白百合学園中学校 入試対策
2018年度「白百合学園中学校の理科」
攻略のための学習方法
白百合学園中の満点は75点、合格者平均点は例年6割~7割である。基本的な問題が多いが、中には思考力や細かい知識を要求する出題も見られる。また、過去には時事的な内容を含む出題が見られ、今年度は地理的内容を含む出題も見られた。問題の形式としては、問題文・図・グラフ等を読み取った上で答える問題が中心であり、計算問題や簡単な記述問題も含まれる。試験時間は30分であるが、問題量は決して少なくない。過去問演習では、試験時間をしっかり意識して取り組む必要がある。
できる問題から回答欄を埋めていくといったテストテクニックも必要になるだろう。知識だけで答えられる問題は迷わずに解答できることが大きなポイントになるので、まずは何といっても基本をしっかり身につけることが最大の攻略法になる。
<分野毎の学習法>
生物分野
本年度はプランクトンと顕微鏡の使い方に関する出題であった。過去の出題では、植物のつくりと働き、人のからだの働きなどに関する出題などが見られる。この分野の学習法としては、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物の分類など基本知識を確実に覚えることが第一である。また、光合成を確認するための実験方法、顕微鏡の使い方など実験・観察の進め方についても、覚えて頂きたい
地学分野
本年度は南極と北極について、および地球の動きに関する出題であった。出題には北極と南極の特徴や位置など地理的な内容も含まれていた。過去には火山や地震、飽和水蒸気量と湿度に関する出題などが見られる。また、時事的な内容を含む出題が見られる年度もあるので、注意が必要である。
今後は、台風・大雨・フェーン現象など気象に関する出題や、星の動きや月の満ち欠けなど天体に関する出題も十分あり得るので、基本をしっかり固めて頂きたい。また、天体の動きについては、地球上各地で観察するとどう見えるかなどについても理解を深めておいて欲しい。
物理分野
本年は物体の運動と浮力に関する出題であった。過去には磁石について、光の性質に関してなどの出題が見られる。今後は豆電球の明るさや電熱線の発熱など電気回路に関する問題や、ばね・てこ・滑車など力学に関する出題も考えられる。基本知識を身につけた上で、計算問題の練習もしっかり行って頂きたい。
化学分野
今年度は水溶液の性質と中和に関する出題であった。過去には、溶解度と濃さに関する問題、気体の発生に関する問題などが見られる。今後も、化学変化・溶解度・燃焼などに関する出題が予想される。この分野に関しても、基本的な知識事項を覚えることはもちろんのこと、計算を含む問題演習を数多く行うことが大切である。
模試や過去問はまだ仕上がって単元や苦手な単元をあぶりだす絶好のチャンスである。失点の多かった単元については、知識の抜けが原因なのか、計算ミスが原因かなどしっかり分析を行い、同じ間違いを繰り返さないようにしっかり対処する必要がある。そのあたりの分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。白百合学園の理科は基本をしっかり固めることができれば対応可能であるので、あせることなくしっかり対策を行って欲しい。
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2018年度「白百合学園中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題、小問数は40題程度で75点満点。試験時間は30分で例年通りであった。適語を答える問題、記号選択問題が中心で、計算問題、簡単な記述問題も含まれている。
問題数に対して試験時間が30分と短いので、かなり素早い処理と、どの問題から手を付けるかといった判断力が求められる。過去問等での時間配分を意識した演習が不可欠である。極端な難問はないが、基本を確実に身につけておくことが必要である。
【大問1】生物分野 プランクトンと顕微鏡の使い方に関する出題
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1・問2 顕微鏡の各部の名称と操作手順に関する出題。
問3 顕微鏡を使う際は、まず低い倍率で観察したい対象を見つけてから高い倍率に変えていく。
問4 顕微鏡での倍率は、接眼レンズの倍率×対物レンズの倍率となる。また、倍率は長さを何倍にするかを表
したもので、対物レンズの倍率を10倍にすると、面積としては100倍に拡大して見えることになる。
問5 図の目盛りの1目盛りの長さが各図で異なることに注意が必要。
問6 ゾウリムシはせん毛、ミドリムシはべん毛を使って移動する。
問7 ミドリムシやトウモロコシなど生物から得られるエネルギー資源を利用する燃料をバイオ燃料という。
問8 光合成を行うプランクトン(植物プランクトン)に該当するのは、アオミドロとミカヅキモである。
問9 びんの上側を黒い紙でおおい、下から光を当てる実験を行い、ミドリムシがびんの下側に集まれば、ミド
リムシには光に集まる習性があることが確認できる。
