切｣なので、｢答え｣となると分かるはずだ。
渋渋ではこうした｢表現｣などに関する問題がよくあるので、しっかりと慣れておくことが必要だ。

＜時間配分目安：２分半＞

インターネットの発達と普及で、｢世界中の本を誰もが自由に選べ入手できる状況｣になったが、｢学者ならともかく、普通の生活を送っている人がすべての本の中から最適な本を選ぶ必要はなく、手の届く範囲で納得できる何冊かの本に出会えれば、人は幸福に生きていくことができる｣と論じている。
いくつか難解な｢外来語｣があるが、｢※注｣を活用すれば十分に内容を理解できるはずだ。
以下、いくつの｢設問｣を考えてみよう。

[問一]　｢漢字の書きとり｣(全４問)。
さほど難しいものはない。
ここも｢全問正解｣といきたいが、やや間違いやすいものとしては、
①｢うろうろしたアゲクに｣(＝｢挙句｣)と
③｢本のもつジリョク｣(＝｢磁力｣)か｡
渋渋では徹底した｢漢字習得｣は不可欠だ。

＜時間配分目安：１分＞

[問三]　｢内容説明選択肢(複数解答)｣(５択)。
傍線部(２)｢ここ10年ほどで本をめぐる状況は劇的に変わっている｣について、｢筆者が考えている変化としてふさわしいもの二つ｣を答える。
｢筆者の考え｣はどこに述べられているか？ ｢段落相互関係｣で捉える(｢論説文｣では常に｢段落相互関係｣を意識すること)｡
傍線部の段落からの５段落だと分かる。各選択肢の説明と段落内容を照合し、｢消去｣していきたい。
選択肢(ア)｢人々は巨大化した現実の書店を頻繁に利用するようになった｣⇒｢書店の巨大化｣は４段落目にあるが｢利用頻度｣についての言及はない、
(エ)｢本を入手する時間が短くなり、人々はこれまでよりも数多くの本を読むことができる｣⇒｢入手時間｣は１段落目だが｢読書｣についての言及はない、
(オ)｢人々は古くから存在する本に対して価値を見いだすようになる｣⇒｢古本｣に関しては２段落目にあるが｢価値｣への言及はない｡
結局、残ったのは(イ)と(ウ)、前者は２～４段落目、後者は５段落目に合致しているので｢答え｣となる。
｢解法｣に則しての｢消去｣を的確に行うこと。

＜時間配分目安：３分＞

[問五]　｢条件付き論旨説明記述｣(61～70字指定)。
傍線部(４)｢ややまわり道になるが、すこしだけ時代をさかのぼってみよう｣という｢論の展開｣を用いて、｢筆者が述べようとしている本文全体の主張はどのようなものか｣を説明する。
まどろっこしい問題文だが、要は｢本文全体の主張｣＝｢論旨説明｣だと端的に捉える必要がある。
｢条件｣は｢現在と昔における本を取り巻く環境の違いにふれる｣こと。
｢論説文｣の｢論旨｣は、｢序論部｣か｢結論部｣あるいは｢両方｣(｢論説文｣の｢基本的解法｣)だ。本文は明らかに｢尾括型｣なので、｢結論部｣(最後の１段落)を中心にまとめることになる。｢結論部｣では｢あらゆるところに本はあるが、その中で納得できる本と出会える才能があれば、『すべての本』に行きつかなくても人は幸福に生きていくことができる｣といったことが述べられている。
あとは、｢条件｣を加えていけばいい。
｢現在｣⇒｢あらゆるところにある『すべての本』を選べる｣、
｢昔｣⇒｢そこにある本を読む｣｡
であれば、たとえば｢あらゆるところの『すべての本』を選べる現在であっても、昔のように、納得できる『そこにある本』に出会えれば人は幸福に生きられるのだというもの｡｣といった｢答え｣となる。
｢論説文｣の｢論旨説明記述｣では、｢頭括型｣｢尾括型｣｢双括型｣を的確に見極めることが重要だ。

＜時間配分目安：４分＞

[問六]　 ｢本文の空所補充選択肢｣(５択)｡
本文中の｢空所　　１　　 ｣に当てはまる｢慣用表現｣を答える。
渋渋らしい｢総合的知識問題｣｡
前後の｢文脈｣から内容を特定した上で、｢語句の知識｣と結びつける｡
｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣(｢傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要｣という｢重要解法｣)で確認する。
直前は｢それでも取引が成り立っていたのは｣(｢それ｣＝｢交換が妥当なのか不明｣)、直後は｢　　１　　か信頼関係というもの｣｡
選択肢は、
(ア)｢漁夫の利｣、
(イ)｢虫の知らせ｣、
(ウ)｢年の功｣、
(エ)｢あうんの呼吸｣、
(オ)｢つるの一声｣｡
であれば、｢消去｣しても｢答え｣は(エ)だと分かるはずだ。
無論、渋渋志望者は｢あうんの呼吸｣くらいは知っておきたい。

＜時間配分目安：１分半＞