白百合学園中学校 入試対策
2024年度「白百合学園中学校の理科」
攻略のための学習方法
白百合学園中の満点は75点、今年度の合格者最低点は50.9点で、昨年度に比べて難化している。基本~標準レベルの知識問題が中心だが、ややレベルの高い考察問題や計算問題も見られる。試験時間の30分に対して問題数が極めて多いことが本校理科出題の最大の特徴。いかにスピーディーにミスなく答えられるかが、攻略のキーポイントとなる。本校攻略のための学習方法としては、基本を早期に固め、過去問等時間を意識した問題演習に時間をかけたい。できる問題から回答欄を埋めていくといったテストテクニックも必要になるだろう。知識だけで答えられる問題は迷わずに解答できることが大きなポイントになるので、まずは何といっても基本をしっかり身につけることが最大の攻略法になる。分野毎の攻略法は次の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度は人のからだの働きに関する出題であった。消化や血液循環に加え、植物についての知識問題も含まれていた。過去の出題では、昆虫、食物連鎖、植物の種子と発芽、植物のつくりと働き、動物の分類、プランクトンと顕微鏡の使い方、人のからだの働きなどに関する出題などが見られる。この分野の学習法としては、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物の分類、人のからだの働きなど基本知識を正確に覚えることが第一である。また、光合成を確認するための実験方法、顕微鏡の使い方など実験・観察の進め方についても、覚えて頂きたい
地学分野 本年度は地震および潮の満ち引きについて、大問2題での出題であった。いずれも、基本知識に加え、グラフやデータの読み取りがポイントとなる問題が含まれていた。近年では、星の動き、火山とハザードマップ、月から見た地球、月の満ち欠けと月食、南半球で観測する月、南極と北極について、気象、地層と黄砂、火山と地震、飽和水蒸気量と湿度などの出題が見られ、天体に関する出題がやや多い傾向にある。また、ハザードマップについての出題のように時事的な内容を含む出題が見られる年度もあるので、注意が必要である。台風・大雨・フェーン現象などの出題も想定しておきたい。
物理分野 本年はふりこ・音・ブザーについて出題された。近年の出題を見ると、電気と力のつり合いに関する出題が多く、光、磁石、熱等についての出題も見られる。今後も電気(豆電球の明るさ・電熱線の発熱など)と力のつり合い(ばね・てこ・滑車など力学に関する計算問題)を中心とした出題が想定される。基本知識を身につけた上で、計算問題の練習もしっかり行って頂きたい。
化学分野 今年度はものの溶け方についての出題であった。近年を見ると、アルコールと塩素系漂白剤、水溶液の濃度、中和、気体の発生、水溶液の性質などの出題が見られた。今年度同様に水溶液に関する出題が多い。今後も、水溶液を中心に化学変化・溶解度・燃焼などに関する出題が予想される。この分野に関しても、基本的な知識事項を覚えることはもちろんのこと、計算を含む問題演習を数多く行うことが大切である。
模試や過去問はまだ仕上がって単元や苦手な単元をあぶりだす絶好のチャンスである。失点の多かった単元については、知識の抜けが原因なのか、計算ミスが原因かなどしっかり分析を行い、同じ間違いを繰り返さないようにしっかり対処する必要がある。そのあたりの分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。白百合学園の理科は基本をしっかり固めることができれば対応可能であるので、あせることなくしっかり対策を行って欲しい。
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2024年度「白百合学園中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は5、小問数は30程度で75点満点。試験時間は30分で例年通りであった。適語補充問題、記号選択問題、計算問題が中心だが、記述問題やグラフ・図を描く問題も含まれている。30分という試験時間に対して問題数が非常に多いので、かなり素早い処理と、どの問題から手を付けるかといった判断力が求められる。過去問等での時間配分を意識した演習が不可欠である。極端な難問はないが、基本を確実に身につけておくことが必要である
【大問1】 物理 ふりこ・音・ブザー
- 難度:標準
- 時間配分:6分
問1 (1)ふりこの長さとはどこからどこまでなのか、図に示す問題。支点からおもりの重心までであることに注意。
(2)ふりこの周期について、誤差を少なくするための実験方法と、実験結果からわかることについての文章を完成させる選択問題。実験結果より、ふりこの長さを4倍にすると、周期が約2倍になっている。周期はおもりの重さに関係しない。
問2 (1)音の伝わり方に関する文章を完成させる適語補充問題。糸をはじいた時の音は空気の振動し、糸電話では糸が振動して音が伝わる。
(2)記述問題。宇宙空間なので。音を伝える空気がない。ヘルメットなど音を伝えやすい金属どうしを接触させ、その振動を利用すればよい。
問3 ブザーの仕組みについての文章を完成させる選択問題。電磁石に電流が流れると接点が電磁石に引き付けられが、電流が流れなくなり接点が電磁石からはなれる。すると再び電磁石に電流が流れ、接点を引き付ける。これが繰り返すことにより、ブザーとしての音が鳴り続ける。