顕微鏡の使い方とプランクトンに関する知識問題。「バイオ燃料」などやや細かい知識問題や、記述問題も含ま
れるが、この大問ではしっかり得点をかせぎたい。ここで得点できなかった場合は、顕微鏡等実験器具の使い方を復習するとともに、主なプランクトンを絵や写真などで確認して頂きたい。
【大問2】物理分野 物体の運動と浮力に関する出題
- 難度:標準
- 時間配分:8分
問1 単位を秒速で求めることと、四捨五入に注意。
問2 同じ高さから転がすので、左端に到達したときの速さは同じになる。
問3 ストロボ写真に写った小球と小球の間隔の数×0.05でかかった時間が求まる。
問4 図(Ⅱ)が最も遅い。8×0.05=0.4秒かかっているので、64÷0.4より秒速160cmに
なる。
問5 ふりこは最も低い地点で最も速くなる。
問6 一番高く上がり、ふりこの向きがかわる瞬間、ふりこは止まる。
問7 ふりこの周期はふりこの長さにのみ関係する。
問8 ストロボ写真の撮影間隔が0.5秒で、8間隔あるので、0.5×8=4秒。
問9 ばねばかりの表示は、「小球の重さ-浮力」となる。食塩水の密度は1.2、水の密度は1.0なので、
食塩水中の方が浮力は大きくなる。
問10 200-80×1.2=104g となる。
斜面を転がる物体の運動、ふりこの運動、浮力に関する出題。計算問題も含まれているが、浮力の計算方法も記されており、問題の難易度は高くはない。
【大問3】地学分野 北極と南極、地球の運動に関する出題
- 難度:標準
- 時間配分:7分
問1 縮尺は長さの比を表したものである。長さは数倍に見えるので、選択肢から面積は約40倍が妥当であ
る。
問2 日本は南極から見ると、オーストラリアの北に位置する。
問3 北極と南極の違いに関する出題。北極とは「北極圏」のことで、ほとんどが海だが、グリーンランドなど
の島も含まれることに注意。
問4 南極では太陽高度が低く、太陽から受ける熱が分散してしまう。また、白い氷が光を反射することと、標
高が高くなると気温が下がることが最低気温記録を出した要因と考えられる。
問5 1日中太陽が沈まないことを白夜という。
問6・問7 地軸の北極側が太陽の方向に傾いている時が夏至、南極側が太陽の方向に傾いている時が冬至にあ
たる。
問8 南極で白夜になるのは、冬至を中心とした時期である。
問1から問3は社会(地理)的な内容であり面食らうかも知れないが、常識的な内容とも言える。問4以降は地球の公転を中心とした理科本来の標準的な内容であり、確実に正答したい。
【大問4】化学分野 水溶液の性質と中和に関する出題
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
問1 【1】赤色リトマス士紙はアルカリ性で青色に変わる。
【2】重層水は熱すると二酸化炭素を発生し、二酸化炭素を石灰水に通すと白く濁る。
【3】アルコール水溶液は電気を通さない。
【4】水酸化ナトリウム水溶液と塩酸を混ぜる中和して食塩水を生ずる。
以上のことから、①~⑧の水溶液を判別する。
問2 塩素系漂白税から発生する塩素は有害な気体である。
問3 気体が溶けている水溶液は、塩酸とアンモニア水である。
問4 BTB液は、酸性で黄色、中性で緑色、アルカリ性で青色を示す。オレンジジュース、みりん、しょう油は
弱い酸性を示す。また胃酸には塩酸が含まれており、強い酸性を示す。
問5 実験の結果より、⑧の水溶液(水酸化ナトリウム水溶液)と②の水溶液(塩酸)を5:4の割合で中和す
ることがわかる。従って、②の水溶液60㎤を中和する⑧の水溶液は、75㎤になる。
前半は、実験の結果から水溶液を判別する入試頻出の典型的な出題。塩素系洗剤などやや細かい知識問題もあった。後半は中和に関する出題で、計算問題もあったが、標準的なもので決して難しいものではなかった、ここで得点できなかった場合は、水溶液の性質に関する基本知識を復習した上で、本出題のように実験の結果から水溶液を判別するタイプの問題演習に時間をかけて欲しい。また、中和の計算問題についての練習も行って欲しい。
攻略のポイント
【大問1】から【大問4】まで際立った難問はないが、標準レベル以上の設問が並んでいる。小問の数が約40題と非常に多く、かなりの解答スピードが要求される。今後も同レベル・同程度の問題量の出題が予想される。
本校の攻略のポイントとしては、苦手分野を作ることなく、基本レベルの知識を身につけることと、過去問等時間を意識した問題演習をしっかり行うことがあげられる。問題の形式は、問題文や図が与えられ、それについて解き進めていくものが中心である。中には、問題文の中にヒントが隠されているものもある。問題文や図をしっかり読み取ることも攻略につながる重要なポイントとなろう。
また、今年度の【大問3】では北極と南極の地理的な位置関係等の特徴が問われた。今後も同様の傾向が見られる可能性もあるので、地学分野の学習においては、日本だけに限らず、世界各地に目を向けた学習が必要である。
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