ふりこ・音・ブザー、3つのテーマについての出題。いずれも説明文を完成させる問題が含まれている。考察問題も含まれるが、基本知識に基づいて答える問題が中心。
【大問2】 地学 地震
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
問1 地震計の記録用紙は動くが、おもりは動かない。
問2 地震計の設置向きについての選択問題。
問3 テーブルクロスを引いた時に上に乗っている食器が落ちない、だるまおとし の2つは、地震計のおもりが動かないことと関連している。
問4 P波は40秒で300km進んでいるので、300÷40より、秒速7.5km。四捨五入の指示があるが、その必要がないことに注意。
問5 P波が到達してからS波が到達するまでの時間と、震源からの距離の関係をグラフで表す問題。
問6 P波が到達してからS波が到達するまでの時間は28秒。問5で作成したグラフから震源からの距離を読み取ればよい。
地震に関する出題。前半は地震計についての知識問題。後半はP波とS波についてのデータ読み取りやグラフの作成および計算問題。地震波の問題は中学入試で頻出。問題集等を使って同様の問題演習を行おう。
【大問3】 地学 潮の満ち引き
- 難度:標準
- 時間配分:6分
問1 地球から見ると、月の右側から太陽の光が当たるので、上弦の月になる。
問2 上弦の月は、12時ごろ東から上り、18時ごろ南中し、0時頃西に沈む。
問3 グラフより、22時頃に満潮を迎えているので、南中時刻から4時間遅れている。
問4 グラフより、満潮と干潮の間が約6時間になっており、満潮と満潮の間は約12時間になっている。従って、地球上の満潮の場所から90度離れた場所が干潮、180度離れた場所が満潮となる。
問5 記述問題。同じ面を地球に向けているので、潮位の変化はない。満潮の場所は常に満潮、干潮の場所は常に干潮となる。
問6 ウミガメのふ化、サンゴの産卵は満潮・干潮の時期と関連する。
潮の満ち引きに関する出題。月の満ち欠けに関する基本知識も必要となる。グラフの読み取りや記述問題も含まれているが、難問ではない。
【大問4】 化学 ものの溶け方
- 難度:標準
- 時間配分:6分
問1 会話文に従って表を完成させる計算問題。
問2 (1)ものの溶け方に関する文章を完成させる適語補充問題。一般的に、固体は温度が高いほどよく溶け、気体は温度が低いほどよく溶ける。
(2)記述問題。例えば、炭酸飲料は温度が高いと泡(溶けていた二酸化炭素)が出てきてしまう。
問3・問4 問4は記述問題。 温度による溶ける量の違いが少ない方が食塩。
ものの溶け方に関する出題。計算問題や記述問題も含まれる。また、固体と気体の溶解度の温度による変化など、基本的な知識も必須。
【大問5】 物理 人のからだの働き
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
問1 植物と人の消化の働きに関する文章を完成させる適語補充問題。葉で作った養分は師管を通って運ばれる。師管は葉の裏側、茎の外側を通る。じゃがいもの食用の部分は地下の茎、さつまいもは根なので、違いを覚えること。でんぷんを最初に消化するのはだ液。タンパク質は最後にアミノ酸となって吸収される。
問2 記述問題。胃液は強い酸性なので、殺菌作用がある。
問3 脂肪の消化に関する消化液は、肝臓で作られる胆液(胆汁)と、すい臓で作られるすい液。
問4 柔毛は表面積を広くし、養分の吸収を効率的に行っている。
問5 (1)血液の流れる向きを選択する問題。
(2)酸素を多く含む血液(動脈血)が流れる血管を選ぶ問題。肺⇒左心房⇒左心室⇒からだの各部 を流れるすべての血管を選択すること。
(3)小腸で養分を吸収するので、小腸と肝臓をつなぐ血管(門脈)が該当する。
問6 (1)会話文より、O型の血液の血しょうは他の血液型の赤血球と混ぜると必ず固まる。また、図で示された血しょう成分の絵を見ても、へこんでいる部分が2種類あるので、O型以外のいずれの赤血球とも形が合うとわかる。
(2)いずれの赤血球の形とも合わない血しょうを持つことから、③がAB型とわかるので、②と④はA型もしくはB型。いずれであっても、赤血球と血しょう中の成分の絵より血液は固まることがわかる。
人のからだの働きに関する出題。問1には植物についての問いも含まれる。問2と問4の記述問題のうち、問4は中学入試頻出。問3と問5は基本的な知識問題。問6の血液型についての出題は、観察力や思考力が求められる。
攻略のポイント
大問は5題、ここ何年かを見ると、大問数は5題か6題である。小問数は例年30~40とかなり多い。30分という時間に対して設問数が非常に多いことが本校理科の最大の特徴。かなりの解答スピードが要求される。もう一つの特徴として、細かく正確な知識を要求する問題が多い。ここ何年かを見ると、環境問題、ハザードマップなど私たちの生活に関連した内容の出題も多いので、注意が必要である。解答の形式としては、選択問題が中心だが、記述問題や簡単な計算問題も含まれる。ここ何年かは同じ傾向が続いており、今後も同レベル・同程度の出題が予想される。本校の攻略のポイントとしては、苦手分野を作ることなく、早い段階で正確な知識を身につけること。時事的な内容について問われることもあるので、その対策も必要。直前期には過去問等を用いて時間を意識した問題演習をしっかり行うことが必要となる。
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